日ごと日ごとに


西伊豆・大瀬崎

ようこそ! あなたは カウンター 番目のお客様です


一日一首を義務づけて
私がんてつの身の周りに起こったこと、ALSとの格闘?の模様、
季節の移ろい、世の中の出来事までをも、三十一文字に纏めて、
日記のつもりで短歌らしきものにしています、どうぞ、ご笑読下さい。

昨年11月、私達ALS患者が集まって、現在迄の各々の体験を
岩波書店より 「生きる力」(840円) として、出版しました。
購って下さい、読んで下さい、印税は全額ALS協会へ寄付されます。
「生きる力」 へのリンクはこちら

・・06年版は「短歌のページ」へ収納しました・・

07年12月31日(月)
 目標を立てざる一年が暮れゆけば自ずと反省などの無かりき

もの想ふことのみ多き一年を短歌
(うた)詠みごときにうつつを抜かす

この一年を三百六十五首に詠み振り返り 振り返りつつ暮るる


(いよいよの大晦日です。
この一年のご来訪、誠に有難うございました。
来年も稚拙な歌ではございますが、アップし続けますので宜しくお願いします)

07年12月30日(
 東京を日本を後にす人々をテレビニュースに見送る歳晩

(毎度お馴染みの風景ですが、28日の御用納めの夜には高速道路の混み始めを、
翌日からは海外でお正月を、という人々の日本脱出劇をテレビニュースが伝えました。
29日土曜日から始まって、4日の金曜日を挟めば9連休ともいわれていますので、
殺人的な大ラッシュにはならないようですが、
残念ながら私は、テレビニュースに見る人々を、ただただ見送るのみにございます)

07年12月29日(土)
 今いちばん可愛いね!と言はるる四才がにっこにこして父母らと訪いこし

クルマとね新幹線とえ〜とえ〜とねデンシャにのって〜おば〜ちゃんちへきたの

お姉ちゃん!と呼ばれし孫娘
(まご)は二年生妹(いも)と母との間(はざま)で泣きし

お母さん!お母さんてば!お母さん!吾娘は一日呼ばれて暮らす

お父さんは大好き!嫌い!に揺れ動くおむつ替えたの俺だ!とぼやきつつ


(岩手県の大船渡に暮らす娘一家4人が、お正月休みを利用してやって来ました。
小学2年生の姉に4歳の妹、4ヶ月ぶりですがそれぞれに成長していて、
嬉しいやら感心するやら。いろいろとやってくれて飽きる暇がありません)

07年12月28日(金)
 電飾を脱がされ身軽き大欅冬晴れ仰ぎ大伸びをなさん

(イルミネーションの電線で、ガンジガラメにされていたケヤキ並木も、
お正月に向かって開放されたところもあるようで、冬の澄み切った
空に向かって背伸びをしています。本来ならば葉を落として休眠期
に入って冬眠を始める頃ですのに、人間様のお祭りに付き合わされて
さぞや迷惑だったことでしょう)

07年12月27日(木)
 リビングが俄仕立ての湯殿となりて湯船に新湯の満ちてゆく音



若きらに身柄預ける入浴はマニュアル通りに洗われてゆく


(今は週一回ですが、「訪問入浴サービス」を利用しています。
自宅のお風呂へ予めお湯を沸かしておき、ポンプで運びますが入浴中も
新しいお湯を足しつづけますので湯温が下がる心配はありません)

07年12月26日(水)
 冷えてます霜です氷もはりました朝の挨拶を寝床で聞きぬ

今朝は冷えてますよ!
8時に来てくれたヘルパーさんの第一声で目覚めました。
昨晩は、月が煌々と輝くほどの快晴?でしたので放射冷却も手伝って
のことかと思われますが、練馬で年内に氷が張る程の冷え込みは久し振りです)

07年12月25日(火)
 上階より降りくる音は大掃除をなすらし日がな一日絶えず

(今年も残すを一週間となり、大掃除に精を出されるお家もあるようでして、
上の階の何処かのお家でしょう、それらしい音が頭上から聞こえてきていました)

07年12月24日(
 落葉を樹下に散り敷く林にて明るきもみぢ模様に魅せらる


12月14日撮影

紅葉葉
(もみぢば)を樹下に散り敷く林はいま もみぢ模様を見せて明かるし

(光が丘公園の雑木林の紅葉はほぼ終わっていましたが、
散り敷いた様子がこのように綺麗で、ずっ〜と地面を見ながらの散策でした)

07年12月23日(
 射るごとき北風落ちし夜半なるにしじまを破り雨降り出でぬ

(昨、日中の冷たい強めの北風が止んで静かな夜となりましたが、
日付が替わる頃から雨が降り出しました。その雨もお昼前には止み、
今日は快晴、いいお湿りでしたが、これでは直ぐにも乾いてしまいそうです。
インフルエンザの流行期となり、風邪対策グッズが売れに売れてるようです。
どうぞ皆様も、充分にお気を付け下さいまして、健康的な年末年始をお過ごし下さいませ)

07年12月22日(土)
 忘れたき事にしてまた忘るべからざる事の多かりき年も暮れゆく

(嫌〜なご時世で!は座頭市のセリフですが、
そんなセリフがピッタリの一年だっように思われます。
世の中全てがそうであると言っても過言ではないように思われますが、
私に関しても、決して忘れてはならない事や、絶対に忘れられないだろう事も2.3あって、
その全てが嫌〜な事ばかりでした。来年こそは!等と意気込む気力は正直失せつつあります)

07年12月21日(金)
 木枯らしと師走の声に紅葉みな掻き消されたり冬木の寒し



(あれだけ目を楽しませてくれた
欅、桜、公孫樹でしたが、すっかり葉を落として寒々としてきました。
青空は嬉しいんですが空っ風が・・・それもそのはず、師走も残すを10日となりました)

07年12月20日(木)
 言霊は自(し)が声にして天に唾なすがに聞こゆ夢の迷路に

(変な夢を見ました。何かに怒って大声で怒鳴るんですが、
返ってくる怒鳴り声が私を咎めるような言葉に変ったようで?、それにまた怒鳴ってる?
そんなやりとりに発する、自分の声にハッ!と気付いて目覚めましたが・・・?)

07年12月19日(水)
 着膨れて池辺に遊ぶ野鴨らに餌遣るを禁ずの立て札無粋

(野生であるにもかかわらず足元まで寄ってきて餌をねだる野鴨の姿は実に愛らしいものですが
上野・不忍池では、散策に来る人達が、人間様が食べる加工食品を遣ってるとかで、
体重が5割増にもなるほどの肥満体が目に付くようになったと発表されました。
冬毛に包まれて膨らんでるものとばかり思っていましたので驚きです。
それにしても野生が肥るほど餌を食べるんですねえ、人間社会のみならず・・・困ったものです。
野生の鳥は、飛ぶ事が生きる事に直結しますので、冬であっても肥って飛べなくなる程食べる
とは考えられませんが、人間が与える加工食品が高カロリーであることを知らないんでしょうね)

07年12月18日(火)
 ゆうるりと夜の帳が下りゆくをカーテンゆっくり引きつつ見をり

(昨日の日没どきの様子です。
カーテンをサッ!と引いてしまうには勿体ないほどの、
ちょっとした天体ショーを見せてくれました。
蒼い空の底が夕陽に焼け、建物全てがオレンジ色に染まり、
一瞬でしたが、北へ向かって飛ぶ飛行機や、アンテナ、
避雷針の先端がキラリキラリと光ったりして、それはそれは美事でした)
(写真が無くてご免なさい)

07年12月17日(月)
 カサコソカサコロコロビュービュー木枯しの狂想曲なり枯葉の奔走



一陣の風に枯れ葉の舞ひ踊る雑木林に初冬の薫り


(無風快晴に背中を押されて光が丘公園へ出かけましたが、地下鉄駅から
一歩外へ出ると予報どおりの北風がビュー!ビュー!で寒いことこの上なしでした)

07年12月16日(
 大丈夫!健康体とのお墨付きを戴き見上ぐる冬空の澄む

(タイミング悪く、煙草の副流煙で「肺腺癌」を誘発する確率が高まる、と発表されましたので、
30数年をお客さんが吸う煙草に悩まされていた者としては、穏やかには待てませんでした。
結果はオーライ!、近い過去に起こした炎症の痕、でしょうとの診断でした。
そういえば、風邪でもないのに乾いた咳が続いた時期があったなぁ〜、で終わりとなりました)

07年12月15日(土)
 こんにちは!と友は訪ひ来ぬ一陣の木枯らしさへもおみやげとして

(強めの木枯らしが吹いていた昨日の夕方でした。
訪ねてくれた友人が玄関を入ってきたとたん、
部屋の空気が冷たいものと入れ替わってしまいました)

07年12月14日(金)
 <影の在る>肺を小さき胸に抱きその日を待ちゐる妻の愛しき

まさかとふ坂を登りつつ待つ妻と同じ坂往くまさかまさかと


(月曜日に受けたCTスキャナーによる精検の結果は、
今週中には知らされる段取りですが、残すを一日となりました。
待つ事の辛さを何処かにぶつけることも出来ないままにその日を待っています)
(愛しき=気の毒だ。かわいそうだ。ふびんだ。)

07年12月13日(木)
 「偽」偏と「嘘」を併せて「なりきん」と読ませし輩(やから)の青息吐息

人が為す故に「偽」とはああ神よ!正道を往く我も人なり


(昨日、恒例の2007年「今年の漢字」「偽」が、
京都の清水寺の森清範
(せいはん)貫主の手によって発表されました。
日本漢字能力検定協会が全国から公募した9万816通の内、断然トップの1万6.550通が
「偽」
ペコちゃん、挽肉、白い恋人、赤福、船場吉兆等々の、偽装、偽証、偽造。
加え、年金記録、政治資金の「偽り」に、この一年は振り回されました。
2位以下は、食、嘘、疑と続きますが、ご免なさい!の最敬礼を、
テレビ画面に見ない日は無い程の乱痴気
(らんちき)ぶりでした)

07年12月12日(水)

 充電を為すにや蝶が羽広げ冬の日向の八手にねまる

(こんな寒さの中にチョウチョが居る事自体驚きですが、
オレンジ色に黒っぽい斑模様の翅を水平に開いて、
八手の葉の中間に留まったままじっと冬の陽を浴びていました。
暫くして目を遣ると居なくなっていましたので、
太陽エネルギーを身に蓄えて飛び立っていったものと思われます)

07年12月11日(火)
 冬の陽は窓より這入り姿見で角をば曲がり朝を告げ呉る

(ベッドの東(右)側の壁一面を埋めている書棚に、朝日が射し込んでくるようになりました。
お天道さんが西から出るはずはありませんが、リビングの鏡に反射してのことです。
ヘルパーさんが来て、カーテンを開けると同時にパッ!と目の前が明るくなります)

07年12月10日(月)

 「高齢検診」(けんしん)で肺に影がと精検を促す医師の眼(まなこ)は笑ふ

「影」と聴き打ち消す根拠を持たざればただオロオロとその時を待つ


(この歌は妻の事です。
私の往診の際に、先日妻が受けた「高齢者検診」の結果を持ってきてくれ、
「肺に影が在るからCTでの精密検査を受けるように」との事でした。
まさか!まさか!でしたが、念の為よ!がついていましたので
多分、多分!大丈夫!だと思います。身内に癌患者は皆無ですし)

07年12月9日(
 お礼なす程には咲かざりし海棠に寒肥を遣る来春(らいはる)を期して

(この春のカイドウ君は、どうしたものかたった5房しか咲かず、
枝ばかりを伸ばしてましたのでお礼肥を控えましたが、ここへきて
葉をすっかり落として休眠期に入りましたので、遅効性の肥料を施しました。
これできっと、来春には沢山の花を咲かせてくれるものと今から期待しています)

07年12月8日(土)
 外灯の点く刻限の早まりて短日補ひ庭を照らせり

(庭園灯が燈るのを合図にカーテンを引いてますが、
その時刻が随分と早くなりました)

07年12月7日(金)
 終着の電車は客を吐き出だし背伸びするごと床をせり上ぐ

(池袋駅で折り返す電車を待っていましたら、満員の電車が到着し、
どっとお客の群を吐き出しながら車高(床面)が高くなっていきました。
乗客の重みで沈んでいたものが、元へ戻っただけのことですが、
ひと仕事を終えて、ウゥ〜ン!と背伸びをしたような・・・)

07年12月6日(木)
 師走には師走に相応(ふさ)ふ顔が往く年始に年始の顔往くやうに

(師走の声を聞くと同時に街中の様子が一変します。
街のみならず人の表情さえも・・・・・と感じたりします。)

07年12月5日(水)
 サブウェーは地中より浮上し冬陽降る甍の海を西へと奔る

(新木場を出た「東京メトロ有楽町線」は、
我が桜台駅を過ぎた辺りから地上に出て高架線を奔ります。
練馬を過ぎるとビル群が消えて瓦屋根が見渡すかぎりとなりますが、
やがて地上へと降りてゆきます)

07年12月4日(火)
 野鴨らが遊ぶを取り巻く幼らの外を遠巻くカメラの放列

(テレビのニュースで見た、冬のひとコマです。
数種の野鴨の群れが川辺で、人が与える餌を先を争って啄ばむ様子を、
幼稚園児らしい一群が遠巻きに見たり餌を遣ったりしてましたが、それを
囲むおとな達は手に手にカメラやケイタイを向けて鴨などはそっちのけです)

07年12月3日(月)
 乾き切る大地が雨を待つやうにけふも渇望す<あなたの声>を

干上がりし田畑が雨を吸ふごとく<あなたの声>の耳に優しも

五色なす砂丘が雨を吸ふやうに<あなたの声>を力となさん


(上三句は、心身共に病んでる私自身で、
<あなたの声>は、読んで戴く貴方の想像にお任せします。
薬だったり、手、心、言葉、時には物だったりと、病む私が欲している全てのつもりですが)

07年12月2日(
 茜雲がビルの谷間を埋め尽くし天地たちまち血染めとなりぬ



(歌の夕焼けは、テレビニュースで見た様子を詠んだものですが、
これは我が家の庭から見たものです)

07年12月1日(土)
 孫の手も猫の手も無し頼るのは妻の手いまは糠味噌の中

(おーい!鼻の脇を掻いてくれ〜!
早くぅ〜!
この手でもいいのぉ〜!
いいわけありません!がまん!ガマン!我慢!です)

07年11月30日(金)

 もみぢ葉は池に沈みて春を待つ金魚も動かず彩を添ふ

(池の底に敷くように沈んでるのは、カイドウとサルスベリの葉。
このまま腐ることなく春を迎えるんでしょうが、
水温が下がって動きか鈍くなった金魚が彩りを添えています)

07年11月29日(木)
 朝光に桜紅葉がきらめきつつまたひとつ散りひとつまた散る

(いよいよの終宴です)

07年11月28日(水)
 見慣れ来し街並みはいま秋深く真直(ます)ぐに紅葉(もみぢ)す桜の並木

(練馬区役所の最上階にある展望ルームからの風景です)
西を見ると、桜の並木が美しく紅葉して真っ直ぐに伸びています。
当たり前のことですが、春夏秋冬四つ変化、それぞれの表情を見せてくれます)

07年11月27日(火)

 確かなる<治療>の薬を待ち待ちて九年有余をALSと暮らす

(この度、京都大の山中伸弥教授(45)のチームが、人工多能性肝細胞(iPS細胞)を
人の皮膚細胞からつくる事に成功した、との発表がなされました。
人体のさまざまな細胞や組織に育つ万能細胞であるともいわれています。
我が「ALS」にとっては画期的な朗報で、自分の皮膚から神経細胞や筋肉細胞をつくって、
直に移植する、という治療が夢でなくなったようです。実際に治療できるまでには、
まだまだ遠い道程を辿ることになりましょうから、私自身には到底間に合いませんが、
後に続く方々には、「不治の難病ALS」ではなくなる可能性がでてきました)
(異変を自覚してから9年有余、
待ちに待った「確かな治療につながる技術」ですが、いかんせん遅過ぎました)

07年11月26日(月)

 ビル、校舎、甍の屋根も二つ三つこの風景はきのふと同じ

(車椅子に座っての視線では、見える光景はいつも同じで
僅かに瓦屋根の家が二つだったり三つだったりするだけです。
小学校舎脇に公孫樹の大木が二本見えますが、今年は未だに緑を纏っています)

07年11月25日(
 緊張でコチンコチンに固まりし新ヘルパーさんに身柄を預く

(ALSの患者さんは初めてなんです!とおっしゃる中年の女性ヘルパーさん。
リラックス!リラックス!と声を掛けるんですが一向に耳に入らないらしく、
カチンカチンに固まってのスタートとなりました。
今日が2回目、普段はご老人の介助、介護が主流ですので無理からぬことです)

07年11月24日(土)
 臥せをれば紅葉狩る術持たずただ旅番組に秋を視るのみ

(紅葉狩りなど、夢のまた夢ですので、テレビの旅番組で楽しんでいます。
ですが、どうしたものか殆どの番組が風景などそっちのけで、食べる事に
かなりの部分を割いています。こちらは見るだけではどうにもならない代物
ですので、フラストレーションが溜まる一方ですが、でもでも視てしまいます)

07年11月23日(

 込み上ぐるものを堪へて笑顔見す優しき言葉は苦手でござる

(ALSは情動(喜怒哀楽)のコントロールが難しくなる傾向がみられる、
とのことですが、私自身がそのとおりと納得しています。
特に、優しいお言葉には弱くなりました)

07年11月22日(木)
 ゆく秋を惜しむまもなし木枯らしの翔けゆく並木路に桜葉躍る

(昨夕、外出先からの帰り道で目にした光景です。
強い冬型の気圧配置とかで、東京地方に2号とも云える木枯らしが吹きました。
何時も通る桜の並木路ですが、落ち葉が舞う中を歩いたのは初めてでした)

07年11月21日(水)
 寒空に行列つくるラーメンで冷えし身体を温めるために

(寒さで冷えた身体を温めるには、熱いラーメンなどは絶好ですが、
どうしたものかお客が外で列を為して順番を待ってる姿をよく見かけます。
あれでは、凍えてしまいそうですが、そうまでして食べたいものなのでしょうね。
でもでも!ラーメン専門店の浮沈の激しさには眼を見張るものがあります)

07年11月20日(火)
 秋晴れかはたまた冬の青空か十一月(しもつき)二十日の日溜まりの庭

(日向ぼっこをするには絶好の天気でしたが、歌を詠むにあたって、
はて?と悩んだところからこのような歌になりました。
抜けるような青空と街中の紅葉は秋、でも、肌を刺すほど冷たい風と
夜の冷え込みは冬のそれ、木枯らしが吹いたら冬、と言われてはいますが、
暦は未だ11月、なんとも悩ましいことですが、あと10日もすると師走です。
本格的な冬の到来ですが、去年と違って例年通りに寒い冬になるようですね)

07年11月19日(月)
 居座りゐし秋け散らして木枯らし過ぎ今宵はしづかに冷えまさり来ぬ

(東京地方に昨夕6時過ぎに、木枯らし1号が吹いたと気象庁が発表しました。
日中は22度にもなって秋爛漫でしたのに、一瞬の木枯らしが吹き抜けた後に
冬が音もなく静かに入り込んで、ストーブを焚くほどの冷え込みとなりました)

07年11月18日(
 未(いま)だ見ぬインフルエンザに脅えつつ打たんワクチンの痛みに怯ゆ

(今年も予防接種を終えました。腹筋が消滅しつつありますので風邪は脅威です)

07年11月17日(土)
 ひと山の年賀ハガキを前にして正月気分をまさぐりてゐる

(売り出されましたので、取り敢えず買っちゃいましたが、
現状は正月どころじゃありません。でも、元日に届くようには出すつもりです)

07年11月16日(金)
 抱きよせてぐっと抱きしめ抱き起こすヘルパーさんは大汗小汗

(60キロのピノキオ(操り人形)を想像してみてください。当に今の私です。
ヘルパーさん及び女房にはお世話をかけています)

07年11月15日(木)
 頂を雲に預けて超高層のビルは眠れる赤い灯に護られて

天辺を雲に預けて超高層 ビルらは眠る。ネオンの海に


(あ〜たま〜をく〜も〜の〜う〜えにだ〜し〜は富士山ですが、
今時の高層ビルも雲の中に頭を隠してることがよくあります)

07年11月14日(水)
 この青空(そら)が今日一日中続くなら何にも要らない笑顔のほかは



(我が家の上空北側の、今朝の青空です)
(皆さんもこんな日は、お陽さんを背にして空を仰いでください。
きっとこのような蒼空が見られるはずですよ)

07年11月13日(火)
 二十四時間三百六十五日を眠らないコンビニの四階に今朝も目覚めし

(私が住んでる5階建てマンションの1階では「ファミリーマート」が無休で営業しています。
資源の無駄遣い、地球温暖化が叫ばれる中、相も代らずの24時間営業、
今となっては都会の生活には欠かせないものとして、「便利」を提供し続けています)

07年11月12日(月)
 健気にも「身に棲む<癌>を殺す!」と言ひ吾がヘルパーは暇(いとま)を請ひき

温存!とメールにあるも乳房にメスを入らるる女
(ひと)を想ひぬ

(私は可哀相な乳癌患者で〜す!と発表されてから5ヶ月。
風の便りによりますと手術が無事終わり、続いての放射線治療も終わって、
現在は自宅療養中とか、一日も早い現場復帰を願うものですが、精神的
にも辛いおもいをなさったことでしょうから、ゆっくりと時間を掛けて
体力快復とともに完全治癒を勝ち取ってほしいものです)

07年11月11日(
 加湿器の準備整え止み間なく降る雨見上ぐ胸をかき抱き

(明日からは晴れて気温も一段と下がるでしょう、との予報に、
5月に仕舞いこんだ「加湿器」を取り出して点検を終えました。
我が練馬は、11月だというのに不順な天気が続いていて湿気もたっぷり、
今日も朝の内まで冷たい雨が降って、日中も時々、加湿器どころじゃありませんが)

07年11月10日(土)
 冬立つを諾(うべな)ふばかり降る雨のただ冷たくて街は霞める

(昨晩からの雨が夕刻まで降り続いて冷え込んでいます。
立冬を過ぎましたので当たり前のことでしょうが、
紅葉を愛でるには絶好の三連休ですのにこれでは台無しですね)

07年11月9日(金)
 左右(さう)のこと
難儀なものよ
右手
(めて)と言ふに
左手
(ゆんで)とられぬ
ヘルパーさんに


(介助をする側のヘルパーさんは、される側の私とは正面で相対することが大半ですので、
当然左右は逆になります。これが実に大変なことで、中には、私に背中を向けて、
あっこっちね!で動かれる方もいらっしゃるほどです。女房との喧嘩は、
これが発端となることが少なくありませんので、慣れるとか、
マスターするとかは至難の技かと思います)

07年11月8日(木)
 柔らかき陽を背に絵筆を揮ふ人らの描く紅葉に見蕩れて暫し

(病院からの帰路、ちょっと寄り道をして公園を一回りしてきました。
「つつじ公園」と銘打ってますが、ハナミズキも沢山植えてあって、
その紅葉が赤い実とともに見頃となっていました。折からの小春日和、
中年の女性10数人が、思い思いに写生をしていましたが、殆どの人が
ハナミズキの紅葉を、水彩絵の具で柔らかい感じに写してて見事でした。
一目でそれと判る形(なり)をした老年の男性が付き添ったりしていましたので、
多分、絵画教室の写生会だったものと思われます)

07年11月7日(水)
 今生のいやいや今年の食べ納め松茸一片噛み締めてをり

(シーズン当初に、思いもしなかった松茸を戴きました。
最後の一本をスライスして火にあぶって、その内の最後の一片を・・・・・)

07年11月6日(火)
 野鳥らが播種せしモチの実根を張りて赤実稔らせ野鳥待ちをり



(野鳥と云っても、多分メジロかヒヨドリだと思いますが、
糞と共に置いていった種が芽を出し、何時の間にか育ったモチの木です。
鉢植えですが今年初めて赤い実を着けました。もうとっくに食べられてしまいましたが)

07年11月5日(月)
 父がもしこの世に在らばと想ひ馳す兄が黄綬褒章を受くるを知りて

(父は兄貴が8才の時に亡くなりました、厳しい父であったようですが、
お袋がそうであるように、きっと喜んだものと思います)

07年11月4日(
 あの夜の戦場ヶ原のあの星をまなうらに描き仰ぐ東京の夜空を

(予報士さんの「今晩は星空がきれいでしょう」に誘われて、
無理だろうとは思いつつ灯りを消して見てみましたが・・・矢張りでした)
(もう10年以上も前の事ですが、11月の末頃に奥日光の戦場ヶ原で
見た星空は、その星明りで向こうの山までもが見透せるほどのものでした。
空一面隙間がないほどの星、今でも脳裏に焼き付いています)

07年11月3日(
 どんぐりに穿ちし穴より蛆虫は鼻面のぞかせ外界うかがふ

(光が丘公園で拾ってきたどんぐりに、うじ虫が棲みついてて小さな穴から外を伺っています。
何かの幼虫でしょうが、こんな処へ連れてこられて戸惑っているんだと思います)

07年11月2日(金)
 カーテンを窓いっぱいに開け放ち秋陽を浴びんと長々と身を置く

(閉め切ったリビングでの日光浴。
太陽が低い処を渡るようになりましたので、日脚がリビングの三分の二辺りまで
入ってくるようになりました。外出がままならない私にとっては有難いことです)

07年11月1日(木)
 血圧を測らるる腕にドクドクと血潮のたぎつ音を今聴く

血圧計の数字を睨む看護師の目が拒みいる話しかくるを


(締め付けてあったのをゆっくりと緩めていくと、
ある瞬間からドクドクと脈の音が聴こえてきます。
あの瞬間の数字が最高血圧なんだそうですが、
その数字に一喜一憂するなんて愚の骨頂と思いつつも、
降圧剤を服んでる身としてはついつい「幾つ?」と訊いてしまいます)

07年10月31日(水)
 幼らのあった!あった!とどんぐりを拾ふ声満つ広葉樹林に

(光が丘公園へ行ってきました。
幼い10人ほどの子供らが、歓声を挙げながらどんぐり拾いに興じていましたが、
手に持つ袋にはかなりの量が入っていて、得意げに見せてくれました。
自然?の中で遊ぶ子供らの姿っていいですねぇ)

07年10月30日(火)
バスタブより宙を渡りて椅子に座す介護入浴は面白きかな


(入るときも出るときも同じですが、男女二人の
ヘルパーさんに上向きに抱え上げられて運ばれます。
まさに胴上げ状態ですが小柄な女性ヘルパーさんの
必死さを体感すると余り気持ちのいいものではありません)

07年10月29日(月)
看て呉るるヘルパー四人はおしなべて六尺あまりの偉丈夫なれど


(今日現在私を看てくれているヘルパーさんは総勢12名ですが、うち4名が35歳未満の男性で、
それも、182、184、185、187センチの大男。よくもまあ〜!揃ったものと驚くばかりですが、
大きいがために、必然的に中腰での仕事になります。鴨居にゴツン!などの痛みは
ご自分持ちですからいいようなものですが、大汗を掻き掻きヘルパーとして
働く姿は、普段目にする事は殆どないだけにユーモラス感さへ
覚えます、と言ったら怒られます・・・でしょうか?)

07年10月28日
虫籠にスズムシの雌うごめくも鳴き音のなくて秋の深
(ふ)けゆく


(スズムシの世界も、人間社会と同じようにメスの方が長生きのようで、
未だにモゾモゾと動き回っています。卵を産んでるかどうかは定かではありませんが、
餌はしっかり食べていますのでまだまだ生き続けるものと思われます)

07年10月27日(土)
季節
(とき)ならぬ20号台風に睨まるるも睨み返して我が家を背にす


(台風20号が関東方面を睨んで北上中!と注意を促していますが、
「まさか来る訳ないよね!」と、女房殿は出かけて行きました。
我が練馬は冷たい雨こそ降っていますが、風は無く静かです)


07年10月26日(金)

秋の日は氷雨に煙りて暮れ急ぐ胸元擁抱く寒ささへつれ


(一日中冷たい雨が降ったり止んだり、日暮れとともに一段と寒さが増したような・・・)

07年10月25日(木)
キノコ狩りせし少年期をまなかひに描きつつシメジを食して楽し


(中学を卒業するまでを出雲の山奥で育ちましたので、
秋の今頃はザザンボ(きのこ)採りに夢中になったものです。
サクラシメジ、ネズミタケ、ササタケ、シイタケが主でしたが、
自分だけの秘密の「城」(集中的に生える所)を知ってて、
それはそれは楽しい思いをしたものでした)

07年10月24日(水)
晩年と今を思へど楽しかり数多の看護婦、ヘルパーに囲まれ


(晩年などと言うと叱られるかもしれませんが、
自分的には、「ALS」と告知を受けてからは晩年と位置づけて暮らしています)

07年10月23日(火)
ひと月を巡りて見上ぐる栗名月は蒼く冴へたる南中に浮く


(今宵は十三夜とのこと、豆名月とも栗名月ともよばれる月が、冴え渡った南の空に見事です。
皆さんご覧になられましたでしょうか?、中秋の名月の頃は雨や雲に邪魔され勝ちですが、
秋天が安定する今頃になると湿気がとれて見事なまでに澄み渡ってくれます)

07年10月22日(月)
メモメモと急かせる我の頭には短歌が一首浮かびてをりぬ

(ALSのみならず、老人性健忘症も年毎に進行してまいりまして、
「後で」が利かなくなってしまいました。思いついたらその場で「メモ」ですが、
手が離せないからなんて断られると、ほぼ100%消えて無くなってしまいます)


07年10月21日(
「優しくて明るく振舞いお元気な」ヘルパーさんは我の妻なり


(「優しくて明るくてお元気な」奥さんですね。と皆さん仰いますが、
蕎麦屋のママ(何故かこう呼ばれていました)を30年も遣ってたんですから、
サービス精神が身に付いてて、私以外の方に接する時の術を心得ているものと思われます。
勿論、こう言われて悪い気がするはずはないんですが・・・・・後は止めときます)


07年10月20日(土)

背中押すがに暮れ急ぐ秋の日に長き影追ひ家路を辿る


(ビルの隙間から覗く夕陽が、長い影を演出してくれています)

07年10月19日(金)

在宅の医療.看護のアンケート 回答に記すは「満足してます!」


(ALSで、在宅だからと、回答者の一人に抽選で選ばれました、と
「在宅医療看護についてのアンケート」が届きました。
この手のアンケートは直接関与している方々の目には触れない
もののようですが、人情としては、どうしても意識をしてしまいます。
今回のは、そのような心配りは不要のものでしたので、本音での回答をしました)

07年10月18日(木)
背に湿布を貼るさへ出来ぬと嘆く妻、<ALS>
(やまひ)に臥す吾は只ただ傍観


(二人で居るのに私は独り、が女房の十八番。
ひとりで湿布と格闘してる様子をイメージしてみてください。
思わず笑っちゃいますが、その実状は笑い事どころじゃありません)

07年10月17日(水)
秋の陽は馥郁たる香を抱きこみて金木犀咲く庭に溜まりぬ


(今年は大幅に遅れて咲き始めましたので、二番花は望めそうもありませんが・・・。
ヘルパーさんの、「久し振りのお陽さんで金木犀が良く香ってますよ〜」のとおりいい天気でした)

07年10月16日(火)
庭にはや赤き病葉
(わくらば)まとひたる海棠あやし紅葉(もみぢ)とぞ見ん


(秋とはいえ、我が家の庭木はまだまだ緑がいっぱいですのに、
カイドウだけが赤みを帯びてまるで紅葉をしたようです。良く見ると葉裏に
細かいブツブツが一面に付いています、何かの病気に侵されたものと思いますが、
時既に遅し手の施しようがありませんので、散ったら殺菌剤でも撒布しようと考えています)

07年10月15日(月)
手当て為す術なき病に臥すこの身が看護婦さんの温き手を待つ


(訪問看護師さんには、週3回、計4人の方にお世話になっています。
手当てとはよく言ったものですね。有難うございます)

07年10月14日(

夕闇の迫る市街に鳴き騒ぐカラスらを仰ぎみな怪訝顔


(ここ数日、5.6羽のカラスが、3時を回った頃から少しづつ場所を変えながら
大騒ぎをしています。学校やマンションの屋上、電柱、イチョウの樹だったり
しますが、争ってる様子はありません。下を通る人々が立ち止まって
見上げていますが、皆さん一様に怪訝そうな顔で言葉を交わしています。
「カラスが騒ぐと人が死ぬ」と、子供の頃お年寄りから聞かされていましたが、
あの真っ黒が不吉なものを連想させたものと思います)

07年10月13日(土)

額縁の猫のゴンベは三十才おいらの暮らしを今も見てゐる




(15才で死んでしまった、愛猫「ゴンベ」の写真をリビングに飾って15年。
以来彼は、私ら夫婦の様子をず〜と見続けています。こちらも何かにつけて
話しかけたりしていますので、人様が見れば「おかしいんじゃない?」だとは思い
ますが、家族4人の最後が帰ってくるまで、玄関で待っているというお利巧な奴でした。
テレビに出演したりと、それはそれは沢山の思い出を遺してくれましたので、
何時までたっても私らと共に生活をしています)

07年10月12日(金)
「利用者さん!」などと呼ぶなよヘルパーさん!療養暮らしに嵌ってしまう


(ヘルパーさんは、「仕事」で私の介護をしてくれる訳ですから
当然と言えましょうが、 ほんとうに申し訳ないほど尽くしてくれています。
私は、介護関係者から、利用者さん!と呼ばれることに違和感を覚えます。
と言って、いいネーミング案があるのか?と訊かれると困るんですが、
人様の手を「利用」するなどとは自分からは言えません)

07年10月11日(木)
三十有余年を商ひし<三芳野>の暖簾を降ろす民法に負けて

署名為し捺印為して蕎麦店を商ふ三十五年に終止符を打つ

<二八そば三芳野>といふ看板を芥
(ごみ)と成す重機の憎しも憎し


(遂に消滅してしまいました)
情け容赦なく、重機が壊して押し潰して・・・「芥」となった物をダンプに載せて・・・。
35年の歴史が、たった三日で跡形も無くなってしまいました。法に順ずれば、
これが一番の得策、と裁判所に指示され、双方の弁護士同士が話し合った末での「和解」。
納得が出来ないままの終焉でしたので、重機にさえ憎しみの感を抱いた次第です)

07年10月10日(水)
タイル、砂利、デコボコ、かまぼこ、上り坂を避けて遠回り 車椅子ゆく


(時間に余裕があればですが。散歩なら遠回りも乙なものでしょうが)

07年10月9日(火)
雀には雀の流儀のあるを知る餌場に群るるを見てゐて飽かず


(市販されている鳥篭を庭に置いて、野鳥を餌で呼んでいますが、
ヒヨドリ以上の大きな鳥は入れないように入り口を狭くしています。
今はスズメとシジュウカラしか来ませんが、先に入った者勝ち、
後から入ろうとすると凄い剣幕で追い出します。3〜5羽が交代で出たり入ったり、
追い出したのが逆に追い出されたりしてるところをみると、上下関係は無いようです)

07年10月8日(
雨に泣く運動会に思ひ出す、にっぽん晴れの東京五輪を


(今日は「体育の日」、
アチコチの学校で運動会を予定していたようですが、
残念ながら雨でお流れ。10日が絶対とは言いませんが、この頃に
なると秋雨前線が消滅して本格的な秋晴れの日が訪れる、と過去の統計が
教えてくれてた筈でしたのに、三連休にするを目的に「体育の日」を第二月曜日と
定めました。他の祝日と違って、この日ばかりは青空が似合いますのに。あの東京オリン
ピック(1964年10月10日)の、開会式当日の「世界中の青空を東京へ持ってきたような・・・」
ですっかり有名になった、「ニッポン晴れ」の素晴らしさを、ついこの前のように思い出しています)

07年10月7日(
何食べたい?訊かれて我はけふも答ふ「玉子丼
(どんぶり)!トロトロのやつ」


(困った時の亭主頼み、はいいんですが、注文を出すと「そんなの無理」、
「だったら訊くなよ!」は、家庭円満の為に呑み込んで、「玉子丼!」。
でも、3度に一度はほんとに出てくるんですよ。
毎日の事、それも三度三度となると大変だろうとは思うんですが)

07年10月6日(土)
詠むなどと言はれて赤面、われはただ三十一
(みそひと)文字にて愚痴を云ふのみ


(自戒の念を込めて)
(いつもこのような歌にお付き合い下さいまして有難うございます)

07年10月5日(金)

裡に棲む奴の怒りに触れずんば・・・・・。眠れぬままに朝
(あした)を迎ふ


(眠ろうとしてる自分が、怒り狂ってるもう一人の自分に振り回されたばっかりに)

07年10月4日(木)



満月の支配す空の広々と星屑一つなくて寂しき

一陣の榛名おろしは十五夜の湖面に映る月さへ消しぬ

灯火を落とししビルの窓々に映りし月を愛でつつあゆむ

ビルの端に吊る月映す不忍の池の辺をゆく十六夜寂
(しじま)


(ちょっと時期はずれですが、中秋の名月によせて)

07年10月3日(水)
霜月の気候を先取る、前線が運びこしもの冷え冷えとして


(わが練馬で9月28日に記録した32度が、翌日には16度に急降下、
秋雨前線が持ち込んだもののようで、11月頃の冷えだそうですが、
その後もじっとしてると寒い程の気温に終始しています)

07年10月2日(火)
祖父を看る母の笑顔が大好きで看護士目指すと看護学生は


(週に3回、訪問看護を受けていますが、時折、看護学生さんが「研修」で一緒に来宅されます。
その際、私は必ず「看護士さんになろうと決めた理由は?」と訊くことにしています。
自分や家族が入院した時・・・、ドラマを視て・・・、母や姉が看護士で・・・、
実家が開業医院で・・・等々だいたいパターン化していますが、
この歌のような学生さんは、今のところこの方だけです)

07年10月1日(月)
介護度
なる身の暮らしは面倒を見呉るる人らに面倒を掛く

(またまたこのような歌で恐縮です。
この面倒という単語を医療や介護関係者が遣うことは決してありませんが、
その他の方々は結構お遣いになります。曰く、「誰が面倒みてくれてるの?」)

07年9月30日(
老友は呆けし義母をショートステイに託して我を見舞ひ呉れたり


(老友などとしましたが、73歳で白髪がふさふさとし背筋はピン!
今も体調維持の為と「ガス検針」に自転車で駆け回っています。
痴呆のすすんだお義母さんを託けてまで、私の様子を見にきてくれました)

07年9月29日(土)
やうやくに降れる雨なり垂
(しだ)れゐしひと葉ひと葉に滴が光る


(昨日の真夏日(32度)から急転直下の変わり様、朝から雨模様となって17度。
重ね着をする始末でしたが、葉先に水玉を輝らせている庭木の数々が見事でした)

07年9月28日(金)
痒くても掻くことさへも出来ぬ手の指に伸びゆく爪に罪なし


(手を使わないと言う事は、爪の伸びを抑制することがありませんので、
驚くほど良く伸びてくれます。
足も手ほどではありませんが、こちらは巻き込んだりして困っています)

07年9月27日(木)
「こんな筈ではなかった」と車椅子を押す女房に身柄を預く


(いわゆる「主婦の仕事」以外の事は、一切を男の仕事と決めて私が遣ってましたので、
全てを独りで遣らなければならなくなった今「こんな筈ではなかった」が時々ですが
出てくるようになりました。言いたいのは私も同様ですが・・・・・)

07年9月26日(水)
蟻んこの行列辿りてみぎひだり登り来見ればのど飴一つ


(食卓に置かれた一つののど飴。一度口にしたものを包紙に戻したせいでしょうか、
目敏く?見つけたちっちゃな蟻が、一晩で行列をつくってしまいました。
逆に辿って行き着いた先はクチナシの鉢。葉が黄ばんだりして元気が
無い筈です、蟻が巣くって根を苛めていたんですね、迂闊でした)

07年9月25日(火)
命には別状無くともこの八年全身を人手に預けて暮らし来


(ニュース等でよく耳にする「命には別状ありません」。
直ぐ死ぬ事は無い、と言う事らしいですが、その「入れ物」が大変な事になってるのに、
別状無しとは変ですね。私の場合は「命」の入れ物が動かせないだけですが大変です)

07年9月24日(
スズムシの鳴き音の途絶えしに秋未だき虫篭揺らす風の暑くて


(あの暑い盛りだった二週間ほど前から、我が家のスズムシ君の鳴き音が
絶え絶えとなっていましたが、遂に3日前からは鳴かなくなってしまいました。
去年と違って大幅に早い終焉ですが、今年のが二週間も早く孵化したことを考えると
当然のことかもしれません。それにしても、夏の暑さがのこる内に終わる秋の虫の音、
こんなのも、温暖化の影響を受けているんでしょうか)

07年9月23日(
寂しさののこる和室に佇みぬ遊び疲れしオモチャの眠る


(娘一家が帰って行ったあとの部屋に、
「オバアチャンちで遊ぶためのオモチャ!」が、
玩具箱に整理されて置いてありました。
何時もながら、このポカン!状態を克服するのには時間を要します)

07年9月22日(土)
噴く汗を愛しみ暑さを楽しまん残暑もけふを限りの予報に


(残りものじゃなくって、一度消えて無くなったものが再度復活したような酷暑でしたが、
ようやくに終焉の時を迎えると報じています。関東地方に限っての事でしょうが、
明日からは一段と秋らしくなると、嬉しいことを言ってくれています。
今日一日、クーラーなどを使わないで、この暑さを充分に楽しみ?たく思ったんですが)

< 07年9月21日(金)
秋彼岸 ご先祖様に手を合はす「どうかこの病を治してくだされ」


(お医者に頼り、神、仏にもお願いしましたが、いっこうにらちがあきません。
のこるはご先祖様のみ。頼りにされてきっと戸惑っていらっしゃることでしょうが)

07年9月20日(木)
やうやくに気の萎え果
(おほ)せて床に就くけふを夢路に引き摺り込まんと


(一晩寝てリセット出来ればいいんですが・・・。もう暫くはこんな日が続きそうです)

07年9月19日(水)
酒の力を借りて眠ると女房は不味い苦いと言ひつつ酌めり


(不味けりゃ呑まなきゃあ・・・と思いますが・・・・・)

07年9月18日(火)
胸元をツツツー!と走る一筋の汗の温さに身震ひひとつ


(肌を伝って流れる汗を、温いと感じることが時々あります。
薬の所為で肌が敏感になってるようですが、思わず身震いなどしてしまいます)

07年9月17日(
八時間身じろぐことなく臥しし躯
(み)をミシミシミシと起こされてゆく


(24時半にセットが終わってお寝みなさい!
それからの8時間は、両腕と頭を数回動かして貰うだけ。
 床擦れの心配が無いと言われるALSだからこそ出来ることですが、
朝の起床で上体を起こされると、ミシミシグキグキボキボキと悲鳴を上げています)


07年9月16日(

自死三万交通事故死七千のお国に暮らす七千のALS友
(びょうゆう)


>(理由は何であれ、ご自分の意志でお亡くなりになる方が、一年間に3万人。
交通事故死も減ったとは言え、7千弱の方が無念の最期を遂げるという、
殺伐とした世の中にあって、我が7300人のALS患者は、沢山の方々の
お手をお借りしつつ、療養ライフを楽しんでおります)

07年9月15日(土)
秋雨に暑さ忘れしあしたにはガスストーブの点検を始む


(2.3日前まで居座っていた秋雨前線による冷えに、
折りしもガス設備の点検に来てた、ガス会社の作業員にお願いしたまでです)


07年9月14日(金)

かなかなかな かなかなかなかな かなかなかな かなかな蝉が日を閉づるかな


(久し振りの青空に誘われた訳ではなく、たまたま予定した「散歩の日」が、晴れてくれました。
お決まりの、光が丘公園での「日光浴」と「森林浴」に「蝉しぐれ」をもたっぷりと浴びての2時間、
命の洗濯とはこのような事を言うんでしょうね。森をゆく乾いた風の心地好さったら・・・。
その五月蝿いほどの蝉ですが、カナカナ以外は全部が鳴いていたような・・・。
当たり前ですね、日盛りにカナカナは鳴きません。そこで、この歌が出来ました)

07年9月13日(木)
来し人が並べて覗き見る軒下の<蜂の巣>けふも太りてゆきぬ




(そろそろ子育ては終わりのようですが、皆さん熱心に観察なさってます。
6月24日の写真の様子と比べてご覧になってください)

07年9月12日(水)
雨→曇り→カミナリ→驟雨→曇り→晴れ→羊雲焼けけふの暮れゆく


(バラエティーに富んだ一日が、美しい夕焼けで幕を閉じました)

ベランダのいっとう端に背伸びしてデモ行進のしっぽを見たり
(建築業従事者のデモ行進だった!と女房殿が)

07年9月11日(火)
赤銅(しゃくどう)を煮〆し如くに日焼けせし笑顔の君も年金暮らし

(私を元気付けようと集まってくれた友人の中に、愕く程日焼けした男がいました。
彼曰く、ボランティアで庭の草取り等を遣ってる!にしても今時珍しい日焼け色でした)

07年9月10日(月)
ほっ!として夢路に向かふ 真夜中に近付き遠のくサイレン耳に

(夜に限らずですが、近づいてくる消防車のサイレンを聴くと、4度も近火で
火の粉を浴びた経験を持つ私は、通り過ぎてくれ〜!と叫びたくなってしまいます)

07年9月9日(
台湾に単身赴任の友よりの電子メールにかの地の香あり

(鉄道車両関係のエンジニアだった友人が、
定年後に「台湾新幹線」のメンテナンス技術を伝授するために、
単身で赴任しています。時々送ってくれる「台湾便り」には、未だ見ぬお国の
情報を、写真付きで紹介してくれていて、興味深いものとなっています)

07年9月8日(土)
寡黙なるメロンは芳香放ちつつ<み>の処され方を語りをるなり

(リビングに置いた二つのメロンが、いい香りを振り撒いて食べ頃を教えてくれています)

07年9月7日(金)
川幅を見渡す限りに広げつつ濁流はゆく芥(あくた)を連れて

荒川の濁流激しゴルフ場野球場さへ呑み込みてゆく

台風が置いてゆきたる大雨を集めて荒川累々とゆく

濁流は土手一杯に盛り上がり粛々とゆく東京湾へと


(埼玉から東京を流れて東京湾へと注ぐ「荒川」の様子です。
埼玉の西区に在る、治水橋付近からの映像をテレビで見ましたが、濁流が
土手すれすれまで盛り上がって、霞んで見えない程の向こう岸まで広がって
流れていました。普段の荒川は、広〜い両岸の河川敷をゴルフ場、野球場、
サッカー場、自動車練習場、等々にと有意義に使われていますので、一面が
濁流の海という映像に目を見張りました。それにしても、沢山のゴミには驚きです)

07年9月6日(木)
台風の露を払ふや時折の強風強雨にざわめく街は

生き馬の目をも抜かんと腕を撫す東京を目指す台風不気味

台風の未だ見ぬ被害を細々
(こまごま)と絵に見せ促すご注意!召されと

砕け散る波を背にしてリポーターは9号の牙がここに在るとぞ

けふひと日台風情報を視つつ暮るる9号が占拠すテレビ画面を


(台風9号が首都圏を目指して北上中です。
19時現在、強い勢力を保ったままとのことで、注意を呼びかけていますが、
過去に、まともに上陸したものはほんの数えるほどしかありませんので、
今回も?などと楽観しています。でも時折強い雨が降ったりするようになってきました)

07年9月5日(水)
我もまた臥す日々寂しと泣く夜ありサビシ〜サビシ〜と鳴くスズムシよ

(鈴虫の鳴き音を如何聴くかは、聴く人の
その時の心境にも左右されるようにも思います。
リ〜ンリ〜ンをサビシ〜と聴くようではいけませんね。
でも、我が家の鈴虫くんのは如何聴いてもリ〜ンリ〜ンとは聞えません)

07年9月4日(火)

ピクリとも動けぬ我と知ってだらう蚊らの夕餉は夜半に始まる

(今夏も池で蚊が湧いたようで、開け放していた窓から入り込んで来てしまいました。
寝静まったところへプ〜ン、フリーパス状態に耐えかねて、
寝てる妻を起こして退治して貰いました)


07年9月3日(月)

南海上の台風睨み外出の日時を決め兼ぬ車椅子生活

(9月に入りましたので、予め外出の日時を決めておかなければなりませんが、
車椅子だけに、少なくとも雨が降らない日、にと天気図などを睨んだりして相談しています。
私、ヘルパーさん、天気と三者の都合が合致した日が私の外出日となりますが、
南海上に在る台風9号の動きが気になりなかなか決めかねています)

07年9月2日(
その出来じゃ三つのカネは貰へまい。我が歌唱(うた)想ひつつ<のど自慢>聴く

(すっかりショー化した「NHKのど自慢」ですが、好きで欠かさずに視ています。
それも、聴くだけでなく自分なりの採点基準を作って、二つだ三つだと採点を
しながら楽しんでいます。その昔、と言ってもラヂオ時代ですから随分と
古い話ですが、一度出場して宮田輝さんの司会で歌った事があるほど
歌は大好きでした。残念ながら今は聴くだけになってしまいましたが)

07年9月1日(土)

積み上ぐる日々は吾のものけふもまたALSとのひと日を蔵(しま)

(ALSとの生活も、今月の20日を過ぎると10年目に入ります。
5年以内に亡くなったり呼吸器装着になる、とも言われている中での9年。
色々ありましたし、今後も色々とあるものとは思いますが)

07年8月31日(金)
また!にもう?次々替はるテナントにヒソヒソ話が行ったり来たり

(私の街の、私鉄駅から歩いて20歩程の十字路沿いの角店です。
30数年間を商ってた酒屋さんが契約満了で撤退した後、入っては止め、
止めては入るの繰り返し、場所的には文句無しの一等地ですので、此処ならと
飛びつくんでしょうが、安定した商売として遣ってゆくには難しいようです。
この4年間で何業種の方が涙を呑んだか。今現在はケイタイ屋さんが
頑張っていますが、前を通る人々に格好の話題を提供していることは間違いありません)

07年8月30日(木)
ご飯よ!と呼びに来る妻は糠みその香りとポリポリ音さへさせて

(糠味噌漬けが私以上に大好きな女房殿は・・・。)

07年8月29日(水)
山麓に遊びし友が手土産に色付く前の赤トンボを呉るる

(お盆休みの那須高原で英気を養ってきたようですが、
赤トンボ未満の赤トンボ
(多分アキアカネだと)を、沢山飛び
交ってたからと持ってきてくれました。もう今頃は、オレンジ色から赤色に
変わりつつあると思いますが、あと一ヶ月もして本格的な秋風が吹くようになれば、
産卵場所を求めて練馬の街を飛び交うようになると思います)

07年8月28日(火)
涼みつつ見上ぐる満月南中に地球の影を映して暗し

(折角の天体ショー(皆既月食)ですのに、
我が練馬では秋雨前線の雲に覆われて観ることが出来ませんでした。
昨晩の今頃は、見事な満月が観られましたのに、残念!です。
この歌はイメージして詠んだものです。
正確には十六夜の月ですが、ここは満月としました)

07年8月27日(月)

高々と花房揺らすサルスベリ空の青さを刷かんがごとし

(庭のサルスベリが真っ直ぐに伸びて、沢山の花房を着けています。
青空をバックにして風に揺れる様は、消してるような、描き殴ってるような・・・・・。
今年はピンクの花が見事に咲きました)

07年8月26日(
遠くきく音頭の闌(た)けて狭庭辺に水撒く妻の鼻歌聞こゆ

(ちょっと時期を外れていますが、我が町では、今頃になって盆踊りの会を開きます。
何でも、世話役、踊り手、見物人の方々が集まり易いから、とのこと。
大きな木に蓋われて何時もは静かな公園ですが、昨晩は種々の
音頭と沢山の人々で溢れかえるほどだったようです)

07年8月25日(土)

髭を剃るヘルパーさんの腕確か。それもそのはず「夫(つま)で練習しました!」

(シェーバーを使っての髭剃りをお願いしてますが、私がお願いした大半の
女性ヘルパーさんは経験をなさっていませんでした。シェーバーは初体験
ですと仰ってた人が、次回には見違える程にスムースな仕事振り、それもそのはず、
嫌がられる旦那さんを、「組み伏せて」練習してきました!とのこと、有難い事です)

07年8月24日(金)
蝉が鳴きカラスの声きく真夜にして昼の暑さを遺すわが街

(人間のみならず、カラスや蝉にも夜型が増えてきた?ようです。
24時間営業の灯りに集まる若者のような蝉やカラス、ちょっと考え難いんですが、
頻繁に聞こえてきます。尤も、我が家のスズムシ君は、人工的な環境で育てたせいか
昼夜の区別無く鳴いていますので、自然にいるとは言え、コンクリートジャングルに
生息してるんですから当たり前かもしれません。兎に角、夜が明るくなりました)

07年8月23日(木)
朝顔は我を待たずに萎れたり処暑にそぼ降る雨にも打たれ

(起床8時!世の中はもうとっくに動き出していて、咲いてたはずの朝顔が、
細かい雨に打たれて、もう萎れています。予報は雨で27度、の筈ですが、
9時過ぎから晴れてカンカン照りとなり30度まで上がって蒸し暑くなりました。
今日は「処暑」そろそろ夏が終わる頃、とありますが、果たして?)

07年8月22日(水)
読み終はりし新聞はすぐ畳まれて過去を潜めて眠ると思へり

(今の新聞は記事が多岐に渡っていて、全てを読む事などは先ずありませんが、
ニュースの類には一通り目を通します。あとは、資源としてのお勤めを待つのみです)

07年8月21日(火)
ケア会議にALSを支援(ささ)へんと集ひし人らの眼力(めぢから)(たっと)

介護さるる日々に溜りし<ストレス>を語れば人は講義と聴き呉る


(本日、私が住む練馬で、私の介護に関わって下さってる支援センター主催の「ALSを知る会」が
開かれ、23もの介護事業所、看護ステーションの各関係者に、看護師さん、ヘルパーさん等々と
計60数名の方々が参加して、ALS協会の会長と、不肖私の話を聴いて下さいました。
皆さん大変熱心で、介護を受ける身としては、大変心強く、喜びさえも感じたものです。)

07年8月20日(月)

パソコンの放つ熱気に包まれてネット将棋を指しつつ熱し

(面識は勿論、何処の何方かも分からない、行き当たりバッタリの人と指してるんですから、
勝ったって負けたって関係ないとは思いますが、ついつい熱くなってしまいます。
成績ですか?成績は現在、中級クラスで288勝271敗ですが、
クラス別けは自己申告ですからいい加減なものです)

07年8月19日(

狂ほしきまでに射しくる夏の陽に青空焦がしてサルビア燃えたつ

(テレビニュースで見た風景ですが、画面一杯全てがサルビアの赤。
夏空の元での一面の赤は、強烈に私の目を惹きつけました)

07年8月18日(土)

告知せず呼吸器あるをも知らされず友は身罷りしALS(えいえるえす)

娑婆にゐて来世とやらに思ひを馳す ALSまた酷暑の盆ゆゑに


(59歳の女性が、娘婿でもある神経内科の主治医に、今日の歌にあるような扱いを受けて、
発病から3年でお亡くなりになりました。勿論!家族全員の合意のもとになされたようですが、
本人には隠蔽したままだった事を、学会へ主治医自らが発表されたことで、今、患者間で大騒
ぎになっています。告知を受けず、呼吸器が有ることも知らされない、と言う環境が、今時在る
こと自体が信じられませんが、知って苦しむよりは、の思い遣りだとしたら、とんでもない事で、
寄ってたかって厄介払いをしたと、受け取られても仕様の無い事だと私は思います。
 最期まで頭は明晰で、お話が出来、笑顔さえ見せてい、食事も出来てた人が、と思うと
遣り切れない思いに駆られます。何故!知らせて本人の意思確認をしないんでしょうか???)

07年8月17日(金)

原発の停まりし事を識る身なるもエアコン点ける酷暑に負けて

(大地震の被害で、柏崎刈羽原子力発電所が稼動停止に追い込まれています。
折から列島は、猛暑真っ只中。幸いにもお盆休みが重なったことで電力の
消費量は抑えられているようですが、このままの暑さが続くようですと、
夏休みが終わって列島全体が動き出す時が心配と報じています。
分かっちゃいるんですが、我が家では28度に設定して、寝る時
以外はお世話になっています。それにしても暑いですね、
都心の昨晩の最低気温が30.5度、もう狂ってる!としか言いようがありません)

この酷暑を我が世の春と謳ひをり公園ひとつを占拠す蝉ら

(暑くあってこその蝉ですが、日盛りに集団で鳴く声は、
暑さを増長するだけでなく、気分さえもイライラさせてくれます。)


07年8月16日(木)

狂ったか!灼熱地獄と化す列島暁に汗す二十九度五分

(地震に起こされた4時15分、我が家の水銀柱は29.5度を指していました。
日中、埼玉の熊谷で40.9度と日本の最高記録を更新したと報じています。
我が練馬でも、38.7度を記録し、充分にその暑さを体験させてくれました)

ホッと息つく打ち水をなされたる道に佇み汗を拭ひて

(商店街、と言っても狭い道ですが、打ち水をしてある処へさしかかると、
一味違う風を肌に感じました。昔は、夕方になると挙って打ち水をした
ものですが、今夏もアチコチで仲良し打ち水会が行われているようです。
焼け石に水、といわれてもしようのない程の猛暑ですが、
ほんの一瞬でも涼風を感じて、ホッとできる知恵、いいですねぇ)

07年8月15日(水)
あのネ から始まる幼のお話はえ〜と!え〜とネ!忘れた!でお仕舞ひ

お姉ちゃんと呼ばれし孫は三才の妹
(いも)を叱りし母の口もて

三才には三才なりの意地がある口尖
(と)んがらせ地団駄踏んで

湧き出ずる涙こらえて幼子は泣いてないよ!と泣き顔拭ふ

笑ひ声泣き声諍ふ声途絶えやがて寝息の熱帯夜半


(たった?5日間の滞在でしたが、
7才と3才の孫娘はいろいろなものを遺して大船渡へ帰ってゆきました)

07年8月14日(火)
海に山、川にプールにこの炎暑が命を奪ふ 吾は傍観者

(記録的と言われるほどの酷い暑さが続く中、
夏なればこその事故が多発し沢山の犠牲者が出ているようです。
私はといえば、ただ手をこまねいて見ているだけ、暫くは暑さが続くようです、
どうぞ皆様ご自愛くださいますように)

07年8月13日(月)
旧盆の空は美(は)しこと青く澄み入道雲などどっかと据えて



(旧盆という夏休みで、生産活動がストップしてるお陰?でしょうか、空が澄んで綺麗です)

07年8月12日(
長袖に帽子襟巻手袋と日傘で妻はお盆の日盛りへ

(お歳を召しますとシミとやらが恐ろしいとかで、歌にあるように、
まるで冬のそれのような重装備でお出掛けになりました)

07年8月11日(土)
陸に空 すはっ渋滞だ〜満席だ!国民こぞりて盆さん踊り

(民族大移動の時期となり、テレビニュースに視る限りですが、喧しいことです.
踊ってるのか、踊らされているのか・・・・・暑い最中に大変です)

07年8月10日(金)
この登山靴(くつ)の踏みし幾座の山遥か一つ疵より想ひを馳せし

(そろそろ捨てちゃおうか、
と取り出したかねて愛用の登山靴に、
切り疵が数ヶ所その時のままに付いていました。
一番長いのは、本社ヶ丸の岩場を下る時につけたもの。
ほぼ垂直で、踏み場が見えず足探りでやっと見つけたらズルリ!
けど、あの山からの富士山は見事だったなぁ〜と結局は捨てられずに
元の場所へ戻して終わりでした。幾座などと大袈裟に表現しましたが、実際は、
富士山を除くと2,000m止まりの山が大半で、お恥ずかしい限りですが遠い昔となりました)

07年8月9日(木)
孫の来るあしたを前に“おばーちゃん!”と妻呼ぶ我れを「じ〜じ」と妻は

(明日来るという、二人の孫娘に、
お母さんじゃないでしょ!オバアチャンでしょ!
と注意されないように、今から練習です)

07年8月8日(水)
夏の陽を逃るるやうに踏み入りし林に覚ゆかの秋の涼風

(厳しい直射日光から逃れるように、一歩雑木林へ踏み込みましたところ、
まるで別世界、ひんやりとさえ感じる空気を満たして静かでした)

07年8月7日(火)
暮れなづむ日にふか緑そよと揺るる狭庭に出でて遠花火聴く

遠花火聴く宵狭庭に佇みてそよ吹く風に心身
(しんみ)を預く


(土曜日の夜でした。10キロ程離れていますが、都県境の荒川を挟んで、
戸田と浮間で打ち上げられた花火の音が結構賑やかでした。
高い処にお住まいの方は、それこそ遠花火を楽しまれたようですが、
私は残念ながら音だけでした)

07年8月6日(月)
今まさに落ちんと揺るる目薬の滴に映る青は 夏の空

(窓際で点して貰った目薬の滴が、一瞬青く見えました。
暑さを超越すればですが、気持ちのよい真夏の青空が広がるようになりました)

07年8月5日(
行きずりに面(おも)伏す人らに会釈しつつ路地を来しなり車椅子にて

(散歩の帰りに通った、生垣、板、ブロック塀の続く狭い道でのことです。
行き交う人皆さんが、チラッとこちらを見たあと、押並べて下を向いてすれ違います。
理由はなんであれ、お気を遣わせてしまってご免なさい、です)

07年8月4日(土)
躍動す!綺羅星ドームに輝くを万余の目が追ふオールスターゲーム

(ちょっと古くなりましたが、プロ野球のオールスターゲームの事です)
(名誉あるオールスターゲームに参加している選手を、綺羅星と、
その活躍する様を、輝くとした判じ物のような歌ですが)

07年8月3日(金)
湯上りをどっかと置かれて心地よしヘルパーさんに裸身あずけて

湯を上がり撫ぜゆく風に身をまかす目蓋に露天のかの景見つつ

(風呂上りの裸身を風に吹かれる心地良さ、夏なればこそですが、
たとえリビングでの訪問入浴でも、目をつぶれば温泉宿の露天風呂です)

07年8月2日(木)

今日ひと日昨日と同じく暮れゆきて尿量までもが昨日と同じ

(浮腫が目立つようになってきましたので、一応、一日の全量をチェックしています。
判で捺したような生活は、飲食物も例外ではありません)

07年8月1日(水)

梅雨明ければ明たで臥す身に夏日もまた悩ましいもの遊ぶ術なく

(本日、関東地方から北の梅雨明けが発表されました。
例年よりかなりの遅れのようですが、いよいよの夏本番です。
とは言え、台風5号が本土に向かって北上中で、明日は早速曇り空に逆戻りとか)
(健常であれば・・・は、疾の昔に葬った筈ですが・・・

(9月3日になって、気象庁より、関東地方の梅雨に関する訂正が発表されました)
(梅雨入り・
6月14日が6月29日に・・・梅雨明け・8月1日が8月11日に)

07年7月31日(火)
梅雨空の覆ふ大都に轟きて明日には夏空を呼び込めよ雷鳴

(二日続けての雷、それもかなり激しいものでした。昔から雷三日と言いますが、
今日はそれも無く暮れました。この時期雷が鳴ると梅雨が明ける、などと言われ
ていますが、南海上には台風5号があって北上中とか。この際、梅雨雲を蹴散らす
だけなら歓迎したいものですね。スカッ!とした夏空が待たれます)

07年7月30日(月)
大地震(おおなゐ)に崩れ落ちたる古民家の煤けし表札余震に歪む

(表札に崩壊した無念さを見たような・・・。お気の毒!としか言いようがありません)
(テレビ画面に見る限りですが、一日も早い復興を願うばかりです)

07年7月29日(

ひと日だけたったひと日の夏空を恋しと睨む明けぬ梅雨空

(今日の東京は、昼過ぎから激しい雷雨に見舞われましたが、一気に梅雨明けには
至らないようで、どうやら来週後半に持ち越される公算がつよくなってきたようです)

07年7月28日(土)
丑の日も午(うま)も未(ひつじ)も脇に遣りまだ明けぬ梅雨に鰻丼を食ふ

(我が国には、夏の暑さを乗り切るには鰻が一番と、
夏の土用丑の日に集中的に食べる習慣がありますが、
我が家では冷凍物を、「手抜き料理よ!」として女房殿が
「忙しくって作る時間が無かった」からと、昨晩出てきました)

07年7月27日(金)
もうイヤッ!と目くじら立てつつも老妻は庭の草取る梅雨の止み間に

(抜き易いからと、雨の後を見計らって遣ってるようですが
「全部を取り終わる頃にはもう次の草が生えてる!」とご機嫌斜めです)

07年7月26日(木)
明け遣らぬ梅雨にスズムシ涼やかに初鳴きする音(ね)に暑さを忘る

(もうスズムシが鳴き始めました。去年の8月7日でも早いと思いましたのに・・・。
人工的な環境で餌を与えてますので、自然の動きに沿うとは思いませんが、
熱帯夜にほど近い蒸し暑い夜に鳴きだすとは。これも、地球温暖化の所為でしょうか?)


ひと時を森に憩ひて初蝉を木漏れ日揺るる木陰に聴き入る

(明けるようで明けない東京の梅雨ですが、このところの気温は充分真夏のそれです。
蝉が鳴いた、と聞いて近所の公園へ出掛けてみましたところ、鳴いてました。
全体が大きなケヤキその他に蓋われて、木漏れ日程度しか陽が射さない
せいか、涼しい風が通り抜けていました。私にとっての初蝉です)

07年7月25日(水)
ケイタイを持たぬ我ゆゑ留守電が必ず待ちゐん自宅へ急ぐ

(病院の診察が、予約時間から遅れる事3時間10分、
その後の予定が全て駄目になってしまい、とんでもない一日になってしまいました)

07年7月24日(火)
群雲の向かふに月を見る朝(あした) 夏空は広く青くはるけし

(昨晩は、没りのこった月がぼんやりと見えたりする空から小雨が舞ったり
していましたのに、今朝の東京の空は雲ひとつ無いギンギンの青空でした。
スワッ!梅雨明けか、と思う程ですが気象庁は慎重?です。
梅雨前線がちょん切れただけのようで、明日以降はまた曇り空に戻るとか。
18日ぶりの真夏日は、青空から降り注ぐ強い日差しが快感ですらありました)

07年7月23日(月)
梅干の三つ小鉢に干乾びて箸伸び来るを拒みてをるか

(時折にしか口にしない梅干ですが、その時折にこれでは・・・。
瀬戸の蓋物に小出しにしててもこれです、これからは密閉容器を使います)

07年7月22日(
霧雨を集めきらめく水玉の落ちて水面に波紋のひとつ

(今朝の雨は当に霧、目を凝らさないと見えない程の細かい雨でした。
そよとも揺れない木の葉全ての先端に、水玉が点いては落ち、
を繰り返して池の面に波紋を立てています)

07年7月21日(土)
冷凍で年を越したる秋刀魚なり梅雨寒の夜に塩焼きして食ふは

(季ならぬ秋刀魚が、新物よ!高いんだから!、と昨晩の食卓に出てきました。
大船渡港で漁師さんに貰った、という大量の秋刀魚を娘が昨年の秋に贈って
くれた物だったようですが、捌けずに冷凍したまま忘れてたとか。
にしては結構なお味で、秋を一足先に堪能しました)

07年7月20日(金)
梅雨寒の予報に一枚重ね着しそれに大汗(おほあせ)吸はせてをりぬ

(この歌は、18日(水)に詠んだものです)
(前日の予報が22.3度で梅雨寒との言葉も出てましたので、Tシャツの下に薄い下着を
一枚着ましたところ、日中になって気温が上がったとみえて、大汗を掻いてしまいました。
脱げばいいまでのことですが、こんな簡単なことだって、ひと仕事となりますので)

07年7月19日(木)
さ迷ひしかはたまたサボりかひと月余を経しけふ届くトルコの絵葉書

(10日間をトルコに遊んだ、という友人からの外国郵便が昨日やっと届きました。
6月13日のサインがありますのに、トルコの消印は、3・7・07、私の手許に
届いたのが昨日の午前中。何処で何をしてたのかは知る由もありませんが、
悠長な話です。なんでも、ヨーロッパを旅した時の絵葉書は、
10年経った今も未だ届かないと、呆れています)
(私は、国外へは一歩も出た事がありませんが、皆さんこのような経験をお持ちなんでしょうか)

07年7月18日(水)
妻や子に遺す物無くせめてもの<献体>なさんと思案に暮れる

(不治の難病、難病中の難病といわれる「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)研究用の献体です。
生前に、予め然るべき機関へその旨登録をしておく必要があるそうです。
本人はもとより親族一同の同意が必要で、これがネックになる事が少なくないようですが)

07年7月17日(火)
刈り込みでまあ〜るくなりしサツキ樹に名残花咲く梅雨の晴れ間に



お祭りの済んだあしたに刈り込みを終へしサツキに名残花愛し


(たっぷりと一ヶ月間を楽しませてくれたサツキでしたが、花が終ったあと
来年に備えて刈り込みをしましたところ、写真のような状態となりました。
まだまだ蕾があり暫くは楽しめそうなので、お礼肥はたっぷりと遣る事にします)

07年7月16日(
ゆ〜らゆらと音無く揺るる遠地震(とほなゐ)に身構へ耳澄まし虚空を睨む

(台風の次は地震です。新潟でまたまたの震度6強、ほんとうにお気の毒ですね。
東京では、震度3と発表されたようですが、震度よりも何よりも、揺れ方が珍しく、
東西方向に大きな振幅で、ゆ〜らゆ〜らと軋み音もなく静かに横揺れをしました。
これは遠いな!(震源が)とは思いつつ、強くなるのではと身構えて宙を睨んでいました。
あのような揺れは過去に経験が無く、不気味ささえ感じました。もうこれ以上はご勘弁を)

07年7月15日(
列島に沿ひつつ台風4号は三連休を蹴散らして去る

(折角の三連休でしたのに、台風のお陰?で台無しに、と皆さんぼやいています。
ぼやき程度ならいいんですが、この度もまた、沢山の犠牲者や風水害被害者が出ました。
7月からこれでは先が思い遣られます。東京は、お盆ですのに悪天候に阻まれて、
各地の墓地は閑散としてるとも報じています。でも、2時頃には雨が止み
薄日さへ差してきました。いくら雨不足といったって台風まではご免ですね)

07年7月14日(土)
降りしきる雨を見遣りて想ひを馳す干上がり危機の早明浦ダムに

(九州の南端に上陸した後、四国を暴風域に巻き込んで東進中の台風4号。
お陰?でしょうか?良く降ります。降りしきる雨をぼんやりと見ていて、
そういえばあのダムはどうなったんだろうか?と。この台風できっと満杯になった事でしょう)
(この度の長雨及び台風の被害を受けられた皆様に心からお見舞い申し上げます)

07年7月13日(金)
雨雲の蓋をかぶれる東京の街に蠢くは濡れ鼠たち

(暗く重い雨に濡れる東京、
蠢いている何もかもが鼠色に見えるような、いや、に見てしまいます。
全てはこの、重ッ苦しい梅雨空のせいでしょうが)

07年7月12日(木)
割り込みて未だか未だかとキャッチホンは話に夢中のわれの腰折る

(こちらの都合などお構いなく掛かってくるのが電話ですが、
話中のお相手や内容によっては中断し難く、無視してると執拗に鳴らし続けてくれたりします)

07年7月11日(水)
空仰ぎ干し物幾度も出し仕舞ふ気まぐれ梅雨は付き合ひ難し

(雨が止み薄日が差せば出し、黒っぽい雲が頭上にくれば仕舞いと忙しないことです)

07年7月10日(火)
宵闇にほのと点れる<ほおずき>の灯りを友に家路をそろり

四万六千日ご利益あるとふ<ほおずき>を手に訪ひくれしお人の嬉し

(浅草・浅草寺で7月9日と10日に開かれる(ほおずき市)。
(この日にお参りをすると、四万六千日分のご利益を授かるといわれる縁日です。
鉢植えの鬼灯を篭に入れ風鈴をあしらった物を、縁起物として売る市が立ちます。
テレビニュース等でお馴染みの風景ですが、今年も沢山の善男善女が押しかけたようです。
嬉しい事に、ご近所の友人が買い求めてきて私にプレゼントしてくれました。
勿論!四万六千日分のご利益つきです。何かいい事があるような? 有難う!)

07年7月9日(月)
そよ風のめくるがごとくけふの明くヘルパーさんの「お早う!」爽やか

(このところの、ヘルパーさんの交代騒ぎで、今現在ゴチャゴチャ状態です。
そんな中でも今朝は慣れきったヘルパーさんが来てくれる日、
爽やかな目覚めとなり、穏やかに今日が始まりました)

07年7月8日(
ひと様に<蕎麦屋>を託して四年往く客足細る日々の口惜し

(「私に遣らせて下さい!親仁さん以上の商売にしますから」 より4年。
口出しは無用ですと、強気だった彼の口から弱音が漏れ出したのが2年前。
私の目で見ると、蕎麦屋が何であるかが分かってないようで、まるで「呑み屋」の
ような雰囲気にさえしてしまいました。。 今では三分の一に迄落ち込んでいます。
あと3ヶ月で全てが終わってしまいますが、沢山のお客さんに惜しまれて・・・は夢と散りました)

07年7月7日(土)
みっつ並ぶもけふの静かなり我の暮らしはパチンコにあらずして

(07年07月07日と七が三つも、パチンコなら「大当たり〜!」となるところですが)
今日は七夕でもあります、梅雨空で天の川どころか、☆のひとつも観えません。

07年7月6日(金)
怪我、罹病、事業所都合に家事都合ヘルパーさんは突然辞せし

突然の派遣停止!と酷なことヘルパー頼りの暮らしの憂鬱


(腰を傷めた、辞めます、事業所の方針とかで突然3人のヘルパーさんが来てくれなくなりました
フォロー出来る人材が居ませんので他所を当たって下さい、の一点張り。確かに、どちらの
訪問介護事業所でもヘルパーさんの絶対数が足りず、四苦八苦しているようです。
現状は、家庭の主婦が主力となって、殆どがパートで働いています)
(私のヘルパーさんも全員が主婦です)。
コムスン事件でも浮き彫りになりましたが、介護の世界で働いて生計を立てる事は
難しいようで、若者が定着し難いようです。パートさん頼りではなく、若者が一生の
仕事として、胸を張って働けるような環境を整備、構築して欲しいものです)

07年7月5日(木)
<介護>終へサービス記録を書き記すヘルパーさんは汗を拭きつつ

(仕事が終わると、サービス内容を記入し、利用者 (嫌いな呼び名です)
の認印を捺してから介護事業所へ持ち帰ります)

07年7月4日(水)
一夜明けてメディアに囲まれ小池女史防衛論をとつとつと説く

(昨日まで「首相補佐官」として働いていた小池百合子衆院議員、
一夜明けた今朝は、マイクやカメラに囲まれて、早速この国の防衛について語っていました。
2時からの認証式を経て正式な「防衛相」となったわけですが、
何時もながらの変身の速さ(何方にも言える事ですが)には感心します)

07年7月3日(火)
湧くがごと生れしスズムシ虫籠に身体ひとつを縄張りにして



(今年も沢山のスズムシが生まれました。
その数たるや尋常ではありません。当に佃煮にできるほどです。
一つの虫箱に湧いたものを五つに分けたんですが、ご覧の状況です。
各々が身体一つ分の面積を自分の縄張りにしてるんでしょう、
触角を動かして 微妙な距離を保ちつつ成長をしています。
既に雌雄の区別がつくほどまでになっています)

07年7月2日(月)
聞きたくもなき病友の訃報つづく今日のメールも別れを告げゐて

(どうしたものかこのところで、メーリングリストに集っていた、
ALS仲間3人の、訃報が届きました)
(合掌)

07年7月1日(
梅雨晴れの暑さ澱める夜半にゐて黄金色(こがねいろ)なるおぼろ月観る

(梅雨なのに、晴れて31度にもなった一日が暮れて、月が昇りました。
蒸し暑さのせいでしょうが、晴れてるのに月は朧です、
中天に在るのにぼんやりとした黄金色の月を見たのは久し振りでした)

07年6月30日(土)

若しや吾が未納の指摘もさにあらず社保庁さんのサボタージュでは?

(今話題の年金です。
告知を受けた時に身の回りを整理しろと言われましたので、
年金の事も調べて貰いましたところ、13ヶ月分の未納があると指摘されました。
女房と一緒に納入してましたので、そんなバカ!な、とは思いましたが、
お役所の言う事だからと渋々納めました。今になって思えば、
ヤッパリお役所仕事だったんではなかったのかと)

07年6月29日(金)
待ち侘びし入梅なれどそぞろ降る雨に欠伸の出でて止まざる

(この鬱陶しさに、もう飽きています)

(9月3日になって、気象庁より、関東地方の梅雨に関する訂正が発表されました)
(梅雨入り・
6月14日が6月29日に・・・梅雨明け・8月1日が8月11日に)

07年6月28日(木)
気力とふ<力>漲(みなぎ)れど肉体の<筋力>失せゆくけふもあしたも

(スローモーながら、筋力は落ち続けてくれます。気力だけは誰にも負けない積もりですが)

07年6月27日(水)
良く眠れましたか?などと問はれしに前後不覚で記憶にないよ!

昨晩は? 「何にも覚えてないから、寝てたんだろうねぇ?」

07年6月26日(火)
おまけだよ!メダカの卵(らん)付く布袋草を花屋の親仁はニコニコ顔で

(花屋さんの店先で、メダカが棲んでる水槽に、
布袋草を浮かべ展示してましたので、五株を買い求めてきました。
根にメダカの卵が着いてるけど、オマケしとくね!と渡してくれました。
去年も、同じ花屋さんから買って我が家の池へ浮かべましたところ、
沢山のメダカが孵化して泳ぎ回っていましたが、育つことなく消滅してしまいました。
きっと!水浄化ポンプの水流が小さいメダカにとっては激流となって棲み難くかったんでしょう。
今年こそはと、ポンプを停めた池に浮かべましたところ、数日前に孵化し、
15匹程が泳いでいます。育ってくれるかどうか?、楽しみです)

07年6月25日(月)
「廃疾」とふ烙印捺されし肉体に血潮の滾る音の虚しき

(この歌での「廃疾」は、生命保険、各種ローン上での「廃疾」で、
自分で自分の身体が動かせなくなって、全介助を受けないと生きて
いけなくなった時点で「廃疾」つまり「死亡」と同じ扱いとなるようです。
皆さんご存知のとおり、ALSは限りなく進行してゆく病気で、発症と同時に悪化の道を辿り、
決して快復はしません。俗にいうところの「頭」は全く正常な状態でも「廃疾」と判定されます。
 勿論、医師の診断によって為されますが、進行の状態、速度には個体差があって、
そこに行き着く年月は患者それぞれです。因みに私の場合は、告知が99年11月8日で、
身障手帳1級、要介護度5、となって「廃疾」と診断されたのは02年6月の事でした)


07年6月24日(

日を追うて形なしゆく蜂の巣の主よ貴方はまさに天才



(ビルの3階の屋上に在る我が家の庭に面した窓枠に、
毎年写真のような蜂(アシナガバチの一種だと思います)が、
一つか二つの巣を作って子育てをしています。銀座のビルの屋上でも、
ミツバチを飼育して商品化してるほどですから、驚く程の事ではありませんが、
一部始終を観察して、その余りの事に、感心するやら驚くやら。最初は2匹で始めましたのに、
今はこの倍ぐらいに大きくなって、育った蜂も一緒になってるらしく5.6匹が取り付いています)

07年6月23日(土)

ゆるやかに時の流るる暮らしにて激流漕ぎしあのころ想ふ

(告知を受けた直後からの数年は、当に激流でした、滝もありましたね。
あの頃は、今のような生活が訪れようなどとは、思いもしませんでしたが)

07年6月22日(金)
波紋立つ水面に金魚ら浮かびきて雨の音など楽しみてをり

(東京もやっと梅雨に入りました(気象庁さんに叱られるかな?)
待望の雨です。池の金魚が、雨で出来る波紋と遊んでいるようです)

07年6月21日(木)
噛みころす欠伸の何と強きこと ころせど!ころせど!ころせど!出でく

(人様と相対している時の欠伸は、噛み殺さざるを得ませんが・・・。)
(夜の8時間を就寝時間と決め、
ベッドに横になるという規則正しい生活をしていますが、
兎にも角にも眠いんです。服用してる薬に、眠気を誘う
ような成分は入っていない(主治医談)にも関わらずです)

07年6月20日(水)

梅雨晴れに緑まばゆき昼下がり青葉の間(あひ)に青き蜜柑見ゆ

(カンカン照りです。東京練馬では32度にもなりました。
明日あたりから梅雨らしくなるようですが、今度こそ、気象庁さん頼みますよ!
照葉とはよくいったもので、強い日差しに照り輝いています)

07年6月19日(火)
音声で入力為せばきびきびと介護し呉るるヘルパーさんは

(ツーカー状態で大変心地の良い介護を受けている、私のベテランヘルパーさんの事です)
(決してスリスリではありません、本音です)

07年6月18日(月)
夏空に<農鳥>(のうとり)抱へ凛と聳つ富士の裾野は梅雨雲の中

(関東甲信地方の梅雨入りが発表された翌15日に、富士山七合目付近に
例年より1カ月以上遅れて、<農鳥>が現れた、とテレビニュースが報じました。
富士北麓方面から見え、標高2,600m〜2,700m付近の残雪が、鳥が羽ばたく姿のように
見えるもので6月の出現は珍しく、春になってからの大雪の影響で、大幅遅れとなったようです。
農鳥は麓に春の訪れを告げるとされ、昔は田植えなど農作業を始める切っ掛けになった
という事ですが、こんなに遅れては農事暦の役には立たないようですね)

07年6月17日(
天高く澄みて吹く風清かなる梅雨の中休(やす)みに梅雨を待ち侘ぶ

(これで梅雨?青く高く澄んだ空は、まるで秋のそれです。
乾いた空気が気温の割りに暑さを感じさせません。週末には雨に、との予報は出ていますが。
例年ならばほぼ満杯という東京の水瓶が、半分近くに落ち込んでいると聞くと、
この晴れを喜んでばかりはいられません)

07年6月16日(土)
父の日があしたに迫りて落ち着かぬただ居るだけの父であるゆゑ

(ノーコメントとさせて頂きます)

07年6月15日(金)
待ち侘びし梅雨でありしもあしたにはカンカン照りて真夏日なりし

(気象庁の勇み足、と言ったら気分を害される方がいらっしゃるかも知れませんが。
中休み、と云われても、昨日の今日ですからねぇ、澄んだ青空と気温30.9度の
説明は付け難いように思います。この先一週間の予報でも、雨は無し、どうしましょ)

07年6月14日(木)
梅雨前線(つゆぜんせん)箱根の関所に足止めを食らひてをるや行く風さやか

(夕方になって関東甲信地方が梅雨に入った模様、と気象庁が発表しました)
(この歌は朝の内に詠んだものです)
(昨晩の予報は「秒読み状態」でしたのに、にしては時間が掛かり過ぎました。
よくある事ですが、西からの雨雲が箱根辺りの山(丹沢山塊)に引っ掛かって、
足踏みしたり南北に進路を変えたり、時には消滅したりして予報が外れる事があります)
(9月3日になって、気象庁より、関東地方の梅雨に関する訂正が発表されました)
(梅雨入り・
6月14日が6月29日に・・・梅雨明け・8月1日が8月11日に)


07年6月13日(水)
これほどに雨を久しく待つことなし紫陽花園に人影のなく

(紫陽花は雨に濡れてこそ・・・と言いますが・・・。)
(その、待ちに待った梅雨の雨が、東京ではやっと明日あたりからと報じています。
近所の公園の紫陽花が、見向く人がいないままに頭を垂れて雨を待っているようでした)

07年6月12日(火)
車椅子なれば世の中を仰ぎ見るかつての目線の今はあこがれ

(車椅子生活になって3年、もう大概諦めてもいい頃と、自分に言い聞かすんですが・・・。
座位での目線もそうですが、見るもの全てが私の手の届かない処にあるような・・・。
全てが、頭の上から聞こえてきて、また頭の上を通り過ぎていくような・・・・・。
とは言え、かっての私は、見下ろすどころか、
いつも頭を垂れる「有難うございます!」生活でしたが)

07年6月11日(月)
<介護>とはビジネスなりと豪語せしコムスントップの涙を訝る

(マスコミは「お詫び行脚」などと言って、連日テレビに引っ張り出したりしてますが、
その都度涙を見せているようです。年俸が6,000万円と聞くと悔し涙なのかと思ったりしますが、
本当の意味は果たして?と、彼の話を聞けば聴くほど分からなくなってきました)

(折口氏は正確にはグッドウイルの会長ですが、コムスンの社長が辞任した今は、
コムスンの顔として出ずっぱりですので、「コムスントップ」としました)

07年6月10日(
初夏(はつなつ)のカラリと乾くそよ風が緑を揺らし吾が身にも入る

(遅れてる梅雨のお陰で、連日爽やかな日が続いています。
(ましたが、今日は時折雷雨が襲ってきたりしました)
気温は高めですが、自分では動きませんので私にとっては「快適」そのものです。
それにしても降りません。この冬の降雪が少なかった事も手伝って、
首都圏の水瓶の貯水量は減る一方のようです。
例年以上に暑いだろう、との予報が出ている真夏が今から心配です)

07年6月9日(土)

リビングで湯船に浸かりてヘルパーより箱根ドライブの余韻を聴きぬ

訪問入浴の、いつもの看護師さんとヘルパーさんが先週揃って休みましたので、
理由を問いましたところ、元同僚を交え女性4人でドライブ旅行をしてきたと、
その時の様子を嬉しそうに話してくれました。富士山こそ見えなかったようですが、
好天に恵まれた新緑の箱根は、乙女?4人の身も心をもリフレッシュしてくれたようでした。
かく言う私も伊豆半島が大好きで、東名高速が開通する前からガタガタ道を通い始め、
新婚旅行も伊豆へ行ったほどで、沢山の「思い出」を持っています

07年6月8日(金)
蔓延(はびこ)ると群るるの間(あはひ)の悩ましさ黄花タンポポ梅林に美し

(梅林の根方一面を、黄花タンポポが蓋っていました。
これを、群れ咲いてて、きれい!と喜ぶのは観客一同、
持ち主さんはきっと、蔓延りやがって!と怒ってらっしゃることでしょうが)

07年6月7日(木)
「夢に見た」と吾を気遣ひてともがきは電話の向かふでおづおづと訊く

詰襟の貴方が去りゆく夢見しと病む吾を気遣ふ想ひの嬉し


(奈良の友人から電話が掛かってきて、「旦那さんはお元気ですか?」と妻に訊いたとか。
折り返し電話を掛けて「未だ生きてるよ!」と話が弾みました。
なんでも詰襟、坊主頭の私がスー!と目の前から消えて行く姿を夢に見て気になったからと。
かく言う彼女は、ペースメーカに頼る不自由な生活をしています)

07年6月6日(水)
今日だけは鵜らの食事は抜きらしい鮎解禁に竿の放列

(去る6月1日、大部分の河川での鮎漁が解禁されました。
この日だけは仕事を休んででもと、両岸を沢山の釣師が埋め、釣竿の放列をしきます。
テレビニュースでお馴染みの風景ですが、ここ近年はカワウの食害が増えて、
解禁どころか放流するそばから捕食する始末に手を焼いているようです。
折角放流したのに・・・とは思いますが、自然遡上も居る訳ですから
人間様だけで・・・と言う訳にはいかないようです)

07年6月5日(火)
失せしもの失せゆくものの気高くて夢にさへ追ふ臥せて八年

(もう九年目に入ってますのに、夢に出てくるのは健常だった頃そのものです。
今暁見た夢でも、カラマツに囲まれた痩せ尾根を歩いていました。
多分、富士山を撮ろうと登った本社ヶ丸への道だと思いますが、ほんとに不思議です。
未だに、不自由になった状態での夢は見た事がありません)

07年6月4日(月)
川蜷(カワニナ)はブランデーグラスを這ひ廻りメダカの棲家の掃除を為せる



(去年の正月に孫娘が貰ってきた「ヒメダカ」が、子孫を遺してくれて現在はひ孫を交えて
12匹となって目を楽しませてくれています。二つに分けていますが、3月に買ってきた
金魚藻に「カワニナ」の卵?が着いていたらしく、何時の頃からか這い回るようになりました。
現在、大小14個?にもなって、グラスの内側に着く「苔」をセッセと食べてくれています。
お蔭さんで「写真」のようにクリアーです。二つの黒点が川蜷です)

07年6月3日(
<千の風になって>臓腑に朗々と響きつつ独り佇む父の墓前に

(テレビで<千の風になって>を聴いて、とうに亡くなっている親父の事が・・・)

07年6月2日(土)
トリミングで消したきことのみ目立つなりわが全過去をまなかひに描(か)けば

(物心がついてからこれまでの人生を、一枚の写真に焼き付ける事が出来るとしたら。
とてもじゃないですが、恥ずかしくって直視出来ない代物だと思います。切って捨てちゃへ!)

07年6月1日(金)
閣僚が範を垂るるやクールビズ スーツ脱ぎ捨て笑顔で並ぶ

(閣議前の、揃い踏みの席に居並ぶ閣僚の面々が、
揃ってスーツを脱ぎ捨て、クールビズ姿でニコニコしていました。
日本全国で、何百億?とかの節約効果が期待されるようですので、
皆さんが挙って冷房温度に目を光らせて欲しいものですね。
因みに我が家では、28度と決めて久しいです)

07年5月31日(木)
(し)吹く雨奔るイナズマ雷鳴高く五月晦日はかくて暮れなむ

(またまたの雷雨です。まるで真夏のように賑やかな事です。
そんな五月も今日で終わり、そろそろ梅雨の匂いがしてきたような・・・)

07年5月30日(水)

修繕の効かぬ躯を今日もまた病院へ運ぶ点検受けんと

車椅子
(いす)で待つ受付番号睨みつつ時計も見つつ欠伸もしつつ

(自虐的短歌です)
治療技術の開発は遅々として進んでいないようで、
病院へは、定期的に進行状態を診て貰いに行くだけ。
先日のマスコミ発表で、人のES細胞を大量に作る技術が開発された、という事ですが、
過去にも似たような事は色々と発表されていますが未だに治療に繋がるものは
出来ていないようです。仮に出来たとしても発症初期でないと・・・のようです)

07年5月29日(火)
我が庭の蜜柑の花が咲き初めぬ♪思い出の道〜♪丘の道〜なき街に

(今年も蜜柑の花が咲きました。
庭の手入れをしながら妻が口ずさんでいた「みかんの花咲く丘」。
懐かしい、と言うか体にすり込まれている童謡ですね)

07年5月28日(月)
<光化学スモッグに注意>と間延びしし声の響ける午後の気だるき

(このところ、ちょくちょく発せられる注意報ですが、
高いところに設置されている大きなスピーカーからの声が、
の〜んびりゆ〜るりと聞こえてきます。
あの調子でないと聴き取り難いんだそうですが、緊張感に欠ける事この上ない放送です)

07年5月27日(

読み終えてカチャッ!と閉じたる電子本余韻を胸にフォルダへ仕舞う

(朝日新聞・10月22日「歌壇」入選歌・・・佐佐木幸綱 選)

(私の読書は専らパソコンです。電子文庫パブリを利用してますが、
本を開くときも捲るときもマウスをカチャッ!とクリックして行います。
本を読み終わってパタンと閉じるあの一瞬を想い起こして詠んだ歌です)

07年5月26日(土)
大汗を掻きつつ我の介護なすヘルパーさんとともに汗をす

(一生懸命にやってくれるヘルパーさんは勿論ですが、
どうしたものか、私も負けずに大汗を掻いてしまいます)

07年5月25日(金)
額に汗しつつ雑草抜く妻の脇より草らの産声聞こゆ

(やだ〜!もうこんなにい〜!は、庭の管理を一手に引き受けた妻の叫びです。
この時期の雑草の勢いたるや呆れるばかりですが、
その雑草の小さな花などをグラスに挿したりして、結構楽しんでもいるようです)

07年5月24日(木)
今朝もまた八時きっかりに腕まくるヘルパーさんにこの身を預く

ベッドより椅子に移されおはようさんプログラム追ふけふの始まる


(プログラミングされた今日の始まりです、もう何年になりましょうか)

07年5月23日(水)
もう少し待ってくださいニッポンも「銃」が自由に購えますきっと!

(ブッシュ率いるところのアメリカと同盟関係にある日本が、
益々アメリカナイズされて軍事面での貢献までもが期待されているとしたら?
怖いですねぇ〜ハイッ!それではそれでは!
ならいいんですが、ちょっと心配です。改憲への動きが活発化しています。
まさか、第九条の不戦の誓いを撤廃しようなどとまで考えてるとは思いませんが、
国民の一人として目を離さずに、と考えている昨今です
(精一杯の皮肉を込めてこの歌を詠みました))

07年5月22日(火)

敗訴受け地裁をそがひに歩みつつ五月の緑葉の重きにねまる

(東京地裁の庭は勿論、前のトチノキ並木の緑もが空を蓋う程の大木で、
打ちのめされた私にとっては、押し潰されそうなほど鬱陶しいものでした)
そがい=後ろ向き・背中合わせ

07年5月21日(月)
酒の威を借りしか妻は冗舌に友と過ごししけふを語りぬ

(それでなくとも大変ですのに、お酒などが入ろうもんなら・・・お察しください。
「歌の発表会」の打ち上げで、「そこそこ呑んだ」ビールの所為か、
今日一日の出来事を懸命に報告してくれるんですが・・・)

07年5月20日(
久方ぶり遇ひし女性はふつくらと幸せですと言はんがばかり

(道で久し振りに遇った、ず〜と懇意にしている40代?の女性が、
薄化粧ながらギスギス感がなくなって大変好感が持てる女性に変身してました。
私がALSでリタイアしてからはメールだけのお付き合いになってましたので・・・。
仕事も、ご主人との関係も、順調と聞いてましたが、成る程と合点したものです)

07年5月19日(土)
学童ら帰りて静もる学舎(まなびや)に風力計は休むを知らず

(すぐ目の前に在る、小学校の屋上に、
風力計の「風車」が設置されていて強い風に勢いよく回っています)

07年5月18日(金)
街中を流るる川の真鯉らは浮遊する芥(あくた)に卵(らん)を託しをり

(日本橋からの帰りに、若しやと神田川を覗き込んで見ましたら、
案の定大きな真鯉が産卵に夢中でした。
川といってもしっかりとコンクリートで護岸がなされていて、水路と言った方が当たっていますが、
所によっては淀みがあってゴミ、芥の類が浮いたりしています。いずれは流れて行くだろう物に、
自分の子孫の将来を託さなければならない鯉に、ちょっぴり想いを馳せたものでした)

07年5月17日(木)
沖縄は梅雨入り釧路は桜咲くわが東京は薫風さはやか

(昨日、沖縄地方が平年より8日遅れで梅雨に入り、
一方、釧路、根室には桜前線がゴールしたと報じました。
南北に長い日本列島なればこそですが、季節の移ろいを肌で感じ、
見聞きする度に歌心をくすぐってくれます。つくづく思います、
日本人で日本に住んでてよかった〜!と)

07年5月16日(水)
動かざる躯(み)に暮らしきて八年余想ひは巡る狂(ふ)れんがまでに

(全てが、と言っていいほど、私を取り巻く出来事が、
私の想いとは裏腹に推移していきます。
いまの私には、こうして歌にぶつける以外になす術がありません)

07年5月15日(火)
(とき)ならぬ暴風吹きしあしたには樹下に累々と梅の青き実

昨夜
(よべ)聴きし悲鳴は梅の青き実の暴風(かぜ)に抗ふ叫びと知りぬ

(先日の強風で、折角の梅が全て落ちてしまいました。
もう少しってとこまで育っていましたのに残念です。
お陰で今年は、梅ジュースを飲めなくなりました。
それにしても、あの風は異常です。
どうやら西側に建ったマンションの影響かと思いますが、南からの風が特に酷いようです)

07年5月14日(月)

街をゆく人ら足どりも軽やかなり五月はこのやうに歩けとばかりに

(これこそが5月と言わんばかりの好天気でした。
五月を絵に画いたような、とでも云いましょうか実にいい陽気です。
街をゆく人々を見てるこちらも、思わず口笛を吹いて歩き出しそうになります)

07年5月13日(
花ひとつ然(さ)りとてひとつ母の日にけふのひと日は母にてありなん

(例によって息子夫婦から「寄せ花」が届きました。母である事を実感させて
くれる瞬間ですが、当の妻は、結婚前に勤めていた会社のOB会へ嬉々として
出掛けて行きました。今日一日と言っても夜の9時までですが、私の介護を忘れて、
元の上司、先輩、同僚、後輩と大騒ぎをしてる事と思います。
余談ですが、何種類かの根つきの花ですので、頃合いを見計らって大きな鉢に
植え替えています。中でも去年の赤いカーネーションは立派に育って、
今日の「母の日」に合わせたように今が花盛りです)

07年5月12日(土)
帰りきて介護ベッドに身を伸ばす車椅子型に固まりし身を

(私の外出は、車椅子に乗せてもらってとなりますが、
座位の姿勢を保つことが大変で、また難しくなりましたので、
現在では、脚と脚の付け根にベルトを、腰と背もたれの間には
座布団を挿んで、両肘は肘掛に突いて上体の姿勢を保ち、首には、
頭の重みを支持するカラーを巻いてとなります。
この状態で数時間を過ごしますと関節が固まって痛みさえ覚えます)

07年5月11日(金)

いま生(あ)れし雲は西から東へと流れ呑まるる蒼天の闇に

(今日午前中の空は、秋を想わせるように澄み渡っていました。
きっと昨日からの強い北風と雨が、大掃除をしてくれたからでしょうが、
時折、淡い雲の塊ができては東の方へ流れていき、やがて消えてなくなってしまいます。
飽きもせず眺めていて、この歌ができました)

07年5月10日(木)
気の重き事のみ多き五月なれど薫風、青空、緑が救ひ

(どうしてこうも・・・と、言いたくなるほどに、悩ませてくれます)

07年5月9日(水)
開け放つ車窓に流れる街並は晩春だったり初夏だったりで

(福祉タクシーを利用して都心をドライブしてきました。
咲き残ったツツジに新緑、皇居お堀端の柳はもう夏の風情です。
特に街をゆく人々の服装は軽やかで、初夏の風を楽しんでいるようでした)

07年5月8日(火)
ボコッ!グーと腹を巡りし球体がポンッ!と噴き出し拍手を貰ふ

(失礼しました!ご免なさい)

07年5月7日(月)
スワッ火事!と見紛ふばかりに西日映ゆ窓が炎を抱き燃ゆるがに



(妻の素っ頓狂な声に目を遣りますと、写真のような状態でした。
西日が映えてただけの事ですが、部屋の中が炎でいっぱいって感じに見えますね。
昨日の夕方の出来事でした)

07年5月6日(
ハナミズキ、ボタンにツツジは終わりですサツキ待つ間の雨音閑か

(ゴールデンウィーク最後の日曜日が雨に濡れています。
連日のように吹いていた強い風が止んで静かな雨です。
華やいだ一連の花達も風と今日の雨で終焉の時を迎えました。
次に控えるのは皐月、この雨を糧としてきっと見事な花を魅せてくれることでしょう)

07年5月5日(
遭難だ!混雑!渋滞!事故!笑顔・・<黄金週間>他人事(ひとごと)なりき

(お茶の間のテレビ桟敷で高みの見物です)

07年5月4日(
浅 薄 黄 萌黄 さ緑 深緑 若草萌ゆる五月青天

(一口に新緑と云っても、その色合いはそれこそ色々です。
世は当にゴールデンウィーク、素晴らしい五月晴れの下、新緑が目に優しく沁みます)

07年5月3日(
 <九条>に護られ戦ふこともなくALS奴の侵略を享(う)

今日は憲法記念日、今改憲論で喧しいことですが、
その日本国憲法第九条は不戦を誓っています。
不戦とは闘わない事、その不戦にに因んで詠んでみました。
(我が供ALSは、不治の難病として、治療の術は全くありません。
世に闘病と言う言葉がありますが、その闘病さへも許されない病です。
まるで九条のように、戦力(薬)を持たず、使わず(治療)で為されるがままです)

日本国憲法第九条には
一、
日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
二、
前項の目的を達するため、
陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。
とあります。

07年5月2日(水)
 夏豆ともよばるる空豆あをあをと夏日に美味しビール片手に

(空豆は上を向いて結実するところから付いた名前だと思いますが、別名を夏豆とも呼びます。
確かにこれから旬を迎えるわけですが、今日、故郷出雲から来てくれた、
幼馴染み夫妻とともに一足お先に、塩茹でしたものをつまみにビールを戴きました)

07年5月1日(火)
 竹藪のあの香漂ふリビングに剥かれし筍妖しく悩まし


包を
開いた
とたん!
子供のころ
さんざん遊ん
だ竹藪の匂いが
リビング中に広が
りました。それもその
はず、泥だらけの筍が3
本汗をいっぱいかいて納ま
っていました、早速剥いて茹で
ましたが、自然美とでも言いまし
ょうか実に見事な姿を魅せてくれ
ます。味ですか?それはもう言う
までもなく最高です。ご馳走様!

07年4月30日(
 見晴るかす芝生緑緑(あをあを)と春たけて朧の空を染めんがごとし



いつもの光が丘公園でのひとコマです)
(汚れのない新緑に包まれて、命の洗濯をしてきました。

07年4月29日(

 雷鳴にてゴールデンウィークの幕の開き町は日照雨(そばへ)に濡れて静もる

(中間に二日の休み?が入るゴールデンウィークですが、昨日スタートしました。
沢山の人々が海外へ国内へと旅行にお出掛けのようです。
東京の昨日は、晴れのち曇りのち雷雨、いっとき日照り雨もありましたが、
ほぼ晴れの状態で暮れました。いつもの事ですが、
私が住む町は車の通行量も人の動きもがガクンと減って静かです)

07年4月28日(土)
 地裁へのこの道幾たび通りしや去年(こぞ)(め)でしツツジの咲き初めしけふも

(思いがけずも地裁へ通うようになって一年有余、
整然と整備された官庁街の風景は、街路樹その他の植栽が彩りを添え
人工美の極みとでも言えそうな美しい街です)

07年4月27日(金)
 歌詠まんと宙睨みゐる吾の鼻をくすぐる香りが夕餉に誘ふ

(8時過ぎになると、決まったようにキッチンの方からいい香りが流れてきます。
おっ!時間だ!パソコン閉めなきゃ!、と待機態勢に入ります。
因みに私の夕飯は、9時から11時の間にと決まっています。
食べて食べさせてと妻が二役を遣りつつの事ですので時間を要します)

07年4月26日(木)
 廃線の憂き目に喘ぐ銚子電鉄の危機を救ひき<濡れせんべい>が

(大変ローカルな話題を歌にしましたので、意味不明とお叱りを受けるやに思いますが。
銚子電鉄は千葉県内の、銚子、外川間6.4キロを9駅で結ぶ極小の鉄道です。
一時、ご多分に漏れず経営不振に陥り、廃線も時間の問題と騒がれたのを機に、
社員が一丸となって、サイドビジネスである「オリジナル商品」の販売に力を入れ始め、
テレビが大々的に報道してくれた事も手伝って、今ではファンクラブも出来るほどの
人気鉄道となったようです。特に「濡れ煎餅」の人気は凄まじく、現在はオンラインショップ
での販売が、品不足で出来ない状況とも云われています。
「濡れ煎餅」が鉄道を救う、極小なればこそですが、今時珍しい話題でした)

07年4月25日(水)
 陸奥(むつ)あたりに桜前線在りと聞く朝(あした)に残る花冷えとやら

(現在桜前線は青森辺りに在ると報じています。
あの「弘前城址公園」でもチラホラ咲き始めたようです。
どうやら平年並みのようですが、こちら東京地方は、菜種梅雨とか花冷えとかで、
思わず<寒い!>がでるような日々が続いています)
(陸奥(むつ)=青森県全域と岩手県の一部)

07年4月24日(火)
 お寝み!を耳にしお早う!で目を覚ますそんな一夜を過ごしてみたい

(朝8時にベッドを離れ、夜中の12時にベッドへ戻るまでは眠らないように心掛けて、
夜の眠りに備えていますが、体位交換(寝返り)等々で目を覚ましてしまい、
朝までグッスリは全くありません。
健常でいた頃のあの眠りを、今晩こそは、とベッドに横になるんですが)

07年4月23日(月)
 をちこちにバンザイ!ひびく街の裏にひそかに聞こゆ深き溜め息

(区長に区議と、身近な選挙でしただけに、この一週間は大変賑やか?でした。
選挙にはつきものの「泣き笑い」ですが、私の住む区では現職の区議が
5人も落選の憂き目に合うという結果となりました)

07年4月22日(
 「公園にツツジ咲く」とぞ朝刊に報ずるモノクロ写真は寂し

(一昨日の朝日新聞都内版に、我が練馬の「平成つつじ公園」のツツジが、
見頃を迎えたと写真つきで紹介されていました。
でも写真はモノクロ、台所事情もおありでしょうが、今時花を紹介するのに、
なんでカラーじゃないの?と、寂しい思いをもったものです)

07年4月21日(土)
 <スレスレです頼りにします>と投票を促す電話で楽日が暮れる

必死さに心動くも吾は既に「郵便投票」で済ませています


(選挙戦最終日の今日一日で、4通もの電話がかかってきました。
皆さん押し並べて、スレスレです!とどうやら票数が読めてるようで。
私は、妻が代理で記載出来る「郵便投票」で既に義務を果たしています。
この「郵便投票」は、私たち障害者の先達の方々が、運動努力の結果勝ち取った
制度と聞いています。何れにしましても選挙戦は終わりました、どんな結果が出ますやら)

07年4月20日(金)

 口々に福祉を叫ぶ選挙カーの「声」季(とき)ならぬ氷雨に沈む

(私の住む練馬区では、只今区長と区議の改選選挙真っ只中です。
区議選には68人が立ち50の議席を争っていますが、私がお世話に
なっているせいか、福祉を口にされる候補者の声によく耳が止まります。
がしかし、先の東京都知事選に立たれた「浅野氏」の奥さんが、
「福祉は一部の人でしょ、票には繋がらないのでは?」と立候補に反対されたとか。
結果はそのとおりとなりましたが、区議選では果たしてどのような結果が出ますやら。
残すは明日一日となりました。冷たい雨に泣いた天気も快復して、春本番の中での戦いです)

07年4月19日(木)
 手折りきてグラスに活けし野の花の白根に見たり雑草魂

(散歩の途中で見つけた道端の雑草が、小豆粒ほどのランのような花を
着けていましたので、摘んできてグラスへ活けておきましたところ、
グラスの三分の一が白い根で埋まってしまいました。
陽の光が全く無い洗面所での事で、驚くばかりです)

07年4月18日(水)
 色褪せし声張上ぐるも虚しかり煌く七色ネオンの海に

(七色のネオンが輝く夜の東京の、俯瞰写真を見ての歌です。
この大きな海を相手にしては、ちっぽけな、それも病体では、
どのような声を張り上げようとも虚しさのみがのこります)

07年4月17日(火)
 むらさめに散り積む桜花(はな)の哀しくて行き交ふ人に踏まれてをりぬ

(冷たい雨と風に叩かれて、八重桜が散っています。)

07年4月16日(月)
 床に就く、吾と妻結ぶスイッチに親指置かれ<お寝みなさい!>

その昔赤い糸にて結ばれし妻との現在
(いま)は呼び出しボタン

隣室に寝
(やす)みし妻にピーンポーンと夢路を破る助けて!コール

右向きに置かれし頭を左にとたったの仕事に寝る妻起こす

眠い目をこすりて妻は二度三度、四度目にポツリ外は朝よ!と


(ベッドに寝むと、自分の意志で動かせるのは、右手の中指と右足の指だけ。
別室に寝ている妻を起こすためのチャイムのボタンが、安眠へと誘ってくれます)


07年4月15日(
 訪ふ人の笑顔に問ひ掛く街中は<桜散ったかツツジはまだか>

(アチコチから来てくれる人々から、街中の様子を訊いて、
季節の移ろう様を想いおこしたりしています)

07年4月14日(土)
 われはゆく桜の花びら舞ふ道を追風(おひて)に押され車椅子にて

(春の象徴と謳われる桜、パッと咲いてパッと散る姿は潔いものの代名詞にも。
でも、その散る様子までが愛でられる花は桜だけかもしれません。
そよ風にチラチラハラハラと舞う桜並木をゆく幸せ、日本ならではですね)

07年4月13日(金)
 デコボコの歩道を車椅子で行く病む身ひとつをデコボコ揺らし

(此処で言うデコボコ道は、今はやりの煉瓦状のブロックやタイルで舗装された歩道の事です。
(雨水が地中に浸透し、植栽を育て地下水ともなる、大変結構な舗装ではありますが)
完成当初は確かに滑らかに仕上げてあって、見た目にも美しくさえ感じますが、時間が
経つに従ってブロックの一つひとつが、浮いたり沈んだりしてデコボコになってしまいます。
地盤にもよりましょうが、少なくとも私が利用する歩道は何処も彼処もデコボコで、おまけに
車道側へ傾斜している処が大部分です。車椅子にはスプリングもショックアブソーバーも着いて
いませんので、道のデコボコが身体にそのまま伝わって、私のように筋力の落ちた人間は、
大変辛い道行となります。序に言わせて頂きますが、視覚障害者用の「点字ブロック」も、
実を言いますと狭い道では避けて通れずに大変な思いをしています。
あちら立てればこちらが立たず。関係者は頭を悩ませている事と思いますが)

07年4月12日(木)
 振返り振返りして九年目目指せるもののなくて彷徨ふ

三回と言はれしものを八回もまさかと祝ふ四月十一日


(過去を引き摺るのみです。やむなき事ですが、あれから八年有余、
8回もの誕生日を迎えられようとは・・・・・。昨日が69回目でした)

07年4月11日(水)

 大戦を知らぬがままに団塊の企業戦士ら復員し始む

(700万人とも言われる、戦後生れのお勤め人の方々が、
今年から定年を迎えて順次退職なさると、喧しいことです。
技術系の企業では後継者が育っていないとかで、定年を延長してるところもあるようですが、
「熟年離婚」をと手薬煉引いて待ってる奥様方はヤキモキなさってることでしょう)

07年4月10日(火)
 桜花(はな)の散る声を聴かむと耳澄ます若葉の芽吹く声らにもまた

(桜は、散る姿さへ美しいと観られますが、どのようなお喋りをしてるんでしょうか?
若葉の芽吹きもしかり、まさかオギャー!とは叫んでないと思いますが、
きっと前者は、春を謳歌した達成感と、後者は、新しいスタートに燃えてる事と思います)

07年4月9日(月)
 四月です!新年度です我もまた心新たに主治医の許へ

(学校にも職場にも、新入生の緊張した顔と喜びいっぱいの笑顔が見られる頃です。
私も心を新たにし期待に胸を膨らませて病院へ行きましたが・・・・・。)

07年4月8日(
 我はいまなにに怒るや花曇る街に目を遣るよすがなきまま

(このところ体調が狂ってしまい、その対応に疲れてしまった上に、
いろいろありまして精神的にも疲れてしまいました)
(よすが=拠り所)

07年4月7日(土)
 散りのこる桜の囲む校庭に声の弾けし風光る朝に

(新学期が始まりました、お隣の小学校でも弾けるような声で賑やかです。
先頃の寒の戻りのお陰で、充分観賞に価するだけの桜は残ってくれています)

07年4月6日(金)
 声高に福祉を叫ぶ候補あり受くる吾なれど眉唾で聴く

(東京都知事選(8日投開票)の候補者の中に「福祉」一本槍の方がいます。
福祉行政のお世話になっている私としては、大変有難い話ですが、
果たしてそれでいいんだろうか?と。巨大都市東京の知事には
優れたバランス感覚を要求されて然るべきと考え、苦慮しております)

07年4月5日(木)
 去年(こぞ)の葉を纏ひし桜餅(もち)を口にして去年の新茶で春につかりぬ

(三枚の桜の葉に包まれた桜餅は、葉の仄かな塩味とのバランスが結構でございました)
(お茶は、冷凍庫に保管してた去年の新茶を戴きましたが、一際美味しゅうございました)

07年4月4日(水)
 雷鳴の轟く街に雪あらし桜に浮かるる卯月四日に

雪が降る 桜咲き満つ東京に十九年ぶりとふ四月の雪が


(寒の戻りにしては余りに時期を逸してますが、
このところの東京は異常とも言えるほどの冷え込みです。
桜は満開を過ぎ散り始めてさえいますが、今日の雪には驚きました。
桜吹雪に負けてはならず、とでも思ったんでしょうか、雷の光と音をバックに
見事なまでに雪が降りました。自然の悪戯とはいえ珍しいものを見せて貰いました)

07年4月3日(火)

 夜嵐に吹雪くがごとく散る桜花(はな)の闇に消へゆく悲鳴をのこし

(この歌は、31日(土)の夜中に来てくれたヘルパーさんの
「凄い風ですよ!桜の花びらが舞い上がって飛んでいってます」を詠んだものです)

07年4月2日(月)
 老い、身障、妊婦、子連れで満員のエレベーターに若きがひとり

(「国立国際医療センター」と、私がお世話になってる大学病院が直ぐ傍に在る、
地下鉄大江戸線の「若松河田駅」での出来事です。エレベーターの扉が開いたとたん、
私の脇から一人の若者が飛び乗るように入りました。降りる二人を待たずにですから驚きです。
乗ってから見回しますと、おばあさんと呼んでも叱られないだろう方が1名、車椅子の私と妻、
妊婦一人に幼稚園児ぐらいの女の子を連れた中年の女性、に彼。さすがにバツが悪かった
のでしょう、鏡に映ってる顔は下を向いてました。二つの大病院が在るせいでしょう、
私が利用する時間帯はいわゆる弱者と呼ばれる方が大部分を占めています。
隣りにはエスカレーターの乗り口が在りますのに・・・不思議です)

07年4月1日(
 抽選漏れの通知ハガキを握りしめ<のど自慢>観る妻の背寂し

(今日NHKテレビで放送された「のど自慢」に、
出ようと往復ハガキで応募しましたが抽選で見事にハズレ。
2千数百人もの応募があったそうですから致し方の無い事ですが、悔しがることったら・・・。
地元練馬での開催とあって、一段と力が入ってましただけに残念!でした。
余談ですが、トップで元気いっぱいに歌った女性4人組は、
私の面倒を看てくれているヘルパーさん達でした)

07年3月31日(土)
 巷には桜咲いたかわが庭にヒヨドリ来ずて椿咲き満つ

(この冬から春へのヒヨドリの傍若無人ぶりにはほとほと手を焼きました。
メジロ用の牛脂やミカンを片っ端から食べ、折角植えたパンジー30株の花を食べ尽くし、
海棠の花芽も食べてしまいましたので、今盛りですのにチラホラしか咲いていません。
椿も随分食べられましたが、桜が咲き出したとたん来なくなりましたので、残った花が
今見事に咲いています。食べなければ・・・は分かってはいますが、何もねぇ)

07年3月30日(金)

 早咲きも中手も晩生(おくて)も咲き揃ひ千川通りは桜のトンネル

(我が家を中心にして、千川通り沿いの桜並木が電車で二駅分ほど続いています。
殆どがソメイヨシノですのに、不思議なことに咲く時期にバラつきがあります。
20日の開花宣言の時には、もうかなり咲いてた樹もあったりしましたが、
昨日、一昨日のバカ陽気で一気に満開となりました)
皆さん!「アルバムのページ」に「桜」が満開です。見てやってください

07年3月29日(木)

 枝垂れ咲く櫻一本が六義園に善男善女を集めて映える

(東京本駒込の「六義園」に在る、一本の枝垂桜が見頃を迎えたとテレビ、新聞が報じています。
ライトアップもされて21時までの夜桜も楽しめるようですが、「繊細で温和な日本庭園」と言われ
日頃は静かな六義園も、この時期ばかりは沢山の人々で大賑わいとなるようです)
たった一本の、と言ったら叱られそうですが、
ソメイヨシノが咲き出す前に見頃を迎えますので、その集客力たるや見上げたものです)

07年3月28日(水)
 春風が耳元そぉ〜と撫でてゆく桜が咲いたと囁きながら

(今日は春特有の白っぽい青空に被われて、陽は燦燦、暖かでした。
近辺の桜は6〜7分というところでしょうか、予報よりかなりのスローモーですね。
こうなったら、期待された、小中学校の卒業式には間に合いませんでしたので、
何がなんでも入学式に咲き揃って、子供達の門出に花を添えてほしいものです)

07年3月27日(火)
 臥せをれば晴れに謳ひて雨に泣くほんにおいらは狂(ふ)るるがごとし

(なにも天気に限った事ではありませんが、このところ感情の起伏が激しいような・・・)


07年3月26日(月)
 一瞬の地震(なゐ)に慄く被災地にまたもや見たり避難者の群れ

一瞬の恐怖を語る老いらみな顔引き攣らせ能登の訛りで

時を追う毎に増えゆく震災の惨状を見つむテレビ画面に

いつきても不思議でなきとふ東京に住みて見つむる大地震
(おおなゐ)被害を

(07年3月25日(日)9時42分頃、またもや大地震(6強)が石川、富山両県を襲いました。
刻々と映し出される被害の状況に、遣り切れない思いでテレビ画面に見入っていました)

大地震(おおなゐ)に番組喰はれし日曜は朝刊二紙を角々(すみ)まで読みし

(ちょっと不謹慎?かと思いますが、同じ場面の繰り返しに、新聞に目を落としました)

07年3月25日(
 春嵐に震へしあしたのそぞろ雨に桜ほころぶ息吹を聴きぬ

(一日中どころか夜中まで吹き荒れた春の嵐でしたが、
雨の降り出しと共に止んで静かになりました。咲きしぶっている桜も、
この暖かい雨を糧にして、一気に咲き揃うものと思います)


07年3月24日(土)
 何も彼もここまでくれば上等よ!ALSをテレビに曝す

(もう一ヶ月も前の話しになりましたが、
NHKテレビ「”生≠フかたち」に出る決心をした時の歌です。
実を言いますと、テレビへの露出は、散々悩んだ末の決断でした。
ディレクターさんと3時間づつを2回話し合った末に、
この歌のような心境になって決めた事でした)

07年3月23日(金)
 散り果てしあとの梅が枝もまた嬉し春陽のなかに小さき実の見え



(花を、香り、を楽しませてくれた梅でしたが、いつの間にか実を結んでいました)

07年3月22日(木)
 長生きはするもの敗者を足蹴にす横綱を観し春場所土俵に

(現在行われている、大相撲春場所中日結びの一番でのとんでもない出来事です)
(私は、一大相撲ファンとして、横綱朝青龍の蛮行は絶対に許す事は出来ません。
精一杯の皮肉を込めてこの歌を詠みました)
(横綱だから外国人だからは許されません。どのような教育、育成をしたのか
親方(元朝潮)の教育者としての力量を疑います)

07年3月21日(
 先ず六輪ソメイヨシノの咲き初むる梢を囲むケイタイ、カメラ

(昨20日、東京(靖国神社)での「ソメイヨシノ開花宣言」風景です。
気象庁職員を取り囲むようにして、報道陣、一般の参詣者の方々が、
桜(基準木)の梢を見上げているなかでなされました。
未だ気温が低く、一気にとはいきそうにありませんが、いよいよの春本番です。
それにしても、ドイツのカメラクルーまでもが来ていたのには驚きです)

07年3月20日(火)
 立ち止まる冬の背撫づる北風にお彼岸の空は高々と澄む

(立ち止まってるのか?遅れて来たのか?今頃になって真冬のような冷え込みです。
今日などまさに冬晴れで、吸い込まれるような青空が見事でした)

07年3月19日(月)
 初雪だ名残りの雪だとかしましき三月半ば都心に雪舞ひ

(16日の朝方に降った、東京での最も遅い記録を更新した初雪です。
私としては、いっその事降らずに終わってくれた方が、
記憶に遺るんじゃあないかと期待してたんですが、残念!でした)

07年3月18日(
 武骨なるシラス漁師の掌に躍る透明な命は春陽のなか

(駿河湾でシラス漁が解禁になって・・・と、漁の様子がテレビニュースで放映されました。
掌に掬いとったカタクチイワシ(シラス)の稚魚は、透き通っていてピチピチと元気です。
が、本当は苦しんで大暴れしてるんですよね、人間は残酷ですね、
己は食物連鎖の一員ではないんですから)

07年3月17日(土)
 あした咲かんと気負ふ蕾に見る春は桜の彩(いろ)のほんのり差して

(折角開花予想(予報)(18日→23日)を修正しましたのに、現実は皮肉です。
昨日の時点で、靖国神社の基準木で3輪咲いたとマスコミが大騒ぎをしていました。
あと2.3輪咲くと開花宣言となりますが、東京管区気象台はヒヤヒヤものでしょう。
今日の東京は、春の陽が燦燦で風も無く「あったかいですよ〜!」だそうです)

07年3月16日(金)
 春寒にすくめし首をかすめゆく風にかそけし沈丁の香の

(今日、東京に初雪が降ったと気象庁が発表しました。
これ迄の一番遅い記録は2月10日で、47年ぶりに塗り替えたようです。
練馬でも、7時頃から8時前迄舞うように降りましたが、積もるまでもなく消えました)
(沈丁花は盛り、桜ももう直ぐのところまできているというのに・・・この寒さは異常?)

07年3月15日(木)
 餌に群るるスズメのおしゃべり楽しげで学んでみたし鳥語とやらを

(庭の餌場に群れてるスズメ達のおしゃべりが賑やかです。
若し、何を言ってるかが解ったら?、楽しい!だけでなく、聞いて腹の立つような事だって
あるんでしょうから・・・、止めといた方がいいんでしょうね)

07年3月14日(水)
 ひと肌の温くさの酒に酔ふ宵はガラス戸叩く風さへ恋し

(こんな夜もあります)

07年3月13日(火)
 連敗がガチンコなればあの騒ぎ矢張りと膝打つテレビ桟敷に
(ガチンコで勝てない?・・・相撲ファンならずとも)

勝てばそれ負ければなほさら八百長と朝青龍の土俵の険し
(勝てば・若しや? 負ければ・やっぱり)

買ったのかいや勝ったのか横綱を土に這はせし力士の笑顔
(勝ってなんぼの世界、金星を掴んだ時天空の笑顔が爽やかです)

潔白を証明なさんと横綱とすまふ力士の汗の光りて
(横綱に○星を売ったと、言われては力が入ります)

鷲掴む懸賞金に知る重さ横綱に勝つことの重みを

(横綱に勝っての、22本(110万円)は金額だけではありません)
(まさかとは思いますが、初日、時天空、二日目、雅山に敗れての黒星発進。
「週刊現代」が星を売ったの買ったの八百長だのと大騒ぎした後の本場所です。
皮肉にも、ガチンコでは勝てない、と、自らが証言したような結果となってしまいました。
協会が名誉毀損と告発しましたので、司法の場で争われる事になりそうですが、
三日目の今日は、普天王に難なく勝って初名乗りを受けました)

07年3月12日(月)
 <芝浜>を語り納めに高座をおりる円楽の背よ夢であれかし

(三遊亭円楽さんが、東京の国立演芸場の「国立名人会」での高座で「芝浜」を
演じたのを最後にこの度引退を表明しました。脳梗塞の後遺症で思うような
語りが出来ないから、と言うのが理由のようですが、最後となった高座
には沢山の観客から励ましの声がとんだようです。惜しいの一言です。
落語の「芝浜」は私も大好きで、何度聴いてもその度に、
落ちの「よそう。また夢になるといけねぇ」が実に見事に納まります)
あれかし・「夢で」あってほしい

07年3月11日(
 雨音に目覚めし未明春なれや重たきものの澱みてをりぬ

(未明から降り出した強い雨のせいでしょうか、
何時もの朝と違うボアッとした空気を感じました。
春ですね。
昼前になって雨が止み、雲間から強い陽が射してもきましたが、
吹く風が強く、「外は寒いですよ〜!」だそうです)

07年3月10日(土)
 身ひとつを絞りて歌ふ♪おふくろさん 他人(ひと)の手になる詩と知りつつも

(私が健常であった頃、森進一の ♪おふくろさん を好きでよく歌っていました。
ややもすれば、物真似っぽくなり勝ちな歌ですが、自分のお袋に想いを
重ねるように腹の底から声を振り絞ったものです)
(この歌は、今物議を醸してる「改作」騒ぎからヒントを得て作りました)

07年3月9日(金)
 <炊いたの>とはんなり一言添へて届きしくぎ煮を噛みしめ噛みしめて食ぶ

(明石に住む友人から、今年も「くぎ煮」が届きました。
添えられた一筆箋に「瀬戸内の春です。私が炊いたのを届けます」とありました。
炊いたののイントネーションは、関東の 煮たの!と違って耳に心地よい響きがあります。
今年のは解禁直後ということで、未だ小粒の「イカナゴ」が山椒と生姜の二味に炊き分けてあり、
結構なお味に仕上がっておりました)

07年3月8日(木)
 頬を刺す風に見上ぐる桜樹の梢に見たりあしたの春を

(ちょっとした寒が戻ってきたようです。
日本海側では雪のようで、こちら関東は久し振りの冬型の気圧配置となって、
典型的な冬晴れです。昨日気象庁から発表された桜の開花情報によりますと、
東京は18日で、あと10日程で咲くとのことでした。そんな情報が、成る程と肯ける
ほどに我が家近辺の蕾は大きく膨らんでいます)

07年3月7日(水)
 車に靴、カメラ、へら竿、マイクまでみ〜んな持ってけ!ALS奴!

(それでもと、捨てきれずに未だに我が家のアチコチに陣取ってる趣味用の道具一式。
趣味以外の衣服に靴類を加えると大変な量ですが、そろそろ捨ててもいいかなと・・・。
カメラ道具一式は大部分を娘婿に進呈しましたので、少ししか残っていませんが、
「へら鮒」釣用の竿の数々に道具一式、登山靴にトレッキングシュ−ズ、
登山用に釣用の衣服等々全てに愛着があって捨て切れません。
マイマイクだけは持ってませんが、これはカラオケを表しています。
車を含めた私の趣味全てをALSは奪ってゆきました)

 
07年3月6日(火)
 厨辺に鎌首もたげて菜花らは真(まこと)の春陽を捜してをりぬ

(御浸し、にと買って来た「菜花」の束が、光を求めてでしょう背を伸ばし鎌首をもたげました。
蕾も膨らんで黄色いものが今にも咲きそうですが、この生命力にはいつも感心します)

07年3月5日(月)
 目薬を点して横たはり独り寝のベッドに夢の美しき追ふ

(目薬はベッドに横になってから点しますが、一日の疲れを癒すためのもので、
決して美しい夢を見たいがためのものではありませんが・・・・・)

07年3月4日(
 浅春に食むタラの芽の匂ひたつハウスに生れし春の香と味

(昨夜、天麩羅にして戴いたタラの芽、ハウス物ながら香りも味もが、
しっかりと春を主張していました。美味しかったことは言うまでもありません)

オオイヌノフグリが青き灯を点す桃の節句に彩(いろ)を添へんと

07年3月3日(土)
 受話器より洩れくる声に耳立てる聴きゐる老妻(つま)の笑顔につられ

(孫娘からの電話は一服の清浄剤です。
今日はお雛祭りです、<コンバンパーティーするの!>
をニコニコしながら聴いてる妻の様子で、すぐにそれと分かって私も聞き耳を立てました)

07年3月2日(金)
 燦燦の春日を浴びて冬枯れの林ひとつが笑ひてをりぬ

(葉の全てを落とし枝のみの雑木林ですが、もうすぐ芽吹きの季を迎えます)

冬枯れの木々に囲まれ見あぐれば青澄む空に半月淡し

(光が丘公園の雑木林に立って・・・・・)

冬枯れに静もる池の面に影を落とししゴイサギ固まりて佇つ

(この時期に観るということは、ちょっと不思議な事ですが・・・)

冬枯れの池辺に甲羅(こう)干す石亀に吹く風寒し春まだ浅く

(のんびり屋さんで冬眠の機を逃したか、慌て者で温い冬を春が来たと勘違いしたのか?)

07年3月1日(木)
 秋に日の落つるにも似て冬が逝く三月一日春日(はるひ)燦燦

(28日しか無かった2月が、突然!と言う感じで終わってしまいました。
気象学的には、2月いっぱい迄が冬で3月に入ると春とよばれるようです。
ストン!と冬が終わって今日から春、まさにそのとおりで、気温は昨日よりは
低いようですが、快晴で風が無くって家の中はポッカポカです)

07年2月28日(水)
 誰ひとり我を咎める人のなくALS(やまひ)と歩む日々の寂しき

(この度の放送の直後から、沢山の知人、友人から、電話、メール、そして
訪問を受けまして、妻と二人で嬉しい悲鳴を上げ続けていますが・・・・・)

07年2月27日(火)
 離れ住む母の介護と吾の介護ヘルパーさんは休むを知らず

(私の処へ来てくれてるヘルパーさんのお一人が、
仙台にいらっしゃるお母さんの介護に行ったり来たりされています。
ご自宅では、お母さんとしても大忙しで、ここ数ヶ月は寝る時間も惜しんで
のことと思いますが、身体を壊されなければ・・・と祈るような毎日です)

07年2月26日(月)
 風邪引きてマスクに顔を隠しゐる妻との距離を測りてをりぬ

(妻は、私の専属ヘルパー兼マネージャーでもあります。
なのに、遂に風邪をひいてしまいました。私の介護は、ヘルパーさん達が
月/約220時間を受け持ってくれていますが、残りの部分は妻が担当してくれています。
と言う事は、代ってくれる人がいませんので大変です。体調が悪くとも休めませんので、
大きなマスクをして対応してくれてますが、感染が怖く、この5日間はヒヤヒヤものでした。
今日になって声も体温も、当然体調も良くなりましたので、もう大丈夫と思いますが)

07年2月25日(
 病む日々にあしたがあるを身をもちて語る人らをテレビに視たり

ALS(やまひ)ゆゑ笑顔も作れぬが文字盤を追ふ目は笑ふあしたを信じ

(昨晩放送された、
NHK・ETV特集 「”生≠フかたち」
難病患者からのメッセージ、生きるとは何なのか?
人工呼吸器を着けるか死か
取り戻した生への希望
を視て)

07年2月24日(土)
 秒針が刻むリズムに支配さる真夜に耳鳴り寄せては引いて

(右耳の閉塞感と耳鳴りはすっかり定着してしまいました。
閉塞感は、どっかの弁が動き悪くなった所為、だそうですが、
何れは手術と聴くと穏やかではありません。耳鳴りは、のべつ幕なしで
チーチーが大きくなったり小さくなったりと止むことがありません、静かな夜は尚更です)

07年2月23日(金)
 清拭(せいしき)に身体ひとつを剥かれゐてポッコリ出でし腹など観てる

ポッコリと膨らむ腹をポン!と打ち「立派ですネ!」とヘルパーさんは

(アチコチ(顔以外)の筋肉が落ちて痩せ細ってしまいましたが、
その分がお腹に集まって?しまい、体重は一向に減りません)

07年2月22日(木)
 廉いでしょ!この大根が百円よ! ハイハイゆんべも戴きました

(暖冬だけが犯人?ではないようですが、大根も白菜もが大豊作で、
出荷を止めて処分までされています。それでも市場価格は上がらず、
立派な大根が店頭では一本100円を切る値段で売られているようです。
一昨日も大根のフルコースを戴いたばかりでしたのに、また買っちゃった!そうです)
(因みにフルコースとは。朝のオロシ、糠味噌漬け、味噌汁の実、
夜の大根サラダ、サイコロ状の炒り煮、鰤大根、でした。ご馳走様)

07年2月21日(水)
 酔ひ潰れ綿のごとくに眠りたく医師に背きて呑む酒不味し

(こんな日もあります)
が、私は、酔い潰れた事は一度もありません。
などと、大層な口を利きますが、種を明かしますと、
その前に酒が不味くなって呑めなくなってしまうからです。
主治医からのご指示は、ビールのロング缶(500ml)一本迄、
これさえ、この頃は美味しく飲み切ることが出来なくなりました。
動かないんですから当たり前でしょうが、これでは、酔い潰れるには至りません。

07年2月20日(火)
 池袋地下街埋めて声もなき人らの黒き流れ行き交ふ

(昨日、池袋の地下街を、人の群れを縫うようにして丸の内線駅改札口へ向かいました。
山の手線、埼京線、西武線、東上線、丸の内線、有楽町線が集まっていますので、
その混雑たるや凄いものがあります。でも、不思議なほど整然としてて、
混乱する事なく右へ左へと流れていきます。車椅子でも、
流れにさへ乗ればお邪魔することなく目的地へ
スムースに向かうことができます。
季は冬、押し並べて皆さん黒っぽい物を着てらっしゃいますので、黒き流れとしました)

07年2月19日(月)
(昨18日(日)に行われた新東京マラソンを)

 整然と街もコースもランナーも東京マラソン氷雨に濡れて

都庁発ビッグサイトを目指す群れ競うにあらず嬉々とし流る

氷雨降る東京の街をランナーの群れが蠢く氷河のごとく

ゴール成すランナー押し並べ笑み湛え有難う!に楽しかった!を

CMと氷雨に祟られし放映をぬくぬくと観し東京マラソン

(参加ランナー総数・30.870人(内、海外から・2.000人)(医師ランナー100人)
完走ランナー数・29.852人 完走率・96.7%
ボランティアさん・12.000人
警視庁の警備態勢・5.000人
東京消防庁の救急配備態勢・400人
仮設トイレ・786基(これでも、冷え込みの影響で長蛇の列が)
(給水ボトル・40万本 同、スポーツドリンク・22万8千本 バナナ・42.000本 
パン・12.000個 人形焼・6.000個 を沿道で配布)
手荷物運搬用11dトラック・40台(スタート地、都庁よりゴールのビッグサイト迄) 
交通規制・6時間30分 マラソン制限時間・7時間 沿道、イベントの観衆178万人)
(新尽くめの東京マラソンもこうして混乱も無く成功裏にゴールとなりました)

07年2月18日(
 幼児(をさなご)は野鴨の群を右に左にパンくず使ひ束ねて遊ぶ



(光が丘公園の池での様子です。沢山の野鴨が群れて、餌を探しています。
ハトには、遣らないで!、と書いてありますが、遠来の鴨はお客さんなんですね。
3歳ぐらいの男の子がお母さんから受け取っては、右に左にと投げてやってますが、
まるで調教されてるように、沢山の鴨が先を争って右往左往してはパンくずを口にしていました)

07年2月17日(土)
 喪失せしもの惜しみつつ聴き入りぬテープに遺れるわが歌声よ

(残念ながら、もう歌えません!と言いましても短歌ではなく、カラオケの方ですが。
腹筋の力が弱くなって、咳さえまともにできないんですから当たり前ですが。
この度カラオケ仲間の一人を、癌で突然のように亡くしたのをきっかけに、
かっての、自分の歌を聴いてみました。残念ですがもう新しく吹き込む事はできません)


07年2月16日(金)
 辛酸も苦汁も甘露も嘗(な)めましたALS(エイエルエス)と八年余り

(この八年、いろいろな事がありました。)
(この後も、元気?でいる限り、同じような事が繰り返されることと思いますが)

07年2月15日(木)
 春一番吹き荒(あ)る未だ降雪の観測なきまま雨を伴なひ

東京を狙い撃ちしか春一番雪を追い越す早業を見せ

(立春を過ぎたんですから、暦の上ではもう春なんでしょうが、体感的には・・・?)
そんな東京にも昨夕、強めの雨と共に一陣の強い南風が吹き抜けました。
後に「関東地方にも春一番が吹きました。初雪を観測しないままに春一番が吹いたのは、
観測史上初めての事です」と気象庁より発表されました。因みに去年は、3月6日でした)

07年2月14日(水)
 リニューアルせしとふ夕餉の牡蠣鍋に溢れんばかりの白菜シャキッと

(前日食べ残した(と言うより、多過ぎて)「牡蠣鍋」に、
白菜その他の野菜を新しく加えただけで夕餉の膳に出てきました。
「牡蠣鍋風冬野菜よせ」なんだそうですが、肝心の牡蠣は、シッカリと
熱が通って噛み応えのあるものに変身していました。
お陰でノロウィルスの心配は100%ありません)

07年2月13日(火)
 スズメらが餌(ゑ)を啄ばむを見るカラスそれを見ながらお茶などすする

(お隣のベランダの手擦りに止まって、じっとこちらを見てるカラスが物欲しそうです。
それもそのはず、12,3羽のスズメがヒマワリの種や、牛脂に群がって賑やかです。
カラスは人影が見えたりするとけっして庭へ降りてきませんので、
涎を垂らしながらのことと思います)

07年2月12日(
 東京にて大手町なる気象庁に雪未だ降らず新記録成る

(私が住む練馬では、1月20日(土)に10分程でしたが雪が舞いましたので、てっきり
「東京に雪が降った」と思っていましたら、皇居のお堀端に在る気象庁付近一帯では、
未だに無降雪で11日以降その記録を伸ばしつつあると発表されました。昨日も今日も
ピンカンで12.3度、雪の影など何処にもありません。この分だと、初雪どころか降らない
ままに本格的な春を迎えてしまいそうです。当然ですが氷だって未だにです)

温くあらずさりとて凍ゆるにもあらず中途半端なる冬の優しさ

07年2月11日(
 泣く者あり笑ふ者ありさまざまの影響のこし暖冬ぞ往く

(雪が少ない事で営業日短縮のスキー場、スキー国体、雪祭りも四苦八苦、
氷が張らず氷上ワカサキ釣が出来なかった釣宿業者らが、泣いた代表格でしょうか。
対して笑って喜んだ人は以外と少なく、フルにオープン出来たゴルフ場に、
除雪費用が浮いた行政ぐらいでしょうか。
何れにしましても、言うまでもない事ですが、冬は寒い方がよろしいようですね)

07年2月10日(土)
 没(い)りのこる月が見おろす 如月の凛とこごゆる朝(あした)の街を

(青く澄み渡った朝の西空に、白い半月が浮いていました)

07年2月9日(金)
 風立ちぬ春立つあしたの吾が街に南の風がふんはり立ちぬ

(立春を境に一段と暖かくなりました。5日が15.1度で南の風、
6日は16.5度にも上がって西寄りではありましたが、柔らかい風に包まれました)

07年2月8日(木)
 イライラしてヘルパーを待つこれがもし恋人ならばと時計を睨み

(イライラとドキドキでは同じ待つにしても大違いですね)

07年2月7日(水)
 俺様の棲家と知ってか蟻ん子よ冬日溜まれるリビングに遊ぶは

(まさか遊んでる訳はないんでしょうが、小っちゃいのが一匹歩き廻っています。
メジロ用の蜂蜜を置いてますので、匂いを嗅ぎつけて入り込んできたものと思います。
冬越し用の食料が底を突いたということは、備蓄を怠った間抜けな奴ってことですね)

07年2月6日(火)
 友が逝く我を励まし呉れゐしに我の励まし聴かぬがままに

祭壇に艶(あで)やかに笑む遺影ありて別れの言葉呑み込みて辞す

(妻と共通のカラオケ仲間だった友人(女性)が、突然のように逝きました。
大柄で色白で、着物が似合って舞台でスポットライトを浴びると一段と輝く女性でした。
このところ、姿も噂も途絶えていましたが、まさか死ぬほどの大病をしてたとは・・・・・。
私を励ましてくれてましたのに、もう励ますことができないなんて・・・心が痛みます。合掌)

07年2月5日(月)
 暮れなずむ街に夕月懸かりゐて点き初めし街灯(あかり)と競ふがごとし


(我が街、桜台 の夕景色です)

07年2月4日(
 喰ふ犬がゐなくも収まる妻と吾の喧嘩は介助を頼むを機とし

(どうしたものか、よく衝突します。他人様から見ると馬鹿馬鹿しい事だと思いますが、
今朝も一発やりました。がしかし、私が何かを頼んだ時点で一気に氷解復元です。
お互い腹に据えてるものは「凍結」したままに、微妙なバランスを保つことで
夫婦をやってるものと思います。ほんとのところは、偉そうな事を言える立場に
私がない事ぐらい百も承知をしてるんですが、どうにもいけません。
反省の意味を籠めてこの歌を作りました)

07年2月3日(土)
 臥せをれば豆撒くニュースに目をそらす虚しく響く「福は内!」にも

(今日は節分、例年どおりの節分会風景がTVニュースで放映されました。
どちらのお寺さんでも吉例の「福は内」のみ、肖りたいとは思いますが、
虚しいと聴く自分がいたりします)

(と言いながら、こんな歌を詠む私もいます)
妻の撒く豆に打たれつつ願ひしはALS(やまい)の治癒とふ「福は内」にと

肩であれ尻であれさかんに叩かれて梅は咲き満つ立春をあしたに

(我が庭の白梅はもう満開です。日当たりがいいのは勿論ですが、
北側が壁ですので「日溜まり」状態のせいだと思います)

07年2月2日(金)
 リビングにて夕焼け雲に見護られつつ介護入浴金曜四時半

(週一の入浴は、介護業者から派遣されてくる若者3人の手でして貰っています。
リビングに持ち込んだ、組み立て式の湯船を据えての事ですが、
外の景色や大空を見ながらは、まるで露天風呂のようです。
流石に、この度のNHKのカメラ取材はお断りしましたが)

07年2月1日(木)
 入日に向き歩むに前を行く人のシルエットの影がゆらめき止まぬ

(昨夕、病院から地下鉄駅へ向かう道でのことです。ビルの向こうへ没しそうな太陽が、
目線よりちょっと上にあってギラギラと輝き、前を行く人がシルエットにしか見えません。
長く伸びてる影を追うように歩きましたが、地下鉄駅への道に折れるところで別れました)

07年1月31日(水)
 花どきの陽気に背押され冬枯れの街を医師待つ病院目指す

(1月31日、まだ寒中だと言うのに今日の東京は最高気温が14.8度にもなりました。
4月上旬、桜が咲初む頃の陽気です。一口に「暖冬」などと括ってるようですが、
2ヶ月をも跳び越したとあっては「異常」としか云いようがありませんね。
風もなく穏やかで暖かな街でしたが、並木の冬芽はまだまだ硬く
じっと身をひそめて本当の春を待っているようでした)

07年1月30日(火)
 北風に冷えしコートを脱ぎ捨てて「暑いッ!」と妻はストーブを消す

(昨晩外出から帰って来た妻が、開口一番 <暑いッ!> 室温は22度に設定して
いますが、外気温との差に慣れるにはちょっとした時間が必要なようです)

07年1月29日(月)
 芝生辺に寝転ぶ自転車よ何してをる駄々をこぬるや疲れてゐるや

街灯に縛(いまし)め受けゐる自転車よ何しでかしたこの寒空に

(放置自転車二態です)
(前者は、光が丘公園の、芝生広場脇の遊歩道に転がっていたマウンテンバイク。
後者は、歩道の街灯に鎖で繋がれた普通の自転車です。
何れもがルール違反を承知で置かれたものですが、自転車に罪はありません)

07年1月28日(
 苔の生すクスノキ冬日を遮りて根方のベンチは人待ち顔で

(この歌も、先日行った光が丘公園での一コマです。周りを木立に囲まれた広場に、
苔生した大きな楠が3本あり、その内の一本に「クスノキ 練馬区の樹」との碑が
ありました。根方を取り巻くようにベンチが置かれていますが、高く、広く枝を張って
ますので日差しが届かず、日向ぼっこには不向きとみえて腰掛けてる人は皆無、
これが夏だったら、強い陽射しを避けて憩う人でいっぱいでしょうに)

07年1月27日(土)
 小春日の溜まりしリビングにぬくぬくと夕陽に透ける月など観てをり
(16:00時頃半月に近いものがほぼ中天に在りました)
(東京練馬のこの冬は、兎に角北風が吹きません。例年ですと山へ大雪を降らせた
空っ風が、3.4日を周期として吹き抜けるんですが・・・。安定した冬型(西高東低)
の気圧配置が現れないとかで、関東名物の「冬晴れ」も数えるほどしかありません。
凍らない、雪が降らない冬は、外仕事をする人にとっては好都合でしょうが、
「冬」を売ってる人々にとっては死活問題だ、とも報じています。
尚、今日は雲間から陽が差し、ほぼ無風で最高気温が14度でした、異常事態ですね)

07年1月26日(金)
 枯れ葉積む雑木林は静もりて餌(ゑ)を漁るツグミの足音ばかり

(水曜日でした、ヘルパーさんに連れられて、光が丘公園へ散歩?に行ってきました。
冬枯れの広大な公園はいつもとは違う趣があり、散り敷いた枯れ葉を踏む音などは、
静かな林の中に心地好いものでした。尤も、踏む感触を楽しむことは当然出来ず、
ヘルパーさんに代わりに歩いてもらったものですが、その落ち葉をたっぷりと敷き詰めた
林には、沢山のツグミキジバトに、二羽のセキレイもいて盛んに餌を啄ばんでいました。
その他に、ウグイス、メジロ、シジュウカラ、ヤマガラ、ジョウビタキ、カワラヒワ、ヒヨドリ、オナガ
凡そ都会地で見られるもの全てに遇ったって感じでした)

07年1月25日(木)
 屠蘇気分ぬけし二十日に読みなほす賀状に想ふ各々の新春(はる)

(戴いた年賀状の仕舞い込みを前に、お年玉抽選番号の確認をしてから
一枚一枚をもう一度見直しました。半数以上の方が近況を書き足して下さっています、
加え私めへのお気遣い、落ち着いたら返信をと思いつつ、未だに出来ないでいます。
そうそう、今年は珍しく「切手シート」を4人様から戴きました)

07年1月24日(水)
 掴む藁なくてもがきし八年を愛しと想ふ現在(いま)安穏にして

(あれから8年、今になって「あの頃は・・・」がちょくちょく出るようになりました。
あの 辛い日々、体験 を笑顔で語ることができるのは、沢山の皆さんの
お陰あってのことで、安穏とした今があるからこそと思えるようになりました)

07年1月23日(火)
 「外は寒〜いッ!」のヘルパーさんと冬談義われは布団に温く温くと居て

(朝の8時、冷え込みの中を自転車をとばして来てくれるヘルパーさんと、
布団に包ってぬくぬくとしてる私が、この冬の寒さを語り合うんですから・・・)

07年1月22日(月)
 年金を孫を艶歌をそれぞれに語る友らと酒酌み交はす

(妻と共通のカラオケ仲間(おばさん達、失礼!)との数時間でした)

07年1月21日(
 美しくひるがへり舞ひ初雪の地に着くせつなにはかなく消えゆく

(昨日の昼頃、思わずオオッ〜!と声をあげるほどに美しい雪が舞いました。
ほんの10分程のショーでしたが、積もるどころか地上の物に触れると
同時に融けるという淡〜い淡〜い東京の初雪でした)

降り積もることなきままに初雪は舞ひつ躍りつ踊りつ舞ひつ

07年1月20日(土)
 冬枯れにひとり八手の白冴えてこの寒空に何をか言はん

(我が家の八手は未だに咲いています。何もこんな寒い時期に咲くことはないと思うん
ですが、メジロがつついてますので、蜂の代わりに授粉をしてやってるのでしょう)

07年1月19日(金)
 枝から枝へ渡るメジロに身をまかせ白梅楚々と匂ひて小春



(日ごとに花の数を増している白梅ですが、咲くそばからメジロが蜜を吸っています。
よく見てますと、5.6輪で充分のようでミカン、牛脂(鳥篭の中)へと移っていきます)

07年1月18日(木)
 「納骨を済ませました」の挨拶状 病友ひとり仏となりぬ

(昨年の12月、6年半をALSと過ごした病友が亡くなりました。
四十九日の挨拶状を前にしての一首です。
闘う術の無い闘病生活、お疲れさまでした。ご冥福をお祈りします 合掌)

07年1月17日(水)
 執拗に吾を追ふカメラは何を視んALS(えいえるえす)を診らるる部屋にて


(1月14日録画撮りに為にセットして頂いた診察の様子です)

1時間半にも亘って先生ご自身のALSへの関わり方から、治療に関する情報等々、
普段の診察では凡そ訊けそうもないようなお話を聴くことができました。
放送では殆どの部分がカットされる事をご承知の上でのことに、貴重な休日を
犠牲にしてまで対応して頂いたことに深く深く感謝した次第です。
それにしても、テレビカメラの執拗さには呆れるばかりです。
これで全ての撮影が終わり3月の放送に向けて編集作業に入るそうです)

怪訝げに見つむる人らを背に我はカメラクルーを従えてゆく

07年1月16日(火)
 凛と聳つ冬富士西に輝きて千万都民の暮らしを睨む

都心(恵比寿)からの冬富士(視程約100km)
(東京都民1300万のシンボル、いえいえ、日本のシンボルですね。
富士がスッキリと見える日は、高気圧におおわれることで晴れて空気が澄んで、
こんな日は、どなたでも晴れやかな気分になれること請け合いですね)

07年1月15日(月)
 孫娘(まご)の目に光るものあり同じものを目に溜めババは見送る背なを

(もうと云うかやっとと言うか兎に角13日間居座った孫台風が昨日大船渡へと帰って行きました。
今となってはお決まりのお別れ風景ですが、上の孫(7歳)が「お別れするのヤダッー!」と
泣いて嫌がります。おばあちゃんと抱きあって別れを惜しむと落ち着きますが、
 お互いが目にいっぱいの涙を溜めてのバイバイです。私ですか?私は・・・訊かないで下さい)

07年1月14日(
 冬晴れに浮く三日月は淡淡し夜空にするどきそれとは異なり

(昼間の月なんて、夜明けの行灯同様、およそ愛でる対象とは縁遠いもの
とは思いますが、白っぽく淡い感じの月が青空に浮いてるのもなかなかの風情です。
皆さんも一度ご覧になってください、今日は11時頃迄南の空にいましたよ)

07年1月13日(土)
 うかららは一つ顔にて帰り来ぬディズニーランドに遊びし宵に

(ディズニーランドできのう一日を遊んだ娘一家4人が、それぞれの「楽しかった!」
を土産に帰ってきました。孫娘二人は云うまでもありませんが、おとな二人も同じように
ディズニーランドを引き摺っていました。何度行っても飽きないし楽しいんだそうです)

07年1月12日(金)
 暖冬と言はるる冬も厳しかりALSに臥せて八度目となり

(呼吸器を着ける必要のない私が、こんなこと言うと叱られそうですが・・・)

07年1月11日(木)
 臥して辿る棚の書籍らの背表紙に思ひ出多く夢路に落ちゐき

(書棚に並ぶ、本の背表紙一冊一冊を読んでる内に眠りに落ちたようです)

07年1月10日(水)
 蒼く澄む宵空つき抜くるビルディング灯のパズル模様を抱へて立てり

(暮れてすぐの頃、空一面が蒼色に染まる一瞬があります。一瞬といっても瞬く間ではなく、
 ゆっくりとなずんでゆきますが、昨夕がそうでした。空を衝き抜くように建ってるビルの灯りが、
クロスワードパズルを想わせて見事です)

07年1月9日(火)
 <神の手>とまでは言はねど願はくば孫抱く腕の一つもあらば

(その昔?サッカーで、アルゼンチンのマラドーナ選手が、「神の手」でゴールした話は
余りにも有名ですが、今では、「神の手」を持つと言われる脳神経外科の医師が、
度々テレビ番組に登場して有名です。何もそれほどの手でなくとも
いいんですが、右手一本でも動いてくれればと・・・)

07年1月8日(
 孫といふめんこい幼がふたりゐて先生やったり保育士したり

階下にはご免なさい!と詫びをしつ笑ひ転げる女孫に魅入る

(泣き、叫び、笑い、走って、転び、転がり、とにかく賑やかです。
あのエネルギーが、羨ましい!)

07年1月7日(
 手抜きでも朝餉の見事七草にお澄まし顔の御節が並ぶ

(お正月も早いもので今日はもう7日。お客様も子供も孫も、手をつける程度で
一向に減らない御節が、リニューアルセットされて今朝の食卓に並びました。
私は、飽きたなどと贅沢なことは決して口にしませんが、動きませんので、
必然的に摂取量が減ってモリモリって分けにいきません。
毎日のように食べててこれですから、作る量っ 止めときます)

07年1月6日(土)
 「朝ですよ!」の声に起こされおめでとさん。ゆんべの夢は内緒にしとこ

(昨晩、というより明け方でしたが、4日遅れの初夢を見ました。
それが実にリアルで、今もハッキリと覚えています。逆夢であってくれればいいんですが・・・・・。
今年初めてのヘルパーさんに起こされましたので、先ずは、おめでとうから始まりました)

07年1月5日(金)
 お雑煮に飽きたかメジロら狭庭辺のミカンに群れて日がな一日

(50個ほど生った蜜柑でしたが、メジロとヒヨドリに食べられて、
残ってたのは20個ほど、今日二人の孫が「蜜柑狩り」とはしゃぎながら、
全部を採りきりましたが、無傷の物は12個だけ、でも初めての体験に大喜びでした。
メジロが雑煮を食べる筈ありませんが、お正月ですので遊んでみました)

07年1月4日(木)
 初のつく事をニュースに観つつ吾は初看護を受く正月四日

(正月四日は仕事初めの日、と言えば、毎年のようにお決まりのシーンが放送されます。
今日も、サラリーマンが駅から吐き出される様子、国会議員の伊勢神宮参拝、
証券取引所の大発会、富山の寒ブリの初セリ等々がニュース番組で放送されました。
それを観ていた私ときては、今年初となる手厚い看護を受けておりました)

07年1月3日(
 門松も注連縄飾りも無き商店街(まち)は「謹賀新年」と貼り紙にあり

(お正月も未だ3日、吾が町の商店街はひっそりとお休み中です。
近年は、門松、注連縄の類を飾るお店は、殆どと言っていいほどに無くなりました。
代わって登場したのが、門松を印刷した挨拶用紙、営業開始日が書き添えてあります)

「呑んで喰いゴロゴロしてた」人達を新幹線が次々と吐き出す

この幼子(こ)らを見せてきました、ジジババの喜ぶ顔がご馳走でした

次々と新幹線から降りる子らは「おばあちゃんちへ行ってきたの!」と

「明日からは企業戦士に戻ります」幼子抱く新米パパは

(Uターンラッシュが始まったと、テレビニュースがその様子を報道しています。
インタビューに答える人々を詠んでみました。
寝正月を満喫した人、孫に逢って大喜びのジジババを語る人。
どうした事か、おじいちゃんちへと言う子はいません、ここでも男は影が薄いようで。
パパ業は新米でも、会社へ行けば立派な戦士です。明日からの覚悟が聞き取れます)

07年1月2日(
 行く行くの予告どほりに孫台風オメデトウ〜ッ!に嵐の予感

(岩手に住む娘一家が2週間の滞在予定で来ました。
7歳と3歳の孫娘、普段は二人っきりの生活ですから・・・・・)

代参を妻に託しし初詣臥せるも息災なりしに感謝と

(欠かすことのなかった初詣、残念ながら行けなくなって早六年。
今年も、氏神さんへ詣でる妻へ私の思いを託しました)

07年1月1日(
 のどをこす若水凛と元朝に命を充たすすみずみまでも

よすがなきうつし世にゐて目出度きは初日拝みて屠蘇酌む元旦



(365日を、およそ浮世とは無関係の生活をしているんですが、正月だけは別です。
朝起き掛けに飲む750ccの水が、特別な物に思えるんですから不思議です)

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