日ごと日ごとに



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一日一首を義務づけて
私がんてつの身の周りに起こったこと、ALSとの格闘?の模様、
季節の移ろい、世の中の出来事までをも、三十一文字に纏めて、
日記のつもりで短歌らしきものにしています、どうぞ、ご笑読下さい。

2006年11月、私達ALS患者が集まって、現在迄の各々の体験を
岩波書店より 「生きる力」(840円) として、出版しました。
購って下さい、読んで下さい、印税は全額ALS協会へ寄付されます。
「生きる力」 へのリンクはこちら


・・09年版は「短歌のページ」へ収納しました・・



10年12月31日(金)
 ひととせを怒りて悔いて除夜の鐘あす視えぬままいまを忘れん

しばらくは「夢」を温めんジャンボ籤封切らぬまま年を越しゆく


(今年もついに大晦日となりました。私にとってのこの一年は「怒」一字に括れる程
心が泡立ったまま暮れました。持って行き場の無い怒りを、胸中深く持ったままの越年。
でも、でも、でもです、沢山の方々のお手に支えられてこうして「生きて」います。
何方かが仰ってくれました、生きていさえすればきっといい事がありますよ、と。
そのいい事が何であるかを知る由がないだけに、夢でもいいから・・・やめときましょう。)
(この一年のご訪問に深謝し、迎えられます新年が佳い年でありますよう祈念申し上げます)

10年12月30日(木)
 孫娘(まご)の来ぬ正月なんざぁいらないと爺は拗ねます師走も三十日(みそか)

(娘一家から仙台へ引っ越して初めて迎える正月なのでと、東京へは来ないと
言ってきました。生まれてこの方、正月は我が家で賑やかにしててくれた二人の孫娘
でしたのに、寂しい限りです。でも七日の夜には来ると言ってますのでそれまでの辛抱です)

10年12月29日(水)
 年末も正月休みも我になく何時もどおりに今日も暮れゆく

アメ横に正月食品買い漁る300,000の人波怖し

円高を糧にし羽田を後にする人らは温きグァムに遊ぶと

年末の高速道はガラガラに、寒波を避けしか車よ何処

空港に幹線駅に出迎えて孫みるジジババ笑顔に笑顔


(28日の仕事納めを境に、世間では一気にお正月モードに突入しました。
テレビニュースで視た様子を詠みましたが、私の生活はプログラムどおりです)

10年12月28日(火)
 帰りゆく方々なべて口にする「佳いお年を」に寂しさ覚ゆ

(私の生活を支えて下さってる方々は勿論、訪問者の皆さんが、
押し並べて「佳いお年を」との挨拶を交わして帰ってゆかれました。
年内の訪問は、今日限りと云う事ですが、大晦日どころか三が日も休みなく
働いて下さる方々に援けられ、有難い事に私共夫婦は平常どおりの生活ができます)

10年12月27日(月)
 一つ屋根の下に暮らせし妻と吾の間(ま)に他人様(ひとさま)の耳と目あまた

(贅沢言うな!って怒られそうですが。)

10年12月26日(

 冬日射す池の面おほふ初氷にゆんべの寒さの目にも美しこと



(我が家の庭で年内の結氷はここ数年覚えがありませんが、今朝はご覧のとおりでした。
この寒さ暫く続くようでインフルエンザが心配ですね。どうぞ皆様ご自愛下さいますように)

10年12月25日(土)
 凛と咲く梅一輪のさ庭辺にこの冬一番の冷え込みよそに



(予報では、都心でも1度まで冷え込む、のとおり、我が練馬でも0,3度と冷え込んだようです
のに、カンカンの朝日を浴びた梅が、一輪だけですが開きました。何も蜂や蝶が居ない真冬
に咲かなくったってと思いますが、そこは自然の摂理とでもいうんでしょうか、メジロが
蜜を吸いにきて受粉の手助けをしているようです。・・・梅一輪一輪だけの冬長けり・・・)

10年12月24日(金)
 没り日待つ時さへ惜しみカーテンの創りし夜にキャンドル燈す



(ほんとに日本って不思議な国、いや民族ですよね。
日本には約9600万人の仏教徒が居て、約75000の寺院があり、仏像は30万体以上
あるともいわれる程の一大仏教国であるのにです、クリスマスイヴなどと異教である筈の
キリスト教のお祭りに浮かれています。商業ベースに乗せられて始まった行事が、何時の間
にか定着して一大イベントにまで育ったようですが、どこもかしこもイルミネーションに彩られた
街中に、俄かクリスチャンの笑顔があふれるという平和裏に今年も暮れようとしています)
(クリスマスとは無関係ですが、友人に貰ったキャンドルに灯をいれてみました)

10年12月23日(
 流感に忌引きと祭日重なりて私のひと日はギクシャクとゆく

(今日は女房の週一度の全休日でした。加え、天皇誕生日(77歳喜寿のお祝い)で祝祭日
でもありました。(アレッ?順序が逆だったかな?。世が世なら不敬罪で・・・・・ホッ!)
よって、午前午後の2回計3時間来てくれる看護婦さんがお休み。そして早々とインフル
エンザでダウンしたヘルパーさんに、ご母堂を亡くされたヘルパーさんも加わって大騒ぎ。
女房は、約束の時間をずらしてもらい、ヘルパーさんはあれやこれやと遣り繰りして急場
を凌ぎましたが、お互いが生身の人間です、何時なんどき何があってもおかしくありません)

10年12月22日(水)
 温泉(ゆ)に浸かる猿に倣ひて冬至湯に浮かべし柚子の香り楽しむ



猿知恵かはたまた得意の猿真似か冬至の寒さを温泉(ゆ)にて癒しぬ


(今日は冬至で、今でも南瓜を食べて柚子湯に入る日、とされていますね。
が「太陽の高さが一年中で一番低くなる日」で「昼の時間が一年で一番短い日」とも
言われ、いよいよ冬も本番を迎えます。流感が流行の兆しをみせてるとか、ご自愛下さい)
(それにしてもこの猿どもの貌、思わず笑っちゃいますが、湯冷めをしないんでしょうか?)

10年12月21日(火)
 渡り来し野鳥の持ち込むウイルスに脅えて暮らす鳥も人らも

(この冬最初に鳥インフルエンザの発症が確認され、大量の鶏を殺処分したのが島根でした。
その後、公園の白鳥やこぶ白鳥に強毒性のウイルスが確認され、大流行が心配されています。
余程のことがない限り、人には感染しないようですが、経済的損失は如何ともし難く、
牛や豚との違いはありますが、宮崎の二の舞だけはご免被りたいものですね。)

10年12月20日(月)
 写メールに昼月ひくく渡りゐて師走の忙しさ忘れてしばし

昼月の見下ろす街の喧騒に愛でる人なし師走に追はれ




(介護事業所のサ責(サービス提供責任者)さんが、ベッドにいては見られないだろう、
と写メールで撮れ撮れのほやほやを送ってくれました。早速詠んでみましたが・・・)

10年12月19日(
 ありがとう!と言はせておくれよヘルパーさん、ああこう云うにわたしゃ疲れた

(意味不明などと仰らないで、どうぞご判読下さい。
今年最後の、ぼやき節でありますように、と祈りたい気分ですが。)

10年12月18日(土)
 二時間になんなんとせし吾の愚痴を聴きとりし方の「疲れ」に詫びぬ

(気切してもう直ぐ一年です。お蔭さんでこれと云った事故もなく過ごすことが出来ました。
が、ここには書けない色々な事があったことも事実で、包括支援センターのお二方が、
この辺で原点に立ち返って・・・、とのお考えから、当事者である私の話を聴いてくれました)

10年12月17日(金)
 和歌山の完熟みかんを口にして「去年のより美味しいよ!」と妻は

そう言へば去年は俺も口にして愛でしあの味忘れもしない


(友人の紹介で知った「和歌山の完熟みかん」は、生産者が納得のゆくまで
樹において「美味い!」を確認したところで収穫、発送される小粒の温州みかんです。
市場への出荷はせずに戸別に届けられるところが、消費者の心を掴んでと思いますが、
去年のより美味い!と言われても、私は比べられない悔しさだけを味わっています。)

10年12月16日(木)
 ぷっつりと「墓地」勧誘の途絶えしは購入済みとの情報漏れしか

ご奇特な!不治難病に臥す我を「生命保険」に誘ふ貴女は


(あれほど煩く「墓地のご案内です」と電話を寄越してたのが、何時の頃からか嘘のように
来なくなりました。この情報時代です、きっと「御用済み」の名簿でも流れてるんでしょう。
一方、生命保険の勧誘は相変わらずで、ALSと知ると「ご免なさい」でガチャン!です。
が、数年前A社の勧誘員が、「我が社は何方でも加入してもらってますので、折り返し
電話をお待ち下さい」と言ったきり未だに返事を寄越しませんが・・・もう駄目でしょうね!)

10年12月15日(水)

 年賀状「受け付け始め」に溜め息を吐きつつ目をやる住所ファイルに

住所録整理をなすに寂しかり、喪中印に、身罷りし人


(いよいよ残すを二週間となり、臥せてる私でさへ何となく気忙しさを感じる頃となりました。
郵便局では、年賀状の受け付けを始めた、と報じてもいましたので、早速住所録の整理に
かかりましたが、この一年で亡くなられた方が3名に、喪中の方も3名と寂しい限りです。)

10年12月14日(火)
 上がります!朝の7時に帰りゆくヘルパーさんの声に目覚めぬ

(月曜の夜25時に入って翌朝の7時迄、40代の男性ヘルパーさんが寝ずの番を
してくれてますが、最後の痰取りを終えてうとうととし始めたところでのお目覚めです)

10年12月13日(月)
 壊し屋の蠢きいでて年の瀬に民主党いま何処へ往かん

(またまたの小沢一郎氏です。確か、一兵卒として・・・云々と仰ってた筈ですのに、
ここへきて神出鬼没的動きを見せているのにも関わらず、衆院政治倫理審査会(政倫審)
への出席は、身の潔白を理由に拒み続けています。民主党の支持率が20%台迄落ち込む程
国民の信頼を失った責任が、全て同氏にあるとは云いませんが、どう見ても迷走する管政権を
立て直そうとなさってるとは思へません。どころか、党を割る魂胆、とも囁かれています)

10年12月12日(
 カラオケの仲間とともに出掛け往く妻は亭主をしばし預けて

カラオケで忘るるなんざあ軽すぎるこの一年を何と心得ん


(カラオケ仲間10数人の忘年会に誘われて、いそいそと出掛けてゆきました。
カラオケで大声を出すことを唯一のストレス解消手段としてるようですが、その実
想うように歌えないので、逆にストレスを溜め込んだりしてるかも?・・・は内緒です)

10年12月11日(土)
 ひととせを「暑」のひと文字に括りしに師走に吹き抜く風の冷たき

ひと夏の「暑」さに狂ひし列島に北より聞こゆ狂ひし砲声




(今年の世相を現す漢字として「暑」が選ばれたと日本漢字能力検定協会が発表しました。
応募総数・285,406中「暑」とした人が14,537(5.09%)とトップだった、とのこと。
確かに酷く暑い夏でしたが、私としては今一しっくりとしないんですが・・・。
私のと言えば、文句なしに
「怒」です。私個人的には勿論、世の中に対してもです。)

10年12月10日(金)
 雲一つなき蒼空を仰ぎ見つ金星めざす「あかつき」捜す

冤罪の晴れしか無罪判決に白浜氏は今日の青空のごとしと

冬空の蒼く広ごる東京の練馬の隅に臥して入浴を待つ


(青空三昧・吸い込まれそうな青空が真冬のそれでした。)

10年12月9日(木)
 歌ひとつ詠めずにひと日の暮れゆきてぼんやりベッドにヘルパーをまつ

(こんな日もあります。が、今日でした。)

10年12月8日(水)
 肉芽採る覚悟も召されとカニューレの交換をなす医師の明るき

止めとこう!採らずにカニューレの交換を終へたる医師の笑顔眩しき

交換をし終へしカニューレを試すごと放ちし声のクリヤーにして


(心配した肉芽の成長?が思った程てないとかて今回はパス。
次回(二週間後)には採りましょう、という事ですが、声はクリヤーで
苦しさも感じませんので快適?な2週間を過ごせるものと思います)

10年12月7日(火)
 寂しくてまた嬉しくて師走なり喪中はがきに歳暮の届く

(もう十二月!うかうかしてられませんよ!って言ったばかりでしたのに、、、
もう7日です。)

10年12月6日(月)
 計らずも「坂の上の雲」の二年目を視る吾は臥せて十と二年目

三年に亘り放送なすといふドラマを視ゐる吾のあす想ふ


(司馬遼太郎の『坂の上の雲』は、長篇歴史小説でノンフィクションであるとご本人は仰って
いたようですが、史実に基づいていないとの指摘をされる部分もあるようです。「日露戦争」を
主体にした小説ですので、「戦争賛美と誤解される」、との理由で映像化を拒否され続けた
まま亡くなられたようですね。数年前にやっとNHKが口説き落として去年から3年、3部構成
13回に亘って放送するようですが、去年見始めた時は、最後まで視られるかいな?と思いまし
たが、この分だと2部は大丈夫のようです。それにしてもNHKはおかしなことをやるもんです)

10年12月5日(
 友がきの帰りしあとにぽっかりとのこりし穴を短歌で埋めぬ

(久し振りに友人二人が来てくれて、5時間を楽しく過ごして帰りましたが、
その後のなんとも言えない空虚感に、暫くの間ぼんやりとしていました。)

10年12月4日(土)
亡き君の喪中はがきを目の前に妻と想ひ出ばなしにふける

(今年は、今のところ3通の喪中はがきが届きましたが、
各々が故人を思い出させてくれます。)

10年12月3日(金)
 (いたは)しや振り込め詐欺の被害者は息子を思ふ母とゆふ人

母とゆふお人は息子が可愛くて声さへ忘れてしまふものらし

「振り込め」を息子と信ず母さんは詐欺の餌食になりて泣き伏す


(お巡りさんが銀行に張り込んだり、テレビ等々で注意を促したりしてるにも関わらず、
相も変わらずの「振り込め詐欺」事件です。今日のニュースによると、横浜の70歳代の
女性が、長男を名乗る男にいわゆる「振り込め詐欺」で、約1200万円をだまし取られた
とのことです。それも21回に亘って振り込んだ、というんですから何をかいわんやです。
これだけ騒がれているにもかかわらずですから本当に不思議ですが、21回も電話で遣り
取りしてても、聴き破れない?ほど長男さんに似てた!とは、どう考えても理解できません。
犯人は、母性心理を逆手にとってまんまと大金を手にしてるようですが、女性がお父さんの
父性本能をくすぐる「わたしわたし詐欺」なんて聞いたことありませんね、不思議です。)

10年12月2日(木)
 コマーシャルの耳目に五月蝿くチャンネルをNHKに戻しほっとす

(「民放」はコマーシャルも放送しないと経営が成り立たないことは充分分かってはいますが、
その煩さといったらNHKにどっぷりの私には耐えられないもので、特に夕方のニュース
番組などはコマーシャルの合間にニュースが差し込まれているようでいらつきさえします。
尚ドラマその他で、ここぞというところで中断する手段は、スポンサーにとってもマイナス
ではと思いますが、私だけでしょうか?。などと言えば、視るな!って怒られそうですね。)

10年12月1日(水)
 ちまたには電飾きらめく夜の生(な)れてサンタの奔る師走となりぬ


(早くも12月です。今年もまたイルミネーションがクリスマス景気を煽る師走となりました)

10年11月30日(火)
 ALS(なんびょう)に、長患ひに、心まで、嫌〜な奴に為り下がりしに

あしたにも逝きたきものよ臥せをれば「惜しいお方を亡くされました」と


(私が常日頃から考えている事です。
「惜しいお方を亡くされました」ね、と言って貰えるタイミングで・・・・・。
どうぞご推察下さいますように。)

10年11月29日(月)
 療養の様子を視んと訪れし福祉課さんに愚痴などこぼす

(重度の給付時間を、増やして戴いた以降の療養状況がどのように変わり、
家族(妻)の体調及び生活の向上ぶりはどうか、などとの質問を
受けましたが、愚痴などをちょっぴりですが零しました。)

10年11月28日(
 カーテンを引く音鋭く、朝日また鋭く射し込み吾が目を覚ます

(快晴に明けた今朝は、カーテンを引くシャッ!という音に夢を破られ、
あちこちをバウンドして射し込んできた朝日の明るさにシャキッ!と目が覚めました)

10年11月27日(土)
 普通とはなんぞや?などと大仰な普通にやればいいだけのこと

(「普通」を定義づける物差しが欲しい!と言ってみたって在る筈もなく、
「価値観が違う」と反論されるとぐーの音も出ません。
この歌のように突き放せればいいんでしょうが)

10年11月26日(金)
 折角の「いい風呂の日」に情けなや、手抜き、雑把な訪問入浴に

(またまたのぼやき節です)
(永らく安定したスタッフによる訪問入浴サービスを
楽しんでいましたが、
ここへきてスタッフがコロコロと替わるようになって、嫌〜な思いの連続です。
一口で言えば「手抜き」です。ご本人らに問えば、「ちゃんとやってます」と答える
と思いますが、その「ちゃんと」が問題で、サービスを受ける側の私にとっては、稚拙で
大雑把、な上に手抜き、ときてるんですから何をか云わんやです。前任者から手解きを
受けてますので伝わっていない筈はなく、責めて手順だけでも覚えててくれれば、
もっと早く片付くと思うんですが、などと書きながら、股間や臀部の
濡れてるのが乾くのをじっと我慢してるところです。)

10年11月25日(木)
 帰りきて今日一日の出来ごとを話す女房は着替えもせずに

四人
(よったり)の友とのひと日を楽しみし妻の話は今も途絶えず

(結婚前の女房が勤めていた会社時代の同僚と、今でも年に2,3回
会って旧交を温めているようですが、帰ってきてからが大変です。
誰が?ですって?それは、、、、、言わずもがなですね。)

10年11月24日(水)

 もういい!と目蓋を閉ぢて闇を見る、チャンネル替えてを分かってもらへず

(呼吸器を着けてる時は勿論スピーチバルブを着けてない時も、当然ながら声は出ません。
決まった単語しか使わないのに、ご自分の感のようなもので行動されると、勢い、もういい!
となります。単語表を作ってとも考えますが、くちパクの迅速さには叶いません。)

10年11月23日(
 勤労に感謝なす日に吾を介護(み)くるるヘルパーさんに頭を垂れぬ

働ける喜びを知る我れなれば介護といふ名の「仕事」を提供
(きょう)

(私が小学校に入った頃は、新嘗祭と言って五穀豊穣を祝う日、だったように思いますが、
今の「勤労感謝の日」は、「勤労をたつとび、生産を祝い、国民が互いに感謝しあう日」
だそうですね。勿論、国民の祭日であり休日でもある訳ですが、このご時世です、働き
たくとも働く場の無い人々が300万人以上も居らっしゃると聞くと、大部分の労働者に
とっての今日は、差し詰め
「働ける事に感謝をする日」と言えるんではないでしょうか。)

10年11月22日(月)
 胃瘻にて飲食をなす我なればお茶にほっとす時さへ恋し

「至福」とはお茶一服を口にするただそれだけのことを云ふらし


(人間が生きてゆくのに欠かすことの出来ないものの一つが「食」で、五体を働かす
ためのエネルギー源でもあります。が、「食べる」ことはただ食欲を満たす
だけに限らず、お茶の一杯が、至福のひとときを演出してもくれたりします。
そのお茶の一杯さへ口に出来ない・・・・・おっと!また愚痴になっちゃいました)

10年11月21日(
 臥せをれば黄色眩しきイチョウ樹の写メール嬉し光ヶ丘に


今年の光ヶ丘の・友人の写メールから

(外出がままならない状態になって、季節の移ろいを体感することが難しく、僅かに窓から
入ってくる風に教えて貰ったりしてる始末ですが、来宅早々のヘルパーさんの冷たい
手も冷えてますよぉ!の声と共に初冬に入った事を教えてくれたりします。)

10年11月20日(土)
 思ひ出のマグカップいま吸痰の水を湛えて吾のベッド辺に在る



(飲食をしなくなって無用となった揃いのマグカップを、痰吸引時に使う水入れとして
ベッド際の吸引器の前に置いています。云わば二度目のお勤めですが重宝しているようです。
戴き物で、私は専ら柚子マーマレードたっぷりの紅茶を、女房は日本茶を飲んでました。
ちょっと寂しい感もありますが、靴などと違って捨てる訳にはいきません)

10年11月19日(金)
 新聞の広告ページが疎ましく事前に抜き捨つ吾は嫌〜な読者

(広告無しでは新聞発行の経営は成り立たないそうですが、私のように1ページずつ
バラバラにして、広告だけのページを予め抜き取って貰い、全く目を通さない
読者は?、他にもいらっしゃいますよねぇ。広告主にとっては嫌〜な奴でしょうが)

10年11月18日(木)
 足上げる大臣がゐてそを取らんと相撲ふ議員は国会場所に

(時の人、柳田法務大臣の講演中の発言(失言?)
・答弁には「個別の事案については答えを差し控える」・
・「法と証拠に基づいて適切にやっている」の2つを覚えておけば十分」・を
野党が辞めろ!の野次をバックに、しつっこく追及していますが、元々法律には全く
関係の無い世界で暮らしてこられた人のようですから、案外本音かも知れませんね。
一方、仙谷官房長官は、尖閣諸島中国漁船衝突事件について自民党丸山和也議員との
電話をした記憶は全くない」とお惚けをかましたことで、「健忘長官」と皮肉られ、究極は
「自衛隊は暴力装置」を取り消す始末です。もうめろめろ状態ですがこの政府で大丈夫かな?)

10年11月17日(水)
 今頃は錦の衣を脱ぎし頃か富士山(ふじ)を撮りたる滝子山遥か


滝子山山頂からの富士山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・滝子山中腹の紅落模様

(マッサージを受けながら富士山の話になって、山歩き、紅葉、写真と思い出話が尽きません。
滝子山・滝子山(たきごやま)は、山梨県大月市にある山、標高は1,620m、山梨百名山や
大月市の秀麗富嶽十二景の一つです。山名は滝が多い滝子沢の源流だから、だそうです。
私は、さくら公園付近からの南稜ルートを、女房と一緒に沢を何度も渡り返しつつ
紅葉や紅落模様を愛でながら登ったものですが、「さくら公園」の紅葉は実に見事でした)

10年11月16日(火)
 白鵬も人の子なるや稀勢の里の張り手に怒り墓穴を掘りぬ

残念!と笑顔が答える、白鵬の連勝記録の途絶えしを知り

ほっとする嫌〜な奴らと手を叩く、双葉山
(ふたば)の記録よ永久にあれよと

明日からはご当地力士の魁皇を励ますだけの場所になりたる


(何方かの言葉に「勝って騒がれるより、負けて騒がれる力士になれ」というのがありますが、
この度の、白鵬の連勝ストップが当にそれで、日刊紙が一面で報じるほどの大騒ぎです。
勝ち続ける事の難しさを目の辺りにしたファンが、悲喜交々の表情で拍手をしてたのに対し、
テレビのインタビューに答える人々は笑顔が多いように見うけられ、どうやら私と同じで
双葉山の記録だけは抜いてほしくない!、と思ってた節が見え々々でした。
でも白鵬は未だ25歳です、年6場所90日ですよ、その気になれば来年の九月場所中に
は新記録達成は可能な筈です。平成の大横綱と称される成績を挙げるに充分な、技と体は
万全に造り上げていますので、残るは肝心要の「心」ですね。張り手を喰らってカッ!と
なり、張り返そうとして体勢を崩し稀勢の里に充分を許すようでは、双葉山の域には未だ
未だですね。それにしても酷い不入りですね。もはや魁皇一人ではお客を呼べないようです)

10年11月15日(月)
 振袖にお澄まし顔の七五三、七つの孫娘(まご)のあしたを想ふ



(仙台に住む娘夫婦の次女です。こんな写真を送って寄越しましたが、この子も残念
ながら一度も抱くことなく、あれよあれよと見ている内にこんなに大きくなりました)

10年11月14日(
 白鵬の白星街道いずくまで続くやまずは初日を飾る

(今日初日の大相撲十一月九州場所は、横綱白鵬の連勝がどこまで伸びるか、一本に
ファンの目が注がれています。昭和の角聖とまで言われた大横綱双葉山の69連勝に、
あと7連勝と迫っているだけに興味津々ですが、初日の今日は栃ノ心を危なげなく
上手投げで仕留め一歩前進しています。それにしてもです、この手の記録には単純に
比較出来ない事情がある事も事実で、双葉山のそれは、年二場所でそれも11日と
13日制で69連勝するのに3年かかっています。一方白鵬は、確か私が入院した
1月から始った筈で今場所の7日目まで勝ち続ければ並びますが、当に1年です。
3年と1年の体調維持を考えると推して知るべしですが、皆さんのお考えは?。)

10年11月13日(土)
 用のなき歯を診くるる女医さんの綺麗ですね!に未使用品です

ゆきとどく手入れは日夜ヘルパーの吾を思ひ遣る心意気なり

歯科医師の口腔ケアは歯のみならず舌苔
(ぜつたい)に気を配れと説きぬ

(食べる事を禁止されて丁度10ヶ月、その間食べ物はおろか水物さえ口にしていません。
が、歯磨きだけは病院の指導のもとにヘルパーさんにやってもらっています。
お蔭さんで今日の診察でも異常なし!どころか綺麗ですね!を頂きました。
そして舌の奥の方に付着する白苔をブラシで落とすよう指示されました)

10年11月12日(金)
 唯一の求人倍率1,37(イチサンナナ)は「介護」を嫌ふ世相を映す

「介護」とふ仕事に人生を懸けるほど勇気に満ちる若者何処


(昨日発表された介護関係の求人倍率が、1,37と唯一1倍を超えているとのことです。
本来、求人倍率が高いという事は、経済に活気があり企業がより多くの人材を求めている
という事ですが、この度のこの数字が教えてくれているものは、ハローワークや学生の
就職説明会に溢れるほどの求職者が居ながら、介護の世界には入ってきてくれないという
皮肉な結果を示しています。昨日のテレビニュースで視た「介護関係事業所」の「合同就職
相談会」の会場がガラガラで、企業ブースだけが整然と並んでいる様子は異常で、沢山の
介護関係者のお世話になって暮らしている当事者としては、今後の事を考えるまでもなく
心配です。問題解決ですか?給与水準を一般企業並みに上げれば、と私は考えますが)

10年11月11日(木)
 晩秋の朝日の嬉し部屋おくに臥す吾のベッドを包(くる)みて温し

(今朝は近郊各地で初霜を記録したと報じてましたが、低く渡る朝日のお蔭で
家の中はぽっかぽかです。今はリビングの半分位まで陽が差しこんできて、
ピッカピカに磨きこんだ?床板でジャンプして奥にある私の部屋まで照らしてくれます)

10年11月10日(水)
 な〜るほど見事な物です取りましょう!、肉芽切除す医師の目見あぐ

痛くって息苦しくて熱くって肉芽焼き切る臭いのきつし

呼びかけにハイ!と答えし吾の声にとり巻く人らの歓声たかし

有難う!とお礼を述べる己の声にほっと安堵すこれでこそ吾と




(やっぱりでした、疑いを懸けたカニューレ君に罪は無く、写真にあります
肉芽が急成長して、声を出す空気の通り道を塞いでいたということでした。
この分だと、月一の頻度で切除しないと、いい声を維持できないようです)

10年11月9日(火)
 交換の明日が待たれる今日もまたスピーチカニューレの不調に疲れ

(前回のもそうでしたが、いま使っているのはそれに輪をかけた不調子で、
痰がらみの酷い今日などは、息苦しさを頑張ってやっとの声を絞り出す始末です。
従って、必要最小限の話しかしない、出来ない状況ですが、明日は、序でに肉芽を
焼き採りましょう、と言われていますので密に期待をしています。)

10年11月8日(月)

 獄窓に数多の短歌(うた)詠む郷さんも、ベッドに暮らす吾も詠む短歌を

(皆さんの中にもきっとご存じの方もいらっしゃると思いますが、
朝日新聞の「歌壇」欄に度々入選、掲載される「郷隼人」氏は、アメリカの
刑務所で暮らしてらっしゃる日本人ですが、刑期その他の詳細は分かりません。
ALSに侵されベッドのみの生活を強いられている私と、例え塀の中とは言え
郷氏は私には無い健康体という宝物をお持ちです。生活環境こそ違いますが、
自由という人権?を奪われていながら短歌を詠む暮らしは共通しています)

10年11月7日(

 病みし躯を持て余す吾を虐めぬく汝の憎し「帯状疱疹」

(ALSだけでも、充分過ぎるほど大変ですのに、先日から続いてる眩暈に加え今度は
帯状疱疹です。左の後頭部から首を通って脇の下辺りまで痛みが奔り、首から鎖骨
にかけては往診医が仰るように「典型的」な水をもったブツブツが出来てて痛みます。
30年ほど前に軽いのを遣りましたが、ストレスを溜め込んだり、寝不足、疲れでも
発症する、とのこと、全てが身に覚えがあることですが如何ともし難いのが現状です)

10年11月6日(土)
 呼吸器に身柄を委ね安眠を貪る夜半にたたき起こさる

安眠を破る女性の声たかく酸素チューブの異常を告げぬ


(呼吸器から供給される濃縮酸素入りの空気を吸いつつ安眠を貪って?いますが、
突然聞こえてきた女性の声に目を覚ましました。曰く、「酸素流量が落ちています
酸素チューブの点検をお願いします」。濃縮機器の異常ではないことを自分で調べて、
チューブの点検を指示してくれるんですから随分とお利口さんです。結果はそのとうりで
呼吸器の接続口で90度ちかくに折れ曲がっていたとか、不思議な事が起こるものです)

10年11月5日(金)
 もの言はぬ患者と知ってか看護士は「手抜きし」薬を「塗った」とのたまふ

(若い将来ある男性看護士さんの、手抜きに気がついてはいましたが、同行してた同僚に、
「塗った?」と訊かれて「ハイ!」と答えたところで、スピーチバルブを着けて貰いました。
悪気があってとは思いませんが、全く話せない患者さんを想うと・・・・・)

10年11月4日(木)
日本晴れをわたる秋風冷たくて乾きに脅え加湿器出しぬ


(昨11月3日は文化の日でした。晴れの特異日を納得させられるような
見事な日本晴れが一日中続きましたが、今日も同じくで、空気はカラカラに
乾ききってることでしょうから、早速!加湿器の登場となりました)

10年11月3日(
 流感を恐れワクチンを打つ我れはALSを手なずけ暮らす

(今年もインフルエンザの季節がやってきました。皆さんはもう接種されましたか?。
私は一週前に打ちましたが、注射痕が全く認められない、のを見た訪問医さん曰く、
腫れもしないで痕も遺ってないってことは、抗体が出来てないかも、ですって?
だからと言ってもう一回打つってものでもありませんしねぇ、あっ!若しかして偽薬?
でも、一緒に打った女房はパンパンに腫れてましたからねぇ?)

10年11月2日(火)
 ケータイで自宅に電話をする妻はベッドに鳴り出(で)し「子機」にあったぁ!

(ケータイを捜すのに電話をかける、って話はよく聞きますが、我が女房殿は
その逆で、しょっちゅう子機さがしをやっています。ベッドとしましたが
今日は布団に包ってました。バスルームやトイレ、キッチンは当たり前ですが、
先日は庭の植木の根方に置き忘れてて、寸でのところで水を遣るところだったとか)
(これを読んだ女房殿からクレームがきましたので、一言書き添えます。
忘れたんではなく、私の介護や家事に追われて親機へ戻す時間が勿体なかった、そうです)

10年11月1日(月)
 突然のサービス停止とは横暴な「桜台通信」消え失せ唖然

早速に「ぱそぼらん」さんに
SOS復活を為し約束果たす

(私は、楽天の「infoseek」を使ってこのホームページを運用していました。
勿論契約金を払っての事ですが、この度突然!10月31日をもってサービスを
中止する、と言ってきましたが、来年8月1日の契約終了までは継続とありましたので
安心してましたのに、いきなりのプッツン!でした。でもこうしてアップ出来ました。
有難いことに何時も見ていて下さる「ぱそぼらん」の方が、大汗をかきながら、何とか
今日の歌を休むことなくアップ出来るようにと、頑張って引っ越しをしてくださいました)

10年10月31日(
 看護学生(ひと)の為とは言えビデオに痩身を曝す己を視るだに惨め

(去年9キロ落ちたのにも少なからず驚きましたが、この度のビデオに映った
自分の痩身には正直驚きました。体重を計ってませんので何とも言えませんが、
日々落ち続けているとしたら・・・?。どう見ても筋肉だけの減少では納得
できませんが、先日の血液検査は全てOKだそうですから尚更です。
それにしてもです、例えそれが看護士養成の為とは言え、情けない!が本音です)

10年10月30日(土)
 台風も大洪水も大地震(おおなゐ)もおこらぬ練馬に臥せゐる幸せ

(風水害はもとより、何時怒?っても不思議ではないと云われている大地震も今のところ
兆候さえないとのこと。真夏の酷暑さへ我慢できれば実に住み易い処ですが、この度の
台風14号も練馬まではその牙を剥くことなく東海上を遠ざかってゆきました。)

10年10月29日(金)
 スピーチカニューレの不調に言の葉出ぬままに身柄あずけしひと日の闇し

(昨日まで使用したスピーチカニューレも今一調子が悪かったんですが、この水曜日に
交換してもらった物はそれに輪をかけたもので、バルブを着けると息苦しいは
言葉は出ないはで苦しんでおります。私はカニューレそのものには問題は無く、
なんせ風船で気管内に装着するんですから、そのの仕方によってでは・・・と、
あれやこれやとやってはいるんですが、巧くいきません。今日も手こずりました)

10年10月28日(木)
 木枯らしのあしたは布団を冬物に替えて丸まる穴熊のごと

(26日深夜に吹いた木枯らし1号を境に、冬を感じる程の寒さがやってきました。
今日も冷たい雨が降ったりしてて、ベッドでじっとしてる身体に応えます)

10年10月27日(水)
 木枯らし1号(こがらし)の闇に紛れて吹く夜は音にのみ知るぬくぬくとゐて

十月の夜を吹き抜く木枯らし1号
(こがらし)は季節はずれを恥じるがごとし

(前日から吹くぞ吹くぞ!と煩いほどに予報を聞かされていましたのに、
大阪で吹いたとの報道だけで夜を迎えてしまいました。肩透かしかと、
変ながっかり感を味わってるところへ一陣の風音でしたが、10月に
木枯らし1号が吹いたのは10年ぶりだと、今朝のニュースで知りました。
それにしてもです、ついこの前まで暑さに茹だってた列島が、心地好い
秋を体感することなく、いきなり冬の寒さに突入ですから驚きです)

10年10月26日(火)
 五というに四だ!と言い張るお袋は大正五年に生まれ矍鑠(かくしゃく)

(95歳だとばかり覚えてた私に、7月が過ぎたんだから94だよ!とお袋さん。
そうかぁ?と年表など引っ張り出して見ましたら、大正5年は1916年で
94歳とありました。思い込みって怖いですね!、どっかで狂ったようで。
身体も頭も元気な95のいやいや94歳のお袋に降参です)

10年10月25日(月)
 秋晴れに息をおおきく吸ひ込みて一気に吐き出す活きてゐるぞと

\(^o^)/
(久し振りの晴天に向って深呼吸をしたら、嫌〜な気分が一気に・・・
これが・・・晴れないんですよねぇ〜)

10年10月24日(
 鈴虫の鳴き音のたへて秋たけし狭庭にわたるメジロのふたつ

(今年の鈴虫君は、近年になく良く鳴いてくれました。
とは言え、秋はすでに終盤となりメスのみとなって寂しくなりましたが、
一方では、秋色に染まりつつある庭へメジロが愛らしい姿を見せてくれるようになりました)

10年10月23日(土)
 食べること、趣味も蕎麦屋も、臥せおれば口つく話はみ〜んな思ひ出

(飲食を禁止されてから約10ヶ月、不思議と食べたいとは思いませんが、
テレビ番組でこれ見よがしに松茸などを食べられたりすると、
ついつい思い出語りとなってしまいます)

10年10月22日(金)
 口にする妻に旨いかと問ひたればあなたの好きなあま〜い柿よ



(そうでしょうとも!。妻の父が、ほったらかしてるのに生る、という柿を毎年贈ってくれ
ますが、今年は残念ながら、眼でこそ楽しめるものの口では味わうことはできません)

10年10月21日(木)
 採尿に失敗なして濡れたるを女房に詫びる介護士の怪

(せめてもの抵抗です、ご判読ください)

10年10月20日(水)
 呼び鈴を押しても鳴らぬ虚しさに夜半のしじまに汗するばかり

浅いとふ眠りに起き出し吾の顔を覗くにょうぼが仏に見えし

テストなし眠りにつきしにリンとも鳴らぬ呼び鈴にくし電池切れとは


(またまたやっちゃいました。それもこの13日に手に入れたばかりの呼び鈴です。
確かに、中古品なので電池が減ってるかも、とは聞いていましたが、まさか一週間
で切れてしまうとは?、それも1時間半前に鳴ることを確認したばかりのものがです。
気切前は何度もありましたが、声で呼べましたので事無きを得ていましたが、今回
ばかりはどうにもならず、ただひたすらに女房が起きてくれるのを待つばかりでした。
幸いにも、どうしたのか眠れなくって、と起き出してきた女房が処置をしてくれ
今回も事無きを得て、今日もこうして歌をアップすることが出来ました。)

10年10月19日(火)
 円高にレアアースも禁輸(と)められし輸出大国青息吐息

不景気にニコニコ顔がニッポンを大挙発ちゆく円高に乗り


(1ドル=81円とのことで、輸出でおまんまを食べてる日本としては、
青息吐息状態ですが、中国のように為替を国がコントロールする訳にも
ゆかず、指を銜えて見守るのみでは情けない限りです。その一方では
輸入品は廉く、海外旅行も安廉というメリットがありますが、前者は生産で
後者は消費ですから、輸出大国日本としては言わずもがなですね)

10年10月18日(月)
 移りゆく季節(とき)をテレビに知る現(うつつ)、ベッドに貼りつき冬、春、夏、秋

(1月12日深夜に入院、手術を経て退院したのが2月17日、以来ずっとベッドでの
生活を余儀なくされてる分けですが、もう秋もたけなわ、これで冬春夏秋をベッドで
過ごしたことになりますが、眩暈という予病?を併発して嫌〜な思いをしています。)

10年10月17日(
 逝きたくもその術失せし「身体」に棲まひつづけん、彼の地の遥か

(昨日を引き摺っての歌です)

10年10月16日(土)
 読み終えて冷たき何かが身の裡に澱みて重き「逝かない身体

(もう既にお読みになられた方もいらっしゃると思いますが。
難病中の難病と言われるALSを罹患され、壮絶な闘病生活の末に
亡くなられた御母堂の、12年間に亘る介護体験を赤裸々に綴られ、
「逝かない身体」 ALS的日常を生きる,川口有美子,2100円,(医学書院)
として出版され、この度「大宅壮一ノンフィクション賞」を受賞されました。
当事者としては何とも重っ苦しい本で、患者全てがこうなる分けじゃぁない
ことを百も承知で読んでも、実に複雑なものが胸にしこりとなって遺こっています)

10年10月15日(金)

 入浴を録画(と)らるる恥辱か突然の眩暈に襲はれギブアップなす

10年10月14日(木)
 キラキラと輝る瞳で臥す我れを見詰める女性(ひと)は看護学生

看護師を目指し学べる研修生の覚悟を聴きてあしたを見詰む


(今日も訪看さんが、看護大学の女学生(3年生)さんを「研修」目的で同行されました。
(態々女学生としましたのは、たま〜に男学生さんが来られますので)
未来の看護師さんを目指して猛勉強?中のようで、珍しく質問などされて意欲的でした)

10年10月13日(水)
 女孫(まご)を得て満面の笑みを振り撒きしお人は我れのヘルパーなりき

母君をICUに託しをきヘルパーさんは我れを介護(み)くるる


(一首目、女の子でした!と、初孫誕生の喜びを語ってくれました。
長女さんの産んだお孫ちゃんですからその喜びは一入かと思います。
その一方で二首目、お母様が呼吸困難で緊急入院されたにも拘らず、
私の面倒を休まずに看てくれる責任感には頭がさがります)

10年10月12日(火)

 朝八時「かちんこ」鳴りてスタートす十六時間のビデオ収録

執拗に吾を追ふカメラは看護士を育てるための教材を録る

看護士は、スッポンポンを公開す我れとおなじくあがってござる

我れは吾のALSを録られゐて未来のナースに想ひを馳せぬ


(訪問看護ステーションからの依頼で、ALS患者である私の療養生活の
目覚めから入眠までの16時間を、三日に分けて録ることになり今日が初日でした)

10年10月11日(
 カレンダーの都合で動く体育の日(しゅくじつ)に戸惑ふ我は戦後育ちで

(今年の祝祭日は元日も加えて16日あります。何れもが昭和23年以降に制定(改定)
されたものです。その内3月22日(月)は21日春分の日の振替休日ですが、
どうにも馴染めないのが、この度の体育の日のように、本来の日から第二、
三月曜日に移動するようになった祝日(成人、海、敬老、体育)です)

10年10月10日(

 黄葉をあしたに控え剪定(きら)れゆく公孫樹大樹の悲鳴の哀れ

黄落を愛でる人あり、そを邪魔と処分を迫る人に、為す人




(写真のとおりです。あと一ヶ月もすればあの見事な黄葉が見られた筈ですのに、
今年もまた寂しい姿になってしまいました。掃除が大変とか、滑って危険!
とかで事前に処分されてるようですが、誰かさんの言葉を借りて、)
愛でた後じゃぁ駄目なんでしょうか!?

10年10月9日(土)
 夢にまで出(い)できて汝(なじ)は吾の眠り破らんとなす涙を武器に

寝不足の頭の重し。介護受け暮らす余生に想ひを馳せぬ


(昨晩は、夢なのか現なのか。。。ここ数日の再現を見ているような。
他人様の手を煩わせて暮らす大変さ!、あ〜あ!です)

10年10月8日(金)
 ヘルパーの流す涙にけふもまた暗〜いひと日が始まりました

何故に貴女は泣くのプロにしてヘルパー稼業をなんと心得ん


(個人情報でしょうからこれ以上は書きませんが、泣かれちゃうと何にも言えなくなります)

10年10月7日(木)

 稔りなき定期診察受けにきて主治医の笑顔に頭を垂るる

彼の女医(ひと)のリハビリルームに笑顔みつ入院中のそれにも増して


(一首目、「稔るほど頭を垂れる稲穂かな」ではありませんが、不治の難病ALSを患う者
としては、先生のお話だけが頼りです。今日は、今話題のIPS細胞についてご意見を
伺いましたが、少なくとも私自身が期待して待てるようなものではないようです)

(二首目、先の入院中にリハビリと意思伝達装置で一方ならぬお世話になった.K先生です。
折角用意して頂いたにも拘らず「伝の心」を「要りません!」と勝手に拒否した私としては、
敷居の高いリハビリルームでしたが、満面の笑みで迎えてくれ逆に励ましてさへくれました。
嬉しい再会でしたが、入院中に病室で見せてくれたマスク越しの笑顔にも増して、今日の
K先生の満面の笑顔は、私にとっては何よりの励ましと、嬉しく戴いてきました)

10年10月6日(水)
 病友の悲痛な声に差し伸ぶる手のなき我も悩める葦ぞ

病友のSOSに差し伸ぶる手のなきままに傍観決め込む


(病友、即ちALSの女性患者さんから、この度、ヘルパー、介護事業所、ケアマネを
紹介してくれ、とのSOSがメールで届きました。同じ練馬在住で呼吸器を装着した、
私より20才程お若い主婦で、旦那さんと娘さんとの3人で暮らしてらっしゃいます。
呼吸器を着けたのを機に、事業所やヘルパーさんに辞められてご苦労なさってるとは、
風の便りに聞いていましたが、これ程までとは思いませんでした。
でもでもです、自分のことで汲々としているのが現状で、他人様に紹介することなど
出来るようなものではなく、ましてや内状が全く分からない処へですから正直無理です。
第一、居住区域が離れてますのでヘルパーさんの移動や時間を考えると尚更です。)

10年10月5日(火)
 お袋は九十五歳で遠い耳駆使し息子の愚痴を聴きゐる

(九十五歳になるお袋さんが、久し振りに私の顔を見に来てくれました。
流石のお袋も、この夏の暑さには参ったらしく動けなかったとひとくさり。
そう云う私は、動きたいのに動けない身体の持ち主です、ついつい愚痴っちゃいました)

10年10月4日(月)
 夏草の茂る墓地(はかち)を写真に選ぶ終の住み処のそのまた先を

我が墓地をまなかいに描き石塔を建立なしてあしたをにらむ


(次男坊の気軽さから、と、プラスあとあとの事を考えたりして、
絶対「散骨」と私の中では決めていましたが、女房の強固な反対に遭って
あれやこれやと遣り合った末に、スタンダード路線をゆくこととなりました)

10年10月3日(
 夜鴉に眠り破らる怒りを我れにぶつける妻の疲れを思ふ

(昨晩だけでなく、昨日の朝早くから一日中10羽ほどのカラスが、公孫樹の
大木と小学校舎の屋上をいったりきたりしながら鳴き騒いでいました。
繁殖期ならいざ知らず、この時季に何があったのか知る由もありませんが、
やっと寝ついたとこを起こされた、とご機嫌斜めで、なんとかしてよ!と
八つ当たりしてましたが、鉾先をこんな私に向けられてもねえ)

10年10月2日(土)
 やうやくに迎へる朝の重苦し 呼吸器奴(め)との戦に疲れ

(呼吸器というよりは、カニューレ周りに痰が絡んで、咽たり音が出たりで
何度も呼吸器を外しては吸引を繰り返す始末。その上息を吸う度に口の奥へ
もわぁ〜とした温い空気が入ってきて眠るどころの騒ぎじゃなくって、今日の歌です)

10年10月1日(金)
 人知れず池内淳子はみまかるに、池内淳子は今もそのまま

あの声に、奥床しさに、笑顔また池内淳子は永久(とわ)に吾がもの


(女優の池内淳子(76)さんが、肺せん癌を公開することなくひっそりと亡くなりました。
テレビや映画の中でしか観たことはないんですが、自分の中では好きな女優さんの一人で、
歯切れのよい江戸弁を操る声といい、凛とした着物姿といい魅力たっぷりの女優さんでした。
この五月には舞台を務めてたと云うんですから随分と、我慢してたのか?
進行が速かったのか?、何れにしても寂しい最期だったようです)

10年9月30日(木)
 竹島に北方四島またいまは尖閣諸島に遠吠えを聞く

この国は「奥床しさ」を国是とし我れら民とて吠えるを知らず


(中国の強腰に対して我が国の弱腰。を中国国民以外の全世界に知らしめた事件でした。
今後のなりゆきが気になるところですが、竹島は勿論、北方四島も皆さんご存じの二国に
実効支配されてしまっています。「奥床しい」を美徳としてきた我が国も、アメリカ文化を
筆頭に異文化の流入ですっかり様変わりした感がありますが、この度の騒動を見る限り、
日本はまだまだ捨てたものじゃあないと、愛しささえおぼえたものです)


10年9月29日(水)
 事件?、事故?、火事?かと見あぐ円を描くヘリコプターの音降る街に

(午後3時過ぎでした、窓際で心地好い風に吹かれていましたら、
この歌のようにヘリコプターとその音が頭上を何度も旋回していました。
火事の取材だったと知ったのは、夕方のNHKテレビニュースでした)

10年9月28日(火)
 暑いね!を仕舞ひこむ間のなきままに寒い寒い!と重ね着はじむ

いつしれず季節(とき)の移ろふ日の本にどすんと訪ずる冬になじめず


(異常気象だ!猛暑だ!酷暑だ!と大騒ぎをしたあれはいったい何だったんでしょう。
一晩寝たら外は一面雪景色、的な変わりようです。秋雨前線が寒気を運びこん
だものでしょうが、お彼岸を挟んで真夏が一気に冬へと移ろったようです)

10年9月27日(月)
 痛々し満身創痍をテーピングに見せて魁皇相撲ふに哀れ

白鵬の快挙を凌ぐ拍手脊に、大関魁皇勝ち越し笑ふ

角番を特技となして魁皇はフアンを味方に大関を張る

本分を心得をるや魁皇は花道汚す八勝七敗

自ずからけじめをつけぬ魁皇の辞書にはなきや「引き際の美学」


(大相撲の大関魁皇が、この度の秋場所(九月場所)で8勝を挙げ、目出度く?
13回目の角番を脱出しました。きっちりと勝ち星を8つに止めるあたりが、魁皇
らしいところですが、果たして天下の大関がこれでいいんでしょうか?疑問です。
確かに二場所連続で負け越さない限り大関の座から陥落しない、決まりがあります。
一方その、大関に上がる時の条件に、3場所で33勝以上があります。一場所平均11勝、
が大関の責任と迄は云いませんが、初代貴乃花時代に9勝6敗に終わる大関が度々出た事
でクンロク大関と揶揄されていました。38歳で満身創痍の身体に鞭打って、、、に共感
なさる沢山のファンがいらっしゃることも理解出来ますが、天下の大関が同情を買う
ような相撲をとって、本当のファンの夢や思い出を壊さないでほしいものです。
とは言え、万が一にも魁皇が引退すると、国産の横綱は勿論、大関が不在
というとんでもない事態に陥ることにもなります。)

10年9月26日(
 爽やかな南の風のはこびこし運動会に耳は遊びぬ

(目の前の小学校で行われた運動会の音が、折からの南風に
のって私の耳にも届きその様子が手に取るようでした。
(グランドを校舎が囲んでるので、騒音ほどにはなりません)
私の子育て時代の学芸会や運動会は、ウィークデーに行われるのが
常識で、日曜日にしか休めない蕎麦屋の親父夫婦は、僅かに一回だけ
応援に行ったのを覚えていますが、遠い遠い昔の話となりました)

10年9月25日(土)
 まるでもう支援給付の決まるごと介護プランの賑やかなりし

支援費をクロスワードパズル(ぱずる)解くごと額寄せ一つ二つと埋めるに嬉し


(気切してから約8ヶ月、大勢の医療、看護、介護の他に行政のこれまた沢山の
方々のお世話になってやってきましたが、女房の負担が気切前を凌ぐ迄になり
体力は勿論、精神的にも限界かな?と自立支援費の増時間をお願い中です。
特に、週4回の夜間が問題でそれも二晩続く日があって、疲れがとれないままに
無理を重ねてるのが現状です。その給付時間決定発表日が明後日となりましたので、
10月からの利用に向けてプランの練り直しをしました。獲らぬ狸のなんとやら、、、
にならぬよう願うばかりですが、ここへきて新たに3人のヘルパーさんが加わって
くれましたので、先日辞められたお一人さんの穴を、埋めて余りあるものと喜んでいます)

10年9月24日(金)
 大汗に塗れて待ちし一週間湯船にのばす手足のかろし

(週一度金曜日の5時からの訪問入浴。
ここ2,3日は急に涼しくなったにも係わらず、布団に貼り付く背中側は
私の居る部屋に窓が無いのも手伝って相も変わらずの大汗です)


10年9月23日(
 秋を呼ぶ雷鳴轟き雷雨に煙る街を覆ひし暗雲ひくし

夏を遣り秋を呼び込む祭りを囃す雷鳴、稲妻、雷雨の激し


(昨日が35,1度とカンカン照りの猛暑日で、今日は日中の最高気温が20度を割る
寒さと嘘のようなどんでん返しです。朝から激しい雨が降ったり止んだりを繰り返し、
合間にはこれもまた激しい雷鳴が轟き亘ったりして、夏の終わりを告げていました)

10年9月22日(水)
 東京の異常気象は真夏日を七十一日置いて去りゆく

真夏日と猛暑日に沸く練馬(わがまち)は今日の暑さで夏を仕舞ひぬ


(東京のこの夏は異常気象である、と先に気象庁が発表してますが、
それを裏付けるように真夏日以上になった日が、今日の32,7度で
71日と観測史上最多となったと発表しました。それにも増して、我が
練馬は、真夏日以上が83日で内猛暑日が33日と云うんですから驚きです。
でも、この異常な暑さも今日限りで、明日からは秋本来の気温に落ち着くようです)

10年9月21日(火)
 秋の音ききしにけふのむし暑くシャワー浴びたる女房(にょうぼ)の濡れ髪

(暑さ寒さも彼岸まで、とは古くから言われてる事ですが、今年は気象庁が
発表したように、異常気象に伴う酷暑の夏が未だに続いています。
今日とて東京の最高気温は、31度を超す真夏日となりました)

10年9月20日(

 遺されし君の言の葉「無視」に訊く、為され去るのか為して去るのか

黙(もだ)しまま辞めゆく君の陰に問ふ何が如何して口を開かぬ


(私には理解出来ない言葉を遺して、ヘルパーさんが辞められました)

10年9月19日(
 ストレスの何であるかを知ってのことか念仏のごと口にす君よ

(この頃よく耳にするカタカナ語に、ストレス があります。
それもストレス、ストレスと連発です。特に医療現場では多種多様の病気が
ストレスによって引き起こされる、とも。ストレスを辞書に見ますに
気兼ねや気くばりなどで精神的に苦労すること。
とあります、という事は、普段から「気兼ねや気くばり」などをしない、
出来ない人は、ストレスを口にする資格は無い、と。屁理屈でした)

10年9月18日(土)

 のほほんとしている訳ではありゃぁせん!動きたくとも動けぬだけじゃ

10年9月17日(金)

 バカヤロー! って吐ければ どんなにか 楽にならむと 思ふにつらし

10年9月16日(木)

 ストレスの元と言はれしK氏は嗤ふALSをなんと心得ん

10年9月15日(水)

 今のこの時間はわれら夫婦のもので四方山話を時計睨みつ

(こんな事を云うと怒られそうですが、我が家には私の介護の為に沢山の人々が
来てくれています。当然二人だけの時間は限られるわけで、他人様の耳に入れたく
ない重要な話(例えば、宝くじが当たったけどどうしょう)をする時間がなかなか
とれないのが実情です。在宅療養の問題点ですが家族のプライバシーも重要で、
私の為にと思うと複雑でもあります。)

10年9月14日(火)
 大勝利なしし管氏の笑ひし日、横綱白鵬五十連勝す

悲惨にも小沢氏大敗くひし日に、イチローひとり無安打にしずむ


(ご存じ民主党の代表選です。戦前の専門家の予想では五分五分が大半でしたが。
結果は管氏の大差勝ち、引き続き日本国の総理大臣として活躍してくれる事を期待しましよう
そんな今日、大相撲では白鵬が50連勝として、69連勝の双葉山、53連勝の千代の富士に
迫ろうとしていますが、イチローは4−0と無安打に終わり200本迄M14のままです)

10年9月13日(月)
 日々すすむ不治難病(ALS)に臥す我れに判で捺すごと暮らせる不思議

(不思議とはしましたが、実は不思議でもなんでもなくって、これ全てが私を支えて下さって
いる方々の、熱心さによるものであることは充分自覚していますし、感謝もしています。
あちらこちらから聞こえてくる風の便りによると、皆さん随分とご苦労なさってる
ようで、毎日が綱渡り状態、とまで仰る方がいらっしゃいます。
こんな私を何故?から出た不思議ですが、沢山の方々の「看てやろうじゃないか」
精神が「判で捺す」ような暮らしを可能にしてくれています)

10年9月12日(
 かにかくに初日芽出度き白星に横綱、大関、揃ひ踏むなり

両国国技館(りょうごく)に相撲ふ力士の肌艶に魅せらる秋場所空席あまた


(問題山積の大相撲秋場所が両国国技館で初日の幕を開けました。
NHKが従来どおりに中継放送をし、懸賞も大幅に増えましたが、
観客は八割止まり、それでも横綱、大関が全員白星発進しましたので佳しとしましょう)

10年9月11日(土)
 白球を追へばグリーンに赤トンボ右に左に画面のそとへ

(日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯(グランデージゴルフ倶楽部(奈良県)
の3日目をテレビ観戦しました。白球を追うレンズがグリーンを捉えると、それと判る
影が乱舞しては画面の外へ消えたりと、秋の到来を告げているようです。それもその筈
あと一週間もすればお彼岸です。暑さ寒さもなんとやら、、、もう少しの辛抱ですね。)

10年9月10日(金)
 エアコンを止めて寝(い)につく台風の連れこし秋を貪るがごと

(台風九号がもたらした滋雨にほっと一息ついたところでしたが、
昨晩は冷気も呼び込んでくれたようで、気象庁が発表したデーターによると
練馬の最低気温は22、2度、その前が22、4度と一気に熱帯夜から解放してくれました)

10年9月9日(木)
 夢に出し吾は握手して去りたると幼馴染は電話のむこう

夢にまで見てくるるとは嬉しくも脊を向け去るとはなにを語らん

数々のつもる話をしたくともスピーチバルブの不調に終わる


(奈良に居る小学生時代からの友人が、昨夜見た夢にあなたが出てきて
握手したあと背中を見せてすーッといなくなった、けど、、、、、と
恐る恐るって感じで訊いてきました。勿論返事は、未だ生きてるよ〜!
スピーチバルブの調子がおかしくなってほんの数分間でしたが、久し振りに話が出来ました)

10年9月8日(水)
 炎熱を冷ますにしては激しくて篠突く雨の音におののく

居座りしさしもの猛暑も台風に負けて尻ぞく遥かの海へ

からからに乾きし大地を潤しし台風九号(たいふう)憎し被害のあまた


(珍しく福井県敦賀市付近から上陸した台風九号は、静岡県内その他の各地で
謀大な水害をもたらす一方、猛暑に見舞われ一ケ月もの間一滴もの雨が降らず
からからに乾いていた東京を潤してくれもしました。被害に遭われた方々には
大変お気の毒な事ですが、猛暑が一段落したことでほっとしたのも事実です)

10年9月7日(火)
 個体差の激しきALS(やまひ)を見る人の戸惑ひ隠さぬ顔に戸惑ふ

(ALSと一口にいっても病態は千差万別ですし、進行(悪化)速度もこれまた色々です。
現在?のALS患者は8、285人(09年厚生労働省)と発表されています)


10年9月6日(月)
 新任のヘルパーさんはハイハイ!と引き継ぐ仕事を楽しむがごと

(新しいヘルパーさんが来てくれることになりました。
30代後半の女性で、ヘルパー歴8年のベテランさんです。
ALS患者は初めてとのことですが、あの返事なら大丈夫でしょう。
この方で、女房を入れると11人となり、後は欠員が出ないよう祈るのみです)

10年9月5日(
 神輿もむ若衆のむれ酒臭き汗のしぶきを撒き散らしゆく

お囃子を遠くに聴く秋暮れなずむ昼の暑さをひきずりにつつ


(昨日、今日は氏神様の秋祭りで、各町会からお神輿が出て町内を練り歩きました。
日本全国何処にでもある風景ですが、秋祭りとはいえ猛暑の中を景気づけにと、お酒を
浴びるほど呑みながらワッショイ!ワッショイ!とやるんですから不景気などそっちのけです)

10年9月4日(土)

 けふひと日身柄あずけしヘルパーの寡黙に付き合ひ無口にすごす


10年9月3日(金)
 気象庁が異常と認めしこの夏を他人事ならんとベッドに過ごす

猛暑日の暮れて訪ひこし熱帯の暑さふふみし夜の重たき


(この夏の暑さを気象庁は、異常気象であると発表しました。
平均気温は、統計を開始した1898年以降の113年間で第1位の高い記録となったようです
その理由として、冷涼なオホーツク海高気圧や寒気の影響をほとんど受けなかったこと、
梅雨明け後、上空の偏西風が日本付近で平年よりも北に偏って流れ、勢力の強い太平洋
高気圧に覆われた為としていますが、背景として二酸化炭素などの温室効果ガスの増加
に伴う地球温暖化の影響が現れているとか。 それにしても、酷い!暑さですね)

10年9月2日(木)
 みまかりし花田勝治はその昔若乃花また土俵の鬼と

呼び戻し、仏壇返し、を白黒のテレビに相撲(すま)ひし若乃花逝く

栃錦また若乃花東西の横綱張りて我が目奪ひし

懐かしくやがて寂しき若乃花、今の土俵を知るや知らずや(合掌)


(初代若乃花、本名:花田 勝治さんが亡くなりました。
私が相撲に目覚めたのは、ラヂオで聴き、活動写真?でその模様を
観たところから始まったと記憶しています。
当時は、千代の山、鏡里の全盛時でしたが、後に栃若時代を経て大鵬、柏戸
とスターが切れ目なく出てきて楽しませてくれました。)

10年9月1日(水)
 どっしりと構える我に病院へ行く仕度なす介助者4人

(2ヶ月前に取った耳鼻科の受診に行く為の仕度におおわらわです)

 ひーふーみーどすん!と置かれし車椅子痛い!を我慢す声出せぬまま

車椅子ごと介護車に乗せられて真青なる空見上げつつ奔る

 ひと息をつく暇もなく4人(よったり)の白衣美人に囲まれ脅ゆ

(全員が女性で、大きなマスクをした女医さん3人と看護婦さんでした)

 三人の女医テキパキと助手ひとり、医学用語のとびかふ不安

(色々と診た後に、肉芽を取るだけでいいでしょうと)

 生肉の焦げたる匂ひの消えしのち切除す肉芽を見せて得意気

(電気メスでの切除は匂いがちょっと・・・)

 生きてゐる限りは背負ひし宿命と、覚悟を促す医師の冷たき

(カニューレは気管にとっては異物ですので、追い出そうと肉芽ができるとか、
一種の拒絶反応のようですが)

 帰りきてベッドに身柄を横たへてほっとす我はALS(やまひ)の奴隷


10年8月31日(火)
 みまかりし旧友(とも)の妻君「互助会」へ入れと煩き経験もとに

そろそろと見込んでくれしか葬送の心配などは無用にござる


(蕎麦屋時代にお客として来てくれたところから始まった友人関係でしたが、
何時の頃からかお互いが女房を伴って4人でカラオケを楽しんでいました。
その彼が、突然!亡くなってしまいました。あれから1年余り、独りでの
生活にも慣れたのでと、8月から働き始めた先が、葬祭会社。仕事は「互助会」
会員の勧誘。先ずは自分が入ってから親類縁者、友人への働きかけに努力したよう
ですが、加入者はゼロ、と云う事で私の処へお鉢が廻って来ました。
「彼の葬儀は突然だったことも手伝って大変だった」が売り言葉でしたが、、、。
来月からノルマを課されるので来月中には辞める、と聞いて加入を止めました。
月毎に1500円を30万になるまで、を上司という人が勧めてきましたが200回ですよ
16年と8ヶ月、72歳のALS患者としては、生命保険ならハイ!ですが。
それにしても、生命保険といいこの手の勧誘といい、徹底した使い捨てです。
最低でも一口は獲得出来ますからね。)

10年8月30日(月)
 休日の明けて猛暑はそのままに臥す吾をかこむ笑顔の数多

ヘルパーに始まりナース、五本の電話、来客二人の笑顔で暮れぬ


(週明けで昨日とはがらりと変わって、賑やかな一日でした)

10年8月29日(
 日曜で来訪者なく持て余す時間に身体が悲鳴をあぐる



(午前中は何かと行事があってぼんやりする暇はないんですが、
日曜の今日は珍しく、看護婦さんは勿論、一人の来訪者もなく靜かに暮れました)

10年8月28日(土)
 壊し屋の異名をそのまま小沢氏は猛暑に狂れしか蠢きはじむ

イラ管の異名を笑顔の奥にやり管氏は吠える、命を賭す、と

山動く、休火山とふ鳩山はマグマを小沢に流し込まんと


(今の日本は、政治、経済、雇用、外交と問題山積、迷走状態ですが、
与党である民主党の面々は、今党首争い(票集め)に奔走しています。
不思議なのは小沢氏、世論調査で80%の人々が不支持を表明している
にもかかわらず、プラス、起訴される可能性だって否定出来ない人がです。
鳩山氏に至っては、管氏を応援すると言っておきながら、舌の根が乾かぬ内に
小沢氏側に寝返る始末、ましてや一度は政界から身を退く、と表明した人がです。)

10年8月27日(金)
 唐突に公開されし刑場に我が身を置きて黙考しばし

極刑を歯止めと仰ぎし日の本に極悪非情の土壌育ちぬ

是か非かと死刑を語る民のゐて、事件の陰に泣く人あまた


(我が国日本には、古くから死刑制度があって粛々と施行されています。
全国には現在107人のその時を待ってる、或いは待たされている死刑囚が
いるようですが、中には40数年も拘置所で暮らしている人もいるとか。
その死刑制度を、国民の八割ほどが支持しているそうですが凶悪事件は
一向に無くなるどころかむしろ増えてる感さえあります。
法の下とはいえ、人が人を殺めるんですからねぇ、
死刑廃止を叫ぶ人々の考え方に心を動かされもしますが・・・)

10年8月26日(木)
 酷使せし右手中指固まりてキー打つ作業を拒否してござる

夢にまで出できてコールを押す指に眠り破らる妻の眼虚ろ


(オペレートナビ仕様のスクリーンキーボードを、私バージョンに
加工してもらって使用してますが、問題はワンキーマウスを動かす
ためのスイッチで、僅かに動かせる右手中指を強、弱、長と押し分けて
印字をします。当然ですが疲れて動きが鈍くなり、ポインターを思い通り
に止められなくて右往左往、その内に全く力が入らなくなって万事休す。
それだけなら暫らく休めばいいだけの話ですが、睡眠中に勝手に動いて
コールボタンを押してくれるものですから大変、その都度女房殿を
起こしてしまい、「昨夜は殆ど寝てない!」と不機嫌です)

10年8月25日(水)
 四人(よったり)の手をかりベッドを離れきて白くにごりし夏ぞら見上ぐ

(週一度水曜日に在宅医の往診を受けていますが、それに合わせて看護婦さん、
ヘルパーさんの4人掛かりで車椅子に乗せて貰い暫しを過ごします。
4人掛かりでないと車椅子に乗れないんですから大変ですが、大きく
開いた窓から空を見上げ、熱いほどの外気を浴びて気分一新です)

10年8月24日(火)
兄にして「
現代の名工(めいこう)」なれば吾の療養環境かんきょう)整へくれし見事なまでに

男手のなき哀しさを埋めてなほ兄貴はけふもかひがひしくて

(私がこうなってから10年。庭の手入れは勿論、屋内のメンテナンス、私の
身の周りの整備等々を一手に引受けてくれてます。兄貴には頭があがりません)

10年8月23日(月)
 五月蝿きは内に鈴虫外に蝉、虫の居どころ悪しき猛暑日

(またまたの猛暑日で処暑などどこ吹く風、平成7年の猛暑日(13日)記録に
迫ろうとしています。当然ながら、エアコンは回しっ放しですので、鈴虫に
とっては我が世の秋?とばかりに大合唱です。歌は「虫づくし」と洒落てみました)

10年8月22日(
 友からの荷物ほどけば八ヶ岳高原(こうげん)へ夏のめぐみが誘ひくれし



(写真は友人からの贈り物で、八ヶ岳高原に育った数々の夏野菜の一部です。
残念ながら私は口にできませんが、目で味わい、楽しませて貰いました)

10年8月21日(土)
 部活とふ高校野球は甲子園に感動の目を集めて熱し

球児とふ若きら深紅の優勝旗目指し戦ふ汗にまみれて

頂点に立ちし「興南」胸をはる四千余校の涙をよそに


(今日決勝戦が行われ、芽出度く?沖縄の興南高校が深紅の優勝旗を手にしました。
春のセンバツと違って各都道府県の優勝校が出てきますので、
郷土愛のようなものも手伝って観るせいか力が入りますね。
それにしても、今でも高校野球が部活動の一環で、選手を球児と呼ぶんですね)

10年8月20日(金)
 この夏は怪奇芝居を観るがごと白骨遺体のひがしににしに (合掌)

日本一百十三歳を誇りしお方ミイラと化して齢重ねし (合掌)

超長寿大国なれどその実は行方しれずの超高齢者
(みんな)で引き上ぐ

(今の日本でこんな事が起きてるとは、俄には信じ難い事ですが、
今の日本だからこそ、でしょうか。)

10年8月19日(木)
 避けてこし墓地をあがなう相談をためらひもせず気切後なれば

(しつっこい「墓地を購え」電話に負けた訳ではなく、入院、手術を経験して、
呼吸器を使用するようになったのを契機に「死」が人ごとでない事を思い知りました。
今迄も話題にはなってましたが現実味に欠けるもので、・・・避けてたものと思います)

10年8月18日(水)
 いつになく真剣な目が迫りきて電気メス手に覚悟めされと

電気メス操る医師の目を見詰む気管の肉芽焼き切られつつ

採れしもの見せつつ医師は笑みたたえ「これで暫らく楽になります」


(気管に穴を開けてカニューレを差しこんでから半年、何時の頃からか
呼吸器がマッチし難くなったり、声が出難くなったりで苦労してましたが、
その原因が「肉芽」らしい、と今日の手術となりました。
手術と言っても麻酔不要で焼き切るだけですが、場所が場所だけに先生の目は
真剣で、終わった後のテストが巧くいったとたんに相好を崩されました。
体質もあるんでしょが、今後も同じ事を繰り返す、とはトホホ!です)

10年8月17日(火)

 猛暑です三十八度二分ですよ、練馬の暑さは日本一です

開け放ち熱風呼びこみ汗をかくベッドに臥しつつ猛暑をしばし


(我が練馬の名が連日のようにテレビや新聞に賑やかです。
それも最高気温のランキング一位という嬉しくない騒ぎです。
昨日が8度1分で今日が8度2分、これじゃあ、うなぎ登り、どころか天井知らずですね)

10年8月16日(月)
 こつこつと日傘ゆく路こうこうと夏陽の跳ねてかげろう炎ゆる

陽炎の炎ゆる小路に日傘のひとつゆらゆらゆらとコツコツコツと


(昨日外出した女房が見たという、陽盛りの風景を詠ってみました。
尚、こつこつコツはヒールの音です)

10年8月15日(

 プロ野球、甲子園また熱く炎え、ひとり冷えびえ大相撲嗚呼!

(今年のプロ野球は、セパ両りーグ共に抜け出すチームがなく
熱く競り合っています。一方甲子園の高校野球は、猛暑の中、文字どおりの
熱い闘いを繰り広げています。それに引き換え情けないのが大相撲、
次から次へ、出るは出るはと不祥事のオンパレード、それでなくとも
幕内上位は外国出身力士に占められるという情けない状況です)

10年8月14日(土)
 渋滞す高速道路は1000円とお盆休みのコラボレーション

列島を北へ南へ大移動、御先祖お在す東西へまた


(世はまさにお盆ウィーク真っ只中、それでなくても「何処まで往っても1000円」です。
例年なら不思議な程にカンカン照りが続くんですが、今年は運悪く台風4号がひっかき回して
ゆきましたので、典型的な夏もお休み中です。来週始めからの乾いた猛暑に期待しましょう)

10年8月13日(金)
 食べられぬ我を知ってか知らずでかテレビの食事はこれ見よがしに

卑屈にはなりたくなけれど食欲をくすぐるテレビに食傷したり


(食べなくても胃に直接栄養を入れれば生きていける時代にあって、
私もその恩恵を受けて生活していますが、テレビ番組の中に「食べる」
に関する放送のなんと多いことか、、、呆れるばかりですが、今は、
日本の食文化の中にある「目で食べる」を楽しんで?います)

10年8月12日(木)
 そそくさとよそゆき羽織り出掛けゆく妻は亭主を人手に託し

託されて、ヘルパーさんの手に頼りプランどうりにひと日をすごす


(木曜日は女房殿の定休日です。
夜間勤務が二晩続いた疲れを、捨ててくると出掛けてゆきました)

10年8月11日(水)
 エアコンのつくりし秋に鳴く虫は鈴をころがすあそびにふける

(今月に入ってすぐ鳴き始めた鈴虫ですが、今年のはいつもの年と
違って成長が遅れているようで、未だに鳴き比べが聞こえてきません。)

10年8月10日(火)
 今日ひと日溜まりに溜まりしストレスをスピーチバルブにのせて放さん

話すとは放
(はな)すと覚えし澱のごと溜まりしものを話して放つ

(よく、話を聞いて貰ってすっきりした、と言いますが、私は当にそれで、
もやもやしたものを言葉にのせて吐き出し、聞いて貰うことですっきりしてました。
勿論、聞いてくれる方の迷惑は度外視してのことですが。)
(気切によって言葉を失ったショック!を、自分のものにできずに悶々と
過ごした19日間で、すっかり落ち込んだところへのスピーチカニューレでした。
自分の声で話が出来る快感!。口が聞けないもどかしさを嫌というほど味わった
後だけに、思いの丈を言葉にして伝えられることの嬉しさは、一入でした)

10年8月9日(月)
 今なぜと思へど広島、長崎に核 保有(もつ)国々頭を垂れぬ

敗戦後六十五年を経ても尚、原爆症は苦難を語る

核の笠着て保たるる平和など要らぬと叫ぶ民らの悲哀

差別なす習性ありて人間は被爆者さへも追ひ遣る愚行

音頭とる核廃絶をとオバマ氏は大統領を何期?勤めん


(非核三原則、「核兵器を持たず、作らず、持ち込まさず」を錦の御旗としている
筈の我が日本は、大陸側からややこしい三国に睨まれています。つい先日も、
北方四島付近でロシア軍が軍事訓練をやったと報じていました。返還にむけて
交渉中の筈ですのに日本の弱腰を見越して着々と既成事実をつくりつつあるようです。
何れにしても、核廃絶にむけて先進国が動きだしました。期待したいものですが、、、)

10年8月8日(
 リビングに朝餉をかこむ音のして娘一家のしあわせを聴く

急かされて帰り仕度をする孫娘
(まご)に持たせてやりたし爺の笑顔を

(今回は両親の都合で4泊5日でしたが、姉妹が各々に東京を楽しんで
帰ってゆきました。中でも驚いたのが小五のお姉ちゃん、なんと
新宿末広亭の昼席(約4時間)をお父さんと一緒に楽しんできた由、
確かにお笑いブームとかで若い娘が押しかけてるとは聞いてますが、
10歳の子が4時間ですからねぇ〜恐れ入りやした〜!です)

10年8月7日(土)
 夏日射す小池に水浴ぶ雀らのあらがふ声の姦しきこと

(暑いのはスズメたちとて同じようで、数羽が先を争って水浴びをしてゆきます。
それも、水を入れ替えるのを待ってたようなタイミングで始めるんですから感心します)

10年8月6日(金)
 すでにもう十年臥せゐしに追ひ撃ちを眩暈にかけられベッドに動けず

(今朝はまだ周囲の風景や自分の身体が左にゆっくりと動いていましたが、
往診医の靜脈注射と投薬を受けてほぼ止まりましたので゛頭を左右に傾け
ないことを条件に、一週間ぶりの入浴を恐るおそるですが楽しみ?ました)

10年8月5日(木)
 天井が回るよ回る突然の眩暈に慄き不安に脅ゆ

他人
(ひと)びとは更年期障害ではと眩暈に固まるわれを笑ひぬ

そういえば汗に動悸に冷えまでも男七十歳
(ななじゅう)お年頃なり

(清拭中に身体を右に向けたとたんの眩暈でした。
カニューレを入れてから両耳の調子がおかしくなり不安ではありますが
眩暈ってほんと〜にいや〜なものですね)

10年8月4日(水)
 てきぱきと孫娘(まご)の来る時待つば〜ば迎え仕度に励むは励む

すくすくと育ちし孫娘の眩しくて寝たきりベッドにじ〜じは涙
(なだ)

(予告電話がきてから10日、待ちに待った娘一家4人が来ました。
女房は朝から、私の医療や介護用具などの物置に使ってる部屋を
片付けるのにおおわらわです。ゆうべは何度も起こして寝不足に加え、
今晩も泊まり番です。疲れてまた・・・心配する私をよそに大張りきりでした。
それにしても子供の成長の早いことったら、5年生にしておばあちゃんを追い越しました)

10年8月3日(火)
 さめざめと「私なんか・・・」と顔をふせ涙をかくす妻の背まろし

(ゆうべのことでした、、、でも今日は
2時間ほどのカラオケでリセットできたのでしょう何時もの女房に戻ってくれました)

10年8月2日(月)
 清拭を排便シーンを研修生に見せて待ちます介護士増を

(私は、依頼を受けて研修医師や看護大学の学生さんに「訪問看護」の様子を、「研修」の
名目で見て貰ってますが、今日はヘルパー養成学校の生徒さんがみえ、先輩ヘルパーさんの
仕事っぷりの一部始終を見てゆかれました。58歳の男性で、これからは介護ヘルパーを
生業として頑張る由、お住まいが遠いので私の処へは来て貰えませんが、人材不足の
折りですから喜ばしいことではあります。それにしてもです、排便なんてものは
個室で密かに?が当たり前ですのに、いやはやとんだことになったものです)

10年8月1日(
 吾を見舞ひくれし友どちおのおのに連れ合ひ葬送(おく)りし傷心を背に

(去年の秋に奥さんを亡くしたA君と、今年の正月に夫君である友人を亡くしたMさんが
連れだって見舞いに来てくれました。お線香一本あげにゆけないという
不義理をしてる私にとっては、肩身の狭い限りですが、その後の様子を
聞く限り元気にしてるようなので、胸を撫で下ろしたところです)

10年7月31日(土)
 帰る足白雨に補(と)られしお客がひとり朝の予報を叱りつねまる

(お昼前になって、さあ帰ろうと立ち上がったとたんの雨、
それもかなり激しい雨で傘ていどではどうにもならない程。
朝の天気予報を叱り、恨みの一言をいいつつ已むなくの雨宿りとなりました)

10年7月30日(金)
 柔道で鍛えし身体にスーツを纏ひやわらちゃん(やはら)はつくる議員の顔を

初登院果たせし
やわらちゃん(やはら)は人垣の内に固まる議員の顔で

一年生議員といえども
やわらちゃん(やはら)は輝(ひか)る柔道世界チャンピオン色に

(第175臨時国会が召集され先の参院選で当選した一年生議員も初登院を果たしました。
その中でも出色は、やわらちゃんこと谷亮子氏、報道陣の質問に優等生的言葉で答え
てましたが、柔道、妻、母親、議員と四足の草鞋をどう履きこなせるのか?、、、と
訊いてみたくなりました。これ決して意地悪だけで云うんじゃなくって、議員定数削減が
叫ばれている時だけに、選りによって何故今やわらちゃん?と考えてたらこんな歌ができました)

10年7月29日(木)
 雨風は炎暑に萎えし人に地にほっと一息つかせひねもす

炎熱に萎えし地に人雨風にほっと一息ついてひねもす


(朝からの強い風に恵みの雨が混じって練馬でも一気に気温が下がりました。
19日から始まり10日間続いたさしもの猛暑も一先ず休演?で、
人も地もエアコンさえも一息ついています)

10年7月28日(水)
 夜の明けて呼吸器はずされ深呼吸 朝のかおりを腹の底まで

(朝の目覚めは、睡眠の質によって気分的にはまちまちですが、
週の内8時が5回と8時半が2回ヘルパーさんの「お早うございます!」で始まります。
しっかり目覚め、来てくれるのを待ってる朝もありますが、そんな時は必ずと言って
いいほどトラブルと格闘してろくに眠れないまま朝を迎えています。今朝のように、
起こされて呼吸器を外された時の開放感は、爽快感を伴って一日が始まります)

10年7月27日(火)
 食べ頃をとっくにすぎしメロンを妻は「検診結果」と見比べ仕舞ふ

(私の見舞いに戴いた筈のメロンですのに、残念ながら口にできません。
そうかといって、ジュースにして胃に流し込むのはもったいないから、と
女房殿がとなりましたが、つい先日受けた健康診査の結果が余りにも
悪過ぎて思案投げ首、やめとこぅ で冷蔵庫へと逆戻りです。
その後ですか、恐るおそる切ってみたら丁度食べ頃でお客様に喜んで食べて戴きました)

10年7月26日(月)
延命に「胃ろう」を勧めし医師なれば「活きる」にあらず「生きる」に悩めり

「活きてる」か「生かされてる」かの悩ましき命あってのものとはいえど


(昨晩NHK教育テレビで放送された、
ETV特集、食べなくても生きられる、胃ろうの功と罪
、*延命か自然な最期か* *長寿を支える医療をめぐる模索*
「胃ろう」を使って療養生活をしてる当事者としては、複雑な気持ちで観ました。
積極的に胃ろう造設治療を勧めてきた結果、沢山の寝たきり患者を生み出した
現状を、当の医師が見せ、語っていましたが、悩むには充分なテーマではあります)

10年7月25日(
 ダイジェストだけで芽出度く千秋楽、再放送もこれにて終了

相撲とは仕切りから観てなんぼのものと教えくれしかNHKよ

白鵬の独り天下をいつまでゆるす「ごっつぁん」社会の日本男子
(やまとおのこ)

(とんでもないことで注目を浴びた大相撲名古屋場所が
、横綱白鵬の全勝で三場所連続15回目の優勝で目出度く?千秋楽となりました。
度重なる不祥事にNHKが過剰?反応をおこし、15時(総合)からの実況中継を中止し、
ダイジェスト版のみを打ち出し直後の6時台に放送しました。
その味気なさったら・・・一相撲ファンとしては二度とご免こうむりたいものですが、
その実況中継を組んでいた3時から6時までの時間帯を各種番組の再放送で
埋めたのにはこれまたがっかりでした。この度のNHKがとった実況放送中止
には視聴料を払ってる者として怒りさえ覚えるとともに、視聴者の観る
権利をも踏みにじるもので私としては異論を唱えたく思います。
それにしてもです、白鵬の独壇場状態がいつまでつづきますやら、全く見当も
つきませんが和製の三拍子揃った前途洋々たる力士の出現が切に待たれます)

10年7月24日(土)
 ぼんやりとなにするでなく目のあそぶデスクトップにふたりの孫娘(まご)

(デスクトップへ正月に撮った孫娘の写真を貼ってますので、立ち上げる度に
ご対面となりますす。8月早々には来るようですが、また大きくなってるんでしょうね)

10年7月23日(金)
 大暑などどこ吹く風と池の面にむらさき清かほていぐさばな



(暑いですねぇ!は言わずもがなですが、今年の夏は暦どうりの暑さとなっています。
折りしも今日は「大暑」、わが練馬では19日から始まった猛暑日が、
今日の37、8度を最高に、これでもかッ!と畳みかけるがごとく続いています)

10年7月22日(木)
 世の中は猛暑もうしょと喧し三ヶ月予報(よほう)外しし気象庁さへ

臥せをれば身動ぎひとつままならず布団に汗を吸はせしのぎぬ


(梅雨から夏にかけてはエルニーニョの影響で、不順な経過を、、、と
記憶してたんですが、当の気象庁は刻々と予報を更新してるんだそうです。
今日発表された三ヶ月予報によれば、ラニーニャ(赤道海域で海面水温が低下する現象)が
発生したとかで、この酷い暑さがつづくんだそうですよ!皆様どうぞお大事に)

10年7月21日(水)

 半月を身体の一部でありたればカニューレ抜かるる傷みも愛し

(カニューレの寿命は二週間で、必ず新品と交換します)

 カニューレを引き抜き開きし空洞をおずおず覗く目を見上げをる

(その都度観客がいらっしゃって覗いていかれます)

 異物だ!と拒絶されるも命をつなぐカニューレなれば死ぬまで愛す

(こんな物が喉(気管)に入ってるんですから不自由なはずです。
問題は拒絶反応?による肉芽の多発で、毎日のように苦闘してます)

10年7月20日(火)
 三連休明けて登校する児童(こ)らは「今日が夏休みならよかったのになぁ」

学校がお役所なればさもあらん一日たりとも「動かせません!」


(三連休が終わって、さぁー!じゃなくって、東京の小、中学校は明日から夏休み。
児童ならずとも、親御さんは勿論、若しかしたら先生だって、、、でしょうね)

10年7月19日(
 気がふれるほどの暑さににょうぼを起こす夏掛け一枚はがしてほしく

大汗にまみれし夜が明け待たれるは訪問看護
(ほうかん)さんのぬくき清拭

(梅雨が明けたとたんの猛暑です。我が練馬は東京一の暑さを誇る有難くない土地ですが、
昨晩の熱帯夜についで今日も36度以上の猛暑日を記録したようです。冷房に弱い私ですが、
ここ数日はエアコンを26度にセットして寝てましたが、昨夜の暑さにはまいりました)

10年7月18日(
 水害を視せるニュースは行楽の渋滞模様も俯瞰し観せる

蛇行なす濁流溢れ暴れし日、高速道に車渋滞
(とどま)

(濁流が蛇行しながらるいるいといく様子と、高速道路の渋滞模様を
テレビニュースが報じました。前者は流れ、後者は留まるという悪対象?です。
面白いと言えば怒られそうですが、三連休は悲喜こもごもですね)

10年7月17日(土)
 「梅雨が明けた模様」などとは控えめな肌射る光が真夏のそれぞ

訪ずるる人らは暑いと口々に風がかわった、梅雨が明けた!と


(豪雨に苦しめられた梅雨が、西から関東甲信地方まで一気に明けました。
・・・気象庁は例年どうり、断言はしてませんが・・・
わが関東では、雨が例年の半分しか降らない「空梅雨」だったようですね)

10年7月16日(金)

 脈をとる手のごつごつと看護士は「元気」を売りに半時あまり

(長生きはするもんですね。72年の生涯で初の体験です。
この度、訪問入浴のメンバーとして男性看護士が来てくれました。
24歳の体育会系の好青年ですが、世の中変わったものですね)

10年7月15日(木)
 痰引きに起き出(で)し妻の口をつく「火事よ!」をよそに朝焼けに酔ふ



(朝焼けを練馬で観たのって・・・?健常時に2,3度だけだったような。
今朝の5時前でした。ベッドから起きてきた女房が、痰取りならぬ朝焼け撮りに夢中
になって、早起きは三文の徳と言うのはこんなことを云うんでしょうが、実際は早起き
どころか1時半に始まって7時少し前迄に5回も起こしてしまいました)


10年7月14日(水)
 われはいま関東(ひがし)に在りて思ひ馳す集中豪雨に苦しむ西日本(にし)

(ここへきて九州を含む西日本各地が、梅雨末期特有の集中豪雨に
襲われて多大な被害が出ているようです。先の練馬を含む東日本を
襲ったゲリラ豪雨と違って、広範囲に亘ってますので深刻ですね)

10年7月13日(火)
 「お通じ」とよばるる作業を笑顔でこなす、、、、、、、
、、、、、、「訪看、ヘルパー」(あなた)のおかげでけふも快適


(頭がさがります。<m(__)m>)

10年7月12日(月)
 青空に茜いろなす雲みすじ梅雨の晴れ間をこれ観よがしに



(強い風に大粒の雨がまざったかと思うと晴れて、
こんな見事な夕焼けを見せてくれました)

10年7月11日(
 濁声の消えし街中そぞろゆく善男善女は投票所へと

(今日は、第22回参議院議員選挙投票日でした。
選挙戦というよりは、民主党の「揚げ足取り」に各党が終始
してたようで、情けない限りですが、果たしてどのような結果が出、
日本の政治がどう変わるのかしかと見とどけたいものです)

10年7月10日(土)
 口ぱくで頼めば聞き手も口ぱくで返してよこす無言劇場

もういい!と諦めしこといくたびぞ声でぬ辛さここに極まる


(こちらの口ぱくにつられるんでしょう、返事を声に出さない方がいたりして
思わず笑っちゃいますが、「あげる」「さげる」で試してみてください。
たった3音が、まともに伝わらないんですから大変です)

10年7月9日(金)
 無味無香愛でるにたりぬ「人工栄養」(えいよう)を糧とし生きる味気なき世を

ぽとぽとと落ちゆく「栄養」けふもまたただ満たすのみ五臓六腑を

虚しくて哀しく悔しく寂しくて「栄養」おちゆく様を見つめん


(入院中にテスト的に使ってみて、お腹がすんなりと
受け入れてくれた物を今でも処方されて、胃ろうから点滴注入
しています。当たり前ですが味気ないものです)

10年7月8日(木)
 喉に開く穴より入りくる温き空気(き)のリズムが誘ふ眠りのそこへ

加温され加湿されたる空気
(き)が巡る身体のあぐる悲鳴に目覚む

(就寝時に利用する呼吸器が送ってくる空気は、ホースの中間辺りにある加湿器を
通ってくるので、適度な湿気を含んでるのはいいとしても、気温までもが高く
なってて時間とともに身体の芯から温めてくれます。クーラーに弱い
のでギンギンに冷やさないで大汗を掻いては剥がし、寒くなると
掛けるの繰り返しに安眠を妨げられる夜もあります)

10年7月7日(水)
 冗談ではよく口にしてましたが・・・・・、まだ生きてました!
但し、頭を枕に預けたまま、の情けない姿でですが。

死か生か、決断せまる医師の目に冷たく光るものに脅えん

(バイパップの訓練で入院したはずが、3日目に10年ぶりの発熱、
肺炎と無気肺の狂演?とか・・・・・病院は怖い!・・・が身にしみました。
さっそく誤嚥予防とかで点滴だけとなり、それも一日500ccのみ。
当然ながら、脱水による痰づまりをおこして大騒ぎとなり、
上記の歌となりました。

・気管切開 (言葉を失うも呼吸器装着で延命できる) を迫る医師チームに、
断ると? に
・このまま治療せずに薬で眠ってもらいます。

呼ぶ声に「はい」と応へてうろたへる呼吸器着けし我に声なく

棺桶をのぞくがごとく吾を囲む憂ひし顔が涙にかすむ


(想像はしてましたが・・・・・、突然声を失ったショック!
正直落ち込みました、医者には「鬱」の薬を処方される始末。
呼吸器は着けないと公言していた私でしたが・・・・・、
あの時・・・・・頭に浮かんだお袋の言葉・「私より先に逝くなょ」
が、決意を鈍らせ「気切」をし、現在は呼吸器を就寝時のみ使用し、
それ以外は酸素(2g/1分)を鼻から吸うだけで生活ができています。

そして嬉しいことに、
スピーチカニューレが使えることで、痰がらみさえなければ
ほぼ自分の声で普通におしゃべりができています。
と言えば問題無しとうけとられそうですが、
就寝時に呼吸器を着けると声が出ないのは当然としても、昼間の痰が
異常に多いため思うように使い続けられないのが現状で、加え呼吸器の
セッティングが難しく、私は勿論ヘルパーさんにもご苦労をおかけしています。
でもでもです、一度は完全に失ったはずの声が、どんな形であれ
復活したことで、世捨て人のようになっていた自分を5ヶ月ぶりに
取り戻すことができ、いまこうしてHPの更新ができています。

飲み食いは1月15日朝の病院食が最後の晩餐ならぬ食事となり、
折角の自歯27本が歯軋り用にしか使えなくなってしまいました。
現在は、人工栄養1200キロカロリーを400づつ3回に分け、
水は300ccを4回「胃ろう」から注入して健康体?を保っています。
情けない事になりましたが、これも人生と割り切って、
女房を筆頭に沢山の介護関係者のお手を煩わせながらですが、
頑張ってみようと考えられるようにやっとなりました。

そんな、在宅療養を快適なものにしてくれている
さくら介護センターの社長さん、練馬医師会訪問看護ステーションの所長さん
他の、献身的なご配慮、ご努力によって成り立っていることは
言うまでもありませんが、ベッドを置くときに足の方向を
決めかね苦慮したほど沢山の方々に囲まれ、支えられて
療養できてることに深く深く感謝しています。

(私の場合はまだ自発呼吸がかなり(血中酸素濃度95〜6%)
ありますので、この状態がいつまで続くか見当もつきませんが、
気管に差し込んであるカニューレは2週間に一回の交換に、
肉芽の多発があったりして一筋縄とはいきません。
加え半年毎に交換しなければならない「胃ろう」も厄介で
療養というよりは闘病に近いものになってしまいました。)

振りかへりふり返りつつ来し途(みち)は日ごと険しさ増しつつ続く

(尚、「日ごと日ごとに」の更新をやっと再開しましたが、
以前のように毎日一首は無理としても、
思いつくままに歌に詠んでいこうと考えています。
但し、HPへアップする作業が複雑で、ワンキーマウスをマスター
できてない私にとっては至難の作業でしょうが、頑張ります。)

(この歌は、僅かに動く右手の中指でボタンを押すことで、
ワンキーマウスのポインターを動かしてポツンポツンと綴りました。)


10年1月12日(火)
 入院を明日にひかえ思ひ馳すこの苦しさを土産になさん

(待ちに待った入院がやっと明日となりました。
一応入院は一週間の予定ですが、どうなるかは定かではありません。
しばらくこの日記もお休みとさせて戴きますが、
帰って来次第従来通りの短歌アップを続けたいと考えております。
その節は、どうぞよろしくお願い申し上げます。)

10年1月11日(

 晴れの日を迎えし若きら駅頭に紫煙くゆらせ大人を演ず

(桜台駅の周辺にいたスーツ姿の青年数人が、煙草を吸いながら
成人式を話題に盛り上がっていたとか。何をか云わんやですが、
18歳成人論、が検討される世の中ですからねぇ、
違和感を持つ私の方がおかしいんでしょうか)

10年1月10日(
 訪ずるる人らの口から「おめでとう」の言の葉消えて冬は長けたり

(東京は素晴らしい冬晴れが続いていますが、朝晩の冷え込みも流石です)

10年1月9日(土)

 痩せたねに食わせてくれんと笑ひ合ひし頃の笑顔に戻ってみたし

(冗談が冗談と通じない雰囲気だけは避けたいものです)

10年1月8日(金)

 訃報うけ何故如何してと問ひ返す気力の失せし。友は逝きたまふ

(去年の4月に遊びに来てくれ、呑んでだべっていった友人が、
手の施しようがないほどの肺癌で、今朝亡くなりました。
信じられないが本音ですが、苦しかった筈なのに如何してこんなに
なるまで病院へ行かなかったのか、今となっては訊く術がありません。
それにしてもです、一昨年の夏から私の友人、仲間が実に15人も亡くなるとは)

10年1月7日(木)

 空けました、十三日に入院を。待ちに待ったる嬉しい知らせ

情けなや治癒の叶わぬ病ゆえ、ただ苦しさからの逃避のために


(熟睡時のサチュレーション(血中酸素量)の数字が
70%台に落ちたことを報告した途端のお呼出しでした。
空きました(ベッドが)ではなく、空けました、が物語っています)

10年1月6日(水)
 今度いつ?別れの辛さを見せまいとバイバイさよなら云わずに送る

見送りは玄関までとおばあちゃんは涙にくれた駅を拒みぬ

帰りゆく孫娘
(まご)の背中が凛々しくてちょっぴり淋しい爺と婆です

(足掛け12日居た娘一家が仙台へ帰って行きました。
この春、5年生と1年生になる二人の孫娘との別れは、
何時ものことですがあらぬことを考えたりして辛いものがあります。
その孫の、「てんのうへいかのおうちへいったの」には大笑いをしました)

10年1月5日(火)
 咲き初めし梅一輪のかもしたる春につつまる正月五日



(東、西、南からの冬日が溜まる我が家の庭では、もう梅が咲き始めました)

10年1月4日(月)
 正月の四日で月曜、始業です、スーツの群れをビルが吸い込む

(各局のテレビニュースが、毎年放送する定番の風景です。)

10年1月3日(

 明日からの始業をにらみおのおのが家路を往きます疲れをつれて

(今日3日は日曜です。サラリーマンにとっては正月休みの最終日とあって、
外国を含め全国各地からのUターンラッシュがピークを迎えたようです。)

10年1月2日(土)
 一瞬を闇につつまれ記憶とび失禁なすも目出度く迎春

(大晦日の23:30頃、椅子に座ってバックで移動中でした。どうやら心臓が
止まったようで、気がつくと同時に胸押しをしてもらって事無きを得ました。
救急車が到着したときには落ち着いていて、丁重にお断りして引き
上げて貰いましたが、元日の病院なんて絶対に行きたく無い処です)

10年1月1日(

 冬晴れに明けし寅年とにかくも目出度きことよ七度目にして



(迎えられました新年が素晴らしいものでありますよう心より祈念申し上げます)


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