日ごと日ごとに


ご町内でも、このようなものが見られます

 ようこそ! あなたは カウンター 番目のお客様です  



一日一首を義務づけて
私がんてつの身の周りに起こったこと、ALSとの格闘?の模様、
季節の移ろい、世の中の出来事までをも、三十一文字に纏めて、
日記のつもりで短歌らしきものにしています、どうぞ、ご笑読下さい。

2006年11月、私達ALS患者が集まって、現在迄の各々の体験を
岩波書店より 「生きる力」(840円) として、出版しました。
購って下さい、読んで下さい、印税は全額ALS協会へ寄付されます。
「生きる力」 へのリンクはこちら


・・07年版は「短歌のページ」へ収納しました・・



08年12月31日(水)
 元旦に手合はせ拝みしお日様がいま没(お)ちんとす大晦日(おおつごもり)



(この一年間を飽きもせずにお付き合い下さいまして誠に有難うございました。
来年も又、嘆き節、ぼやき節に終始するとは思いますが、身体が言う事を
聴いてくれる限り、<一日一首>を義務としてアップし続けますので、
どうぞ引き続きご訪問下さいますよう伏してお願い申し上げます)


08年12月30日(火)
 けふとあす残す二日のそのけふの暮れゆく様を窓に観てゐつ

(冬至から10日、心なしか日脚が伸びましたね。
冬晴れの雲一つ無い青空が紺碧となり、空の底が茜色に染まりはじめてから、
夜の帳が下りるまでをリビングの椅子に身を任せつつジ〜ッと見詰めていました。
これで晦日も終り、いよいよの大晦日一日だけとなりました)


08年12月29日(月)
 早々とシャッター下ろし年末の商ひ放棄す商店数多

張り紙に<年賀>を託す商店
(みせ)あまた新春(はる)の景況読めぬがままに

むなしかり<賀春>とあるもその実は不況の行方に脅えたゆとう


(年末商戦どころか、正月と無関係のお店がもうシャッターを下ろして
年賀の張り紙をしています。今年は、27日(土)から休みに入りましたので
余計でしょうが、地元の商店街が閑散としてるのを見ると、寂しさは一入です)


08年12月28日(
 「あさってねゆくから待って!」と電話に聴きしバ〜バは年玉の支度をなさん

(早速女房殿から額の相談がありましたが、どうやら据え置きのようです。
一方、誕生日とクリスマスプレゼントは、東京へ来た時に一緒に
買いに行って決める、約束ですのでこちらは未定です)

冬枯れの雑木林は木枯しをバックに<第九>を謳ふがごとし

(あの26日のおお木枯らしに、大きく揺れつつ耐えていた雑木林ですが、
木枯らしの吹き付ける音と樹々の触れ合う音が相まったものに包まれていました)


08年12月27日(土)
 出国と帰省ラッシュの始まりし師走の東京は青空の下(もと)

(ラッシュとは言え、今年は週末がいいところに在りますので、
最長だと9日もの休みがとれる所為か分散型となっているようです。
とは言え、航空機や新幹線の殆どが満席に近い状態で出発していった
というんですから、街中が日ごとに静になってゆくはずですね)


08年12月26日(金)
 人ひとり鉄路に命を散らしたる師走の闇の縹渺として

今日もまた<人身事故>とふテロップが師走のテレビにながれては消ゆ

<運行を見合せてる>と今日もまた<人身事故>が電車を停めぬ


(テレビ画面の上方に、
「人身事故により000線は上下線共に運転を見合わせています」が又か!
と言う程表示されます。言わずもがなですが、殆どが投身によるもののようで身に
つまされますが、師走に入ってから、又ぁ〜!というほど何度も目にしました。合掌)


08年12月25日(木)
 東京が空と交わるその辺りおいらを睨む富士山(ふじ)の眩(まばゆ)

(都心から望む富士山は、
丹沢山塊を前に置いて五合目
辺りから上だけですが、当然ながら
こちらを睨むように鎮座しています。
東京で視る天気予報に時々映し出される
風景ですが、何時見ても富士山はいいものです)


08年12月24日(水)

 冬枯れの桜並木は黒々と花芽をいだく冬空を背に

(今日は散歩と銘打った外出の日でした。生憎と曇りで寒く散歩日和とは
程遠いものでしたが、着たり履いたり被せたりの重装備で出かけました)

(一枚残らず葉を落とした桜の樹は、冬の陽に黒々として何かに耐えているようです。
花芽も未だ小さく、でも着実に春に向かっての準備はしているようですね)


08年12月23日(
 切る、削減!聞くだにおぞまし寒空に木霊す声に脅える君よ!

(若者のみならずかなりの年配者も派遣で働いてらっしゃるようですが、
その皆さんがそれぞれの事情を背負ってのご様子。それも好景気に沸いている時は、
労使双方が好都合と受け止め利用してた筈でしたのに、いざ不景気!となった
途端の大騒ぎです。天下の悪法と決め付けた評論家がいるところをみても、
派遣法が持つ「負」の部分を再審議する必要性があるようですね)


08年12月22日(月)
 未だこぬ「おしょうがつにいくからネ!」を待ってをります東京ジジは

(残すを10日となったというのに、岩手に居る孫娘からの電話がありません。
何でもお父さんの日程が決まらない所為とお母さんは云ってるようですが、
待ち遠しいことです)


08年12月21日(
 (ふ)るるごと温き南風吹き荒れし師走のけふは冬至とよばる日

そそくさと冬陽の落ちし街に吹く強き南風冬至を温くむ


(師走それも冬至だというのに、東京の街を南の強風が吹き荒れました。
最高気温が19.8度と11月初め頃の陽気というんですから呆れます。
これも地球温暖化の所為なんでしょうか?)


08年12月20日(土)
 臥せてなほ師走を忙しと覚えどもただ暮れゆくを見送るばかり

(師走イコール忙しい、は世の常人の常ですが、病人といえどもご多分に洩れず状態で、
意味もなく忙しい感に追い立てられています。もう残すを11日となってしまいました)


08年12月19日(金)
 じゃあ又と帰りく友の背に誓ふその又の日を絶やさぬことを

(時々来てくれる友人が、帰る時にかけてくれる言葉に
元気を貰ってますが、若しもの事などないように・・・・・と。
昨日の主治医の言葉を受けて少々ですが弱気になってしまったようです)


08年12月18日(木)
 冬空に血涙で<怒>と大書なしこの一年の納めとなさん

(私のこの一年を漢字で表すとしたら、<怒>。
弱い立場にあって、せめてもの鬱憤晴らしです)


08年12月17日(水)

 ALSを愛しと想はばともにこし<暮らし道具>の手放し難し

(ALSに罹ったことで不要になった物は勿論ですが、
不自由になったことを補う為の物の中に、進行につれて使えなくってしまった物があります。
捨てることは簡単ですが、愛着がそれを許しません)


08年12月16日(火)
 いま金魚むかしカナリヤ人様の命のために命を懸けぬ

(もう昔になってしまいましたが、オウムのアジトへ踏み込むときに鳥篭に入ったカナリヤが、
毒ガスのセンサー役にと先頭に立たされていました。遡って大昔にも、炭鉱のガス検知役に
小鳥が使われていたようですが、こちらはカナリヤだったかどうかは定かではありません。
一方金魚は現代のお目付け役、排水中の毒物残留濃度を身をもって監視?してくれています)


08年12月15日(月)
 臥せをればこそ一回の休みなく<篤姫>視納む涙とともに

(きっと皆さんもご覧になったことと思いますが、
NHK総合で放送された大河ドラマ「篤姫」が昨晩で完結しました。
元気に働いてた頃は絶対見なかった連続物、一時ビデオに録って視たりもしましたが、仕事
と趣味に追いまくられて視る時間が作れず、止めていました。とは言え、日曜の夜8時に必ず
テレビの前、というのもしんどい事で、矢張りビデオに録って都合の良い時間に視た次第です。
それにしても、私をこれ程までに惹きつけたのは、田淵久美子の手になる脚本の面白さと、
お若いのにあれだけの演技が出来た<天璋院篤姫>役の宮崎あおいによるものだったん
だろうと思います。人間賛歌とでも言いましょうか、久し振りにいいドラマを見せて貰いました)


08年12月14日(
 カラオケで思ひっきり!の忘年会そんなの夢さと醒めたるわれは

(未だに、いやいや、もうとっくに諦め、いやいや、超越しています)

08年12月13日(土)
 物思ふ己を遠くにみるわれの笑顔寂しき冬日の暮れぬ

(ご自由に、ご判読下さいますように)

08年12月12日(金)
 一年を総括なすと<変>と読む、なるほどなるほど今年は<変>ぞ!

この年を<変>で括れど<変化>なす来年
(あした)は輝く笑顔とならむ

(今年を表す漢字は<>。
日本漢字能力検定協会が全国公募した「今年の漢字」が12日、
京都市東山区の清水寺の森清範貫主の手によって発表されました。
11万1.208人の応募中、「
」は全体の約5%にあたる6.031人でトップ、
2位は「金」(3.211人)、3位は「落」(3.158人)。日本の総理の交代劇や、
オバマ氏の「チェンジ」など政治の変化、株価暴落や円高ドル安など経済の変化
地球温暖化の深刻化などの気候異変、スポーツ、科学分野での日本人の活躍に
表れた時代の変化など、良くも悪くも変化の多かった一年を象徴したもののようですね)


08年12月11日(木)
 撮り溜めし富士山(ふじ)を賀状に設へて撮影地への難儀を辿る

(年賀状は、自分で撮った富士山の写真で、と決めてもう何年になりましょうか。
今年も、山梨の九鬼山から撮った朝焼けの富士山を年賀ハガキにプリントし終えました。
あとは宛名書きですが、真っ暗な中をヘッドランプを頼りに、寝不足で言う事を利かない
足腰を、鞭打ちながら登った時の事を、昨日のことのように思い出したものです)


08年12月10日(水)
 黄葉を踏みしむ音を耳にすも足裏さみし車椅子にて



(イチョウの落ち葉が、
地面を黄一色に染めるほどに敷き詰めた道を車椅子で通りましたが、
残念ながら、あの落ち葉を踏む感触だけは味わうことが出来ません)


08年12月9日(火)

 いよいよに冬の極まるキーンとすものの満ち満つけふのはじまる

(今朝8時に来てくれたヘルパーさんが、
車のフロントガラスが霜で真っ白でしたよ!って云うほどの冷え込みでした)


08年12月8日(月)
 <ヤーコン>とふ南米生れの「芋」はいま故郷須佐に根着きて旨し

(NHK総合で10月14日に放送された、
(故郷「出雲須佐」にヤーコンの栽培組合が出来るほど定着してる事)を、同郷の友人
3人とビデオで視ながら、友人から貰った「ヤーコン芋」をキンピラと酢の物にして食しました。
シャキシャキ感と独特の甘味に舌鼓を打ちながら、故郷の今の話に盛り上がったものです。
葉と茎はお茶に加工して飲め、棄てるところのない「ヤーコン」は、
南米高地原産の菊科の多年生草木(ヒマワリやキクイモ、ダリアに近い)で、
地下茎がさつま芋状になって食用に適してる、との事です)


08年12月7日(
 ちゃんづけで呼び合ふ友らと酌み交はす酒が<須佐>(こきょう)へ誘ひくれん

(中学時代の友人3人が遊びに来てくれました。
多感な時代を過ごした、故郷 出雲須佐(現・出雲市佐田町)。
戦後の混乱期から脱しつつあった時代ですが、田舎の人情、自然に包まれて、
のほほ〜んと碌に勉強もしないで卒業してしまったような・・・。
でも、思い出だけは盛り沢山で、話に花が咲いたことは言うまでもありません)


08年12月6日(土)
 呆けじじぃ、認知症また気に食はぬ吾は<恍惚の人>となりたし

(その昔、有吉佐和子の小説「恍惚の人」で名を馳せ、森繁 久彌の好演で
流行した<恍惚の人>、どうせ、逃げることが出来ないのなら・・・・・と)


08年12月5日(金)
 生温き南の強風木枯しとなりて欅のもみぢ葉散らす

南風に吹き飛ばさるるもみぢ葉のゆくてに青き冬空高し


(今日午前の練馬は、木枯しならぬ生温い(気温・19.4度)南の強風が吹き荒れました。
欅のもみぢ葉が、散るどころか一気に吹き飛ばされて丸裸、高〜く高く舞い
上がって北の方向へ飛んでゆきましたが、
雲間の深く澄んだ青空がまるで吸い込んでいるようでした。午後になって雨が
混じりだし嵐模様となりましたが、陽が落ちる頃には止んで静かな夜となっています)


08年12月4日(木)
 囀りに誘はれ開けしカーテンの向こうは結露に霞みて淡し

(もうすっかり冬ですねぇ、窓ガラスが結露するようになりました)

08年12月3日(水)
 (と)き月にブランコひとつ引っ掛けて地球を宇宙(そら)から眺めてみたし



(今夕の月と、それを見上げる金星と木星です。
画面のほぼ真ん中に二つ並んでいますがご覧頂けますでしょうか?
陽が落ちた直後に見せてくれた一瞬の光景です)


月様に見捨てられしや金、木星夜ごと遠のく宇宙(そら)の彼方へ

08年12月2日(火)
 ビール止め食も減らして三ヶ月腹囲の三センチ減らさんがため

(170センチ64キロで腹囲92センチ、
口さがない人には、お目出ただ!布袋さんだ!タツノオトシゴだ!と
嬉しくない異名を頂きましたので、一念発起して減量に勤しんだ結果がこれです。
主治医は、空気を呑んで(呑気症)膨らんでるだけと嬉しいことを云ってくれますが、
現実は、脂身がお腹を取巻いているようでございます)


08年12月1日(月)
 寒い!とは言はずもがなとしりつつもおもはず吐きし師走の朝(あした)

(速いですねえ もう師走です、
当然のように朝の冷え込みも厳しいものとなりつつあります)


08年11月30日(
 四人(よったり)のボランティアさんのお力で「桜台通信」(ホームページ)はけふも賑やか

ボランティアさん頼みのわれは音声でああこうせえと入力をなす

出来ました!頼もしき声幾度ぞ、お陰さんでと感謝を奉ぐ


(このホームページ「桜台通信」は、特定非営利活動法人「練馬ぱそぼらん」
(リンクページ参照)の方々のボランティア活動により完成し、今に至っています。
が、情けない事に未だに独り立ち出来ないで、折々にふれお世話になっています。
今日も、来年用のページ作りその他をお願いしてしまいました)


08年11月29日(土)
 一字づつ一字づつ打つパソコンのもどかしくとも短歌の一首

(パソコンへの入力は、棒を口に咥えて文字キーを一つ一つ押しての事ですので容易なこと
ではありませんが、ポツンポツンとやってる内に短歌が一首出来ちゃうんですから有難いこと
です。首が疲れて打てなくなった時には、スクリーンキーボードを使ったりしますが、こちらは、
マウスを動かす手が思うようにいかず、ボードのキーが小っちゃいことも相まって使いこな
せないでいます。他に音声入力という手もありますが、こちらは、私の声に幅?があって
パソコン君が認識してくれないので諦めた経緯があります。あと何年?いやいや何ヶ月
かもしれませんが、現状を何が何でも維持したいものと祈るような毎日です)


08年11月28日(金)
添えられし手の冷たさに知る冬はゆく秋さへも追ひたつるごと

(朝の8時、起こしに来てくれたヘルパーさんの手の冷たいこと。
それもその筈、錦秋の11月も後二日で終わって
師走となり、いよいよの冬本番です)

 添えられし<訪看さん>の手に覚(さと)る街に冷たき冬の来たるを

(電動自転車を駆って訪問してくれた看護婦さんの手が
酷く冷たくって、思わずブルル!外はもう冬のようですね)


08年11月27日(木)
 散りつもる桜葉もみぢを掃く人の忙しき背なに苛立ちの見ゆ

(桜並木に沿って広い歩道が在り、一部が、不法な自転車置き場になっていますが、
乗り出す前に荷物カゴに溜まった落ち葉を、掻き出して捨ててゆく輩が多いようです。
折角掃いて綺麗にしてるところを汚されるんですから、苛立とうというもんでしょうが、
ここはひとつ、風流心をもってそのままに、もよろしいかと思いますが)


08年11月26日(水)
 猥雑に流れ澱みぬ昏き世に抗ふ術を持たざりて嗚呼!

(意味不明!と取られかねない歌ですが、どうぞご判読下さいますように)
(猥雑=雑然として下品なこと)


08年11月25日(火)
 タラ鍋の湯気につつまる仄かなる潮の香りに柚子のそ添えて

(最低気温が6.1度とこの秋一番の冷え込みとなった東京は、
朝から抜けるような青空が広がって風もなく、まさに小春日和でしたが、
4時頃になって突然のように雨が降り出しました。
寒いから鍋にしようかなぁ〜!を聞いた4時間後、
夕餉の食卓にはタラ鍋が湯気を立てておりました)


08年11月24日(
 朝刊の茶臼岳麗(ちゃうすさんろく)の紅葉に目を奪はれて妻を呼びたり


許される範囲と、ちょいと拝借しました

(ご覧の紅葉です。新聞は「時間が無いので読めない」妻に見せようと・・・。
健康だった頃、撮りに行こうと何年もスタンバッたんですが、
天候に阻まれて遂に叶いませんでした)


08年11月23日(
 モンゴルに乗っ取られしや千秋楽白鵬、安馬の決戦に酔ふ

仁王立ちなせる横綱白鵬の<君が代>を聴く悔し涙で

初場所の番付表をまな裏に描きつつ聞く<はね太鼓>寂し


(大相撲福岡場所千秋楽で優勝したのは、またも白鵬でした。
確かに、文句のつけようのないほど立派な横綱になりました。
それに引き替え・・・日本出身?力士の不甲斐ないこと、目を蓋うばかりです。
大関では琴光喜の9勝6敗が最高ですからねぇ、関脇以下にも上を望めそうな
力士は見当たりませんし、大和男の根性はどこへいってしまったんでしょうか)


08年11月22日(土)
 一堂におのおのごとの病態(いま)を持つALS患者の笑顔が集ふ

集ひたる老若男女の皆がみなALSに苦しむ不思議

久々に逢ひたる病友
(とも)は呼吸器に言葉をとられ黙礼をなす

呼吸器に命を預けし人はみな言葉も他人
(ひと)に預けてをりぬ

再会を約して散り行く病友の背に投げ掛くる<頑張ろうぜ!>と




(私が所属している、日本ALS東京都支部・西北ブロックの交流会に参加してきました。
「希望と可能性の見つけ方」を掲げて、ALS患者を筆頭に、家族、介護関係者、支援者
等々が一堂に会しました。何時もの事ですが、呼吸器を着けた方との会話の大変さ、
きっとご本人は、イライラのしどうしのまま不完全燃焼で帰路につかれたことと思いますが、
老若男女が同じALSに罹る不思議とともに、お若い方達の無念さに心を砕いたものです)


08年11月21日(金)
 木枯しにさくらもみぢは散り舞ふて石神井川の流れとなりぬ

(私の散歩コースに、石神井川を挟んで南側に公孫樹の並木が壁のようにつづき、
北側には、川面に被さるように枝を伸ばした桜並木が見渡す限りとつづいている処が
あります。この日は、折からの強い北風に煽られて公孫樹も桜もがさかんに舞い
散っていましたが、川面に落ちるのは桜の葉のみでイチョウは南側のグランド
方面へのみ、紅と黄色が混じれば、さぞや美しいことだろうと想いつつ、
秋の陽を一身に浴びながら、午後のひと時を過ごしました)


08年11月20日(木)
 そう云えば<ボジョレー・ヌーボ>が有るはずと去年のそれを取り出す妻は

(日本でも定着したようにみえる「ボジョレー・ヌーボ」解禁日のお祭り騒ぎですが、
毎年11月の第3木曜日に解禁となるもので、日付変更線の関係上、世界でもっとも早く
解禁日が来るのが、実はここ日本のようです。従って今年は今日20日の午前0時と言う事で、
各地で一斉に栓が抜かれたようです。テレビや新聞に賑やかなことですが、私ども
夫婦は去年の<新酒>を飲んで嬉しがってるんですから笑ってやってください。
それにしても、仕込んでから2ヶ月程で出荷するワインを、先を争って大騒ぎしな
がら飲むように仕向けたフランスの「ボジョレー」地方の商才には敬服します)


08年11月19日(水)

 北風を受けて身震ふ公孫樹(いちょうじゅ)の根方に敷き詰むギンナン臭し



銀杏のふる路をゆく黄葉の降り詰み輝よふイチョウ並木を


(本格的な冬型の気圧配置となって練馬は一日中冷たい木枯しが吹き抜けました。
真っ青に澄み切った空を千切れ雲が飛ぶように南東方面に流れて)いきます。
この冬晴れに誘われたわけではありませんが、黄葉真っ盛りを期待して石神井川
沿いの公孫樹並木まで出かけました。結果はご覧の通り、未だ、盛り、落葉始め、と
三者三様にギンナン迄降らせてる樹も数本在ってその臭いこと、通る人や車が踏み
潰してゆきますので尚更ですが、折からの風にあとからあとから降るように落ちて
きては跳ねていました。元気だったら・・・拾ってきて美味しく戴くんですが)


08年11月18日(火)
 晩秋と初冬のはざ間に身を委ねストーブ焚かるるプロ野球を傍観(み)

(判じ物のような歌ですが、日本のプロ野球はストーブリーグに突入しました。
FAだ、トレード、移籍だと喧しいことですが、寒風のみならず、不景気風が
吹き始めたにしては、景気のいい数字が飛び交っています。毎年繰り広げ
られる事ではありますが、少々冷めた目で観ている私が居ることは否めません)


08年11月17日(月)
 二の酉に縁起熊手を構ひ求む治療の術を掻き集めんと

シャンシャンと三本締めに気を籠めし身に棲むALS
(やまい)を追ひ払はんと

人混みの頭上に熊手を掲げゆく顔、顔、顔はあすを睨みぬ


(溺れる者は藁をも掴む、そのままですが、元々は、ご商売の繁盛を願ってのこと、熊手に
願いを籠めて世間様から「お足」を掻き集めようってんですから、殆ど落語の世界ですね。
蕎麦屋を遣ってた頃は、商売繁盛を願ってたことは言うまでもありませんが、
ALSを患ってからは、治してください!に宗旨替えです)


08年11月16日(
 どんよりとただどんよりとどんよりとおも〜いひと日がどんよりくるる

(どんよりと重〜い空から雨さへ落ちて・・・、滅入る気持ちのもって行き場がありません)

08年11月15日(土)
 なにをして<満身創痍>を押してまで土俵に居座る魁皇関は

魁皇とふご当地力士の休場す九州場所に閑古鳥鳴く


(大関魁皇が、大関になってから13回目の休場中です。
在位8年3ヶ月中、怪我
(腰部筋筋膜炎)(右大腿屈筋筋繊維断裂)(腰部椎間板症)(腰部椎間板症)(左大腿屈筋損傷)
(腰椎椎間板ヘルニア・左腰神経根麻痺)(左肩腱板炎)(左上腕二頭筋長頭及び短頭断裂)
で休場する事、2年+1場所(13回)。
この間、優勝は4回のみで、 8勝 7敗 6回・ 9勝 6敗 5回・10勝 5敗 5回
という大関としては少々恥ずかしい結果となっています。特にこの2年間の成績が酷く
19年 1月東京  8勝 7敗
19年 3月大阪  8勝 7敗
19年 5月東京 10勝 5敗
19年 7月名古屋  8勝 5敗 2休
19年 9月東京  1勝 5敗 9休
19年11月福岡 9勝 6敗
20年 1月東京  8勝 7敗
20年 3月大阪  8勝 7敗
20年 5月東京  8勝 7敗
20年 7月名古屋  9勝 6敗
20年 9月東京  9勝 6敗
20年11月福岡 1勝3敗休場中
と惨憺たるもので、大関に昇進する目安の前3場所で33勝以上を考えると、
果たしてこれでいいんだろうかと考えてしまいます。多分、怪我で身体が動か
ない!んでしょうが、少なくとも、自分から土俵を割るような相撲は観たくありません。
大関推挙伝達式での受諾口上で 「大関の地位を汚さぬよう稽古に精進します」
を、よもや忘れているとは思いませんが、次に出場する場所は12回目の角番
(負け越すと大関から陥落する)です。出る以上、怪我をシッカリ治し、それこそ、
「大関の地位を汚す」ような相撲は取らないでほしいものです)
(尚、昨日迄は、定員7.500名の半分にも満たないガラガラ状態でしたが、
土曜日の今日は、大甘?の「満員御礼」)の垂れ幕が下がりました)


08年11月14日(金)
 天を衝く銀杏大樹は雄雄しくて纏ふ黄金(こがね)は鎧のごとし


今日の 光が丘公園の公孫樹 ですが変ですよね

08年11月13日(木)
 研修の看護学生は吾の何故?に<母の仕事に憧れました>と

(看護大学の学生さんが、「居宅看護の研修」と称して訪問看護ステーションの看護師さんに
今日も同行してきました。研修といっても殆ど手は出さずに見てるだけですので、
私の方から話しかけたりしますが、如何して看護士さんになろうと決めたの?と訊くと、
「子供の頃身体が弱くって看護婦さんの世話になって」
「祖父、祖母を看てくれた看護婦さんを見てて」
「母、姉、伯母が看護士なので」。
究極は、今日の歌に詠んだ学生さん、「私が入院した時に見た、母の仕事ぶりに憧れました」。
こんな事を言ってくれるお子さんをお持ちの看護婦さんって、きっと素敵な方なんでしょうね。
なんでも、晴れて看護士になっても、一年以内に看護職から離れる人が7%いる、
と聞くと、何故?如何して?ですが、少なくともこのような「志」を持って
看護士になった人は、そう簡単には辞めないと信じたいものです)


08年11月12日(水)
 冬未満、秋満盈(まんえい)の街に吹く風の冷たく襟をかき抱く


我が庭の秋彩・サルスベリ・ナンテン・ツタ・ウメ・コムラサキ

(ここ何日かは日中も気温が上がらず、12月末の陽気と報じていますので感覚的には
確かに冬でしょうが、東京は今が当に秋の旬です。天気が悪くって意気が挙がりませんが、
街中の木々が日ごとに色着いてきて、この空がスカッと青く晴れ渡るのを待っています)
(満盈(まんえい)・充分に満ちること)

08年11月11日(火)
 雨音を耳に寝込みしあしたにはヘルパーさんの手の冷たくて

(ほんの一時でしたが、夜中の1時前に雨音を耳にしました。
11月に入っても相変わらずの曇天つづき、秋雨前線?が未だ
に消滅しないで列島に貼り付いているようですが、気温の方は
日ごとに下がって、お陽さんが無いぶん余計に寒さを感じます)


08年11月10日(月)
 玄関の妻の背に訊く「ケータイを持ったか?」それがおいらのつとめ

(時々ですがフケイタイで出掛ける我が女房殿が、
やっと、これではいけないと自覚したらしく、この度私を、
「ケータイ持ったか?を出掛ける直前に言う係り」に任命しました。
自分の忘却癖を棚に上げといて・・・とは思いますが、電話をすると、
女房の部屋でルルルルと鳴るほど虚しいことはありませんので、喜んで拝任した次第です)


08年11月9日(
 妻はいま癌検診の結果を待つ筑紫哲也の訃報を耳に

(今年も妻は癌の検診を受けました。今は結果待ちの状態ですが、去年の事を
思い出したのか、筑紫さんの訃報を聴いて心穏やかではいられないようです)

(癌は早期発見さえすればほぼやっつけられる病気になった!と聴くように
なったのは、もうだいぶん前のように憶えていますが、癌の中には性質
の悪いのが在って、急激に進行、悪化、転移をするようですね。
筑紫哲也さんが自身の癌を公表してカンバックを誓ってから
一年半、遂に還らぬ人となってしまいました、合掌)


08年11月8日(土)
 どんよりと霜月八日は静まりて想ひに耽る我をつつみぬ

(昨日は立冬らしからぬ一日でしたが、
今日は打って変わって朝からどんよりと重い雲が垂れ込め、
午前中は冷たい雨さえ降るという何とも重っ苦しい一日でした)


08年11月7日(金)
 雨に明く立冬寒しあとにする寝床の温もり引き摺りにつつ

(予報どうりに明け方から降り出した雨が、私が起き出した8時頃にはほぼ止んでいましたが、
部屋の空気が冷たくって思わず身震いをしたほど、流石立冬だ!と思ったのも束の間・・・)


かげろうを映す朝刊まばゆうてカーテンを引く冬立ちし日に

(みるみる雲が切れてゆき、11時頃には雲一つない秋晴れとなり暖かくなりました。
予報では昼頃まで雨、少々?早まった訳ですが、サンサンと降り注ぐ秋の陽が、
読んでる新聞に陽炎が立つほど射し込んで眩く、思わずカーテンを引いてしまいました。
今日は暦の上での「立冬」ですが、あした辺りから気温はぐっと下がるようですね)


08年11月6日(木)
 日本にもオバマ(小浜)が在りてオバマ氏の大統領を祝へる平和

(福井県小浜市と、長崎県雲仙市の小浜温泉が共にオバマであるところから、
ヒートアップするアメリカ大統領選挙に乗じた、売名行為ととられても致し方の
ないような、応援合戦を繰り広げていた事はテレビ等の報道で知ってはいまし
たが、当選と同時の万歳三唱には少々呆れました。共和党のブッシュ氏に替
わっての、民主党のオバマ大統領は黒人です、人種差別云々が囁かれてる
アメリカでの大出世ですから?のてんこ盛りですが、対日本政策はどのような
ものをお持ちなのか、これから発揮されるだろう手腕に注目したいと思います)


08年11月5日(水)
 錦秋に高く広ごる青空をこの胸いっぱい吸ひたきものよ

(お昼過ぎのほんの一時でしたが晴れました、それも抜けるような快晴。
この、もやもやしてる胸いっぱいに吸い込んだらきっと、
スカッと爽やかに・・・なりっこないですよねぇ!でもでも・・・です)


08年11月4日(火)
 先陣の鴨六(む)つ七つ池の面に影を映して秋のきはまる



(10月31日に光が丘公園の池で目にした光景です。
ついこの前までひっそりとしていたんですが、来てましたよ〜。
夏の間にシベリア方面で子育てをして、凍てつく前に日本列島へ還って
くる渡り鳥ですが、中にはカルガモのように渡りをしないで人里で一生を過ごす
者もいるようです。残念ながら、この中の鴨の種名が私に判るのは<オナガガモ>だけ、
尾がツンと伸びてますので何方でもすぐ見分けられると思いますが、あとは似たりよったりで)


08年11月3日(
 秋の夜を淋しと思ひしあのころを想ふ暇なし作歌におぼれ

(秋の夜を淋しいと思うほど若くはありませんが、
ふとした時にもの思いに耽っているように見えることがあるようです、がしかし、
それは今日の短歌をどう詠おうか、などと考えている時だったりします)


08年11月2日(
 古テレビの右上に在る「アナログ」があと三年の寿命を告ぐる

古テレビの右上角の「アナログ」がデジタルテレビに替えよとせつく


(NHK放送に限ってるようですが、テレビ画面の右上角に「アナログ」と薄〜く出ています。
なんでも11年7月をもって終了する「アナログ放送」の啓蒙運動のようですが、
なんだか、早く!デジタルテレビに取り換えろ!とせっつかれてるようでどうにも目障りです)


08年11月1日(土)
 万緑を揺すりてはやし木枯らしの一号吹きぬく霜月一日(いっぴ)

(10時59分、スカッと晴れた青空の下最大風速15.5mの北風を観測し、
気象庁は東京に木枯し一号が吹いたと発表しました。
去年より17日早いそうですが、いくらなんでも早過ぎですね。
万緑は大袈裟ですが、紅葉には程遠く今から裸にされたんじゃあ可哀想です)


08年10月31日(金)
 <涸沢>は紅葉(もみぢ)とテントと青空を纏ひて絢爛テレビ画面に

(上高地から見上げる穂高連峰の懐に、テント村と紅葉で有名な<涸沢>はありますが、
そこを足場に3.000m級のピークを目指し、登山家の田部井淳子さんが内田アナウンサー
と共に登攀する様子がNHKで昨日放送されました。今月初旬に録画されたようですが、
その美しさたるや当に息を呑むほどの光景で、赤や黄色の無数のテントと青空が彩りを
添えたことも相まって、それはそれは見事な山岳の絢爛豪華な錦模様でした)
(写真が無くてご免なさい)


08年10月30日(木)
 ハナミズキの紅葉す根方に狂ひ咲くツツジを揺らす風の爽やか



狂ひ咲くツツジを根方にモミジなすハナミズキ一樹青空に起つ


08年10月29日(水)
 <請求を棄却する>との判決を聴いて目を遣る原告席に

俯きし原告貴方は我の目を見られぬほどの何をなされた

理不尽な「払え」を認めぬ判決に笑ひこらえて法廷を辞す

被告とふ汚名で呼ばるることからも開放されたる日の青空
(そら)高し

(一年にも亘った裁判がやっと終りました。事前に彼が、労働基準監督署へ訴えるも、
取り上げてくれなかったという、100%負ける筈のない、実に理不尽な請求でしたが、
裁判長の「原告の請求を棄却する」「裁判費用は原告が負担する」
を聴いて、ほっとするとともに、
あんな情けない人間と付き合うことになってしまった事を、今更ながらに悔いたものでした)


08年10月28日(火)

 台風が一個も上陸せぬままに静かにしずかに錦秋闌(た)ける

(今年の台風は、現在までに18個発生したんですが大きな被害をもたらしたものは無く、
唯一13号が列島沿いを北上した程度で上陸したものは皆無、それも殆どが遠くを
離れて通るか、近づいても消滅してしまうかの大変珍しいシーズンでした。
そのお陰で、と言うのは何ですが、樹木が強風に揺すられないで葉の
傷みが少ないせいか、今年の紅葉は一際美しいと報じられています)


08年10月27日(月)
 大暴落なせる株価に投資家は「塩漬け」ですねとテレビニュースに

(<株価>と言っても<蕪価>ではないんですから「塩漬け」とは面白い事を
言うものですが、売り買いしないで漬物のようにそっとしておくと言う事のようです)

(今日の東京株式市場で、日経平均株価が、03年4月28日に記録したバブル崩壊後の
最安値7.607円を5年6か月ぶりに下回り、終値は7.162円90銭だったようです。
尚、7.200円を下回るのは1982年10月下旬以来約26年ぶりだというんですから驚きです)


08年10月26日(
 店頭に山積みさるるカレンダーが来年はもうそこだと急かす

(近所の本屋さんの店頭に、来年のカレンダーがワゴンに積まれてもう売られています。
確かに早い者勝ちの商売でしょうが、いくらなんでも未だ10月ですからねぇ)

08年10月25日(土)
 ヒメダカはブランデーグラスを跳びだしてひとり寂しく干物となりぬ

(これで二匹目です。何故?如何して?ですが、この世を儚んで、は無しでしょうね。
カノジョ?、カレシ?を求めて別天地を目指した、ことにしておきましょう)


08年10月24日(金)
 篠を突く雨に追はれて駆け込みし病院ホールは粛々とあり

(晴れ男を自認する私ですが今日ばかりは裏目とでました。
朝から土砂降りで車椅子での外出などとても無理、致し方なく
介護タクシーを利用しましたが、先日の後ろ向きと違って大型でゆったり、
快適?なドライブを楽しんで着いたのが、教授せんせいが待っててくれる大学病院。
車止めから篠突く雨に追い立てられるように駆け込んだ病院のホールは、何時ものよう
に沢山の人々が、無言のままに浮かぬ顔を隠そうともしないで、行き交っていました)


08年10月23日(木)
 否応もなくして介護タクシーは後ろ向きに吾を積み奔り出しぬ

(昨日お世話になった、車椅子に座ったままで運んでくれる介護タクシーですが、何の
説明も、こちらの意向も聞かないままにサッサッと後ろ向きに積み込んでしまいました。
敢えて積み込むと言わせて貰いましたが、まるで荷物を扱うように自分の都合のみで
生身の人間を運ぶんですから乱暴です。まあこの度は短距離でしたので我慢しま
したが、後ろ向きは横向きに次いで嫌な姿勢で、今後は、ご免被りたいものです)


08年10月22日(水)
 その昔一世を風靡せし歌手の歌を今聴く哀れみさへもち

(昨日のNHK歌謡コンサート「なかにし礼特選名曲集」で聴いた歌が、余りに酷くって、
夢を壊さないでくれ〜と思う一方、恥ずかしくないのかなぁ〜とさへ思い遣りたくなる
ほどの歌でした。どれもこれもが一世を風靡したほどの大ヒット曲です、
聴く側の誰もがそうでしょうが、ヒットした時期に聴いたり見たりしたものが
そのまま、耳は勿論、身にも、大袈裟に言えば心にさえも染み込んでいます。
特に 「知りたくないの」・菅原洋一・・・「愛のさざなみ」・島倉千代子・・・
「夜と朝のあいだに」・ピーター・・・「時には娼婦のように」・黒沢年雄 ・・・が酷く、
今日の歌に詠むこととなりました。
中でもお千代さんは現役で、新曲をリリースしたりしてますのに不思議です。
その他には「恋の奴隷」・奥村チヨ ・・・「天使の誘惑」・黛ジュンが?印、
あとは流石の現役、いい歌を聴かせてくれました。「手紙」・由紀さおり ・・・
「風の盆恋歌」・石川さゆり・・・「石狩挽歌」・北原ミレイ ・・・「まつり」・北島三郎 。
それにしてもです、あれではゲストの「なかにし礼」さんに失礼ですよねぇ)


08年10月21日(火)
 呼吸器を拒否せる我は<臆病者>の烙印捺さるることに脅えぬ

(この歌は、私の中(うち)に在るもので、云わば独り言です。
己の人生をどのような形で終わりにするのがベストか、などなどと悩ましいことですが、
時々おこる息苦しさが、拍車を懸けてくれてるようで、精神的にも落ち着かない昨今です)


08年10月20日(月)
 時々は腹でおおきく息を吸ふ「いよいよですね」を否定しつつも

(どうもいけません、今日も息苦しくなって訪看さんにSOS!。
さぁーどうするか?でしょうが、取り敢えずは様子をみよう。
それにしても、これほど急にくるとは想定外のことで、正直戸惑っています。
若しもの話ですが、
此処へのアップが途絶えたら入院したということですので、ご勘弁下さいますように)


08年10月19日(
 黄葉をあしたに公孫樹の枝下ろすお役所仕事のなんとつれなし



(我が家の前の小学校敷地を、取り巻くように植えて在る公孫樹の大木ですが、
今年もまた黄葉を前にして剪定されてしまいました。写真のとおりですが、
付近一帯にはイチョウが無いだけに、あの黄葉を愛でる人々の声も聴いてほしいものです)


08年10月18日(土)
 健全な心が宿りていたばずの身体ごと臥す心のいまよ

人は皆、心身ともに健全でありたい、ものでしょうが・・・

08年10月17日(金)

 新潟に稔りし新米賞味なす確かに一味ちがふご飯を

(友人から、そのまた友人が作った!という新潟産コシヒカリの新米を戴きましたので、
早速炊いて食べましたが流石ですね。大変美味しゅうございました)


08年10月16日(木)

 ALS(エーエルエス)の重みにねまる老体に追ひ討ちかけらる喀痰の責め

(薬が一向に効きません。正直疲れました。)

08年10月15日(水)
 秋霖の晴れしあしたの空澄みて航(ゆ)くヘリコプターの音さへ清か

(永かった秋雨の時期をどうやら脱したようで久し振りに晴れました。
今日の空は雲が多めながら青空は深く深く澄み切って、
そのコントラストは秋本番を思わせるに充分なものでした)


08年10月14日(火)

 人様に全てを委ねて生きるには<俺を殺す>が善しと覚ゆる

(ノーコメントとさせていただきます)

08年10月13日(
 ガキのころ遊び場だった須佐神社があの頃のままテレビに映る

出雲弁、出雲訛りに語調までそっくりそのままテレビに観たり

「大杉さん」は大社造りの本殿に寄り添ひ現在
(いま)も冷厳と聳つ

<だんだん>の出雲に虜
(とら)はれし我なれど故郷(ふるさと)須佐はそに輪を掛くる

もどかしき思ひで観やる画面には映らぬ部分の現在
(いま)が知りたく

(スサノオノミコトを祀ることで知られる須佐神社は、私が育った島根県出雲の
旧東須佐村(現・出雲市佐田町須佐)に在りますが、今日、NHK総合の生中継で
全国へ紹介されました。神木の大杉(さん付けで呼んでました)を隠れ蓑にした
”かくれんぼ≠ナは幹の周りをグルグル回って見付けられなかったりと、懐かしく
あの頃を思い出しながら観ましたが、もう帰ることは無いだろうと思うと・・・・・です)
(註・<だんだん>・NHK朝の連続テレビ小説の題名・10月10日(金)を参照下さい)

08年10月12日(
 <文字読めぬ>人で満員のエレベーターをまたも見送る車椅子にて

(精一杯の皮肉を篭めて)
(昨日の病院行きで使ったエレベーターで、またまた呆れた体験をしたことで思い出した、
日本橋三越での経験から詠んだ歌です。「車椅子、ベビーカー専用」とドアーに大書して
あるにも拘わらず、誰一人譲ろうとしてくれないどころか、押し退けるように乗ってゆく買い
物客に、遂に痺れを切らして、この様子をずっと横から観てた筈の「ご案内」さんに頼ん
だんですが、静々と連れてゆかれたのが業務用のエレベーターでしたチャン!チャン!)


08年10月11日(土)
 マンションの角を曲がりて立ち止まる木犀の香に囚はれしまま



(病院への近道は瀟洒な住宅街を通りますが、通い始めて約10年、新しいマンションが
あちこちに建つようになって随分と様変わりをしました。手入れのゆき届いた庭に、季節
ごとに咲く花などを愛でながらゆく楽しみがありましたのに、無粋なマンションが遮った
りして、金木犀の香の中を突然という感じで歩いていたりしました。今日は、昨晩の雨が
残っていましたが、お昼前には見事に晴れましたので、金木犀の香が、角を曲がる
度に新しくなってこれでもか、これでもかって感じで楽しませてくれました)


08年10月10日(金)

 朝ドラに聞き耳たてる少年期を出雲言葉に育まれしに

妻と観る<だんだん>忙し出雲弁の通訳役を仰せつかりて


(この10月から始まった、NHK朝の連続テレビ小説<だんだん>は、島根県の松江、
出雲、京都を舞台にして繰り広げられていますが、その出雲に育った私にとって、
たとえ俳優が操るセリフであっても懐かしさのようなものを感じつつ観ています。
題名にもなっている「だんだん」は、出雲方言の代表格だと思いますが、「ありがとう」です。
イントネーションの違いでしょうか、いまいちしっくりとは伝わってはきませんが、
川口育ちの女房には?難解のようです。どうぞ皆さんも一度ご覧下さい)
(これまでに出てきたものの訳です)
だんだん
・ありがとう そげかね・そうですか ちょんぼし・すこし 
なして・なぜ どげかね・どうですか だけん・だから ごしなはい・ください)

08年10月9日(木)
 暴落を覚めた目でみるその昔<株>に骨までしゃぶられし吾は

(8月始めに13.000円強だった日経平均株価が、たった2ヶ月後の今日の終値は
9.157.49銭で引けました。特にこの一週間が酷く当に暴落です。株の怖さが骨の髄
まで沁みこんでる私にとっては、差し詰め対岸の火事ですが、同時に進む円高と相まって、
不景気風が吹き出すんじゃあないかと、傍観者じゃあいられない心境でもあります)


08年10月8日(水)
 蝋人形?見紛ふばかりの人なれど頭脳は現在(いま)も貴方と同じ

諸々を我慢するなどしてません!痛い!と叫ぶ術が無いだけ

泣いてます笑ってもいますし怒りさへしてるおいらを放っとかないで

意思表示不能に陥りし人はただ他人
(ひと)の作りしマニュアルで生きてる

「呼吸器を着ける」を応援せし人は「外せ!」の声には背中を向ける

倫理委は「問題ない」も手を下す人は訴追の恐怖に脅ゆ


(昨日NHKで放送された「ALS患者の呼吸器外し」問題です。
千葉県の亀田総合病院の倫理問題検討委員会が、発病後17年の、
呼吸器を着けて寝たきりで療養してる68歳の男性患者さんから出された、
「意思疎通が出来なくなったら人工呼吸器を外して欲しい」
との要望を
「倫理的には問題はない」
と発表した上で、
「呼吸器を外した人が刑事訴追される可能性がある」
と要望への対応は明言しませんでした。頭脳は健常者と同様にあるのに、身体が
動かせないばっかりに意思を表示できない辛さ、最終的には目さえ物を言わなくなる、
と言うんですから過酷な病気です。それにしてもです、呼吸器に頼ってでも生きてゆこうと
される方の数字が、一向に増えず、現在でも3割弱というんですから悩ましいことです)


08年10月7日(火)
 痰とりに疲れまどろむこのままに朝(あした)がこないこともよしかと

(力が入らない腹筋を無理使いしての痰採り、胸を圧してくれる人と息を合わせての
共同作業ですが、正直疲れます。頼りの抗生剤が一向に効かないようで心許ない
限りですが、3時を過ぎる頃になると疲れ切って、皮肉にも深い眠りに落ちるようです)


08年10月6日(月)
 飯豊山に拾ひし栗をご飯に炊いて秋を召されと笑顔の友は

(山形出身の友人が、栗ご飯をどうぞ!と私の様子を視がてら来てくれました。
ここ数日の体調不良をここの短歌で知ってとのことでしたが、有難いことです。
なんでも、思うところあって信仰の山でもある飯豊山(2.105.1m)へ登り、浮世の
垢を落としてリフレッシュしてきたとのこと、それでなくともエネルギッシュな人です
のに、今後の活躍がますます楽しみになってきました。栗は、登山道の途中に
稔って落ちてた生粋の天然物を拾ってきたようですが、味は勿論、飯豊山の
秋を態々届けて戴いたことも相まってそれはそれは美味しゅうございました)


08年10月5日(

 囲われの一代(ひとよ)を謳ひしスズムシは卵に未来を託して逝きぬ

(我が家に来て4年、云わば四代目の鈴虫たちが、今年も涼やかな鳴き声でおおいに
癒してくれていましたが、9月22日に最後の雄が死んで終りとなっていました。
残る雌はまるで人間社会を映したように長命で、今日になって最後の一匹が
沢山の卵を遺して逝ってしまいました。あとは来年のお楽しみですが、
それには卵の冬越しが巧くできるかどうかにかかっています)


08年10月4日(土)

 介護事業所(じぎょうしょ)の窮状報ずるテレビを横にヘルパーさんに清拭さるる

(介護保険制度が動き出して8年余りになりますが、ここへきて聞こえてくるのは
マイナス面オンリー。今日も事業所の赤字率が上昇して云々と、NHKニュースが
報じていました。介護を受けている私にとっては看過できない状況ですが、かと
言って私に何かが出来る訳もなく、ただただ制度が潰れないで、私のみならず
介護を必要とする全ての人々が、安心して身柄をお預けできることを願うものです)


08年10月3日(金)
 けふもまた酸素濃度はボーダーラインをいったりきたりに振り回されて

(相変わらずの嘆き節で恐縮ですが、
酸素の血中濃度が90のボーダーラインを
いったりきたりして一向に安定しないままに夜を迎えました。
普段全くと言っていいほど呼吸なんて気にしてませんが、いざ苦しくなると、
あの金魚のパクパクを思い出したりしてただひたすらに快復を待っています)


08年10月2日(木)
 痰一つ気管に詰まらせ救急に身柄を預ける青空の下

吸う〜っても吸っても肺は満たされずただただ苦しさだけに囚はる

胸押しに吸引胸押し吸引とただひたすらに痰を排除す

数々の検査結果を指し示し抗生剤を服めとつれなし

帰りきて見上ぐる空の青々と雲一つだに無くも憂鬱


(いよいよおいでなさったかと、意気消沈で救急車に乗り主治医の元へ駆けつけましたが、
副鼻腔炎からの排泄物が気道に絡んだ、だけのことでした。排出能力減退により
呼吸が浅くなってガスが肺に溜まっての苦しさとか、副鼻腔炎が
治まるまでの辛抱のようですが、正直疲れました)


08年10月1日(水)
 初時雨晴れて広ごる青空をこの胸いっぱい吸ひたきものよ

(冷たい雨がやっと止んで久し振りに青空が広がりました。
痰の絡みで今一すっきりしない呼吸は勿論、もやもやした
胸の裡にも思いっきり吸い込んでリフレッシュできたら・・・などと)


08年9月30日(火)
 肩肘をはって来し我七十年豊(みの)らぬままにALS(やまひ)と歩む

(生を享けて70年、ALSを背負って今月で丁度10年となりました)

08年9月29日(月)
 虚しきは日照雨が遺しし水溜りに産み落とさるるトンボの卵

(こんな光景を我が家の庭で目にしました。
人工芝の窪みですから、日差しと風にひとたまりもなく乾いてゆく運命です)


08年9月28日(
 古りてなほ光を放つ<へら鮒>の魚拓の墨痕吾の夢の跡



ネットでヒットしたとふ吾の「魚拓」がテレビドラマにデビューを果たす


(このホームページ「桜台通信」に載せて在る「へら鮒釣り日記」を探し当てたという、
テレビ番組制作会社が小道具として使わせてくれとのことで、私の魚拓がテレビ
ドラマに出演?することになりました。10月からテレビ朝日で放送される新番組
「サラリーマン金太郎」で、古谷一行扮するところの釣り好きの社長さんが、社員に
自慢するシーンで使われるそうですので、お暇と興味がおありの方はご覧になってください)


08年9月27日(土)
 パソコンの不調にのりしか寝てまでも痰の絡みに息も絶え絶え

(パソコンの調子が悪く、四苦八苦!どころか私自身の体調までおかしく
なって、尾籠な話で恐縮ですが、このところ痰の絡みに苦しんでいます。
息苦しささえ覚えるようになり、思考能力の減退にこのような歌しか詠めません)


08年9月26日(金)
 放鳥に想ひ馳せたり朱鷺色を教えてくれし亡き義母とほし

( 25日に、新潟県・佐渡島の空に、人工的に育てられた10羽の朱鷺が、
追跡、観察用に送信器を背中に着けられて放鳥されたことから詠んだ歌です。
朱鷺と言えばトキ色、亡き義母が、濃いピンク色を指して使
っていたことから、トキ色というピンクが在る事を知りました)
(翼の内側が朱色がかった濃いピンク色をしてるところから、朱鷺色という呼び名が
生まれたようですが、いまでも使ってる方は、あっても余程のご年配かと思います。
乱獲、開発による朱鷺の減少→絶滅に伴って、今ではほぼ死語化してるんではない
かと思いますが、色を表現するのに使われる程、日本の空を沢山の朱鷺が舞って
たと言うんですから壮観だったことでしょう。夢よもう一度、でしょうが果たして)


08年9月25日(木)
 日々新(あらた)ならずもALSと十年を一日がごとく暮らせる幸せ

(負け惜しみ!と言ってしまえば実も蓋もありませんが、不治のALSにありながら
未だに球麻痺症状が出ないんですから不幸中の幸だと、常々感じてはいます。
それもその筈、徐々に進行してるとは云え、看護士さんや、ヘルパーさんのお手を
借りるようになってからは、判で押したような毎日が送れてるんですから有難いことです)


08年9月24日(水)
 <青年はお陰で仕事が増えました>と厳しく叱りし我を泣かしぬ

(青年とは、私の処へ派遣されて1年の、26才の男性ヘルパー君です。
当初は力仕事以外は、およそヘルパーと呼べるレベルになく、蒸しタオルの内側が熱いことさえ
知らない青年でしたので、それはそれは大変でしたが、教えて下さい!、有難うございます!
を口にできる素直な態度にほだされて、お互い頑張ろうや、で今日まできたところでした。
この度、彼の口から、お蔭さんで、色んな仕事が出来るようになって、休みが取れない
ほど忙しいんです、有難うございます!に、グッ!ときて思わず涙してしまいました。
厳しい事どころかボロクソなことまで言う毎日に、今日辞めるか、あした辞める
かと内心は心配してましたが、良く頑張ってくれました。
お礼を言うのは私の方、今後もず〜と宜しくね!を返したことは言うまでもありません)


08年9月23日(
 身を曝すALS(エーエルエス)の介護者を育てる講座に生き標本として

(この度、重度ALS患者の面倒を重点的に看てくれる事になる介護者を、
育てる講座にALS患者の標本?として出席してきました。勿論!主催者に
標本としてなどと招かれた訳ではありませんが、若い20名の受講生の熱い
視線に取り囲まれると、何れは私を・・・との期待半分と、こんなになってしま
った身体を曝す悔しさが交錯して、なんとも複雑な2時間を過ごしてきました)


08年9月22日(月)
 絶え絶えに鳴く鈴虫の清宵に秋の闌けりを告ぐるがごとく

(立秋の8月7日に鳴き出し、涼やかな声を絶え間なく聴かせてくれていたスズムシが、
ついに2匹だけになってしまい、鳴き声も日に日に弱く途絶えがちになってきました。
それもその筈明日はお彼岸の中日(秋分の日)です。秋もいよいよ本番を迎える頃と
なって、夜気が頬に心地よいと感じるようになりました。
でも、メスは未だ10匹もが元気でいます。鈴虫の世界も人間様と同じなんですねぇ)


08年9月21日(
 曼珠沙華咲きみつ父の墓前に歌ふ♪せんのか〜ぜ〜に〜の声に目覚めし



(私が歌ってどうすんだ!ですが、歌だったような、寝言だったような)

08年9月20日(土)

 台風の去りし朝のリビングに一夜を過ごししハイビスカス咲く

(台風13号が、幸いな事に纏まった雨を降らせただけで東の海上へと遠ざかって往きました。
パイビスカスは鉢植えですが、今年最後の蕾が大きく膨らんでましたので、
風雨に傷めつけられては可哀想とリビングへ避難させておきましたところ、
台風一過の青空からの強い日差しをうけて見事に咲いてくれました)


08年9月19日(金)

 両足にバネを仕込みて障害者はアンツーカーを風のごとゆく

障害者は数千万円
(すうせんまん)の車椅子でマラソン競技を腕で競ひぬ

(17日に閉幕した北京パラリンピックで目に付いたことです。
きっと皆さんもご覧になってご存知のことと思いますが、まるでバネのような義足を駆って、
大差でゴールを切った選手がいました。同じ障害者であっても障害の個体差が顕著な上に、
義足にも随分と差異があって果たしてこれで同じ条件と言えるんだろうかと違和感をもって
観ていました。もう一つは車椅子マラソン、何でもF1カーに使われている素材を使って
創られ、個人的に買うとすると数千万円はするというんですから驚きです)


08年9月18日(木)
 口々に風が違ふと汗を拭く木陰に休むジョギング仲間らは

(昨日行った光が丘公園で見た光景と、聞いた声です。
広い園内に在るショギングコースの風通しのよい森の中で、
汗を拭きながら3人のランナーが休んでるようでした。晴れて気温
は30度、でも吹く風は湿気がとれて実に爽やか、もう秋のそれでした)


08年9月17日(水)
 むら雨の去りしあしたの秋風を窓また窓を開けて楽しも

(今日は朝からよく晴れて30度を超すほどでしたが、
流石に吹く風はカラッ!としてて秋を身近に感じさせてくれました)


08年9月16日(火)
 額にも項(うなじ)にもまた汗をなすヘルパーさんと共に汗をす

(60キロの肉体相手の介護は、汗なしでは出来ないだろうことは承知してますが、
して貰う方、動かして貰う方の私も、同じように大汗を掻くんですから不思議です)


08年9月15日(
 群雲に愛でる術なく去年(こぞ)の月まなうらに描く十五夜暗し

しとしとと降る雨の音に去年の月まなうらに描く十五夜の宵


(中秋の名月も昨晩の9時が見納めでした。続いての今晩も雲の中、
こればかりは如何ともし難く、去年の月など想い出したりしています)


08年9月14日(
 明晩(あす)あると想へど今宵は<中秋の名月>愛でる酒(さか)を酌みつつ

(今日は旧暦の八月十五日、暦の上で言うところの中秋です。
夏が終わって乾いた空気が辺りを満たすようになった頃に見る月が、
一際美しく観えたことから<中秋の名月>とよばれ、文人墨客
のみならず万人の風流心をくすぐったようですね)
(と言う事で、今宵は14夜、小望月とも待ち宵の月とも呼ばれる、ほぼまん丸の月が
空気が湿気を多く含んでるせいか赤みを帯びてはいましたが、南の空に実に見事でした。
尚、明晩の月は、正真正銘の満月でいわゆる<十五夜の月>と呼ばれるもののようです)


08年9月13日(土)
 シャワー浴ぶ音に目ざめて覚ゆるは身動ぎできぬ暑さの辛き

(朝の7時過ぎ、シャワーの音で目が覚めました。
きっと女房が、夜通しの蒸し暑さで掻いた汗を流してるんでしょうが、
私だってご同様、身体の裏側は一晩中を汗ジットリの状態で身動ぎも出来ずに
過ごします。サ〜っとシャワーで流せばさぞ気持ちがいいんでしょうが、
私には、ヘルパーさんがしてくれる「清拭」が8時過ぎから
始まりますので、あと一時間程の辛抱です)


08年9月12日(金)
 医学生に<ALS>(エーエルエス)を開示為し治療に繋がる夢を描きぬ

(二人の慈恵医大生が、火、木曜日は訪問看護ステーションの看護婦さんと同行し、
今日は「訪問入浴」の様子を知りたいと、私の家を訪問してくれました。ALS患者の
居宅生活を支える看護、介護の現状をを学ぶ一環でしょうが、熱心に目をはしらせ、
質問をしたりする姿勢に好感をもったものです。現在3年生だそうですから、医師として
世の中へ出るのはもう暫く先の事でしょうが、神経内科の医師となって我が<ALS>の
研究、治療に携わってくれればいいなあ〜と、
現実味を帯びた、夢のようで夢でないものを、ひとり見させてもらいました)


08年9月11日(木)
 吾のものと見上ぐる深き青空を鳩の群れ舞ふ我がもの顔で

(視界の全てが真っ青、北からの高気圧がもたらした初秋の青空を、
待ってました!とばかりに見上げていましたら、西の方から飛んできた15,6羽の鳩が、
気持ちよさそうに数回円を描いてから南の空へと消えてゆきました)


08年9月10日(水)
 けふひと日ウイルスソフトの故障にかまけ歌のひとつも詠へず暮るる

(ウイルス防除にシマンテックのノートンを遣ってますが、私のパソコンとは相性が悪いらしく
ガタピシガタピシの連続、遂に今日、インターネットへの接続が出来なくなったところで諦める
事にして「削除」をしました。12時半にパソコンの前に座ってから約8時間、ノートンサポート
センターに待たされる事3時間、修復をしても駄目で、削除をして新品をインストールしてくれ、
これでOK!です、で電話を切ったのに、この「桜台通信」へ繋がらない!のお粗末。
今度はNTTのサポートセンターへのSOS、メモリーを見て、これでは無理です、軽いのに
するか、ノートンを「削除」するかですが、で思い切りました。当面はウイルスに対して
無防備状態ですが、早速、パソボランの方々に相談して善後策をとろうと考えています)
(イライラと無駄に時間を費やしたことで酷く疲れました)

08年9月9日(火)
 正論を御旗にこの世が渡れるならば裁判所など不要と覚ゆ

(「宣誓 良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓います」
を、原告が読み上げてから始まった尋問でしたが、30分の間「嘘」と「知らない」に
終始して終り。裁判官も嘘と分かっているはずなのに、ふんふん!如何して?、本当に
不思議です。一通りのマニュアルをこなさないと判決は出せないものと思いますが、
このような我利我利亡者の提訴でも、国民の貴重な税金を
遣って裁きをする裁判所っていったい何なんでしょう。)


08年9月8日(月)
 神輿揉む男ら熱く雷(いかずち)に雨さへ弾き湯気をもたてし

(神輿が我が家の近くに差し掛かる頃から雲行きが怪しくなってきて、やがて
勇壮な鉦や太鼓にワッショイまでをも掻き消そうとする程の大雷雨に、祭り半纏に
豆絞りの手拭いで鉢巻をした、いなせな担ぎて達はあっという間にずぶ濡れです。
普通ならここでショボンとなるところでしょうが、そこはお祭りです、むしろ水を得た
魚のようにますます勢いづいて、掛け声も勇ましく宵の街を遠ざかってゆきました)


08年9月7日(
 たわわなる実にお辞儀なす<小式部>のメジロ背負ひてひれ伏すばかり



(写真にメジロは撮れてませんが、小式部(こしきぶ)とか小紫(こむらさき)とか呼ばれる
園芸種で、メジロが好んで啄ばんでいきます。と言う事は、種が糞と一緒にアチ
コチに蒔かれますので、我が家のこれも、庭隅の腐葉土だまりに勝手に
芽吹いたものを鉢に取り上げて育てたものです。葉が散るまで
そっとしておいてくれれば、全部の実が稔って美しい姿を
魅せてくれるんでしょうに、こちらの都合などお構い
なしに片っ端から啄ばんでしまいます。
尚、紫式部(むらさきしきぶ)と呼ばれるものは、山間に自生するもののようです)


08年9月6日(土)
 舌鼓打ちつつ食みぬ塩焼きの秋刀魚は美味し目黒ならずも

(昨晩食べた初さんまは、勿論丸ごとの塩焼き、お殿様がお城で食べさせら
れたものとは違って、ワタも一緒ですから格別に美味しゅうございました)
(落語で有名な「目黒の秋刀魚」。
お殿様が目黒へ鷹狩に行った際に、農家で供された秋刀魚の塩焼きが余りにも
美味しかったので、「秋刀魚は目黒に限る」と言う「落ち」ですが、普段お城で
食べる秋刀魚は、骨も皮も臓物までもが除かれた、私に言わせてもら
えれば、味も素っ気もないものだったんでしょうから、丸ごと食べた
「目黒の秋刀魚」はさぞや美味しいと感じたことでしょう)


08年9月5日(金)
 皆が皆青空愛でるはずもなくぼんやり見てる我の寧日

(寧日(ねいじつ)・心安まる平穏な日。多くは否定の語を伴って用いるもの)

08年9月4日(木)
 熱々が美味しいなどと無理強いするな!俺の猫舌知ってるくせに

(熱いものは熱い内に食べるのが美味しいんです!は、いちいち言われなくったって
ですが、ALSになってからは一段と熱いものが食べ難くなって、妻にツッコミを
入れられたりしています。要は食べる姿勢で、熱いものが下唇に当ることで
アッチッチ!となります。例えば熱い蕎麦を啜る場合は、絶対的に皆さん
下向きで口に入れ唇には触れないように啜りこまれる筈です。残念
ながらこの姿勢では食事が出来ないのが現状で、いきおい、
冷ましてから、となっています)


08年9月3日(水)
 <赤紙>を枕辺におき身罷りし父の墓前に蝉時雨聴く

(今暁見た夢に、親父?らしき人が寝てる場面があり、この歌になりましたが、
この数日間に視た、戦中戦後の様子を語るテレビ番組の影響かもしれません)


08年9月2日(火)
 吾を見つむる目を見る我はその眼(まなこ)の奥に潜むる何かに怯びゆ

( 「目は口ほどに物を言う」は格言で、当にそのとおりですが、ALSを背負ってる
私との初対面時の目に、えも言われぬ厳しいものを見せる方がいます。
何故?如何して?の前に、貴方もですか!と慣れっこになった自分が
悔しいんですが、介護関係の方々のそれが、近頃顕著になったことは否めません)


08年9月1日(月)
 児童らの弾ける声に学び舎は膨らみて見ゆ九月一日

(東京も長い夏休みが終り授業が始まりました。ひっそりと静まりかえっていた
目の前の小学校からも、子供たちの元気な声が弾けとんでくるようになりました)


08年8月31日(
 蝉の声絶え絶えにして秋虫の鳴き音かそけき八月の逝く

(不順だった夏を提供してくれた8月も、今日でお仕舞いです)

08年8月30日(土)
 眠剤に眠り貪りし夜の明けてぼんやり見遣る今何時かと

(睡眠薬を服むなんて鼻の手術を受ける前夜以来ですからかれこれ10年
ぶりでしたでしょうか。不動の姿勢で朝まで眠り続けることがどんなことなのか?
と、不安を抱えてのスタートでしたが、途中で女房を起こして採尿を頼んだと言うんですが
私は覚えていないほどの熟睡だったようです。お陰で女房は、久し振りに2回しか
起きないでグッスリと眠れたというんですから、結果は一石二鳥、
但し、私は昼頃まで頭がぼ〜んやりしてて少々参りました)


08年8月29日(金)
 ゲリラなる豪雨が暴れしおちこちに人命奪はる報道数多

(この夏に都会地に多発している、突発的な集中豪雨の事前観測が非常に難しい事
から、「ゲリラ豪雨」と呼ばれるようになったようですが、小さな入道雲(積乱雲)が、
ヒートアイランド現象に、海上からの湿った空気を取り込んで急速に発達し、極々
限られた地域に激しい雨を短時間に降らせるようです。突然の洪水に為す術も
なく命を奪われた人々の無念さを思うと遣り切れないものがありますが、
元々はと言えば地球温暖化の影響大とのこと、事態は深刻ですね)


08年8月28日(木)

 アフガンに命墜とせし若者は日本農業の種を蒔き逝く

(皆さんもよ〜くご存知の事と思います事件ですから、取り立てては書きませんが、
怒りを通り越して、虚しさだけが遺こる出来事でした)
(NGO職員・伊藤和也(31)さんに黙祷!)
(正確にはアフガニスタンですが、新聞、テレビ等でもアフガンとよんだりしてますので
<アフガン>としましたが、アフガンとは本来「アフガニスタンの人」の意味を持つそうです)


08年8月27日(水)
 仏像を盗む輩に買う輩篤き信徒の戸惑ひよそに

(凄い時代です。お寺から仏像(千手観音)を盗み出してフリーマーケットで
7.000円で売ったと。までは余程お金に困ったんだろうと理解できますが、
商売下手ですねぇ、その労力、心労を考えると呆れる程の金額ですが、盗品
である事を見透かされて買い叩かれたんでしょうね。それにしてもです、買った
輩がネットオークションで49万円で売り捌いたと言うんですからこれまた呆れますが、
考えるまでもなく買う輩がいると言う事、世の中は需要と供給のバランスで成り立って
ますが、このような事が大手を振って歩ける世の中ではあって欲しくありませんね)
(尚、この事件で被害に遭った仏像は、無事にお寺へ還られたとのことです)


08年8月26日(火)
 秋雨にあらずも葉月に降りつづく雨のもたらす<秋>に戸惑ふ

(何時ぞやの大雷雨を境に一気に気温が下がり、夏日どころか今日などは9月末から
10月初旬の気温だと報じています。ひと足早い秋雨前線のいたずらかと思いきや、
そうではなく後から後から発生する低気圧に向かって北の冷たい空気が送り
込まれてくるためと報じています。カラッとした本来の秋冷と違ってなんとも
鬱陶しい毎日ですが、今週いっぱいは我慢を強いられるようです)


08年8月25日(月)
 四捨五入すれば七十歳ですと介護に精出す女房(あなた)は偉い!

(70歳が若いのかお年なのかは、
その時々に本人だけが感じ知るものと思いますが、
私の専属ヘルパーこと女房殿はこの言葉をよく口にします。
嵩上げしてまで七十才を強調するのはきっと、精神的にも肉体的にも
もう歳なんだから大変なのよ!と言いたいんだろうと思いますが、女心の複雑さには降参です)


08年8月24日(
 月光を背に立ち尽くす百日紅(サルスベリ)は鋭きシルエットに紅色隠す

(今あちこちの庭先などで見かけるサルスベリの花、漢字では百日紅と書くぐらいですから、
紅が主体かと思えばそうでもなく、紅はむしろ少数派で殆どが濃淡のあるピンクで
時たまですが白も咲いていますね。夏の暑い盛りに百日?も咲き続けるん
ですから見上げた奴ですが花の無い時期ですから貴重です)
(この歌は、15日(金)の夜、十三夜の月を庭の向こうに観ながら詠んだものです)


08年8月23日(土)
 新涼につつまる朝に眠剤ののこりし頭が眠りを欲す

(17日の大雷雨が、猛暑を追い出した後に入り込んできた
涼風(昨晩の最低が20.1℃)が、
心地よい朝を演出してくれてますのに、眠剤を服んで深い眠りを
貪っていた私の頭は、ぼ〜〜としてて一向に覚めません)


08年8月22日(金)
 まるでもう駒落ち将棋を指すごとき五輪の陰のプロ野球嗚呼!

(火の消えたような、と言うと語弊を招くかとも思いますが、現在のプロ野球は中心選手が
オリンピック出場の為に抜けて、各チームが普段とは違う戦い方を強いられているようです。
ファンとしては、五輪期間中は休戦にしてくれた方がとも思いますが、営業面を考えると出来
ない相談だったようです。その、プロのスター選手を集めて出陣した北京オリンピックでしたが、
今日の韓国戦に敗れたことで、金、銀への希は断たれてしまいました。次のロンドンでは
野球は排除されますので、有終の美をと期待しただけに残念な結果に終わってしまいました)


08年8月21日(木)
 ツイーと飛びフイと留りてスィッとゆくアカトンボウは青空を背に

(お盆さんの遣いとも秋の遣いとも言われる赤トンボですが、
我が家の庭でも時折飛んだり翅を休めたりするようになりました。
8月も残すをあと10日、秋の遣いが似合う季節が忍び寄ってきているようですね。
その昔、お盆休みに行った那須の八方ヶ原で、それこそ真っ赤な赤トンボの大飛翔を
見ましたが、上向くと青空が見えないほどで、その余りの数に驚いた事を今思い出しました)


08年8月20日(水)

 怖いなあ怖い!怖い!と採血針を操る女医の笑顔が怖い!

(家庭医として私の健康管理をして頂いてる女医さんですが、昨日一年ぶりに
採血をしてくれました。何時もの事ですが、怖い怖いを連発しながら針刺しに
熱中なさっています。ALS患者は血管が細く硬くなって深い処へ潜り込んで
しまうせいか、在り処が判り難く、やっと見付かっても血管が逃げてしまい一向
に刺さりません。腕が駄目なら手の甲へ、それでも駄目なら足を出せ!は、
某大学病院の採血室でのことでして、我が女医さんは口では大騒ぎしてますが、
その腕は実に確かで10年もの間一度も射し直しをすることなく今に至っています)


08年8月19日(火)
 悔いなどと改めらるるものなれば端(はな)からもたぬことにす我は

(今更悔い改めようなどと思ってみても時既に遅し、はこれまで。
だからこそ、これからの人生を悔いる事などないようにしたいものです)


08年8月18日(月)
 お祖母ちゃんの手作りなのと外孫は揃いの服でまたくるからね!

(昨日、岩手へ帰っていった二人の孫娘は、
娘の義母にあたる「おばあちゃんに作って貰ったの」というお揃いのワンピースを着て
ルンルンでした。お正月までのお別れですが、来る度に心身共に成長してて感心しきりです)


08年8月17日(
 炎天のなかゆく浴衣の若きらの心躍らす遠花火きく

(いま若者の間では男女を問わず浴衣が流行のようで、花火見物の制服のような趣です。
まだ日の高い頃から、三々五々と会場目指して下駄の音などを聞かせてくれてますが、
終わった後に会場付近へ浴衣を脱ぎ捨ててゆく輩がいると聞いて少々驚いています。
使い捨て文化もここまでくると何をか言わんやですが、遠くから聞こえてくる
花火の音は若者に限らずとも心躍らすものがありますね)


08年8月16日(土)
 雷鳴をバックに驟雨は狂(ふ)れるごと暑きひと日に幕を下ろしぬ

(まるでどんでん返しのように、一瞬の内に青い夏空が厚い雲に蔽われてしまい、
耳を澄ますと遠雷さへ聞こえていました。テレビのテロップでは、埼玉、群馬の各地に
竜巻、強風、洪水の警報を流し、東京23区にも大雨、洪水、雷警報が出される程
でしたが、我が練馬もほんの一時、雷雨に見舞われたあと静に暮れてゆきました)


08年8月15日(金)
 一本の指で天さす青年は蛙泳ぎで五輪を制す

(北京オリンピック水泳平泳ぎの100mと200mを制覇した、我が北島康介選手が、
電光掲示板で記録を確認した直後に見せた独特のポーズです。
勝った者にだけ許されるものですが、世界記録の保持者で
あることも手伝って堂々たるものですね)
(中国では、平泳ぎを「蛙泳」としていますので)


08年8月14日(木)
 物憂げな吾の顔のぞき看護婦はニコニコ顔に替えてみせます

(頼りにしてますよ!)

08年8月13日(水)
 主なき校舎は夕陽に輝きてひとり鎮かに蝉時雨きく

(夏休み中の目の前の小学校は、部活のようなものもないようで実に静ですが、
校庭や校舎を取り囲むイチョウやケヤキの大木から聞こえる蝉の声は、
時雨どころか嵐のような凄まじさです。
今年は蝉が多いように感じますが、如何でしょう?)


08年8月12日(火)
 盂蘭盆をあしたにひかえ想ひ馳す吾を育みし出雲の野山に

(故郷は遠くにありて想うもの・・・・・のようですが、
もう行くことはないだろうな!、などと考えると余計に想いは募るようです)


08年8月11日(月)
 秋立ちて暑さますますつのりたる練馬に昇る宵月おぼろ

(今宵の月は、ちょつと太めの半月ですが、この月が沈む1時頃から
「ペルセウス座流星群」が1時間に30個を超す流れ星を見せてくれるようです。
暑気払いには絶好のショーですが、寝不足では暑さに負けてしまいますので、程々に。
暑いです、とにかく暑い!それもすこぶるつきの蒸し暑さです。
ご訪問戴く皆々様には
心より、残暑のお見舞いを申し上げます)


08年8月10日(
 ま坂とふ坂が在るらし北京には日本戦士の息切れ激し

(日本戦士の北京オリンピックの滑り出しは、「マサカ!」と言う坂で喘ぐほどの厳しい
スタートとなりました。開会前に始まった女子なでしこサッカーは格下と言われる
ニュージーランドと引き分け、続いてのアメリカには1−0と負けて前途多難です。
メダル確実と言われた女子重量挙げ48キロ級の三宅宏美は、体調を崩したとかで
自己記録にも届かず6位に沈み、柔道男子60キロ級の平岡は、前大会まで3連覇の
野村を降して代表の座を手にした事を、重圧とでも受け留めたんでしょうか、無名と言われる
アメリカの選手に初戦敗退という屈辱を味わいました。極めつけは、やわらちゃんこと
谷亮子(32)の銅メダルでしょう、「ママでも金」と日本中の期待を背負っての出場だけに
目に見えない重圧をも背負っていたのかもしれませんね。加えての衝撃は、女子マラソンの
野口みずき選手体調不良で欠場しそうとの情報もあります。一気呵成という言葉がありますが
初日からこれでは全くの逆で、意気消沈もいいとこですね)


08年8月9日(土)
 暮れなずむ都会にありてアブラゼミはネオン彩る夜半に鳴き響(とよ)

(昨今は何でもかんでもを地球温暖化のせいにし勝ちですが、蝉が夜陰に鳴き騒ぐ
のもそのせいなんでしょうか?。外灯の傍に在る樹で一匹が鳴くのは何度も聞いた
ことはありますが、昨晩(1時頃)のは合唱ですから驚きです。人間社会では夜型が
増えて、資源の無駄遣いが叫ばれるほどですのに、自然に生きる蝉が何も真似する
ことはないと思いますね。それとも!、雌の数が減った?、結婚したくない雌が増えた?
まさか!晩婚?、はある筈がないでしょうね。何れもが予測に過ぎませんが、
同じ地球上に棲む者としてちょっと気になる出来事ではあります。)


08年8月8日(金)
 パンドラの箱を覗き観るごとく北京五輪にチャンネル合はす

(怖いもの見たさ!と言ったら、中国政府に怒られそうですが、
オリンピックそのものよりも中国国内の諸事情の方に注目が集まって、
やれテロだ!やれ大気汚染だ!人権弾圧だ!と喧しいことです。
評論家先生の中には、開催時期尚早論を公言されてる方がいるぐらいですから、
この騒々しさを、IOC(国際オリンピック委員会)はどのように見ているんでしょうか?。
とは言え、夜の8時丁度に(日本時間9時)にその幕は切って落とされました。
(註・パンドラの箱)
(ゼウスがすべての悪と災いを封じこめて、人間界に行くパンドラに持たせた箱。
パンドラが好奇心からこれを開いたため、あらゆる罪悪・災禍が抜け出て、
人類は不幸にみまわれるようになり、希望だけが箱の底に残ったということです)


08年8月7日(木)
 秋立つを謳ふがごとく鈴虫はリビング隅に初音を鳴きぬ

(今日は暦の上での立秋、これからは暑さも残暑ということになりますが、
実際は一年中で一番暑い頃と過去の統計が教えてくれています。
そんな今朝、リビングの隅に置いてある二篭のスズムシ君が、
たどたどしいものでしたが二声だけの初音を聞かせてくれました。
去年は7月25日でしたので少々遅れてますが、
立秋に合わせて鳴き始めるなんざあ見上げた奴です)


08年8月6日(水)
 クーラーの冷気を逃がさんと開け放つ窓より入りく熱き蝉噪

(健常な頃からそうでしたが、こんなになってからは一段とクーラーの冷気が
身に応えるようになりました。じっとしてて動かない所為だとは思いますが、
寒く感じるようになったところでストップ、28度に設定しててですから困ったものです。
それにしても、蝉の声ってパワフルですね) 
(蝉噪(せんそう)=蝉がさわがしく鳴くこと)

08年8月5日(火)

 誉れ高き夕張メロンを口にしつつあの夕張市に想ひを馳せぬ

(戴きものの夕張メロンを、二人では、とその機会を待ってやっと切ることができました。
美味しい事は言うまでもありませんが、あの夕張市の特産品と知ってるだけに複雑です。
夕張市は、2007年3月に財政再建団体に指定された事で有名ですが、その中でも
夕張メロンは別格で、初物のご祝儀値は常識では到底理解出来ない価格で店頭に
鎮座まします。広く夕張市を知って貰うには恰好のものとなっているようですが、
独りメロンだけでは、再建は難しいようですね)


08年8月4日(月)
 ただ独り砂山作りに励む吾をおとなが遠巻く夢に目覚めぬ

(変!な夢ですが、思い当たる伏線はあります)

08年8月3日(
 ニッポンの夏の自然はヒステリック 猛暑だ!豪雨だ!竜巻だあ!

(地球温暖化の所為でしょうか?何でもあり!ですね)

08年8月2日(土)
 <感動!を元気を勇気を与える>とふ高校球児の夏は輝く

(「全国の人に元気・勇気・感動を与えられるよう正々堂々と
プレーし、高校野球のすばらしさを伝えることを誓います」
と福知山成美(京都)の椎葉一勲主将(3年)が選手宣誓してプレーボールとなりました。
今年は、第90回記念大会ということで55の代表校が憧れの甲子園に集い、
17日間に渡って熱戦を繰り広げる。予定ですが・・・果たして?)


08年8月1日(金)

 球宴に心おどらずただ見遣る馬券を購はずに競馬観るごと

(プロ野球のオールスターゲームをテレビで観戦するんですが、今一力が入りません。
それもその筈、いわゆるお祭りですから、どっちが勝っても関係なし!。特に今は、
セ・パの交流戦が在りますので全チーム全選手が一通り対戦してますので
目新しさにも欠けます。勝負事は、手に汗を握って勝つか!
負けるか!と一喜一憂するのがよろしいようですね)


08年7月31日(木)
 夏半ば猛暑もひとまず治まりてオリンピック前の静寂

(今日の最高気温は32度と、ひと頃の猛暑が治まると同時に、
高校野球の予選が終り55の代表校が出揃いました。プロ野球も
前半を終えて球宴休み、一人イチローが3000本のヒットを打った!と
気を吐いていますが、物価の値上がりに悩む主婦の気を引くはずもなく、
若しや内閣改造か?と意気込む記者も、のらりくらりの福田首相相手では、
読者が喜ぶような記事が書けないようで、テレビも新聞もが大欠伸をしながら、
8月8日の北京オリンピックの開幕を待っているようです)


08年7月30日(水)
 父が鬱母はリューマチ病むという吾のヘルパーは「僕頑張らなくっちゃ!」

(私を看てくれてる27才の男性ヘルパー君のご両親は、
歌のようなご病気を抱えてご苦労をなさってるようですが、
彼は充分に自分の立場を弁えてて、「僕がシッカリしないといけないんですよ」と
親御さんが聴いたら泣いて喜ぶようなことを口にしてます。今時の若者は・・・は
私らの年代がよく口にする言葉ですが、兎角問題視される「介護」の世界に
身を置いて頑張ってるところを知ってる者としては、今時の若者に
しては・・・と褒め言葉の一つもかけてあげたい心境です)


08年7月29日(火)
 不安定といふ安定に支えらる被介護生活けふもあしたも

(ヘルパーさん不足が全てですが、こればっかりは・・・・・)

08年7月28日(月)
 (ひんがし)も西もビル奴に囲まれし日溜まりに生く暑い暑いと

(東側は8階建て、西は12階のビルが壁のように囲んで見通しが利きませんが、
南は大きく開いて遮る物がありませんので陽当たりは良好。
と言うよりは、夏のこの時期ぐらいは日陰が時折ですが欲しくなります)


08年7月27日(
 弁護士との作戦会議の虚しかり勝訴確実の裁判なれば

敗訴
(まけ)る事承知で提訴を為す輩に付き合ふ怒りをどこにぶつけん

不真面目でのらりくらりの原告を叱る裁判長を法廷にみたり


(裁判の90%は「和解」で解決するものだそうですが、この度私が受けた訴えは、
誰が見ても被告が「勝つ」という実に理不尽なものだ、と弁護士は言います。
そのような提訴であっても裁判所としては受理せざるを得ないものだそうで、
税金の無駄遣いと分かっていても裁判を遣るんだそうです。
それにしてもです、嫌がらせとしか考えられないような
裁判に引っ張り出されるバカバカしさ、正直疲れます)


08年7月26日(土)
 緑陰の風ひょうひょうと万緑の香りをつれてひやっひやっとゆく

(厳しい夏の陽がカンカンに照りつける遊歩道から、
逃げるように飛び込んだ木陰のなんと涼しいこと。
それもそのはず、鬱蒼とした檜の森です。
真っ直ぐに伸びた遊歩道に添って風が通り抜けているんですから、
体感温度は日向のそれと比べるとかなりの差があったものと思われます)


08年7月25日(金)
 潮音(しおね)きく夜半のしじまに独りいて引いては寄せる耳鳴りを聴く

(耳鳴りは嫌なものですが、聴きようによっては波音ともとれますね。
但し、まんじりともしないで天井を睨みながら聴く耳鳴りは、楽しくありません)


08年7月24日(木)
 <晩年>に幕を降ろさんけふかぎり明日から私は貝になります

(ALSを背負っての「生活」に少々疲れました)

08年7月23日(水)
 リビングに黄の花二輪がすまし顔道辺に生(あ)れし雑草なるに

(高架下の日当たりの悪い道の傍にあったからと、
妻が手折ってきた雑草が小さな黄色い花を咲かせました。
よくよく見ると、桜のように5枚の花弁をつけていましたが夕方には萎んでしまいました。
その道の学者先生の言によれば、「雑草」なるものは無いそうですので、ここは
「名知らず草」としなければ、とは思いますが、何分字数に制限がありますので)


08年7月22日(火)
 「たいしょ」とは大いに暑いと知るけふの暑さ諾ふ<大暑>にうだる

(今日は「大暑」・「二十四節気」の一つで太陽の黄経が120度に達した時をいい、
現行の太陽暦で7月23日頃に当たり一年中で最も暑い時期といわれています。
練馬の今日は、34.5度に湿度70%、これで暑くない!はずがありません)


08年7月21日(
 海の緑(あお)と畑の緑を酢で合わせし<キュウリモミ>とふ夏を口にす

(酢の物が大好きで、一年を通して欠かすことなく用意してくれてますが、
今日のは定番中の定番、若布と胡瓜の酢の物でした。当に夏ですね)


08年7月20日(

 夏空に干乾び色褪す紫陽花に追ひ討ちかくる射る陽の痛し

(梅雨明けと同時に、ジリジリと焼けつくような陽射しが容赦なく照りつけています。
そんななか、手入れが行き届いていない紫陽花が、茶褐色の花殻を
つけたままのみすぼらしい姿を夏の陽に晒していました。
剪定をしてやれば来年また見事な花を着けてくれるんですがねぇ)


08年7月19日(土)
 梅雨明けをテレビニュースに知るけふの空に隆々入道雲は



(学校が夏休みに入った今日に合わせるように、関東甲信地方で平年より1日、
昨年よりは13日早く梅雨明けしたとみられると気象庁が発表しました。
今年は感心するほどのグッドタイミングですが、海に山に遊園地にと、
子供たちの笑顔や歓声が弾けることでしょう。
19日は全国的に晴れ上がり、気象庁はすべての地域で梅雨明けした
とみられる、と発表しました。午前に梅雨明けしたのは、関東甲信と
東海、北陸、東北地方で、平年より1〜8日早かったようです。)


08年7月18日(金)
 来る人の来る人来る人来る人のみな口揃え暑いですね!と

(今日はこれまでに計7人の看護婦さんとヘルパーさんが来てくれ、
電話ではお二方とお話をしましたが、第一声は「暑いですね」
お互いが暑い事を認め合うことで、暑さを分かち合ってるのかも知れません)


08年7月17日(木)
 鬼灯(ほおずき)の燈る今宵の空高く十五夜の月まけじとわたる

(鬼灯と満月じゃあそれこそ 月とスッポンですが・・・・・
浅草寺のほおずき市を機に、「行灯づくり」になった「ほおずき」が市中に
出回るようになりました。軒先に吊るせば、夕風がチリンチリンと風鈴を鳴
らしたりして風情を醸しだしてはくれますが、
現代の猛暑はそんなことで涼を呼べるほど柔なものではありませんね)


08年7月16日(水)
 今日もまた東京一の暑さとふ練馬に暮らす不運を哂ふ

アメダスの傍に暮らして諾えし猛暑日と報ず熱波につつまれ


(我が練馬では12日の35.7度をピークに、
連日33度付近をうろつくという酷暑が続いています。
加え湿度、こちらは正式な数値を発表しませんので定かではありませんんが、
兎に角、蒸し暑い!日が続いています。この歌にあります「アメダス」は、東京(島嶼を除く)の
10ヶ所に設置されていて、随時、観測情報を皇居お堀端の気象庁へ送っているようです。
我が練馬にも、それも私の住まいのすぐ傍に在る「武蔵大学」の構内に設置されて
いますが、気象庁が発表する、「今日は練馬で35.7度を記録し関東で一、二の
暑さとなっています」が、そのまま我が家の暑さですから大変です)


0年7月15日(火)
 飲料水(みず)は購ふ時代に我はカランより迸るそれに満たされをりぬ

其の割りに旨い!水飲み東京に根を張り枝を張り三昔
(みむかし)余り

ふるさとの水の美味さを想ひつつ東京都民を三十余年


(天然水を其のまま飲料水として利用なさってる方など、都会地では見かけなくなって
久しいと思いますが、今では水道水でさへ、臭い!とか、不味い!とかで、市販の
ペットボトル入りの物を常飲なさってる方が多いと聞きます。ですが!私は、未だに
水道水を蛇口から汲んで飲んでいます。その量一日に約2リットル、美味いとか
不味いとかを感じたことがありませんので、別に気にすることもなく飲み続けていますが、
かって蕎麦屋を商ってた時に、お客さまにお出しした「お冷」を美味い!と言って何杯も
お代わりなさる方がいらっしゃったことを考えると、冷やして飲めば「東京水道局」の
水道水であっても、違和感無く、美味い!と喉越しを楽しめるもののようです。
尚、このように書きますと、お前!「東京水道局」の回しもんか?と訝る方が
いらっしゃるかと思いますが、私は決してそのような者ではなく、
一介の東京都民をやってるだけですので、念の為)


08年7月14日(月)
 真夏日の街が吐き出す騒音を消しつつ飛びゆくヘリコプター五機

(同じ練馬区内に自衛隊の駐屯地がありますので、
たま〜にですが迷彩模様のヘリコプターが低空を飛ぶことがあります。
この度は珍しく5機での編隊が飛びましたのでその轟音たるや凄まじいもので、
都会地の喧騒音など全てを呑み込んでしまいました)


08年7月13日(
 キャァー!とか気持ちわるい!の声よそにナメクジ月夜にそろり這ひずる

(庭に棲みついているナメクジ君、夜になると何処からともなくお出ましになって、
処かまわず這いずり廻って妻を驚かせています。昨晩も水遣りをしてる妻が
キャー!と奇声を発しましたので、110番されるぞ!とたしなめたところです。
それにしてもです、見つけるそばから塩や熱湯をかけてやっつけてはいるんですが、
一向に絶えることがありません。ビルの4階ですからねぇ?不思議です)


08年7月12日(土)
 留守電から聞こゆる妻の余所ゆき声が「電車が来ましたもうすぐ出ます」

(今では、私が日中独りで居ることは殆どありませんが、
月木土に限って30〜1時間をひとりぽっちになることがあります。
ヘルパーさんが上がる時間に合わせて、所用で出掛けた妻が帰ってくる
段取りですが、時々「遅くなっちゃったけど、今出ます」等々のメッセージが
留守電に入ります。それも、大の苦手というだけあつて、自分の家へ掛けてるのに
「余所行き声」ですから笑っちゃいます。あっこれ内緒)


08年7月11日(金)
 <被害者>かはたまた<裁判員>なのか中(あた)りし夢など見るにおぞまし

(一市民が平凡に平和に暮らしているにも関わらず、何の落ち度も関係も無いのに、
突然!殺人事件の被害者になったりします。そこに居たばっかりに、そこを歩いてた
ばっかりにと、持って行き場のない怒りをなだめ治めようとしますが、一方では司法が、
法の下に犯人を裁く事となります。この度、日本でも「裁判員制度」(H21,5,21スタート)
が執り入れられる事となり、日本国国民であれば、その選挙人名簿からクジによって
選ばれることになるそうです。殺人事件の被害者になる事など、真っ平ご免!ですが、
その犯人を裁く事となるとこれまた大変で、たとえ夢であっても共にご免を被りたいものです)


08年7月10日(木)
 緑陰をそろりそろりと病葉(わくらば)の数多貼りつく雨後の並木路を

(すぐそこの桜並木は今、大木となって日の光を透さないほどに葉を
茂らせていますが、一時強く降った雨に叩かれたんでしょう、黄色く
色付いた桜の葉が路面のあちこちに貼り付いていました。病気か
虫食いかは不明ですが、これはこれでまた風情のある風景でした)


08年7月9日(水)
 残雪の谷川岳をまた尾瀬を熱く語らふ訪ひこし友と

照葉峡、金精峠、奥日光の万緑今も友の眼
(まなこ)

(久し振りに来てくれた幼馴染?(この歳で未だチャン呼びです)とその息子さんが、
ちょっとリッチで楽しかったツアーの様子を話してくれました。聴く私にとっては、何度も
何度も奔り廻った大好きな観光地ですが、梅雨真っ只中にも関わらずそこそこの
お天気に恵まれて、万緑の大自然を堪能してきた様子を熱く語ってくれました。
当然!私も、ワインを飲むのを忘れて口を挟むものですから、賑やかなことでした)


08年7月8日(火)
 独居なら福祉事務所が看ますよに離婚(わかれ)ましょうよと妻の浅知恵

(時々ですが、吾が女房殿は恐ろしい事を口走ります)

08年七月七日(月)
 短冊に【孫に逢いたい】と書きし宵は満天の星を蓋ふつゆ雲

(今日は七月七日で たなばたさんですね。幼稚園や保育園、それに小学校でも、
短冊に願い事を書いて笹竹に飾り「七夕祭り」を行うようですが、聞くところによると
、老人ホーム等々の施設でも恒例の行事になってるんだそうですね。ただ残念なのは、
この時期は梅雨真っ只中で、星空を見上げてなどというロマンティックな事は、お天道さん
のご機嫌次第となっているようです。勿論と言っちゃあなんですが、東京の今宵は、
今にも降り出しそうな雲に蓋われて昼の蒸し暑さが残っています。今日のこの歌は、
病友が集うメーリングリストで募集された「願い事」を詠んだものです。
でもでもです。
先程、岩手に居る孫娘から、「8月のお盆になったらおばあちゃんちへいくからネ!」
との電話がきました。これ出来過ぎ感が否めませんが、星に誓って、本当の事です)


08年7月6日(
 病みたるといへども七十路(ななそじ)男にて羞恥心などいまだ喪失(う)せざる

(介護や診察を受けたりする際には、否応なしに秘部を曝け出さなければ
ならない場合が多々あります。当然の事ですが、これが実に厄介なものでして、
70男にして赤面の憂き目を経験したりしています。先日の二人の看護婦
さんと二人の看護学生さんの8ッの目には流石に参りました)


08年7月5日(土)

 ニュース読む声にハッ!とす何時の間にまどろみたるや外は梅雨空

(夕刊を読みながらNHKのゴルフ中継を観ていましたが、
何時の間にやら眠っていたようで、トーンの違う声にわれにかえりました。
開け放した窓の外は当に梅雨、31度もの気温とじっとりとするほどの
湿気が、否応なしに気力さへも奪っていきます)


08年7月4日(金)
 鈴虫はおびただしきほどに生まれきて小さき宇宙に蠢く蠢く

(今年も夥しい数のスズムシが孵化しました。
と言っても去年ほどではありませんが、蠢いています。
そう、蠢くという語がピッタリ嵌るほどの数が、見る人によっては
「気持ちわりい〜!」と云わしめる状況です。勿論全部が成虫になるはずも無く、
自然淘汰の網をクリアできた者だけが、この世の春を
謳歌して子孫を遺せる仕組みのようですが)


08年7月3日(木)
 夏雲が視界の底に輝きて梅雨の晴れ間を仰ぎ見てをり

(予報に反して、ほんの一時でしたが青空が視界の殆どを占めました。
見ると南に在る校舎の上に入道雲がひと塊鎮座まします。スワッ!梅雨明けか!
は早合点で、見る見るうちに梅雨雲に被われてしまいました)


08年7月2日(水)
 「研修」と看護学生訪(おとな)ひ来 吾の<ALS>を繁々と視る

(訪問看護ステーションの看護師さんに、大学病院や、看護大学の学生さんが
「居宅看護」の「研修」と称して同行してきます。殆どの学生さんがALSの患者を
視るのは初めて、と言う事ばかりではないんでしょうが、先輩看護師さんの仕事の
様子を、何を訊くでもなく、メモを取るでもなく、ただひたすらに視ていきます。
3年生ですので、あと1年ちょっとで晴れて看護士さんの誕生となる段取りですが、
別れ際に私は、「それまで頑張ってるから、看護士さんになったら私を看にきてくださいよ!」
と声をかけてますが、ハイッ!と返ってきたことは、当たり前でしょうがありません)


08年7月1日(火)
 青空が恋しい梅雨の宵にゐて星の瞬く空を仰ぎぬ

(昨晩の事です。ベッドへ入る前になにげなく空を見上げたら、星が二つ三つ!、星空と
言えるほどには晴れてはいませんが、若しこれが日中だったらと、19日以降24日を除いて
ほぼ日照ゼロの日が続いていただけに、眼の奥に青空を想い浮かべたものでした)

08年6月30日(月)
 引きずりしものを振り向きその余り多きに脅え気さへ萎えたり

(ノーコメントとさせて頂きます)

08年6月29日(
 桜桃は四角四面に並びゐてルビーにまけじとお高価(たか)く輝りぬ

口にすることを拒むかさくらんぼ勇気が要ります美しすぎて


(何もここまで美しくなくったって・・・と思いますが、
店頭に並ぶサクランボは、まるで宝石のように輝いて、見る者の目をも楽しま
せてくれています。勿論!お味の方も超一級で、万人が認めるところですね)


08年6月28日(土)
 一つ増え二つ増えしていま十錠くすりにすがる我れの寧日

(朝10錠、昼7錠に夜9錠、よくもよくもまあ!ですが、ここへきてまた増えてこれです。
お蔭さんで安穏とした日々が送れてると考えると、薬様々ですが)


08年6月27日(金)
 胸中の思ひのたけを誰(た)に吐かん貝になりたる妻を前にし

(ノーコメントとさせて頂きます)

08年6月26日(木)
 戦死などどこ吹く風の若者が人を殺める日本の平和

(先の秋葉原事件には日本中が震撼とさせられましたが、日頃の鬱憤を、
このような形でしか発散させられない若者の出現が、何を物語ってるのかは
私ごとき者に解かろうはずがありませんが、選ばれた者のみが、将来に「夢」を
持つ事を許される社会であってはならないことは、万人が認めるところだと思います)


08年6月25日(水)
 3一へ飛車を成り込み開(あ)き王手独り将棋は楽しからずや

(毎日、スポーツ新聞に載る「詰め将棋」を楽しんで?いますが、手駒が余ったり、
指定された手数より早くに詰め上がってしまうものがあったりします。この歌の
場合が当にそれで、3三にいた飛車が3一へ移動することで、4四にいる角の道
が開き両王手となってジ・エンド、それも雪隠詰めという勝つ形としては最高に愉
快なものが目につきますが、9手目と11手詰めに対して2手を余していますので
不正解!、残念ながらやり直しです。もっとも、11手詰めなどの高度のものは
殆どがお手上げですので、せめて初手をどう指すか、に正解を見出そうと苦しんで?います)


08年6月24日(火)
 爽やかに吹きゆく風がリビングの朝刊めくり粉薬(ふんやく)散らす

(梅雨も一休みです。爽やかに晴れ、サラッとした爽やかな風が一日中吹き抜けていました。
日中は30度近くまで気温が上昇したようですが不思議なほど暑さを感じない一日でした)


08年6月23日(月)
 ため息と共に帰りし女房は買い物メモを見付けへたりぬ

忘れない為にを忘れし女房はおっちょこちょいを忘れて笑ふ


(女房殿の名誉の為に申し添えますが、彼女はいま、寝不足で疲れてるだけで、
決して健忘症などに罹っているわけではありません)
(健忘症・記憶力が悪くなり、忘れっぽいこと)
(記憶力は、その時々の身体の調子にも左右され、疲れたり、寝不足時などにも減退する)


08年6月22日(
 しとど降る雨の支配す梅雨にあり日がな一日短歌(うた)など詠みぬ

(よく降りますね〜!もう飽き飽きです。で、こんな歌しか詠めません)

08年6月21日(土)

 田起こしを成すがに大地震(おおない)田も畑も道に山さへ猛るがままに

猛りたる大蛇
(おろち)のたうつ山間にレスキューヘリコの小さき影飛ぶ

神ならばジグソーパズルを組み上げる如くに復旧成したきものよ 


(この度の、「岩手・宮城内陸地震」の被災状況をテレビ、新聞に観て詠みました。
被害が、新緑鮮やかな山間部に集中していて、流れを堰き止めるほどの
大規模な山崩れの様子などが傷ましいかぎりです。
被災地の皆々様には衷心よりお見舞い申し上げます。
それにしても、最近の自然災害はヒステリックですね、人の手など自然に対しては無力です)


08年6月20日(金)
 緑陰に歩を止め佇み木漏れ日のゆれに委ねる病む身を心を


(光が丘公園にて)

08年6月19日(木)
 この怒り何処にぶつけん微動だになさざる<法>を二年もかこつ

(6月3日に、「妻にゆっくりと眠れる夜を提供して下さい」と、
福祉課へ陳情した事を歌に詠みましたが、この度、「駄目」との返答がありました。
若しや?と、いちるの希を持って待っていましたのでガッカリ!ですが、
こうなったからには、女房に倒れるまで頑張って貰うしかありません)
(かこつ=嘆いて言う・不平を言う)


08年6月18日(水)

 特別と謳ひし封書は社保庁の不始末明かすビックリ箱か

特別と謳ひし封書は社保庁の不始末糺
(ただ)す印籠なるや

年金を糧とし暮らす身であれば若しやと探す抜け落ちしもの


(ご多分に漏れず、私にも「ねんきん特別便」なるものが届きました。
自分たちの不始末を、加入者に確認させようというんですから、普通に考えると恥ずかしい
話でしょうが、臆面も無く
「もれ」や「間違い」があるかもしれません。ですから呆れます。
私の場合は、加入月数より納入月数が少なく表示してありますので、確認の為と電話
をしてみましたが一向に繋がりませんのでもう少し様子をみてからと考えています)


08年6月17日(火)
 この脚が憎い!と妻は泣きっ面椅子に躓く己(おの)を忘れて

(椅子の脚がそこに在るのが悪いのか?
在るのを承知で躓くお前さんが悪いのか?。
永遠のテーマですが、つまづかれた方の椅子の意見も訊いてみたいものです)


08年6月16日(月)
 地下鉄の窓に映れる吾の顔に裁判帰りの疲れの顕は

(裁判所からの帰りに霞ヶ関駅から乗った地下鉄丸ノ内線車内で観た自分の顔の様子から)
(理不尽な要求を、提訴という形でしてきましたので、已む無く受けた訳ですが、
裁判所の何ともまだるっこい事ったら呆れるばかりです。準備書面に陳述書、
それに対する答弁書を何度も何度も出させて裁判は一向に進展しません。
私が提出してる証拠書類については問題は無いし万全だと弁護士が保証しますが、
原告が自分の主張する事を立証出来ないことがこのようなダラダラ状態を招いて
いると言えそうです。これ以前に、労働基準監督署へ彼が訴えるも不問に付された
事案だけに、実に不可解です。正直疲れました、でも敗ける訳にいきません)


08年6月15日(
 父の日に父と呼ばれて父想ふ五歳の頃に身罷りし父を

(遠〜い遠〜い昔のことで断片的にしか覚えていませんし、
38才で亡くなりましたので、それ以降の父は想像の世界に遊ぶのみですが)


08年6月14日(土)
 ベビーカーの幼の瞳に見守られ電車を降りる車椅子ごと

(ベビーカーとジジーカーとの違いですが、同じ境遇にいることに違いはありません。
乗る時は勿論降りる時も車内を向いて後ろ下がりですので、
こちらを見る怪訝そうな瞳に思わず笑みを返したりしています)


08年6月13日(金)
 この気持ち如何とせんやイライラを治める術なくイライラ募る

(梅雨の中休みにしては余りにも晴れました、雲一つ無い快晴状態が
一日中続いて、まるであしたの晴れを約束したように暮れました。
私にも、何時の日にか、スカッ!と晴れる日がくるんでしょうか?)


08年6月12日(木)
 抑止をかはたまた監視か悩ましき<防犯カメラ>に議論百出

(この度私が住んでるマンションでも、防犯カメラの設置案が浮上しました。
反対派も加えて議論するんですが纏まりません。そもそも防犯カメラとは何ぞや!ですが)


オートロック、<防犯カメラ>を完備なすマンションに起こる事件の不思議

(今時のマンションでは当たり前の設備でしょうが、
それでも事件が時々起きているのはどうしてでしょうね?)


犯人を捜すに徹す機器なれど事件が起きるを待ちてもをりぬ

(事件が起きた時の為に、を裏返すと、起きるのを待ってる、んですよね)

犯人は死角を知るやその像を<防犯カメラ>に遺さずに消ゆ

(こうゆう事よくありますね。周到に下見をされたんじゃあ敵いっこありませんよね)

防犯を旨とすものであればこそダミーに託すこともまた善し

(巧妙に出来ていて作動状態を演出しているそうです。何より易くて廉い!)

犯罪は人の目盗みてのみ、ならず止むに止まれぬ事でも起こす

(犯罪の種類は色々で、防犯カメラの抑止力を頼れる程度のものだけじゃあありません)

我が家への出入りを監視さるるとは情け無き世になりたることよ

(住人としては実に複雑で決めかねていますが、費用の事もありますので
<防犯目的>を優先してダミーでも充分と考えています)


08年6月11日(水)
 そぞろ降る雨に飽き飽き梅雨たける鬱陶しき日に加湿器仕舞う

(もう少しもう少しと、伸ばしに伸ばしてきた加湿器の収納を、雨の季節を
迎えたことでやっと終えました。これで、乾季となる初冬までのお休みですが、
喉の調子が悪く、今では生活してゆく為の必需品となってしまいました)


08年6月10日(火)
 買い換えたほうがと修理を拒否されしビデオを視てる耳を澄まして

(もう10年も重宝に使ってるビデオと一体型のテレビですが、流石にお疲れのようで
ビデオを再生すると、音声が小さく、音楽にいたってはボヨヨ〜ンボヨヨ〜ンとまとも
には聴こえなくなってしまいました。デジタルへの移行にはまだ3年もあります、
如何したものかと思案投げ首中ですが、ビデオのハードを遺しておかないとベータが
消滅した時のように録り溜めた物を再生出来なくなってしまいますので厄介です)


08年6月9日(月)
 雷鳴の轟く街は篠をつく雨にけむりてイナビカリに浮く

(夕方5時頃から始まった雷鳴ショー、予報通りのもので、来たか!って感じでしたが、
ひとしきり激しい雨を伴って夕暮れを演出しました。止み間なく光る稲妻が雨に煙る
街を浮き立たせて幻想的でさえありましたが、どうやら今年の梅雨は、
真面目にその責務を果たそうとしているようですね)


08年6月8日(
 陽が差さず雨もかからず人の手も届かぬ庇にアシナガバチの巣

(今年もアシナガバチが時を同じくして巣を作り始めました。
それも去年と同じ2つで、共に一匹づつがせっせと励んでいます。
このあと巣が大きくなるに比例してハチの数が増え大所帯になる頃に
ちょうど秋の終りを迎えるという実に絶妙のタイミングです。誰に教わった
ものか識りませんが、自然に生きるものの不思議さ凄さを改めて感じています)


08年6月7日(土)
 バーチャルの世界に立つ我凛々しくて病床に見る夢よ覚めるな

(バーチャル・イコール仮想の世界ですが、夢が当にそれで、
立つどころか身動きさえも自分では出来なくなった今でも、健常に
いた頃と同じような夢を見ます。いつも不思議に思ってはいますが、
頭の何処かにALSを認めていない部分があるのかも知れません)


08年6月6日(金)
 夏日いじょう真夏日みまんに吹く風の心地よきかな梅雨の休みに

(昨日までとは打って変わって今日は晴れて梅雨の中休みとなりました。
最高気温は27.9℃と、25度の夏日を越えても真夏日の30度には到達しないという
なかで吹く風は、湿度が低かったことも手伝って大変心地よいものでした)


08年6月5日(木)
 どっぷりと梅雨に浸かりてまだ四日止み間なく降る雨に疲れし

(2日に梅雨入りして今日で4日目ですが、雨は毎日降って日照はゼロに近く、いわゆる
梅雨寒状態で暗〜く沈んでいます。たった4日でこれですから、今後が思い遣られます)


08年6月4日(水)
 整理とふ作業は遅々とし捗らず<思い出>捨てる勇気のなくて

(「身辺整理をなさって下さい」は、ALSの告知を受けた私にとっては衝撃的な言葉でしたが、
この歌はそんな大袈裟なものではなく、普段の生活で溜まった物の整理を始めた事から
詠んだものです。私に限らずきっと皆さんも同じ思いをなさっていることでしょう)


08年6月3日(火)
 この道は幾たび来し道手ごたえの無き福祉課へ続く道なり

役所とはこちら都合では動かぬもの通い続けてやっと緒に就く

福祉制度を生き抜く糧にと療養の援助を頼む情けなき吾は


(もう二年も前から、「妻に安眠出来る夜を週一回だけでも提供して下さい」
とお願いしていましたが、何度行っても話は聴いてくれるんですが返事は無し
状態で、その度に落胆感を味わっていました。お役所の事に疎く、どのようにすれば、
が分からないままに2年が過ぎてしまいましたが、この度ALS協会関係者の計らいで、
区会議員を介して福祉課の上層部の方に陳情する席を設けて頂きました。今週中には
「結論」が出て給付に繋がるんじゃあないかと期待して待っているところですが・・・・・)


08年6月2日(月)
 唐突に梅雨入り宣言聞きし宵は垂れ込む雲の重々しくて

(九州南部と四国地方が梅雨に入ってるところまでは承知してましたが、
こんなに早く関東地方も入ろうとは想いもしませんでした。
(平年より6日、去年よりは20日も早い梅雨入りです)
台風5号の影響でどんよりとした一日でしたが、夜に入って雨が時折
パラついたりしています、明日は本格的な雨になって気温も下がるとか、
昨日が皐月晴れ?の好天気だっただけにキツネに摘ままれたような気分です)


08年6月1日(
 あした着る衣装にうつつを抜かしゐる妻はお歌の稽古をよそに

(歌の出来を競うステージの筈ですのに、吾が女房殿は昨日から衣装選びに懸命です。
と言いましても沢山有る中から選ぶ分けではなく、アレコレを組み合わせてなんとかそれ
らしいものにしているようです。女心のなんといじらしいこと、幾つになっても、のようですね)


08年5月31日(土)
 カルガモの巣立ちは過酷よ行列から抜け落つこととニュースに観たり

(親鳥の後を一列棒状で追うようについてゆく様子は、テレビニュースなどで
すっかりお馴染みですが、それこそ山あり谷ありで彼らにとっては命懸けの
巣立ち(巣離れ)となるようです。勿論、大部分の雛は逸れることなくついて
いって安全な場所で親に護られながら成長するんですが、中には迷子という
巣立ちを余儀なくしちゃった、ちょいとトンマな子もいるようですね)


08年5月30日(金)
 流れゆく路面を睨み小半時介護タクシーは窮屈なりし

車椅子ごと乗り込みて運ばるるバタン!ドタン!と上下に揺れつつ

街景色を観ること叶はぬ介護タクシーに揺られてをりぬ着くは今かと


(車椅子ごと乗り込むんですから少々のことは我慢しますが、外の様子を観る事が
出来ない程嫌なことはありません。今日の介護タクシーがそうでしたが、見えるのは
前を行く車のお尻と、流れてゆく路面だけ、足一つ伸ばせない状態でのドライブは楽しく
ありませんが、生活をしていく上では欠かすことの出来ないものだけに悩ましいことです)


08年5月29日(木)
 池の面におたまじゃくしが大口を開けては潜るを厭きもせず見る

(近所のお屋敷の池から獲ってきたの、というオタマジャクシを貰いましたので
池に放しましたが、呼吸をするんでしょう上がってきて大口を開けては潜ってを
繰り返しています。こんなことを繰り返しながら成長して、やがては蛙に変身す
るんでしょうが、いったい何様蛙になるのか?と、妻は戦戦恐恐の心地にいます)


08年5月28日(水)
 わか緑のいろどる森に野鳥らのおのおの色のさえずりを聴く

(新緑と一口に云ってもその色合いはそれこそ色々で、風にでも吹かれよう
ものなら葉裏の微妙な違いを見せてくれたりして実に美しいものです。
今日行った光が丘公園で観た様子ですが、
あちらこちらから聞こえてくる野鳥たちの囀りもこれまた色々で楽しいものでした)


08年5月27日(火)
 あり余る時間を見つむ臥せをればけふもきのふも影絵見るごと

(十年一日が如し・は少々大袈裟ですが・・・・・)

08年5月26日(月)
 真っ白にさ緑散らす豆飯は初夏(はつなつ)色を召されとばかり

(初夏の風物詩とでもいいましょうか、グリンピースご飯が食卓にのりました。
目にも鮮やかなさ緑が食欲をそそりますが、初夏なればこそと美味しく戴きました)


08年5月25日(
 五月場所千秋楽の目出度きや助っ人力士の輝きて幕

ブルガリアとモンゴル出身の関取に苦杯を舐める大和男
(おのこ)

また一人角番大関誕生す!八勝七敗の二大関を尻目に


(助っ人などと云われて久しい外国人力士でしたが、今では助っ人どころか、大相撲の
屋台骨を背負う存在となりました。優勝は14勝1敗の大関琴欧州、続いて両横綱の
11勝でしたが、国産大関の成績は、琴光喜、魁皇が共に8勝7敗とやっとの勝ち越し、
千代大海に至っては5勝10敗とまたまたの角番です。なんとも情けない状況ですが
直ぐに出世を見込めそうなのは外国人を除くと、小結の稀勢の里ぐらいでしょうか?
当分このような状況が続くんでしょうが、観る気力さへ萎えてしまいそうです)


琴欧州関の優勝に沸く土俵に横綱二人の<しょっきり>を観る

(やってくれました、またまた朝青龍です。
千秋楽結びの一番は、優勝を逃したとはいえ両横綱の勝負ですから固唾を呑んで
観ていましたが、相撲はあっけなく、白鵬が土俵中央に両手を着いて勝負あった!。
で終りの筈ですが、なんと、勝った朝青龍が四つん這いの白鵬の背中に手をかけて
駄目を押したものですから大変!、両横綱が土俵の中央で睨み合うという前代未聞の
<しょっきり>紛いのショーが繰り広げられました。駄目押しが癖になってる朝青龍ですが、
四つん這いになった相手に駄目を押すなんざぁ正気の沙汰ではありません。
横綱審議委員会の見解を聴きたいものです)


08年5月24日(土)
 薫風が連れこし雨にふふまれし微かな梅雨の匂ひを憂ふ

(予報どおりに、夕刻前から梅雨を想いおこすような雨が降りだしました。
薫風香る5月もあと一週間、
鬱陶しい梅雨前線が,今奄美辺りにあって北上の機会を待っているようです)


08年5月23日(金)
 薫風のわたるさ庭に咲きみつる皐月は五月の青空の下



08年5月22日(木)
 あらがえぬ病に呑まれ十年をたゆとう我は一本の葦

(ノーコメントとさせていただきます)

08年5月21日(水)
 すくと起つうすむらさきは雨粒をふふみて妖しクレマチス花


(歌にある雨の日に撮ったものではありませんが)

08年5月20日(火)
 われはゆく車椅子にて並木路をヘルパーさんのリズムに乗りて

(私の外出の全ては車椅子に乗ってです。
それを動かしてくれるのは妻だったりヘルパーさんだったりですが、
歩くスピードは押す人次第。この時は比較的大柄な女性ヘルパーさんの、
心地好い歩行リズムに身を任せていました)

08年5月19日(月)
 鏡見るわれを睨みし爺さんに見覚えありて視線を逸らす

(睨まれて視線を逸らすなんて私らしくありませんが、
自分の顔を見るなんて照れくさいものです。)


08年5月18日(

 楚々ならず大はしゃぎしつつOB会へ出かける妻を案じ見送る

(妻が勤めていた会社のOB会が今年も開かれることになって、一ヶ月も前から楽しみに
していたようですが、数日前から着る物が無いと大騒ぎ。女性はほんとうに大変ですね。
呆れるばかりですが、今朝は早くから起きだしておおはしゃぎ、ハイテンションのままに
出かけて行きましたので、大丈夫かいな、と要らぬ心配までしてしまいました。
帰って来た時の、ただいま〜のあとはニッコニコの疲れた〜!でしたが。
そうでしょうとも、あんなにはしゃいじゃあ疲れましょうよ。でしょうが、
あしたの朝までは私のケアが待ってることをお忘れなきよう、お願いしますよ!)


ただいま〜と帰りこし妻はけふひと日をニコニコ顔で疲れました!と

08年5月17日(土)
 インタビューに応える人らは値上げラッシュの怒りを笑顔にのせて語りぬ

(原油の暴騰に伴う諸物価の値上がりは、石油製品に限らず穀物にも及んで
庶民の台所を直撃しています。怒り心頭の筈ですが、テレビニュースのインタビューに
応える老若男女は、不思議なことに皆さんが笑顔です。カメラを向けられた
照れからでる笑顔でしょうが、発する言葉は諦めにも似たもので、
自己防衛の手段を語る人さへいました)


08年5月16日(金)
 万物の春は闌(た)けりて臥すわれはけふあることに感謝をなさん

(爽やかに晴れた空の下、光り輝く新緑や花々を見ていますと、
進行悪化しつづけるALSとの療養生活でありながら、
不思議なことに、得も言われぬ幸福感につつまれます)


08年5月15日(木)
 草も樹も花も女性も日の光(かげ)も風も薫りぬ五月快晴

(風薫る五月、などといいますが今日が当にそれで、
一週間ぶりの青空は気分さえも軽くしてくれました。
街をゆく女性の服装も一段と軽やかになって、目を楽しませてくれています)


08年5月14日(水)
 朝一番げっぷの出でてようやくに 飲みし清水五体に充ちぬ

(不躾な歌で恐縮です。私は朝、顔を洗ったあとに750ccの水を飲んでいます。
健常であった頃からの習慣ですが、何時の頃からか飲み終わった後のゲップが
出難くなってきました。ALSの進行によるものかとも思いますが、スムースに出て
くれた時の何と気持ちのいいこと。水が体の隅々まで行き渡って、今日の一日を
爽やかに過ごせることを約束してくれたような気分にさせてくれます)


08年5月13日(火)
 天災は忘れることを許さじやハリケーンまた大地震(おおなゐ)無惨!

(<天災は忘れた頃にやってくる>とは昔からの言い種ですが、
5月2日から3日にかけての強大サイクロンは、ミャンマーへ死者が10万にも及ぶ
らしい甚大な被害をもたらしました。そして昨日は、中国でマグニチュード7.8もの
巨大地震が四川省を襲いました。とても忘れるどころじゃありません。前者は死者、
行方不明者を含めて6万人、後者は今日現在1万2千と発表してますが、被害の状況が
明らかになるのに併行して死者数が増えてますので、今後の成り行きが気がかりです


08年5月12日(月)
 ヘルパーは<囁き声>で吾を起こす眠りを貪る妻を気遣い

(夜間12時半以降、8時迄は、妻が365日を休む事なく私を看て呉れていますが、
多いときは5.6回も起こしますので、万年寝不足状態にいます。12時半にヘルパー
さんが帰った後、残務整理や戸締りを終えて眠るのは早くて1時半、寝付いたと思ったら
すぐ起こされて、の繰り返しでは休む間が無いのは当たり前で、時々癇癪をおこしたり
してくれますが、この事を承知してくれてるヘルパーさんが、私を起こす時の声にも
気をつかって、妻の眠りの邪魔をしないように配慮してくれています。
囁き声の使い道にも、色々とあるようでして)


08年5月11日(
 歯にサクリ!喉に春の香惜しみつつ今年最後の筍を食む

(竹冠に旬と書いて筍、言い得て妙 ですが、
当にその通りで皮付きの生の竹の子を戴けるのはほんの2.3週間。
真空パックや缶詰にされた物が一年中出回ってはいますが、いわゆる旬の味では
ありませんね。文字通りに、竹の子は旬に戴いてこそその味を楽しめるものと
思います。今日は、冷蔵庫にとって置きの最後の一本を煮付けて、
来春迄のお別れとばかりに噛み締めて戴きました)


08年5月10日(土)
 <排泄>と云へども「介護」の一環であれば果たさん中空睨み

(尾籠な歌で恐縮ですがご容赦を <m(__)m>)
(人間、日頃の生活において欠かせないのが排泄、食べなければ出ない、
と言うような分けにはいかず最小限度の物は口にしてますので、当然排泄と相成ります。
生活の全てをひと様の手に委ねているわけですから、この作業もプランニングされた時間
内にヘルパーさんの手で運ばれ用を足します。具体的には、8:50分にポータブルトイレ
に座ることから始まり、清拭、髭剃り、洗髪、着替えの全てを10:00までに終えなければ
なりませんので、ヘルパーさんは勿論、私自身もこれで結構大変です)


08年5月9日(金)
 そぞろゆく吾を追い抜きしウォーキング氏の汗に覚ゆるメタボの怖さ

(両手に小さなダンベルを持って、トレーニングウエアーを汗でびっしょりにした男性が、
荒い息を吐きながら車椅子の私を追い抜いて行きました。失礼ながら、スマートなど
とはおよそかけ離れた体躯の持ち主で、あれを落とすのはさぞ大変なことだろうなぁと、
見えなくなるまで見送ってしまいいました)


08年5月8日(木)
 引継ぎて主治医となりくれし医師の眼に病む身を託せる<力>を見たり

(丸9年間お世話になった医師(教授)の後を引き継いで、主治医として診てくれる
ことになった准教授の初の診察を受けてきました。噂には聞いていましたが、
ALSに対する取り組み方をとうとうと語ってくれる眼は真剣そのもので、
これからの療養生活を診て戴くには充分過ぎるほどの先生と、
軽やかな気分で帰途につきました)


08年5月7日(水)
 コンダクター気取りで歩きまた止まる蛙の合唱耳に楽しも

(田舎をご存知ない方には、意味不明な歌ととられましょうが、
早苗を植え終わった水張田の夜は、蛙の大合唱が聞かれる
ようになります。そんな畦道へ、一歩踏み込むと同時に蛙の声は
ピタッ!と止み、立ち止まればまた鳴き出しての繰り返し。田舎での
少年時代にコンダクターなるものを知るはずはありませんが)


08年5月6日(
 ゆうるりと時の過ぎゆくゴールデンウィークを臥せて過ごせしけふも

(ゴールデンウィークも今日6日が最終日。
テレビでは、故郷でのお別れ風景や、外国から帰着した人々のニコニコ顔を紹介し、
明日からの仕事に復帰する覚悟を訊き出したりしています。この間の私といったら、
訪問客が珍しく無かったり、看護婦さんがお休みだったり、体調を崩したの
も手伝っていつになくのんべんだらりとした一週間を過ごしました。)
(尚、此処にある 「臥せて」 は、病気で動けない状態を言っています)

08年5月5日(
 抜きん出(づ)る徒長枝一本に手をかくる勇気のなくて日がな一日

(伐るべきか伐らざるべきかと迷った末に、思い伐っちゃいましたが)

08年5月4日(
 天婦羅かはたまた精進揚げなのかとにかく美味い春の草の芽

(野菜とか山野草(山菜)の揚げ物を呼ぶのに、天麩羅だったり精進揚げだったりしますが、
味に変わりがある筈はありません。この度も、戴いたウド、タラノメ、を天麩羅、
酢味噌にして食べましたがたいへん結構なお味でございました)


08年5月3日(
 まるまるネ!まるまるですヨ!と念押されつつ介護を受くるけふの憂鬱

(「洗面所に居ますからネ!用事ができたら呼んでくださいネ!」
「お薬服みましょうネ、大きな粒が一つ入りますヨ!」
ALSの患者にとってこれほどの屈辱はありません)


<服薬>に<口腔ケア>に<清拭>と<排泄介助>を受けて目が冴ゆ

(ヘルパー養成講座で覚えた専門用語を、
在宅で生活してる私相手に使ってくれる、夜間専門の男性ヘルパーさん。
女性ヘルパーさんでこのような事を口にする方は皆無ですので不思議です。
「排泄介助をします」なんて言わなくったって「オシッコをしましょう」でいいじゃないですか、
歯磨きは口腔ケアですからね、何をされるのか、と身構えてしまいます)

洩れてません濡れてませんヨとヘルパーは時間だからとそそくさと去ぬ

(尿瓶での採尿に失敗し、ビショビショ状態であるのにもかかわらず、
否定なさって始末をしないままに帰ってしまいました。
その後ですか?、
臨時のヘルパーさんを頼んで処置をしてもらいましたが、
彼女にはその後辞めて貰った事は言うまでもありません)



08年5月2日(金)

 蝶がきて卵を産みつけ蜂がきて巣作りに励む狭庭の平和よ

(4階にある小さな庭ですが、春らしくなった頃から蝶や蜂がくるようになりました。
鳥たちが、巣作りや抱卵に夢中なのでしょう殆ど来ませんので、平和そのものです)


08年5月1日(木)
 値下がりしガソリン腹いっぱいに呑みこみてアクセルを踏む口笛吹きつつ

(揮発油(ガソリン)税などの暫定税率を維持する租税特別措置法改正案は3月31日、
参院で審議が行われないまま07年度末の期限切れを迎えました。これにより、揮発
油税・地方道路税・軽油引取税・自動車重量税の暫定税率は同日で失効、直ちに
市中に出回るガソリンの価格が1リットル当り25円程の値下がりになったようです)


 値上がりしガソリン尻目に速度計を睨みアクセルをそお〜と踏みぬ

(租税特別措置法改正案が30日、衆院で再可決され、ガソリン税などの
暫定税率が復活したことで、一気に30円もの値上げになっているようです。
お陰でガソリンスタンドはガラガラ、昨日の10分の一です、と嘆く店もあったとか)


08年4月30日(水)
 そう言えばチューリップらも黒鳥も首が長いね春の狂態

(何の事?って仰る方はいらっしゃらないだろうと、勝手に決め付けて詠みました。
またまたの何故、如何してですが、変な国になりましたねぇ〜、
嘆かわしい限りですが、日本の行く末が、少々どころか大いに心配です)


08年4月29日(
 ランドセルを背中に馴染ませ道草を食いつつ行くは孫に似る女児

(小学2,3年生でしょうか二人の女の児がランドセルを背中に、
植え込みの中を通る道を、アチコチに引っ掛かりながら歩いてゆきます。
一人の児が3年生の孫に姿格好が似てて、赤いランドセルが背中にピッタリ
妻と似てるねぇ!などといいながら後になり先になりしてしばしを楽しみました)


08年4月28日(月)
 山峡の清流眼下に青空を背に群れ泳ぐ鯉のぼり おお!



(今では全国中で観られるようになった風景で、数の多さを競ってるんじゃあ
ないかと思うほどですが、山から山へ清流を跨ぐようにロープを張って沢山
の鯉のぼりを泳がせています。但し、風が無い時は悲惨で、まるでメザシ、
ホホザシの行列状態でおよそ勇壮などと言えるものではありません)


 山峡の清流足下に青空のもとにぶら下がる鯉のぼり ああ!




08年4月27日(
 囀りの消えて狭庭にひとつだにスズメのなくて春の長けゆく

(桜の開花を機に姿を見せなくなったメジロに次いで、スズメ、シジュウカラ、カワラヒワが
殆ど来なくなりました。きっと今頃は、巣作りか抱卵に入っていることと思いますが、
その内に各々が、可愛いヒヨコを連れて来ることと楽しみにしているところです)


08年4月26日(土)
 紅い旗赤いランナーに護られて<聖火>は走る新緑の異国を

(聖火とはなんぞや?)
(ナショナリズム運動の道具に利用されているようで、違和感をもってテレビ中継を観ました。
美しい長野の自然、沿道が、紅色に染められた中を、物々しい警備陣に護られた<聖火>が
妨害行為をくぐり抜けるように走り継ぎました。浅緑に彩られた美しい日本を世界中に見て
頂ける絶好の機会でしたのに・・・。いったい、平和の祭典オリンピックとは何なんでしょうか)

(この歌の異国とは、中国ではない!と言うことです。言うまでもありませんが、
聖火は平和のシンボルとされるもので、決してオリンピック開催国の物ではないはずです。
なのに、本日の長野では、沿道を中国の国旗で埋め尽くされた中をオズオズという感じで
リレーされました。これ以上は言わずもがなですが、将来、東京オリンピックが再度開催
された際に、中国の沿道を日の丸で埋め尽くすようなことは、決してしない!と私は信じて
います。その国の治安はその国自らが護る、が大原則で、長野では中国の防衛隊員は
2名しか参加していません。その上で、中国国旗だけではなく、五輪旗や世界各国の旗で
応援していたら、世界の中国を見る目はきっと友好的なものに変っていたものと思います。
それにしても、
中国の在日大使館が留学生に動員をかけ国旗を渡していたとは、なんともはや!)


08年4月25日(金)
 朝に夕に励みし草取りを笑ふごとペンペン草の風にそよぎぬ

(女房がキーキー云ってます。
いつのまにこんなに伸びたの!もうッ!
抜いてきたのを見ますにバチ形の実まで着けています。
たったこれっぽちの、それも全てが鉢植えですのにこの始末です。
野に在るわけでもないのにこの生命力、雑草と呼ばれる連中に天敵はいないんでしょうか?)


08年4月24日(木)
 金魚藻は春の陽うけて粛々と酸素を作りてメダカ遊ばしむ

(ブランデーグラスへメダカと一緒に入れてある金魚藻が、
日の光が当り出して暫くすると酸素?の粒を放出し始め、
やがて藻の根方から一列棒状になって水面へと昇っては消えていきます。
光合成でしょうか?、お陰でちっちゃなグラスの中でもメダカが生活できています)


08年4月23日(水)
 朧なる月光背にうけ確かなる踏み跡辿る不治ALS(なんびょう)を身体(み)

朧なる月光 は 
私の病「ALS」の、いまだ未開発の治療技術のことで、光明どころか、
月の、それも朧な光程度しか当らないような現状を表しています。
確かなる踏み跡 は 
数多い先輩患者さんが、為す術も無く日々進行悪化をしてゆくままに身をまかせ、
遂には悔し涙を流しながら亡くなっていった、であろう事を踏み跡としました。)


背に月光朧なれども確かなる踏み跡遺すALS(エーエルエス)

(治療の術は無く、ほぼ100%治ることは諦めざるをえませんが、発病から今日までの9年と、
まだまだ続くであろう闘病の日々は、これからも何らかの形で遺していきたいものと思います)


08年4月22日(火)
 九十二歳の母を「若い」と誉めし人の母堂は老人ホームに恍惚と御座す

(息子の私から見ても、確かにお袋は若く見えますが、
老人ホームで生活なさっているというその方のお母さんは、
痴呆症で、娘であることをほぼ忘れてらっしゃるとか・・・)


08年4月21日(月)
 <グローブ>は吾とヘルパーを隔つるなり仲取り持つは介護とふ仕事

(グローブとは、医療用のゴム手袋のことです。
女性ヘルパーさんでこれを着用される方は皆無ですが、何故か男性ヘルパーさんの中には
使う方がいます。たかがグローブされどグローブですが、何故!男性ヘルパーさんだけが、
と悩む?ところですが、最初に体験した男性ヘルパーさんが、シェーバーでの髭剃り時に
左手を顔に添えずにやってたことを思うと肌に素手で触れる事が嫌なんでしょうか)


六尺を超す偉丈夫は腰屈めひざまづきして介護を為せる

(偶然にしては揃い過ぎ?です。181cm、182cm、187cmの3人が来てくれています)

男性介護士(かいごし)は大汗振り撒き我の身に水玉模様を描きて去りぬ

(男性ヘルパーさんは大汗を掻く人が多いようですが、
タオル一本さえ持ってこない人が過去に5人いました)

介護士という名の男性訪れて煙草の臭いを遺して去りぬ

(歯磨き時に、煙草臭い息を私の顔に吹きかけ、
序に煙草臭い指を口に入れてくれた人も二人いました)



08年4月20日(
 芽吹きにはそぼ降るこの雨が糧なれど三日つづきて気さへ萎えたり

(ここ数日は、雨か風かで晴れてもほんの一時、
今日も今にも降り出しそうな雲行きで、もう うんざりって感じです。
が、4週連続で雨に祟られた月曜の明日は、
晴れて18度、春らしい天気になるとの予報が出ました)

08年4月19日(土)
 曇りのち晴れて南の風強く牡丹桜の花びらの降る

(二日に亘る雨風に傷めつけられた八重桜が、今日の強い風に高〜く
舞い上がっているんでしょう、4階の我が家の庭にも降ってきています。
多分、ビル風が手伝ってのことと思いますが、我が家の上空で風が
落ちることで、舞うんじゃあなく真っ直ぐに降るように落ちてくるものと思います。
この春はソメイヨシノでもありましたが、こちらは、舞いながら、がぴったりでした)


08年4月18日(金)
 目に涙湛え訴うる新知事はん、大阪府ちゅうを どないすんねん!

(昨日の、市町村長との会談の様子を観たであろう大阪府民の「声」を代弁しました。
放漫財政によって出来た膨大な借金の後始末の為の荒療治でしょうが、良いか
悪いかは別にして、府民以外の第三者の目から見ていると痛快でさえあります。
若さも手伝ってしがらみが無いぶん思い切った事が出来るんでしょうが、その分
反発も大きくて大変なことだろうとは思います。府民を代表する長の声だけでなく、
直接府民の生の声を聞いてみたいものです)
(「
ちゅう」は「なんちゅうこっちゃ」のちゅうで、ここでは「という」の意味です)

08年4月17日(木)

 石神井川は葉桜映し静もれり水面を睨み不動の白鷺

(石神井川は練馬区内を流れて都心に至る街川ですが、処々に桜の並木があって、
花時には沢山のお花見客で溢れるほどの騒ぎになります。葉桜になった今は川面
に向かって伸びた枝々の新緑が目を癒してくれていますが、静けさを取り戻した川に、
早速白鷺がやってきて佇んでいる様子は一幅の絵を想わせる風景です)


08年4月16日(水)
 春なれば花咲き満つも夏未満 ほほをなでゆく風の冷たく

(世は当に春、北海道を除く日本列島が、ピンク色に染まってるんじゃあないかと思うほどです。
さくら前線は東北北部辺りまで到達して賑やかですが、関東以西ではソメイヨシノの後を継いで
豪華さを競う八重桜が咲き誇っているようです。折りしも今日は、多種多様の八重桜を誇る
大阪造幣局の「通り抜け」の様子が報道されました。勿論、桜だけではありません、ナノハナに
始まった春も、梅、コブシ、モクレン、桃、芝桜、チューリップ等々と咲き継いで豪華絢爛ですが、
不思議なことに、気温の割りには頬を撫でてゆく風を冷たいと感じる今日この頃です)


08年4月15日(火)
 芽吹きの季(とき)来たるを待ちてカラスらはイチョウ大樹に巣作りを始む

(公孫樹の芽吹きは、他の樹々よりかなり遅れて始まりますが、
それに合わせるかのように、二羽のカラスが目の前の公孫樹に巣作りを始めました。
日ごとに枝を伸ばし葉を茂らせていくのを先刻ご承知で、出来上がる頃には
鷹や人の目には触れなくなるだろうことを計算してるようなタイミングです。
ところがどっこい!人間様はその上を行くことをご存じない!ようやくに
骨組みが出来た辺りの未だ剥きだしのものを、無情にも人間様の手に
よって「撤去」されてしまいました。
果たしてこれで諦めるか?、は、それこそカラスの勝手でしょうが)


08年4月14日(月)
 孫娘の遠くにあれば向かひに座す幼のしぐさにとらはるしばし

(岩手にいる二人の孫娘にはめったに逢えない分、
よそさまのお子さんを見ては目を細めています)


08年4月13日(
 ほっとする間もなし桜の華やぎが陸奥あたりに賑々しくて

(さくら前線の北上による華やぎが、ニュースその他で賑々しく報じられています。
何時咲く?から始まった喧騒曲が、散り敷いて葉桜になんなんとするところで
終焉となりますが、ほっ!としたのも束の間アチコチから咲いた!さいた!
サイタ!の声が聞こえてきて、高揚するものを覚えたりしています)


08年4月12日(土)
 若者ら寝そべる傾(なだ)りに若草の萌えたつ光が丘公園

(芝生広場がこじんまりとした丘の上まで続いていて、傾斜の部分には、
桜の古木が等間隔に満開の花をつけて誇らしげでした。芝生には、これも
等間隔に男女の若者が数組身を寄せ合うように春の淡い陽を浴びていましたが、
桜がほんのりピンク色だったのはそのせいだったのかもしれません)
(4月4日・詠)


08年4月11日(金)
 ハッピーバースディと笑みをたたへて一本の紅薔薇くるる女(ひと)の眩しき



(にくい事をやってくれました。勿論女房以外の女性ですが、
70歳になる今日を覚えていてくれたんですねぇ・・・。
実は、いつもお世話になってるヘルパーさんで、呆れるほど?の気遣いを
してくれる方で、有難う!を何回かえしても足りないほどの人です)


08年4月10日(木)
 「新」の付く人々輝く春に吾は後期高齢者と呼ばれ暗澹

(この4月、つまり新年度より、「後期高齢者」と呼ばれる事になりました。
年齢的(70歳)には無資格にも拘らずこの4月から「後期高齢者医療保険」に
入れられて、妻とは別に保険料を徴収される事になりました。なんでも、
ALSによる障害者が故とのことですが、この先どうなってゆくのか、
の明確な説明を得られないままですので、暗〜い地下へ引き摺り
込まれるような嫌〜な気分の今日この頃です)


08年4月9日(水)

 <削除>のたび積み上げ<ごみ>を溜めこみて吾のパソコンはいよよ重たし

(パソコンの動きが鈍くなって(いわゆる重い状態)イライラのし通しです。
大掃除をして整理整頓をすれば快復することは承知してますが、このところ
ヤボ用が多くって、パソコンの前に座る纏まった時間がとれずに今に至っています)

08年4月8日(火)
 二十五坪の五分の一をテリトリーに暮らし月並に病院へ行く

(我が家での私の行動範囲は、6帖のベッドルームにパソコンとテレビを
置いて、ほぼ此処で一日を暮らしていますが、
洗面所と食卓と、リビングの一部も来客時と入浴時に使っています。
庭は残念ながら段差があって出られませんので、日光浴は窓際です)
(月並=毎月。月ごと。また、毎月決まって行うこと

08年4月7日(月)
 無惨にも焼け落ちし湯宿の映像に疲れ流しし昔日甦(かへ)

(NHKニュースが、群馬県草津の十二屋旅館が
6日未明の火事によって焼け落ちた!と報じました。
草津温泉には何度も行ってますが、湯畑の直ぐ側に在る「十二屋旅館」にも、
若かりし頃の遠〜い昔に、泊ったような、泊らなかったような?
硫黄泉の臭いだけは強烈に覚えていますが)


08年4月6日(
 和むとは見えて和まぬ。身の裡にもやもやするもの常に棲みゐて

(内情をご存知ない方からはよく、のんびりした生活が出来てていいですね、
などと言われますが、修行の足りない私は、のんびりしてるようでその実、
腹の中、頭の中はもやもや、もやもやした状態が未だに続いています。
果たして、ドリス・デイの歌のように、ケ・セラ・セラと暮らせるように
なれるかどうか?は、矢張り私自身に課せられた「修行」ではないか、
と考える今日この頃です)


08年4月5日(土)
 マチュピチュをテレビに観る度想ふこと何故如何(なぜいか)にして如何にして何故

(私の頭ではどうにも理解できない、山上に築かれた古代都市マチュピチュ。
どうしてあんな処に都市を築いたんでしょうか?水は?食料は?交通は?と
考えると、それこそ夜も眠れなくなります、実に不思議ですね)


08年4月4日(金)
 不可能を可能にせんと「不」をバックスペースキーにて楽々<削除>す

(文章を書いてて、このような歌が出来てしまいました。
出来ない(不)を消せば出来るになる。こんな簡単な事で
不可能が可能に転じるなんて事は、実生活ではありっこないん
ですが、でも、出来たらいいな!な〜んて真面目に悩んだりして)


08年4月3日(木)
 春雨よ!と妻は庭木に話しかけ水を撒きつつ虹さへ描けり

(春陽サンサンの中で水撒きをする妻の周りに、時々虹がでています。
ご本人さんは気が付かなかったようですが、儚い儚い手作りの虹でした)


08年4月2日(水)
 スズメらは梢を渡り桜花(はな)を摘み水面に落として花筏(いかだ)を作る

満開の桜の下に花毛氈敷き詰めスズメらは春を謳ひぬ

咲き誇る桜花摘みては蜜壺を嘴
(くち)にすスズメらはお喋りよそに

蜜を吸ふただそれだけに雀らは桜花を落とすクルクルクルと



愛知一宮在住のゆう子さん撮影・提供



(東京に棲むスズメ達はチュン!とも声をたてずに桜の蜜を食べています。
桜の花の蜜壺部分を千切って中の蜜を吸いとっては捨てていますが、高い梢から落ちて
来る様子は、蜜壺を下にしてクルクルと回りながらですから、散るのとはまた違った趣が
あります。この事を私が初めて目にしたのは15年ほど前でした、私の店の前の桜から前
記のように花が落ちてくるのを見上げてみてそれと知りました。それ以前はヒヨドリがピー
ピーいいながらやってましたので、それを見たスズメが真似をしたんじゃあないかと思いま
すが、これは私の想像です。ただ年を追うごとにその量が増えて、今では我が家付近の桜
並木の下は白い碁石をばら撒いたような状態になっています。皆さんに訊いてみましても、
どこでも見ますけど、あれスズメがやってるんですか?と驚かれる人が大部分です。何しろ
不思議なことに声をたてずに静かにやってますのでスズメに気が付く人は少ないようですね)


08年4月1日(火)
 ALS(エイエルエス)治療に列なす人々の喜ぶ声聞く<四月一日

(エープリルフールとも四月馬鹿とも言われる4月1日の風習ですが、
生真面目?な日本人の間では遊び程度にしか普及していないようです。
確かに、まんまと担がれても腹の一つも立てずに笑って流すなんてこと、私には
とうてい出来っこありませんが、欧米では政治家までもが秘策を立てて
楽しんでいるようですね。この歌のような事が、現実となる日は?・・・)

08年3月31日(月)
 満開の桜が気になる花冷えに花をも散らさんこのむら雨に

(昨日の夕方から降り出した冷たい雨が、今日は強めに降ったり止んだりしていましたが、
昼を下がった頃から完全に止んで急速に晴れ、青空から陽さへ射してきました。
この分だと、心配した満開の桜は傷まずにいてくれることとは思いますが、
明日は強風が吹くとの予報も出て、花散らしにならなければと心配な事です)


08年3月30日(

 (い)きつつも活(い)くるにあらずと自らは動けぬ肉体(からだ)の時には疎まし

(相変わらずの嘆き節です)
(活は生活の活で、活気、活動、活躍となり、残念ながら今の私には無いものです)


08年3月29日(土)
 乱れ咲く花の妖しき春宵にいづれがコブシか白モクレンか

(そろそろ終わりでしょうか、夜目には区別がつきにくいコブシと白モクレンですが、
咲き姿も同じように乱れ咲く、という表現がぴったりのように思われます)


08年3月28日(金)
 春の日に<狂気>と括れぬ若者の<命>育む日本を憂ふ

(悲惨な殺人事件が頻発しています、それも将来のある若者の手によってです。
いったい何がこのような事に奔らせるんでしょうか?殺められた人と殺めた人、
同じ命でありながら、と思うと遣り切れないものを禁じえませんが、今の日本には、
このような事をしでかす人間を育てる土壌があるとすれば忌々しきことです。
昔は、狂気の沙汰、で片付けていたんでしょうが、どうもそれとは違うような気がしてなりません)


08年3月27日(木)
 いかなごの釘煮届きて今年も知る瀬戸の春また友の息災

(今年も届きました。
沢山の「釘煮」を友人、知人に贈ってるようですが、
瀬戸内にも春が来て、大量の「いかなご」が市中に出回るようになると、
あちらこちらのお家から醤油と砂糖を煮詰めるいい香りが漂いだして
街中を蓋うようになるようです。春の風物詩、と言われてるようですが、
 彼女は電話で、今年も炊くことが出来たん!と神戸弁?で元気そうでした。)


08年3月26日(水)
 我もまたドラマに倣ひ<ありがとう!>と一言遺して逝きたきものよ

(言いたい事を全て言い終え、最後に一言、ありがとう!でコトンと息絶える。
テレビドラマによくあるシーンですが、そんなに旨くいくもんか!と
言いつつも、肖(あやか)りたいと思うのは私だけでしょうか)


08年3月25日(火)

 春分に降る雨冷たくひもすがら桜の蕾に想ひ遣りつつ

咲き初めし桜の下をそぞろゆく宴の季に想ひ馳せつつ

隣人は桜餅手に咲き初めし仙川通りの桜を語る


(さくら三詠)
(22日に開花宣言がなされた東京ですが、
不順な天候の影響で一気とはいかないようです)


08年3月24日(月)
 木の芽にも寝坊決めこむ奴のゐて彼岸明けてもコシキブひとり

(木の芽どころか花の季を迎えてるものもありますのに、
我が家のコシキブ(コムラサキ)は未だに芽を吹きません。
心配になって切って見ましたら、青々としててしっかりと生きているようです。
花期は夏ですので慌てる必要はないんでしょうが、ヤキモキさせてくれます)


08年3月23日(
 「東京都練馬区中村北・・」にオヤ?目を留め又又殺人事件か!

(いわゆる三面記事ですが、見慣れた活字に目が行って、
近所で24歳の青年が他殺体で発見された事を知りました。
人が人を殺す!余程の事、と思いたいんですが、連日のように報じられる
事件にすっかり慣れてしまい、少々の事では驚かなくなってしまいました)


08年3月22日(土)

 ほっとして地下鉄ホームに佇むに風が電車を連れて入り来る

(病院行きの往復に地下鉄大江戸線を使いましたが、
ホームで電車を待っていると、先ず音が聞こえて来、次いで柔らかで
生温い風が吹いてきてだんだん強くなって電車本体が滑るように入ってきました。
昔、あの有名な谷川岳の下をくり貫いて造ったトンネルの、土合駅ホームで体験した風は、
地上に在る駅舎まで強風が吹き抜けてゆくという凄まじいものだった事を思い出して、
妻としばし思い出話に興じました。今の地下鉄はきっと、あのモンローのスカートを
捲くった映画のように、風の抜け穴を地上に作って逃がしているんでしょう)


08年3月21日(金)
 <君が代>に起った立たんと喧(かまびす)しオリンピックはもうすぐそこぞ

(卒業式シーズンもそろそろ終わりですが、相も替わらずの論争が賑やかです。
何れにしましても、オリンピックの表彰式で聴く君が代と、日の丸は実に誇らしいものですね。
その君が代の歌詞は平安時代に詠まれた和歌で、曲は明治時代に作られたもののようで、
今、聴いても実に荘厳ですね。日の丸は簡単明瞭、誰が見ても日本の旗ですね。
その日の丸を、スケートの真央ちゃんが昨日一番高い処へ揚げてくれました。
また、君が代を大会開催国のコーラスグループが歌ったのにも、少々感動です)


08年3月20日(
 花梅の祭りの沙汰の遠退きて桜咲く日の予報が届く

(花期の永いさしもの梅も、いよいよ終焉の時を迎えようとしているようで、
ニュースにも、話題にも登らなくなりました。が一方では、桜開花予報の3回目が
昨日気象庁より発表され、東京都心では23日には開花するとのことです。
今日の雨をタップリと吸い込んで、明日からの春日和に一気に開花することでしょう)


08年3月19日(水)
 蕗、蕨、薇、筍、独活、土筆、蓬の春の幾巡(いくじゅん)を愛づ

ふき、わらび、ぜんまい、たけのこ、うど、つくし、よもぎが春をはこんできたよ


(漢字から受け取る感じと、ひらがなから受け取るそれ、の違いを味わってください。
春ですね、東京都心の桜は、23日に開花する、との3度目の発表がありました)


08年3月18日(火)
 勝ち名乗り受けゐる力士を隅に置き溜席占む客を観察

(大相撲大阪春場所九日目の昨日の歌です)
(7日目の土俵で、前頭15枚目の境沢が同14枚目の垣添の右の張り手をまともに食って、
脳震盪を起こして後ろへ脚から崩れ落ち、怪我をして病院送りとなってしまいました。
予てから心配してた事が起こってしまいました。まともな相撲では勝てない力士ばかり
とは云いませんが、横綱二人が常習的にやってるんですから何おか云わんや!です。
と言う訳で,このところ、少々白けてしまいましたが、テレビ放送で観ていますので、
勝負がついて勝ち名乗りを受ける力士を映す画面に、「溜り席」が大きく見えます。
昨日は、俳優の大村昆さんがいらっしてましたが、有名人や綺麗どころのお顔が時々
見られたりして、飽きさせないでくれます)


08年3月17日(月)
 ストーブを点けましょうかとヘルパーは二の腕凛々しく素足で立ちぬ

(半袖二の腕まるだしで素足、ヘルパーさんはお元気です。
こちらは寒くて重ね着をした上にストーブですからねぇ、
体温が低めに固定したせいか兎に角寒いんです)


08年3月16日(
 思いっ切り照れております白いチョコ差し出すボクは六十九歳

(バレンタインデーに対してのホワイトデー、おとといがそうでした。
今では春の風物詩とも云えそうですが、何時の頃からか義理チョコなる物が
横行?するようになったようです。とは言え私へのプレゼントは決して義理などではなく、
愛情いっぱいの甘〜いチョコレートであろうことは、食べてみると良〜くわかります。
(甘いのは当たり前だろ!って声がどっかから聞こえてきました!)
九割方を妻が、大好き!(チョコが)と食べてしまいますが、「お返し」を用意して
くれるんですから駄目!とは云えません。今年は、ホワイトデーに因んで
ホワイトチョコレートを差し上げました)


08年3月15日(土)
 音もなく水面に波紋をおきやまぬ雨は梅花を濡らしてぬくし

(昨14日の事です)
(温かい春の雨が、冬枯れの街を濡らしていました。
夜に入ってからは音を立てて降っていましたが、桜にとっては
いいお湿りとなったことと思います。今日などは、19.5度にもなって、
蕾の背を押しているようです。あと10日もすれば華やぎの季が訪れそうですね)


08年3月14日(金)
 断腸の思ひに廃業届出しされどほっとし税務署出で来

決算申告
(しんこく)を済ませて覚ゆ「廃業」をお国に告げし事の寂しさ

納税もこれが最後と感慨を籠めて納めぬ春まだき日に

走馬灯見るがに辿る三十五年蕎麦を商ひ子を育てしを


(廃業届けを出し、H19年度の申告をし、これが最後となるであろう納税も済ませました。
35年の歴史?に終止符を打ち、これからは国民年金を糧としての生活となります。
ALSを発症した時点で、こうなるであろう事は充分覚悟をしましたが、「仕事」が
無くなることは勿論、「二八そば三芳野」が建物諸共消滅してしまったんですから、
何とも云えない寂寞感に苛まされています)


08年3月13日(木)
 湯を沸かし汁(つゆ)を片手に我を呼ぶ「蕎麦よ!はやく!」と急かして妻は

(蕎麦は席について待つ、ものですが、哀しいかな自分では動けません。
ここは、連れにゆくからパソコンを落として待つように、という指令です)


08年3月12日(水)
 日照雨(そばへ)止み庭に立ち上(のぼ)る湯気揺れて春陽の中へ消えつつまばゆし

(一昨日の昼前でした。前夜から降り出した雨が止んで陽が射してきたところへ、
ひとしきりの雨が降って止みました。ふと見ると、強い陽が射す庭のあちこちから
60センチほどの湯気が立ち上って揺れては消えていきます。掘り起こした黒土の
畑では何度も目にした光景ですが、人工芝の庭で見るのは初めてのことでした。
カメラウーマン(妻)不在で写真に撮れなかったのが残念でなりません)


08年3月11日(火)
 春光の跳ねゐる甍に雀らは♪春が来たよ!と歌ひて止まず

(春の訪れが嬉しいのは、スズメに限ったことではありませんが、
お隣の屋根が賑やかでした。そろそろ恋の季節を迎えようとしています)


08年3月10日(月)
 訊かざればよかりしものを<嘘>である事を聞かされ怒りに震ふ

(聞かなければ、仕様が無い!で諦めていたものを、ついつい訊いてみましたら、
正直?に嘘である事を語ってくれました。聞かなけりゃよかった!は後の祭りです)


08年3月9日(
 介護士の手は輝きて温きもの。などとは言へぬけふの憂鬱

(ヘルパー(介護士)さんは、皆さんが共通の資格をお持ちの上で働いてらっしゃる筈ですが、
その実、技術、取り組み方、気配り、等々に呆れる程のバラつきがあり、
男女差も加わって一筋縄で括ることは凡そ無理な世界です。
この度は、痴呆老人(ボケ)扱いされるという屈辱を味わう事となり、少々落ち込んでおります)


08年3月8日(土)
 合格に酔う若者らは跳びはねて笑って泣いて叩き合いまで

(高校入試合格発表会場での受験生達の様子です。
若いっていいですね)


08年3月7日(金)
 存えて知るは絶望ばかりなり遺伝子解明未だ為されず

治験薬試すにしてもその余り進行為しゐて無駄とは酷な

一斉に<ips細胞>開発を報じしあしたに病友
(とも)の訃報聴く

今日もまた誤診であればと願いつつ萎えゆく首に保護具を巻きぬ


(相も替わらずの、嘆き節です。今更!と思いつつですが)

08年3月6日(木)
 初蝶が花わたりをり春風の奏づる曲の音符のやうに

(もうモンシロチョウのお出ましです。春風にのるように、庭木や
パンジーなどを高く低くと舞うように渡る蝶を♪に見立ててみました)


08年3月5日(水)
 ひな壇に無表情顔が並びゐて三月三日に被告と呼ばる

書留!と聞いてハテナ?と手にすれば裁判所への出頭命令

身に覚え無き事なるも出頭をせずば「是認」にとつれない事を

でっち上げ捏造されし事なるに提訴を受ける裁判所とは?


(とんだお雛祭りとなりましたが、世の中には常識では計れないお人がいらっしゃるもので、
弁護士さんが「120%こちらが勝ちますよ!」と言われるような提訴を受けました。
それにしてもです、こんな事案を問題にする裁判所の常識を疑いたくなりました。
トホホ!状態がまだまだ続きます)


08年3月4日(火)
 三月と言へど冷たき北風に揺るる梢に花芽の固し

(あと一ヶ月、にしては桜の冬芽は固く縮こまったままです)

08年3月3日(月)
 ぼそりとも口をききたくない日にも介助を頼む口だけは別

(去年の5月末からのアクシデントとトラブル続きで正直嫌になっちゃいました。
ALSの患者やってんのも楽じゃありません)


08年3月2日(
 ケイタイを手に手に俯く人々を乗せて電車は春日(はるひ)を行きぬ

(これは西武池袋線下り車内での観察歌です。
勿論!通話をしてる方はいませんが優先席以外に掛けてらっしゃる方々です。
春の陽がサンサンと降り注いでいる中を奔ってますのに、それも高架をですのに。
勿体無い!は、たま〜にしか電車に乗らない私だけでした、でしょうね)


08年3月1日(土)
 耳澄ますまでもなかりき 三月の声きく朝に春の音満つ

(思わず、春だねぇ と口をつくほどの朝でした。
空は白く濁っていますが穏やかで、日の光は燦々でした。
弥生です、三月です、春です、ね!)


08年2月29日(金)
 終焉の冬を尻目に吹く風の揺らすコートの軽やかさ佳し

(さしもの冬もいよいよ終焉の季を迎えようとしています。
今日などまるで桜が咲く頃を想わせるような陽気となって、
頬を撫ぜ行く風は心地よいとさえ思えるものでした。
街をゆく女性のコートが早速春物に変わったような・・・・・)


08年2月28日(木)

 食べ物が、空気、年金、医療までが危ない!日本に生き抜かんとす

(個々の事情は省かせて頂きますが、豊かさを享受できる反面、
危うさは多岐に亘ってきているようです。この他に、福祉、介護、教育、ITときて、
それに因って引き起こされる人間関係の危うさは、信頼関係の崩壊を招き今に至っています。
「昔は良かった!」などとは決して口にしないで、今の世にしぶとく「生存」する術を身に付けて、
と考える今日この頃です)


08年2月27日(水)
 少年期に友と作りし雪だるまが今も融けずに吾の中に在る

(雪の話から故郷出雲の雪の話になって、想い出したのが、
友と田んぼに作った大きな雪だるまの事、
不思議なほど鮮明に覚えています)


08年2月26日(火)
 面倒を看らるる我と看る妻が同じ薬を服みつつ息災

(一病息災という言葉がありますが、我が夫婦は一病多い二病息災。
(現実に私は、ALSを加えて三病ですが)
共に高血圧と消化器疾患をもっていますので、掛かっている病院が違うにもかかわらず
同じ薬を処方されています。看る側と看られる側、共にカリカリして血圧も上がりましょうし、
胃の調子だっておかしくなろうというものですが、お陰さんで私は、ALS発病直後に
大量吐血をした8度目の胃潰瘍を最後に、胃は嘘のように好調子を保っています)


08年2月25日(月)
 日本海側には気の毒な大雪に感謝し仰ぐ東京の青空

幾山河越え来し青空冴え冴えと北風吹きぬく街を蓋ひぬ


(日本海を渡りながら水分を補給して成長した雪雲が、越後の山々に
雪を降らせることで消滅しますので、東京の空はいわゆる冬晴れとなります。
今日の空が当にそれで、越後の山々で磨かれた、とでも言いましょうか、
それはそれは美事な雲ひとつない青空が暮れるまで東京の街を蓋っていました)


08年2月24日(
 咲き競ふことなきままに白梅はチラリホラリと春まだき日に

(桜と違って梅は一斉には咲かず、当然ですが散るときも咲いた順のようです。
我が家の白梅も1月中旬から咲き始めましたのに、未だに蕾がありますし、
散ってしまった花柄も沢山目につくようになりました。
昨日の「春一番」が今日は冷たい北の風に変わって、またまた電車が
止まる程に暴れていますが、チラホラ程度しか散ってはいません)

08年2月23日(土)
 吹き荒ぶ春一番の凄まじきスカート捲るは電車止めるは

何故にこれほどまでに荒れ狂ふ冬将軍を追ひ遣るだけに


(東京地方に春一番が吹きました。
都心で3時頃27.9mの瞬間風速を観測するほどの南風が吹き荒れ、
最高気温が17度と上がりましたので、春を呼び込む春一番と発表されました。
東北新幹線を含む北行きの電車が、軒並み運転休止になるほどの
大騒ぎを引き起こしてくれました)


08年2月22日(金)
 <見ず浄し>と訓(おし)えられしも中国産食品にひそむ「何か」に脅ゆ

(昔から日本には、「見ず浄し」「見ぬもの清し」「見ぬこと浄し」という諺がありますが、
この度の中国産の餃子に代表する食品に入っていた物は、この諺が出来た当時
この世には無かった物で、およそ現代の科学技術を想定していないものだけに、
とても今の世にはそのまま通用するものではありません。
当たり前の話ですが、おおらかな時代に、他人を疑うことをよしとしなかった世の
中に生まれたであろう諺、今のこのギスギスし、人を見たら疑ってかかれ、的時代
には絶対生まれなかった諺でしょう。
でも!<見ず浄し>とは旨い事を言ったもので、見えない、ではなく、見る、見ない、を
自分の責任で判断して行動しろと言う事だと私は受け取っています)


08年2月21日(木)
 後ずさる日の影淡く窓際に春の兆をそっと置きゆく

(リビングに射し込んでくる日差しが、ずいぶんと浅くなりました。
冬至の頃は、奥の壁に届き、這い登るほどでしたのに、今は三分の一がやっと、
それだけ太陽が高い位置を通るようになったと言う訳ですが、
春はもう、すぐそこまできていますね)


08年2月20日(水)

 身もて知る、寒さの底に溜まりゐる光の温さに春は近しと

(2月に入ってからの冷え込みが、冬中で一番といわれますが、
東京でも今冬は十分過ぎる程のもので、久し振りに「寒さ」を存分に体感しました。
そんな中でも、昨今の日差しは正直で「春」を教えてくれています。
昔から「光の春」などと云いますが、真冬のそれとは違うものを感じる頃となりました)


08年2月19日(火)
 中年の男性ひとりが数万の足を止めたり <人身事故>とぞ

(昨朝のラッシュ時に、ホームから中年の男性が線路に転落し全線が止まっています、
とのテロップが流れました。人身事故イコール飛び込みと万人が認めるところですが、
相も替わらずの悲劇が繰り返され、一年間に3万超もの「命」を自らの手で消す社会とは
一体何なんでしょう?)


08年2月18日(月)
 見果てぬと知るも夢見るジャンボクジ番号調べを為さずに仕舞ふ

(我妻の「ジャンボ宝クジを100倍楽しむ方法」です)
当りっこない事は百も承知の、いや!だからこそでしょうが、有効期限いっぱいの一年もの間を、
当ってたら、当ったらどうしよう?と、ずっと夢を見てるんですから、3,000円は廉いもんです)


08年2月17日(
「偶然」と「在る筈の無い」事で成り立つテレビドラマを涙し観ている


(あの「冬のソナタ」のように、「偶然」と「ある筈の無い」ような事、の羅列で出来てるような
テレビドラマのなんと多い事か、呆れるばかりですが、流石に気が引けるんでしょう、
終わりに「事実ではありません」とか「フィクション」です、と断ったりしています。
所詮「作り話」である事を承知の上で涙を流したりして観てるんですから、どっちもどっちですが)


08年2月16日(土)
 お願いね!とヘルパーさんに吾を託し出掛ける妻の背に母を見る

(託児ならぬ、託老です)
妻でありながら、まるで自分の子供を扱うような言動が多くなってきましたので
この歌になりました。が、甘えは絶対に許しませんし、私もその積りはありません)


08年2月15日(金)
 氷の消えし池に群れ来て雀らは水を浴びたり春陽浴びたり

(氷が融けるのを、待ってました!とばかりにスズメたちが水浴びを始めました。
順序良くと言うわけにはいかないようですが、
争いながらも終えたのから陽の当たるところで羽づくろいをしています)

08年2月14日(木)
 装ひてツンと澄ましてバレンタインチョコの訪ひ来し臥せゐし我を

このチョコは元気の元です!力ですあしたの糧にと〇〇
(まるまる)さんは

チョコを手にする吾を妻はニコニコと<元気の元よね!私の元気の>

口にするバレンタインチョコの一粒にドラマが見えるほろ苦きそれが

たかがチョコレートとは思へども今日だけは男ひとりを<愛>にて包む


(商戦に踊らされている事は承知の上で、お祭り好きの日本ですっかり定着している
「バレンタインチョコレート」の贈答祭り。ご多分に洩れず?、私の処へも3個が届きました。
それにしても、このチョコレートの美味しいこと、元気も出ようというものですが、
口の中にカスのようなものが残る怪しげな物で育った私にとっては、天にも昇る味です)


08年2月13日(水)
 何をかせむこの冬晴れに。けふひと日仰ぎ見つづけさすがに飽きて

(強く安定した冬型の気圧配置になって、日本海側で雪が降り、
一方の太平洋側ではギンギンの冬晴れとなりますね。
今日の東京は、一日中真っ青で、北風に乗った千切れ雲がたま〜に飛んできた程度でした。
向こう一週間、このような気圧配置が続くようですので、空気の乾燥が心配ですね)


08年2月12日(火)

 「時間が無いのでご免!」と生玉子割りこむ妻は腰を浮かせて

(ご免!時間がないから我慢して!と妻。
実は、本人さんは生玉子は苦手でこんな時でもちょっぴりしか口にしません)


08年2月11日(

 北海に流氷群は縹渺たり赤や黄を着る旅人遊ばせ

(オホーツク海に面した網走からの「流氷便り」をテレビで視ての歌です。
流氷は、冬の便りというより、春が近づいた現象だそうですが、砕氷船ガリンコ号乗船等々、
種々の観光が楽しめる事もあって全国から沢山の観光客を集めていろようですね。)


08年2月10日(
 闇を射す明かりの中を淡雪は舞ひつ踊りつ踊りつ舞ひつ

(昨晩9時を過ぎてから降り出したこの冬4回目の雪を、
ガラス戸をいっぱいに開け寒さを忘れてしばし見とれていました。
やっとこさ雪になったようなぼたん雪が闇から光の中を通って闇へと
消えてゆく、美しいものですね、止むまでの3時間に3cmほど積もりましたが
今朝の淡〜い冬の陽にアッという間に融けてしまいました)


08年2月9日(土)
 臥せをれば朝一番に四百`i(よんひゃく)を食みて看護師に身柄を預く

臥せをればけふのひと日を恙なく暮らせるだけの千二百`i
(せんにひゃく)を食む

四かける三が千二百`i
(せんにひゃく)に納まらぬ筈よ今宵もビールを遣りぬ

(面倒をお掛けしているお医者さんから、一日のカロリー摂取量は1200に収めるように、
とのご指示を頂いていますので、それに近い数値になるよう心掛けてはいますが、
習慣とは怖いもので、主治医からOKを頂いてることをいい事に、ビールの
350ml一本をを精神安定剤のつもりで毎日飲み続けています。
お蔭かどうかは不明ですが、病友の皆さんがお遣いだという
睡眠導入剤のお世話にならずにスンナリと眠りに入ることができています)


08年2月8日(金)
 盛岡へ嫁して十年帰省っ娘(こ)は東京の冬を温(あつ)いと伸びをす

(岩手県の盛岡は、東北でも屈指の寒冷地だそうで、兎に角寒いんだそうです。
そんな盛岡の寒さに慣れた身体が、生まれ育った東京の冬を、
温いと感じるんですから面白いものです)


08年2月7日(木)

 飛行船の俯瞰する東京の片隅にひとり見上げぬその航(ゆ)くさまを

(東京都心観光フライトを終えて桶川(埼玉)基地への帰りに我が家の南上空を通ります。
最低でも12万6千円を払って90分の高見の見物を楽しむものですが、
人手を必要とする人は乗せてくれない、のがちょっと?ですね)


08年2月6日(水)
 言ったでしょ!聞いてないよ!と今日もまた始まりましたおもろい夫婦

言ったのに言わぬと言い張り聞いたのに聞かぬと言い張る強情夫婦

言わぬのに言ったと言い張り聞かぬのに聞いたと言い張る険悪夫婦


(言った!言わぬ!の口争いは、どちらさんでもおありでしょうが、
老人性健忘症?を患っている我が夫婦は、近頃、発作の頻度が増えてきたようです)


08年2月5日(火)

 病みをれば時間刻みのケアサービスを糧にし暮らすこれから先も

(私の生活は、ケアサービスのみならず、訪問看護にマッサージの方々の
手によって成り立っていますが、その全てが曜日ごとに時間を区切って
プランニングされています。24時間、365日を規則正しく過ごす
ことで、未だに椅子に座って暮らせる幸せに感謝しています)


08年2月4日(月)

 ぽとぽとぽと ぽとぽとぽとぽと ぽとぽとぽと立春の陽に雪が融けゆく




(今朝は、都心でもー0.1度とガチンガチンに凍ってましたが、
立春の陽を受けて見る見る内に融けてしまいました。
いよいよの春ですが、当分は強い冬型が続くようです)


08年2月3日(
 雪が降る。都会暮らしの人々への迷惑よそにしんしんしんと


最大で6pほどでした

(東京は本格的な雪でした。
日曜日のせいもありましょうが静かな一日でした。
夜のニュースで、56人もの方々が滑って転んで救急車で病院へ運ばれた!
と伝えています。今晩の冷え込みにもよるんでしょうが、明朝が心配です、ご注意を)


08年2月2日(土)
 駅前の本屋はひとり煌煌と明かりを点す二十五時半

(地球温暖化とかエネルギー危機とかと叫ばれるようになって久しいと思いますが、
都会では、夜型の生活を強いられる人々が困らないようにと、コンビニを筆頭に
様々な業種が日付が替わっても営業を続けています。
余計な事かも知れませんが、あれで商売になってるんでしょうか?)


08年2月1日(金)
 咲き染めし梅のほのかに香りつつメジロら枝枝わたりゐるなり



梅が枝の微かに揺れてメジロらのわたりし花の香りてのどか

(去年の暮れの冷え込みを機に、メジロが3.4羽居ついています。
牛脂、ハチミツ、ミカンを啄ばんでは一日を暮らしていますが、
梅が咲きだしてからは、ひとつ一つを丁寧に啄ばんでいますが、
こんな小っちゃな花にも蜜が在るんですね、尤もlこちらは生ですからねぇ)


08年1月31日(木)
 野鴨らは鳥種の区別もなく遊ぶカル、マ、コ、オナガ、ハシビロガモまで

(光が丘公園の池に、何種類もの沢山の鴨が来て過ごしていますが、
餌を摂るのに先を争うぐらいで不思議なほど静かです。
かと言って、仲が好すぎて交雑種が産まれたという話も聞きません?)


08年1月30日(水)
 先に乗る人らを見送りヨッコラショ!先客の視線に見守られつつ

揺れに身を委ねてしばし降りるよ!の声に目覚めし地下鉄車両に

後ろ向きハイ!降りますよご免なさい!車椅子です通してください!

乗り捨てし電車を見送りさてと向くエレベーターは満員なりし


(地下鉄・大江戸線・車椅子紀行)

08年1月29日(火)

 歌に詠む事などなくて冬半ば青澄む空を見上ぐるばかり

(こんな日もあります)

08年1月28日(月)
 名勝負!思はず声を掛けゐしが寂しさ残る吾はニッポン男子

(大相撲初場所千秋楽結びの一番に、私としては珍しく興奮を覚えました。
思わず叫んだほどのいい相撲でしたが、モンゴル出身横綱二人の、優勝を
掛けた一番だけに、寂しい思いをしたのは私ひとりではないだろうと思います)


08年1月27日(
 大関は昔クンロク今カドバン横綱二人の踏み台なりし

互助会と揶揄さる大関四人さん場所ごと積み上ぐ<かど番>記録を


(千代大海・0勝7敗1不戦敗7日の休み、魁皇・8勝7敗、琴欧州・9勝6敗、琴光喜・8勝7敗
これが、今日千秋楽となった初場所の成績です。これで天下の大関と云えるんでしょうか?
実に不甲斐ないし情けない!、誰一人優勝戦線に参加するどころか、
やっとの勝ち越しですから何をか言わんやです。
それにしてもです、角番を魁皇11回に、千代大海の10回と、
勝ち越すのにきゅうきゅうとしているようでは横綱など夢のまた夢、
モンゴル出身横綱二人の引き立て役に甘んじててよろしいんでしょうか?)


08年1月26日(土)
 <緊急時・連絡先>の先頭に妻のケイタイ番号の在る

(電話機の傍に置かれて在りますが、続いて、主治医、家庭医、看護ステーション、
介護事業所となり最後に地元練馬消防署の直通電話の番号が書かれています。
女房に電話をする前にかける所は在る筈ですが、何故?かトップにあります。
でもこれ、女房の発案で作ったものなんですよ)


08年1月25日(金)
 落ち葉敷き真冬の木々は夕陽(せきやう)を受けつつ己が影引き並ぶ

(光が丘公園の雑木林での寸景です。
葉をすっかり落とした雑木が、強い西日をうけて自らの影を、
落ち葉を散り敷いた地面に並べるように落としていました。
自然の造形美?は大袈裟ですが、美しい!光景でした)


08年1月24日(木)

 愛ほしき髪が伸び過ぎ疎ましくなりて床屋さんに身柄を預く

(若い頃は、透きバサミでジャキジャキとやって貰うほど繁茂?してましたのに、
何時の間にやらですが、疎林状態になってしまい今は淋しい限りですが、
伸びると自分では振り払えませんので、疎ましくさえ思うようになったところで、
床屋さんにご足労をお願いします)


08年1月23日(水)
 淡雪の降り積む芝生にスズメらの乱るる足跡描くだに愛(は)

(予報の時間よりかなり遅れ、朝になって東京にこの冬2回目の雪が降りだし、
人工芝が真っ白になる程でした。その上を沢山のふくらスズメたちが
歩き回って足跡を付けていましたが止むと同時に融けて消えてしまいました)


08年1月22日(火)
 お作法もお行儀もひとまず措いといて腕まくりする茹でガニを前に

食膳のハナサキガニはトゲを磨ぎ真っ赤に怒りおいらを睨む


(戴きもののハナサキガニを食べましたが・・・・・!)

08年1月21日(月)
 カーテンをサッ!と開け放つ昨晩の積雪予報に胸躍らせて

(笑ってください、この歳になっても<雪>と聞くと嬉しくなってしまいます。
子供時代を出雲の山郷で過ごした事で身に付いたものと思いますが、
今朝はガッカリ、予報どおりであれば、5cmの美しい雪景色が観られた筈でしたのに。
沿岸を通った低気圧の雪雲が、予想したほど北に広がらなかった、
は気象庁の苦しい?弁明でした)


08年1月20日(
 蝦夷鹿の鍋を囲みて山談義冬にしあればもはら(専ら)雪山の

エゾシカにイブリガッコと鮒寿司を囲みて酒宴は終わるをしらず


(今年もエゾシカの肉を頂戴しましたので、友人達と一緒に「もみじ鍋?」をつつき、
お酒などをグビリグビリとやりながら、雪山の話等々で盛り上がりました)


08年1月19日(土)
 へら釣りにうつつを抜かしていた頃に妻が手編みせしセーターを着る

(25年間夢中で励んだ「へら鮒釣り」でしたが、
その間妻は、子供や私のセーターその他を手編みして時間を潰して?いたようで、
沢山の作品が今もタンスに在ります。へら釣りウイドーとでも言いましょうか、
文句も言わずに出してくれた彼女には感謝してますが、
その分今は、24時間べったりと傍に居て、お手を煩わせてあげています、は冗談です)

08年1月18日(金)
 初雪は夜半のしじまにひと知れず降りて朝(あした)の芝生に白し

(16日22時半頃から都心に初雪が降った、と気象庁が発表しましたが、
我が練馬でも24時少し前から粉雪が舞い、うっすらですが白くなりました。
朝になっても所々に残ってましたが、晴れて日が差す前に融けてしまいました)


08年1月17日(木)
 温室に暮らす身なれば北風の音に踏み出す一歩の重し

防備為し覚悟を胸にそ〜ろりと空っ風吹く街へと出でぬ

車椅子に座して道ゆく北風の支配す街に梅の香ほのか


(久し振りの病院行き、それも北風びゅーびゅーとなれば格別で、
ジャンバーにマフラー、マスクに帽子、膝掛けをした上に厚手のロングコートを被せて、
いざ出発!
自称、箱入りじじいの外出は大騒ぎですが、冷たい空気が心地よくもありました)


冬晴れに千切れ雲一つすべりゆく風の疾さに逆らひもせず

(全国的に冬の強い気圧配置となって、日本海側で雪が降る一方、
太平洋側は抜けるほどの青空となっているようです。
我が関東地方も典型的な冬型となって、空は青く深く晴れ渡り、
地上では肌を刺すほどの冷たい北からの空っ風が吹き抜けています。
そんな空に、時折ですが真っ白な千切れ雲が現れて、見る見る内に視界を抜けて
南東の空へ消えて往きます。今朝は4階の庭の池にも氷が張るほど冷え込みました)



08年1月16日(水)
 <株安>も<金の高値>も我はただテレビニュースに見流すばかり

(このところの株安で、景況感に暗雲が・・・と報じられる一方で、
<金>の価格が記録的に高騰している、とも報じています。
何れもが、私には全く関係の無い事で、ただただ傍観するのみですが)


08年1月15日(火)
 勝てば善し負けてまた善し朝青龍俄かファンらの拍手を浴びぬ

(かって本場所の土俵上で、勝負に負けて倒れこんでいる稀勢の里を
足蹴にした程の横綱が、その稀勢の里に土俵下まで跳ばされてしまいました。
支度部屋へ引き上げ、風呂場で土を流しながら、チクショー!とモンゴル語で叫んだ!
と報じられたところをみると、相も変わらずのようです。
俄ファンを増やして、国技館を満員にした功績は認めたいとは思いますが)


08年1月14日(
 リビングにねまりて浴びる冬の陽の脚の速さにまどろむ間無き

(西に傾き始めると一段とその速度が増すようで、
ぼんやりしてると、日陰においてけぼりをくってしまいます)


08年1月13日(
 間延びせる石焼芋の売り声ゆく寒さに寂もる闇を震はせ

(♪い〜しや〜〜きいも〜♪いも〜いも〜おいも〜だよん!
久し振りに聞きましたが商売になってるんでしょうか?)


08年1月12日(土)
 雨!雨!と雪!雪!雪!と姦しき三連休は雨に始まる

(一週間も前から、この三連休の土日の関東地方は、雨または雪になると
テレビの予報で騒いで?いましたが、その予報がズバリと当って
雨のスタートとなりました。夜には雪になるやも、との事ですが、
我が練馬では、その雨さえも止んでしまいました。良い方へのハズレは歓迎ですね)


08年1月11日(金)
 鉢土の天地返しに冬眠を破られしヤモリは手に冷たかりき

(冬枯れの鉢の土をひっくり返して、日光消毒をしようとしましたところ、
ヤモリが一匹転がり出てきました。住み着いて既に20数年、勿論
生まれ変わってのことでしょうが、苛めるような事をしないで大切にしています。
何といっても家守ですので)


高校生ゴルファー堂々プロ宣言なして二足の草鞋を履きぬ

(ご存知、ハニカミ王子こと石川遼(16=東京・杉並学院高1年)君が10日、
世界に向けてプロ転向を発表しました。都内のホテルで行われた会見で、
300名もの内外の報道陣の前で堂々とプロ宣言をしました。これによって、
16歳3カ月の国内最年少プロが誕生したわけですが、学業の方も並行して
頑張ると言っています。私としては、果たして?と疑念の方が先にたってしまいますが、
踏み出した以上はファンをガッカリさせる事がないよう頑張って欲しいものです。
それにしてもです、報道陣からの質問に、臆することなく堂々と受け答えをする
16歳の少年には感心を超えて感服感すら覚えるほどでした)



08年1月10日(木)
 枝打ちの目印巻かれて桜樹は寒空に起つ春をあしたに

(「桜剪る馬鹿、梅剪らぬ馬鹿」と言われますが、
近所の桜並木の枝々に枝打ちを指示するテープが巻かれています。
近日中には始まるようですが、大きく育って路を覆い家並みにまで届くほど
枝を伸ばしていますので致し方ないのかなぁ?と、大丈夫かいな?と、
勿体ない!なとと呟きながら、通る度に見上げています)


08年1月9日(水)
 恩師よりはるばる届きし柚子なれば思ひ出話をつけてお裾分け

(私の故郷出雲より、今シーズンも柚子と柚子のマーマレードが届きました。
贈り主は、私が小学4年生からお世話をかけた、元おんな先生ですが、
ご自分で栽培されたものを毎年贈ってくれます。ご高齢にも関わらず、
私が好んで紅茶にマーマレードを入れて飲むのをご存知で、態々
手作りをしてまでも送ってくれます。とても自分たちだけでは
食べきれませんので、皆さんにお裾分けするんですが、
その先生との思い出話なども一緒に持ち帰ってもらっています)


08年1月8日(火)
 松明けて神殿狭しと賽銭を数へる<神>をテレビに見たり

(きのう七日で正月松の内は終わり、
今日からは松飾りもとれて平常の生活が始まりましたが、
神社仏閣でも一区切りついたところで賽銭の勘定をするようです。
テレビニュースで毎度目にする風景ですが、語呂合わせの金額を打ち込んだ
小切手や約手を大写しにしたり、高額紙幣(といっても一万円ですが)を
これ見よがしにわざわざ見せてくれたりします。)


08年1月7日(月)

 トントントン!トントコトントン七草を刻む音消すフリーズドライが

チン!をして温めた粥にフリカケの七草混ぜておめでとうさん!

形だけ形だけとふ七草粥に春を戴く明るき春を


(今日は正月7日、我が家では、今話題になっている、インスタント「七草粥」を
買って来て食べてみました。お粥はレトルト、七草はフリーズドライのフリカケ状、
これが結構いけるんですが、細かく刻まれた七草が果たして額面どおりに入ってるものなのか?
去年の偽装騒ぎを知ってる者としては、正月早々からついつい疑いの念をもってしまいました。
それにしてもです、自分の手で包丁を使って刻む事、お粥を炊く事に意味があると思うんですが
便利、で片付けてしまう寂しさが、後味としてちょっぴりのこりました)

・・・七草粥について・・・
(春の七草とは、
セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ(カブ)、スズシロ(ダイコン)で
この7種の野菜を刻んで入れた粥を七種粥(七草粥)といって、邪気を払い万病を除く、
として食べるもののようですね。お節料理を食べ過ぎて疲れた胃を休め、
野菜が乏しい冬場に不足しがちなビタミン類を補うという効能もあるようですが・・・)

(七種は、前日の夜に俎に乗せて
♪七草なずな♪唐土の鳥が♪日本の土地に♪渡らぬ先に♪バタクサ!バタクサ!」
と囃し歌を歌いながら包丁で叩き、7日の朝に粥に入れて食べるもののようです。
囃し歌は鳥追い歌に由来するものであり、これは七種粥の行事と、豊作を祈る
行事が結び付いたものと考えられているようですが、今このようにして七草粥を
作られる家庭が果たしてどのくらいあるんでしょうか?
少なくとも我が家では、女房が鼻歌を歌いながら作ってるようです)

08年1月6日(
 Uターンラッシュをニュースに見て想ふ「出雲」を後にせしあの時を

(昨日がピークだったようですが、今日も朝から到着客の様子を伝えています。
出雲を後にして50年、最後に訪ねたのがALSを発病した年でしたので、
かれこれ10年程になりましょうか、当に「故郷は遠くにありて想うもの」ですね)


08年1月5日(土)
 三が日に週末までもが加わりて我の「日常」は未だ正月

(29日から始まった年末年始休みの影響が、事私に関しては未だに続いています。
ヘルパーさんについては私の希望どおりに派遣して貰っていますが、
その他の方々が平常通りに来てくれるのは7日の月曜からとなります)

08年1月4日(金)
 知人からの賀状を前に語りかく墨痕乱るる訳を知りたく

未だ来ぬ友の賀状に想ひ馳す家業が・・・、とのぼやきが耳にのこりて

(沢山の賀状の中に、明らかに去年の字とは違うものがあって、
でも筆跡はご本人のもの、この一年に何が?と・・・・・。
もう一首は、毎年元旦に届いてたのに、4日の今日になっても来ません。
一昨年でしたが、電話で話した時に、工場がねぇ・・・、
とぼやいてましたので、ちょっと心配です)


08年1月3日(木)
 若き日とまでは言わねど願わくば発病前の我に逢ひたし

(夢でもいいからと・・・、初夢に期待したんですが・・・)

男らに囲まるる吾の怒鳴り声に目覚めて知るは初夢なりし

(スーツを着た男らと、作業着を着た男らに二重三重に囲まれて・・・、
何かを言い返してるんですが、その怒鳴り声が寝言となって目覚めました。
自分の寝言で目覚めるのは何時ものことですが、見た夢がいけません。
これでは、去年に続いて多難な一年になりそうですね)


たすき継ぐ若きらテレビに観る正月去年(こぞ)の澱(おり)など忘れてしばし

箱根路に若きがひとり崩れ堕つ ただそれだけに涙す平和


(2日3日と行われた、第84回箱根駅伝は駒大が11時間5分で優勝し
その幕を閉じましたが、往路では早稲田が12年振り13度目の優勝を
飾るという大活躍劇を見せてくれました。がしかし、往路の5区で
途中棄権した順大のほか、復路では9区で大東大が、10区のゴール直前では
優勝候補に挙げられていた東海大が途中棄権するなど大波乱の展開となりました。
観る者にとっては大変面白い展開で、今年もまた充分に楽しませてくれましたが)


08年1月2日(水)
 来るも好し帰るもまた好しサヨナラ!の孫娘(まご)の笑顔は弾けんばかり

(来る時も帰る時も4歳の孫はニッコニコ!無邪気なものです)

目に涙溜めておばあちゃんにしがみつく孫娘(まご)よジジだって別れは嫌じゃ!

(何時ものことですが、小学2年のお姉ちゃんのお別れは大変です。
おばあちゃんだって!と切りがありませんが、見てるこっちだって・・・です)

孫台風去りしリビングのあちこちにひっそり残りしものに浸れり

(この度は6日間だけでしたが、残していったものは山盛りです)

08年1月1日(
 リビングのテレビ画面に初日の出拝みて交わすおめでとうさんを

うかららの集ひて元旦賑々しく笑顔のなかに酌む屠蘇美味し



伊豆・真鶴・三石

(お袋を筆頭に二人の孫娘も加わって総勢10人での迎春は、
我が家としてはほんとうに久し振りの事でした。
何時もの二人だけのひっそりとしたものと違ってそれはそれは賑やか、
今年は何かいい事がありそうな・・・・・ならいいですね。
皆様はどのようなお正月でしたか?
迎えられました新年が佳いものでありますよう祈念申し上げます)


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